看護婦たちの子育てさいろ社の本ホーム

『看護婦たちの子育て』紹介記事

働く女性が抱える厳しい現実
(1998.6.24、毎日新聞)

 大阪府高槻市のフリーライター、藤岡和美さん(40)が、仕事を持つ女性が抱える子育ての現実をまとめた「看護婦たちの子育て―彷徨える白衣の母たち」(さいろ社、本体1600円)を出版した。育児休業法や保育制度はあっても現状は厳しく、個人の頑張りやがまんで育児を乗り切っていることを指摘、法や制度の問題点を改めて考えさせられる。

 看護婦をテーマに選んだのは、女性の仕事の代表格で子育てを取り巻くシステムも確立されているだろうと期待したからだった。ところが取材を始めてみると、子供の保育は祖父母に頼っているケースが圧倒的に多く、保育所のみは少数派だった。育児休業の取得も低く、1991年の日本看護協会の調査の6割以下というのも意外に感じた。
 個別のケースでは、育児休業について「普通は取らない」「復帰後は深夜勤務にも就いてもらう」と言われて取れない状況にあったり、幼い子供を抱えて夜勤はこなせないので、給与や昇給、待遇面で割の悪いパートになるなど、個人の生き方を曲げることで育児と仕事を両立させている印象を強く持ったという。
 また、全国に3000ヶ所余りあるという院内保育所でも、同じ職場内なのに時間通りに仕事が終わらないことが理解されなかったり、厚生省から助成金を受けられないために保育料が月額最高で9万円近くなるところもあった。

 藤岡さんは「子育て中は毎日が手いっぱいで、法や制度のおかしさや不備を追及していくだけの時間や気力はなかなかない。働く女性全体を取り巻く、厳しい状況を知ってもらう手掛かりになれば」と話している。【石村綾子】

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