関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
淡路島の激渋銭湯
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東光湯 (洲本市)
清水湯 ★(洲本市)
(廃業)
お多福湯 (洲本市)
みなと湯 ★(洲本市由良)
(廃業)
増田湯 (洲本市由良)
常盤湯 (洲本市由良)
扇湯 △(淡路市)
【兵庫県】 神戸市阪神間東播磨西播磨淡路但馬
東光湯

洲本市本町7-1-44 →地図
(0799)22-4120
【営業時間】11:00〜24:00
【定休日】木曜日


 洲本バスターミナルから南西へ徒歩10分ほど。本町商店街の1筋南の交差点にある。
 入母屋造りに破風屋根がついた伝統木造建築。だが玄関前の大きなひさしといい玄関両脇のダブル巨大看板といい、田舎のレトロ銭湯とは思えないヤル気を見せている。
 しかもこの銭湯、午前11時からやってるよ! ヤル気ばりばりだ。

 
(左)軒下の風情  (右)これで全体、とってもコンパクト

 暖簾をくぐると狭いスペースに新しい下駄箱。靴を脱ぎ、戸を開けるとかたわらにズドォーンと高い番台が聳え立つ。こりゃすごい。ここまで高い番台は珍しい。
 脱衣室も狭いが、各部は改装されていて外観ほどの古さはない。開放的な庭の縁側風情がいい感じ。

 浴室もじつにこじんまりしているが・・・おっ、けっこうお客が入ってるな。平日夕方6時前で7〜8人。
 そして浴室じゅうに響き渡る演歌ミュージック。久々の演歌銭湯じゃのぉ。静寂を好む俺としてはチトかなわんのだが、まあこれもサービスなんだろう。

 床・浴槽・壁の下半分は新しいタイルでごく標準的に改装されており、レトロさはない。壁の上半分と天井は青ペンキで塗られているがあちこち剥げている。

 浴槽は男女仕切り壁に沿って浅、深、水風呂と並んでいる。浅、深は両方とも入浴剤入りで、この日は抹茶。深いほうはジェットつき。
 反対側の壁にスチームサウナがある。3〜4人サイズで、けっこう高濃度なスチームだ。
 カランもシャワーも新しく、湯量・圧力ともに十分。出入口の隅には小さな水鉢あり。

 壁の棚に、象の置物やヒンズー神の浮き彫りなどインド系の装飾物が置かれているのがおもしろい。

 と、田舎のレトロな小銭湯にしては、長時間営業・浴室改装・入浴剤・スチーム・演歌・インド置物などサービス精神にあふれていて、洲本の他の銭湯より客商売として1歩リードしてるっぽい。
 客が多いのは経営努力の賜物だろう。ただ、狭い空間で客どうしの話し声に演歌と水風呂のバシャバシャいう給水音が重なって、なんかうるさいんだよな。

 改装時には、せっかくの伝統建築の落ち着いた良さを残すことも考慮していただけたら幸いでございます。
(2004.4.23)→洲本旅行記
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清水湯 《廃業》

2011年5月、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(シロヤギさん情報感謝!)


洲本市栄町3-2-14
0799-22-1489
【営業時間】14:30〜25:00
【定休日】日曜日


 「われ風呂屋なり」との強烈な主張を周囲のまちなみに放つ、必殺レトロモダン玄関。凄みさえ漂っております。

 洲本市中心部アーケード商店街の西端近くを右に曲がり、お寺の集まる静かなまちなみに忽然と登場するこの建物。
 入口付近の地面に貼られたカラフルなタイルを踏み、暖簾をくぐったら狭い下足室。靴を脱いで中に入ると、番台におかみさんがいる。

 脱衣場は、ロッカーは新しいものに替えられているが、それ以外は地方の古い銭湯らしい庶民的な脱力ムードに満ちた空間だ。
 おかみさんが描かれた力作、「大鳴門橋ができる前の鳴門海峡」の絵も飾られている。

 そして浴室へのアルミ戸を開けた瞬間、風呂バカ野郎はある種の精神的トランス状態に陥った。
 よく磨かれた石畳に石の湯舟が全体を固めているが、その石たちのエッジが鋭く角張っているのがあまりにもクール。お客の安全を考慮して角を丸めるなどといった軟弱な配慮は御影石としてのプライドが許さない、といった趣だ。ガチーッとこんかいガチーッとぉ!
 そしてカランまわりは迫力の骨太導水管、さらに、桶置き台部分などにびっしり貼り込まれたモノトーンの不定形複雑タイル群も狂おしいまでにクールだ。

 ところがこの浴室はそのクールさとは対照的に、4面の壁それぞれにカラフルな壁画をも携えている。男女壁には砂浜風景の小さなタイル絵、残り3面にはモザイクタイル画だ。奥壁モザイクは富士山、横壁は白鳥の湖、そして出入り口の上壁は湖畔の洋館という図柄だ。
 さらに、出入り口横には石造りの水鉢と、上がり湯を使う際に桶を置く台座石が据えられているが、そこにも明るい色のかわいらしいタイルが使われている。
 出入り口部分の床の細かいタイルも見逃せない。

 この硬軟・緩急の使い分けセンスは、並の銭湯とは明らかに一線を画している。
 玄関の意匠とともに、こだわりの土木職人が頭をひねり時間をかけて、じっくりと造りこんだ浴室だ。

 湯舟は深浅に分かれているが、深のほうはかなり深い。この風呂に浸かれる喜びに包まれながら、ゆっくり、しっかりとあたたまっていこう。

 あがっておかみさんに聞くと、大正12年の建物だという。
 しかも営業時間は、「ほんまは3時からなんやけど2時半に入って来はるお客さんがおるから」午後2時半から開け、「夜中の12時半に来はるお客さんがおるから」深夜1時まで開けているらしい。
 こんな田舎の古銭湯で、これだけ長時間お湯を沸かし続ける銭湯はめったにない。

 第一級のイニシエ保存度に、お客本位の営業体制。もはや言うことなし。
 将来に渡って清水湯がこのままここに存在し続けることを心から祈る。そしておかみさんの2作目の絵にも期待。 
(2008.4.28)
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みなと湯 《廃業》

休業を乗り越えて2008年末に再開されましたが
その後残念ながら廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(シロヤギさん情報感謝!)


洲本市由良4-3-21
(0799)27-0580
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】火曜日と土曜日


 こういう銭湯に出会いたくて俺はこんなことやってるんだな、とフト思ってしまう。

 洲本市の中心からバスで20分ほどの由良は、紀淡海峡に面した漁師町。ここから渡し舟で1分の成ヶ島は「淡路橋立」とも呼ばれ、ちょっとした観光ポイントでもある。
 由良のバス停から、家々が密集する細い通りを2〜3分歩くと、1軒の古い木造家屋の入口に「みなと湯」と書かれたオレンジ色の看板がある。
 どうやら銭湯らしいが、煙突はどこにも見えない。

 
2004年当時の入口(現在は塗り直されている)

 暖簾をくぐると、うなぎの寝床のような狭い通路になっている。由良にはこんなふうに奥まった家が多い。
 家1軒分ほど奥へ入ると、右手に男女別のアルミ戸がある。開けるとすぐに木の番台があり、狭いタタキに小さな木の下駄箱。下駄箱といってもフタはなく、ジモティの靴は土間に脱ぎっぱなしにされている。

 番台に人はおらず、俺に気づいた先客が女湯に向かって「みっちゃーーん! みっちゃーーん!」と呼んでくれる。すると50代のおかみさんが現れ、「貴重品、預かっとくよ。タオルとかせっけんは持ってる?」と気さくに尋ねてくれる。
 由良には潮干狩りや海水浴に来る人も多いので、手ぶらで風呂に入りに来るヨソモノ客もあるのだろう。湯銭は340円。兵庫県の組合料金よりも「由良だけ安いねん」(みっちゃん談)。

 脱衣場はこじんまりとした空間ながら、格子になった天井が意外に高い。ロッカーや男女仕切り壁などは古い木でできており、ぬくもりに満ちている。
 ロッカーには漢数字。ただし鍵が1つもついていない。だから貴重品を尋ねてくれたのか。

 脱衣場のすみに、2〜3人用の乾式サウナがある。無料。まだ新しいもので、地元客に聞くと「まだ3年かそこら」らしい。
 しかもサウナは浴室とは反対の出入り口側にあるので、浴室から濡れたまま脱衣場を横切って入りに来るかたちになる。そのへんのテキトーさもまた田舎銭湯ならでは。

 浴室は適度に改装されてる。床は小さめのタイル張りだが、深浅の主浴槽のフチは古い石造りで、いい具合に丸く磨り減っている。
 おっ、ヘルスパー(湯船の底から突き出た金属棒から四方にジェットが噴出する装置)があるぞ! その噴出気泡の弱さがまた哀愁を誘う。
 主浴槽の手前に、ま新しい水風呂がある。これは嬉しいなあ。大好きな温冷交互浴を楽しむ。

 外観からはボロっちい感じも予想されたが、どっこい新しいサウナや水風呂もあり、建物は古いけど清潔に保たれていて、なかなか居心地よく和める。
 夕方には地元の漁師らが途切れなく入ってきて、この人たちが浴室でも脱衣場でも気軽に話しかけてくる。みんなざっくばらんだ。
 外に出てバス停でバスを待っているときも、風呂で会ったおじさんが声をかけてくれた。

 激ヒナビな外観、古い木や石のぬくもりあふれる内部、ほどよい設備投資と清潔管理、開放的な雰囲気。銭湯ファンの求めるものがすべてここにある。
 のんびりした漁師町・由良の雰囲気そのままなお風呂ともいえるだろう。
 それにしても煙突はどこにあんのかな? 
(2004.5.3)→由良旅行記

 
(左)帰りはまたこの通路を通って    (右)由良の超素朴銭湯
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お多福湯

洲本市本町8-9-31 →地図
0799-22-3647
【営業時間】14:00〜23:00
【定休日】日曜日と元日


 洲本の本町商店街、奥へ進むほどに寂れてくる。途中で左に曲がるとこの風呂屋が現れる。
 外観はとくに変哲のない一般住宅ふうで、銭湯らしい情緒はあまり感じられない。

 
(左)けっこう長時間営業 (右)屋号にちなんだ男女表示がチャームポイント

 中に入ると番台におやじさんがいる。
 狭い脱衣場は、島の銭湯らしい脱力ムードがそこはかとなく漂っている。テレビのニュースも心なしかのどかだ。

 浴室もこぢんまりとしているが、そっけない外観とは対照的に、石畳に石造りの伝統的イニシエ風呂がディープに展開する。
 深いほうの湯船にはヘルスパーまであるやんか〜。
 お湯は熱くて、43度は下らない。下からどんどん沸いてくるし。やっぱ島の風呂はこうでなくちゃね。

 常連客らはみな湯船まわりの低い段に腰かけて体を洗っている。俺もそうした。
 隣で洗っていたおっちゃんがヨソ者の俺を見て、黙って石鹸を差し出して目くばせする。むろん俺は365日タオルと石鹸常時携帯だから断ったが、無骨ながらも優しい島人の人情、うれしいやないの。

 神戸とも四国とも橋でつながり、明石〜岩屋の1航路を除いて公共交通の船便が全廃して、いわば島であることをやめた淡路島の港町や旧市街は寂びれる一方だ。
 銭湯もすっかり減ってしまったが、ホンマこれ以上減らんとってほしい。

 アツアツのお湯にしみじみ浸かって、しみじみ上がる。
 さて、地魚でも食いに行こうっと。(2015年11月)


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増田湯

洲本市由良1-9-12 →地図
0799-27-0360
【営業時間】15:00〜20:00
【定休日】火曜日


 紀淡海峡に面した由良漁港の路地奥に、地味な煙突がひっそりと見える。
 地元民以外はまず訪れることはないであろうアプローチに奇妙な興奮を覚える。

 
(左)煙突目指して坂を上がる  (右)坂の上から側面

 
素朴

 狭い路地の坂の途中、横に入って入口がある。玄関まわりのサイディング以外はずいぶんな年季が感じられる。
 全体をディープなオーラが包んでいる。ビギナーには心理的ハードルが高いだろう。

 
(左)玄関周辺  (右)石畳が敷かれている

 暖簾をくぐると、高い番台にきりっとしたおかみが座っている。石鹸を忘れてきた俺に、これを使いなさいと貸してくださった。
 思った通り、脱衣場はミニサイズだ。だが浴室寄りに無料の乾式サウナボックス、由良には必ずこれがある。

 浴室もコンパクトだ。
 男女壁と奥壁に接して、細かいタイル張りの深浅湯船が一つ。白セメン補修で満身創痍のさまが逆に存在感を発散している。湯船まわりには10cmほどの低い段、兵庫スタイルだ。
 湯は熱い。入りごたえがある。
 湯船中央にヘルスパー(湯船の底から突出したパイプが水面付近で四方に気泡を噴出する仕掛け)、久しぶりに見たぞ。

 湯船から見上げると、壁上部の青ペンキは剥げ剥げだ。でも男女それぞれに四角い湯気抜きが開いていて、そこから差し込む光で浴場内はかなり明るい。

 床はさほど古くない四角いタイル張り。そのあちこち7ヵ所に排水口があり、それぞれに向けての床傾斜が絶妙で、おもしろいくらいに水はけがよい。
 壁際にカラン4セット。シャワーは3つだが調子よい。
 入り口近くに大きめステンレスの水風呂があり、入るとドバー。主湯が熱いぶん嬉しいねぇ〜。
 水風呂の逆サイドには大きな水鉢があり、覗き込むと中で女湯と繋がっている。

 狭い風呂だが次々に客が来て、最大6人が浴室にいた。
 上がりは飲み物販売などもなし。
 特別なものはないが、わかる人にはわかるディープな魅力。地元で愛されるミニ銭湯だ。 
(2014.4.27)
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常盤湯

洲本市由良2-6-16 →地図
0799-27-0143
【営業時間】16:00〜20:00
【定休日】木曜日


 正面に成ヶ島を望む、のどかな由良の海岸通り。
 プラプラ〜と歩いていると、洲本市役所由良支所の横の空き地から煙突が見える。
 その脇の狭い路地へ入ると、この風呂屋の横を抜けて、由良のメインストリートに出る。

 
(左)あれやな   (右)浴室棟の横を抜ける

 正面から見たら、アパート1階のビル銭湯のように見える。
 でもじつはこのビル内の通路を抜けて、奥まったところにある別の建物が常盤湯だ。

 
(左)正面入り口   (右)ビル内の通路を抜ける

 右上の写真の通路を抜けたら、冒頭写真のように風呂屋の暖簾が現れる。
 同じ由良の銭湯で、すでに廃業したみなと湯もこのパターンだった。こういう騙し絵的な奥まったアプローチに、俺みたいな風呂バカ野郎はすぐ胸キュンになっちまうんだよなぁ〜。

 玄関の上がりがまち

 中へ入ると番台ににこやかなおかみさんが座っている。
 こぢんまりとしているが、3枚羽根プロペラが下がる天井、やけに高くてノビノビだ。

 ロッカーに鍵はない。増田湯もそうだが、磁石でフタがくっつくだけ。そらそやろ誰が盗るねんみな知り合いやのにねぇ。
 男女壁上にある動物柄の箱形電照がかわいらしい。
 そして外側の前栽位置に乾式サウナがある。

 浴室は全体にほどよく改装されて、とってもキレイやん。
 中央左寄りに長方形の深浅主湯がドーン。タイル張りでフチ石ノセ、四隅の角は丸みを帯びている。大阪式の腰かけ段はない。
 お湯はやや熱め。ん〜、あーええ具合・・・。

 出入口の左手にスチーム部屋あるが使われていないようす。右手には小さめの水風呂がある。
 カランとシャワーは右側と奥に並んでいる。そして男女壁上には、脱衣場と同じくかわいい柄の箱形電照がある。

 使い勝手よく、現役感の強い銭湯だ。ここもお客が多い。
 上りは飲み物販売などなし。

 改装されているぶん、増田湯に比べてレトロな味わいは少ない。
 だが、淡路島の末端の小さな漁村で、ビル影の奥まったところにこんなに気持ちの良い風呂が隠れていて、番台でおかみさんがニコニコ笑っているという、この21世紀ニッポンの奥深さはどうだ。
 まったくもって渋いのひとこと。俺はもうなんだか無性に嬉しい。
(2014.4)
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扇湯

淡路市岩屋1390 →地図
(0799)72-2323
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】5日連続営業して1日休業


 明石から「たこフェリー」(320円)で20分、明石海峡大橋をくぐって淡路島の岩屋に着く。その港の少し東(左側)にある岩屋商店街の入口から歩いて5分ほど。
 古めかしいレトロモダン調のコンクリ外壁が、水色と赤のペンキで塗られている。なにやら謎めいた配色だ。
 玄関部分だけでなく奥の母屋部分も洋風建築の意匠を凝らされていて、なかなかの味わい。創業当時はさぞや目をひく建物だったろう。

 
(左)本当の温泉じゃないけど断言調    (右)全体像は見えにくいが、奥も洋風の意匠

 
(左)奥の部分の装飾    (右)玄関部分の装飾

 暖簾をくぐると、タイル6枚分の小さなタイル絵がお出迎え。これ、小さいけど、かなりイイ!

 
(左)のれん裏返っとるがな   (右)かわいい、美しい、ほしい・・・

 脱衣場は意外にも広々している。
 しっくい壁などにソートーな年季がにじみ出ている。番台・ロッカー・天井など各部は新建材でチープに補修されつつも、かなりくたびれた感じ。
 ロッカーよりも脱衣籠が活躍する、思いきり地元密着な田舎銭湯だ。

 浴室もなかなかの広さ。床は入口から2mほどは石畳で、その奥はタイル張りになっている。
 おっ、意外にもお客がたくさん。漁民とおぼしき7人の地元じいさんが、中央やや奥のタマゴ型の湯船を囲んで談笑している(平日の夕方4時台)。

 タマゴ型の湯船というのは初めて見た。豆タイルが張られていて、これはちょっといい感じ。
 でもそれより珍しいのは、浴槽と、浴槽の外側をとりまく腰掛け段との間に幅30cmくらいの溝があることだ。段に腰掛けた人はその溝に足を置き、前の浴槽の水を洗面器で汲むかたちになる。

 
よそで見たことありません

 ということは、ふつうは浴槽に背を向けて外側の段に座るところを、ここでは浴槽のほうを向いて座ることになる。
 そして湯船はタマゴ型なわけで、つまり7人の地元じいさんがぐるりと湯船を取り囲み、向き合って談笑している光景が展開されている。
 じいさんたちは湯船にはあまり入らずに、段に腰掛けて体を洗ったりヒゲを剃ったり、あるいは何もせずに手で湯をいじりながら、楽しげに語らっている。

 あったかい湯を挟んで裸で向き合ってくつろげる憩いの場。これぞまさに井戸端を超えた空間。地域の老人コミュニティーとしてはすぐれたデザインというべきだろう。
 だが外部の人間にとっては、「湯船に入ること」=「7人の老人に四方から『こいつ誰や?』と集中観察されること」を意味する。
 こういった異空間をそれなりに楽しめるかどうかは、あなた次第・・・ということにしときましょう。いずれにせよ貴重な湯船であることは間違いない。

 奥の白タイル壁をふと見ると、かすれてほとんど消えかけているが何やらタイル絵の痕跡が・・・おや? これはここのすぐ近くにある景勝地、絵島の絵ではないか? むーん、さっき見て来たばかりだからわかったよ。
 けっこう大きい。消えていなければさぞや見応えがあっただろうなあ。残念。

 浴槽は他に、奥の隅にバスクリン入りの副浴槽、入口脇に大きめの水鉢がある。
 カランはあるがシャワーはなし。
 そしてなんと椅子もないぞ。これも今やレアだ。

 
大きな水鉢

 上がりは飲み物類の販売もなし。ようするに商売気もさしてなしと。

 ユニークな湯船と、外観・タイル絵などにかつての栄華の名残が認められる歴史遺産的銭湯だ。
(2004.4.20)(一部の写真は2014年追加)→淡路・岩屋旅行記こちら

 
岩屋のまちなみに異彩を放つ

※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。
※扇湯を舞台にした映画「あったまら銭湯」2016年9月公開予定!
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