「脳死」ドナーカード持つべきか持たざるべきか このようにマスコミで紹介されました

1999.11.23 読売新聞 13面 <泉>
「カード」記入の前に知識を

 <今年になって4例の脳死移植がたて続けに行われ、それに伴って臓器提供意思表示カードが猛烈な勢いで普及しています。官公庁はもちろん、スーパーやコンビニなど至る所で目にします。けれどカードに記入する時、判断の根拠となる情報は十分に与えられているでしょうか。医療現場の現実の姿がどれだけ理解されているのでしょうか>
 医療問題の雑誌を出している「さいろ社」(078・453・6796)の編集長、松本康治さん(36)からの手紙です。同社は「『脳死』ドナーカード持つべきか持たざるべきか」(1000円)という本を今秋、出版しました。
 執筆者は「患者よ、ガンと闘うな」を書いた近藤誠さんや脳神経外科医の山口研一郎さんら約20人。
 高知の1例目をはじめ、4例の脳死移植の具体的な経過をたどり、救急医療体制は整っているか、カードがあると救命治療がおろそかにされないか、脳死判定は正確にできるかなどの問題点を指摘。過去にトラブルになった移植の実例や家族の声、アジアの臓器売買の実態も紹介しています。 
 若者の間では気軽にカードを持つのが一種のブームになり、「コンビニドナー」とも呼ばれます。しかしカードには脳死について何の説明もありません。
 <人の役に立とうという気持ちは貴重ですが、脳死については世の中の意見が分かれており、もしもの時は家族も苦悩の選択を迫られます。記入する前に、最低限の知識は持っていてほしいのです>
 脳死が人の死か、決めるのはまず本人です。ドナー(提供者)がどれだけ理解してカードに記入したのかは本来、家族への説明以上に重要なことです。どちらを選ぶにせよ、深く考えて決めるべきでしょう。


1999.11.25 朝日新聞
ドナーカード持つ前に…
脳死前の医療現場知って


 脳死臓器移植が、今年前半相次いだ。コンビニエンスストアのレジ横にもドナーカードが積まれ、手にする若者も増えている。そんな現状に改めて疑問を投げかける本「『脳死』ドナーカード持つべきか持たざるべきか」が出た。交通事故の遺族や「心臓死」ドナーの遺族ら、実際に深刻な体験をした当事者の証言を通して、心のケアの問題だけでなく、救急救命治療体制の整備、医療の透明性など、脳死臓器移植の前提となるべき基盤ができているのかを、問いかけている。

〜遺族らの証言元に問いかけ〜
 出したのは、医療問題に関する書籍を出版している「さいろ社」(神戸市)。市民グループのメンバーや医師、フリージャーナリストらが執筆した。
 本は「あなたが倒れる時」から始まる。「脳死」になる可能性は、交通事故にあったり、脳の血管が切れたりして、突然訪れる。その時、どんな治療が受けられるのか。
 救急車で運ばれても適切な治療も受けられず亡くなる「都会の夜は無医村」の変わらぬ現状。一方で、最新の療法で、かつては「不可逆的な一線を越えた」「もうダメ」と診断された人が社会復帰しているケースなども語られる。
 では、家族に何が起きるのか。どういう状況で、どういう説明がされ、どう受け止めたのか。本当に理解・納得の上なのか。
 働き盛りの息子が突然倒れ、その臓器提供を「承諾した」80歳代の母親は、「『献体』を求められて『どないでもしておくなはれ』と答えたばっかりに、両目や臓器だけでなく、皮膚までとられてズンベラボウになってしまった」と怒り、なげく…。
 そして、臓器移植法施行後、今年2月−6月の「脳死移植」4例への検証も試みられる。発表資料からだけでも、なぜドナーとなった人に、脳波測定前に危険な無呼吸テストが実施されたのかなど、疑問が示される。
 海外での臓器売買の実態、人工心臓の開発状況なども取り上げ、移植について多面的に考える構成だ。
 現在、全国に配られたドナーカードは5412万枚(10月末現在)。コンビニや郵便局、自治体の窓口などに置かれている。
 さいろ社の松本康治さんは「コンビニでドナーカードを見た若者は、『この一枚で助かる人がいる。どうせ自分はもう死んでいるのやし』と思うのだろうが、脳死になるとは具体的にどういうことかがスポッと抜けている。命の贈りものと言われるが、ドナーの命は最後の最後まで大切にされているのか。脳死の前にどんな医療を受け、家族がどんな目にあうのかせめて知って」と話す。
 150ページ、1000円(税別)。
書店にも並んでいるが、問い合わせは、さいろ社=078・453・6796。


1999.12.2 新潟日報 夕刊 2面
脳死移植の実態紹介 ― 本出版
〜ドナーカードを考える〜


 臓器提供意思表示カード(ドナーカード)を持つかどうかを判断する前に知っておくべき知識をまとめた「『脳死』ドナーカード持つべきか 持たざるべきか」がこのほど、さいろ社(神戸市)から出版された。
 今年に入って、高知を皮切りに4例の脳死臓器移植が相次いだことで、ドナーカードを持つ人が急増している。しかし、臓器提供者や家族のプライバシー保護の問題もあり、脳死臓器移植をめぐる医療現場の実態されているとはいえないのが実情だ。
 同書では、事故や脳血管障害で倒れた人が、救急医療を経て脳死判定へと至る流れを、時系列でリアルにイメージできるように構成しているほか、臓器移植法施行後の4例の脳死臓器移植の検証、家族の苦悩、臓器移植の費用負担、アジアでの臓器売買の実態、情報公開とプライバシーなど「ドナーカードを持つ前に、どうしても知っておくべき最低限の知識を凝縮した」(同社)。
 執筆スタッフには、慶応大学医学部放射線科講師の近藤誠氏、医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長の勝村久司氏らが名を連ねる。
 同書はA5判、150ページ。定価1000円(税別)。
 問い合わせは、さいろ社、〒658−0072、神戸市東灘区岡本7ノ2ノ10、078(453)6796(ファクス兼用)へ。


「脳死」ドナーカード持つべきか持たざるべきか
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