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本の情報----柳田陽子さんのレビュー
(育児支援サイト「すくすくママ」2002年9月に掲載)

●『ぼくが父であるために』
 松本康治  春秋社  定価:本体1600円+税


自然の中で遊ぶこととビールと温泉を愛する編集者とその息子の個人的な物語。

子どもが嫌いだった<ぼく>のところに、思いがけず小さな人が生まれてくることになった。あせった<ぼく>がまずしたことは、その受精卵に名前を付けることだった。邪念が入り込む前に急いでそれを人格化してしまうために。

物語のスタートはこんな感じ。やがて、父親となった<ぼく>が、なにに出会い、なにに驚き、なにに感動し、なにに腹を立て、なにを悲しんだのか…。
あるミニコミで「丘のさんぽ道」という名で連載されていた当時、毎回とても心待ちにしていた松本さんの子育てエッセイ(と言っていいのかな?)が本になりました。
連載を読みながら、私も結婚・妊娠・流産・出産・子育て・二人目出産・母の死・三人目出産と変化の大きい時間を過ごしてきました。松本さんの、一言で言うなら「等身大の文章」に、自分の心の揺れが重なって、会ったことのない丘くんとまりもちゃん(著者の子どもたち)に不思議なほどの愛着を感じ、同時に自分の子どもを愛おしく思う気持ちを強く、深くしてもらった気がします。

それにしても、今回書き下ろされた阪神大震災に関する部分は圧巻でした。今まで見たり聞いたりしてきた震災のどの報告よりも、心の奥にこたえました。

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