悲しいほどに真剣だった子どものころの自分をおぼえていますか? 
親になったときの不思議な気持ちをおぼえていますか?


ぼくが父であるために

松本康治(まつもと こうじ)著  春秋社



四六判上C/197頁/本体1600円
申し訳ございませんが、本書は品切れ絶版となりました。
たくさんのご注文ありがとうございました。

子育て世代の父たちへ
ひとはいかにして[父]になるか


医療雑誌の編集長として活躍する著者が
息子の誕生から8歳までの成長の過程をつづる。
誕生から震災をへて変貌する家族の記録。
子どもという他者について、これほどまで真摯な描写があっただろうか。
「文体のノリと感性の瑞々しさに惹きつけられて」
「第一章『春風の発見』でもう涙です」
「たった一つの不満は、もっともっとたくさん読みたかった、ということ」・・・などなど、
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「実際にこの本のように平然と語られるととてもあせります」
育児情報サイト「ゆうちゃん」での書評はこちら
「子どもを愛おしく思う気持ちを強く、深くしてもらった気が」
育児支援サイト「すくすくママ」での書評はこちら
「北野武で映画化」!? 
Web『カルチャーレビュー』での書評はこちら
『ダ・ヴィンチ』2002.2月号「読んで絶対トクする20冊」より

人はいかにして父親になるのかがよくわかるモダンな育児書

 新宮が生まれたからといって出生率がすぐ上がるほど、いまの日本の情況は甘くない。教育・厚生・労働をとりまく環境は、改善の余地が多く、その不具合を情報として持つ「自分の気持ち優先主義」の現代人たちは簡単には親にはならない。また親になるのは簡単だが、親で居続けることは難しく、親の資質を持たずに親になってしまったことが生む不幸も後を絶たない。「どうしたらいいんだろう?」。親ビギナーの僕も子どもを前に立ちつくす場面はまだ多い。
 本書は僕と同じ歳で、独立系雑誌『いのちジャーナル』の編集長が書いた子育て奮闘記。男が読む育児本の多くは「父親かくあるべし」的なものが多いが、本書にそんなコンセプトはない。ひとりの男が父親になったとき、何に出会い、何に驚き、何に怒り、何が悲しいのかを誠実に語り、子どもとともに成長するレアな姿は清々しいばかり。そう。こんな育児書があってもいいのだ。また「人間の生き方は人それぞれなのに、日本では『理想の家族』像が幅を利かせすぎている。本当はそんなものはどこにもないのに」と嘆くあたりは、同世代の人ならシンパシーを感じるはずだ。
 さて、僕たちの子どもは「大変な時代を生きることになる」というのが最近の定説。確かに社会は親の思惑通りにできてはいない。著者も言っているが、これは親と子にとって「試練」なのだろう。自分のセンスと子どもの直感を尊重する複眼思考で乗り切ろうと、僕は考えている。(安藤哲也/オンライン書店bk1店長)
【読得指数】
 共感★★★★★
 リアル★★★★
 さわやか★★★★★
『日本経済新聞』2001.12.1(大阪版・夕刊)

 神戸で医療・福祉の出版に携わる「子ども嫌いだった」筆者が、8年前に思いがけず長男、そして4年前には長女の父となる過程を、驚きと戸惑い、哀しみ、喜びなどの「新鮮な思い」の濃淡とともに、丹念につづった記録。不登校関連のミニコミ誌の連載がベースだが、書き下ろしの阪神大震災のリアルな描写は心を打つ。看護婦長の妻との離婚、その「元妻」2人の子どもとの「家族」旅行などの記述は、父、母、子ども、家族とは何かを考えるヒントにもなろう。

(マスコミ・関係者への挨拶文より)

 このたび、知人が発行する不登校関連のミニコミに細々と連載していた僕の子育て記録が、春秋社という出版社から『ぼくが父であるために』と題して出版されることになりました。
 これは、さいろ社のホームページで一部を公開していたものを見た春秋社の編集の方が、「子育て世代の共感を得られる内容だ」と出版をすすめてくださったことで実現しました。
 個人的な記録を本として出版することには若干躊躇するところもなきにしもあらずだったのですが、「せっかくだからこのさい」と決意したのは、ミニコミへの連載当時から、「心を揺さぶられた」「何度も何度も読み直しています」「泣いてしまいました」などの嬉しい反響をいただいていたからです。コピーして臨床心理学の教材に使ったという大学教授もおられます。
 それらの声を聞くにつけ、僕ら30代の子育てにまつわる不安や苦悩は普遍性を持つものなのだと感じずにはおれません。手前味噌ではありますが、この本の中には子育て世代の抱える問題を整理するためのヒントがいろいろ詰まっているのだと思います。

 最近、父親の役割などを論じた本が目につくようになっていますが、この本ではその前に、ひとが父になったとき、なにを体験し、どんな事態に直面し、どんな感情を覚え、どう変化するのか、ということをできるだけ正確に知ってもらいたいと考えました。
 ホームページでの未公開部分に加え、阪神大震災のときのことや、夫婦の関係にまつわることなどについては、新たに力を入れて書き下ろしました。  (松本康治)
この本は僕と息子の個人的な物語ではあるけれども、
もしあなたが誰かの親あるいは誰かの子どもであるならば、
あなたの子どもやあなたの父親、
そしてあなた自身も登場するのではないかと思う。
きっとなにか再発見があるのではないだろうか。
(本書より)

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