関西の激渋銭湯
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【福井県】の激渋銭湯
千鳥湯 (敦賀市)(廃業)
サフラン湯 (敦賀市)
東湯 ★(大野市) 
亀山湯 (大野市) 
改盛湯 (大野市)
(廃業)
南部湯 (勝山市)
谷澤湯 (勝山市)
(廃業)
霞湯 ★(坂井郡丸岡町)
(廃業)

千鳥湯 《廃業》

2018年6月以前に廃業された模様。
レポートは営業当時のものです。
(加藤さん情報感謝!)


敦賀市川崎町2-8  →地図
0776-22-1274
【営業時間】16:00〜22:00
【定休日】火曜と金曜


 敦賀駅から西北へ2kmほど行くと、敦賀漁港に出る。目の前は日本海。
 古い灯台の正面に敦賀で一番古い「敦賀観光ホテル」があり、その手前の道を西へ入ってすぐのところ。
 なにせこの色、すぐにわかる。

  
とにかく目立つ

 どういうことでこの色調なのかわからないが、不思議な味がある。自販機も置かれておらず景観としてたいへん良い。
 暖簾をくぐって戸を開けるとすぐタタキに番台という古いパターン。風呂賃を払って靴を脱ぎ、下足棚に入れる。

 脱衣場の造りは古く、高い格天井に3枚羽が回っている。
 が、外観のレトロ加減に反して、床は張り替えられ、ちゃんと鍵のかかる新しいロッカーがあるし、大きなテレビも置かれている。
 ちょっと驚いたのは、男女の仕切り壁だ。
 普通、脱衣場や浴室の上部空間は男女オープンになっていて、それが銭湯独特の開放感を醸し出している。でもここでは番台部分を除いて仕切り壁が天井までつながっており、男女別室状態になっている。
 これは普通の銭湯に比べてやや圧迫感があるな。

 ところで俺は風呂に入る前にはたいてい小用を済ませることにしている。
 いつものように便所を尋ねると、タタキから戸をあけて隣の家(経営者の家だろう)の土間を通り、台所や居間の横の細い通路をずっと進んで、奥の庭まで行ったところにあった。
 庭ではこの家のじいさまが池のコイにエサをやっていた。これまでに行った銭湯の中では、脱衣場から最も遠い便所だ。

 小便を済ませ、こじんまりした浴室に入るとさらに意外な光景が。真新しい全面改装で、銭湯外観から想像されるレトロムードは皆無だ。
 鉄骨造りのようでもあり、古い浴室を完全につぶして建て替えたのかもしれない。

 中央にタイル張りの深浅の主浴槽があり、浅いほうにはジェット&気泡。湯温は43度くらいで、たいへん気持ちよろすい。
 両側の壁ににカランが並び、全部シャワー付き。
 浴室の隅には緑色の湯が張られた副浴槽があり、こちらは44度くらいと熱め。何かが入った布袋が浮いていて、さわると茶色い汁が出る。横にいた地元客のオヤジが「よもぎ。曜日によって変わる」と教えてくれた。たしかにヨモギのいい匂いがした。
 桶はケロリンの東京サイズ(大型)だった。

 とまあ改装されてディープさはないが、改装は経営者のヤル気の証。港のそばにこの外観の銭湯が存在するだけでもすばらしい。
 地元のお客が次々にやって来て、なかなか流行っていた。 
(2004.5.22) →敦賀旅行記
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サフラン湯

敦賀市津内町2丁目9-5 →地図
0770-22-1478
【営業時間】15:30〜22:00
【定休日】水曜日


 人柄最高のおやつ銭湯万歳〜!

 6年半ぶりに敦賀に降り立ち、前回前を通って気になっていたこの銭湯へ向かう。駅前通りをまっすぐ行ってアルプラザの次の信号を右折。駅から7〜8分かな。

 
(左)見えてきたぞなつかしや   (右)暖簾の前に「いらっしゃいませ」の立て看板

 暖簾前立て看板のやる気が嬉しいやおまへんか。
 戸を開けるといきなりタタキに番台のイニシヘスタイル健在ね。

 
(左)床の木が激渋!  (右)脱衣場

 ほがらかなおかみさんにゼニコ払う。美人のうえ、じつに感じのよいお人柄だが、あとで聞いたら孫がおるやと! しかしとてもそうは見えない。
 脱衣場で目に飛び込んできたのは、テーブル上の籠に盛られた、せんべいやチョコなどのおやつ! 出ました久々のおやつ銭湯だ。嬉すいな〜っと。
 次に目に入ったのは、下駄箱の横にかけられた数枚の油絵だ。

 
下駄箱と油絵

 これは向かいの喫茶店経営者の作品だそうだが、東京でも個展を開く本格派で、昔の敦賀の風景が心を和ませてくれよるわい。
 リュックを背負った旅の若者がちょうど帰るところだった。北海道と敦賀を結ぶフェリーかな?
 ロッカーに鍵は少ないので籠を使い、浴室へ。

 浴室は新しく改装されてピカピカだ。でも真ん中に小判型湯船ひとつきりという、地方銭湯らしいシンプルデザインがそのまんま。天井・湯気抜きの板張りも歴史的ね。またまたウレスイよ。

 んでこの湯がアッツアツの44〜45度というところ。あがるたびにフトモモ真っ赤やおまへんか。
 でもこの高温浴とカランの水かぶりの反復が、寒い冬を乗り切るコツなのだね。先客の地元高齢者2名もしっかりと浸かっておられる。

 ホコホコになっての上がりは飲み物販売いろいろあり。黒酢ドリンクを買って、さっそくおやつをパリパリいただいちゃう。

 聞けば昭和7年創業、当初は奥にもう1槽あり、そこに薬湯としてサフランを投入していたことが屋号の由来だそうだ。むーん、入ってみたい!
 そのころは四角い湯船だったそうだが、戦前の保健所に「四角い湯船は角に汚れが溜まりやすい」と指導されて、小判型に変えた。そのときに残念ながらサフラン湯の湯船も撤去したのだそうだ。

 あとから中年客や若い客が途切れなく入ってきて、おかみさんと楽しく言葉を交わしている。
 まったくもってこのおかみさんの人当たりのよさはすばらしい。小さくても古くても、近所にこんな銭湯があったら通うわな。 
(2010.12.19)

 

 
日が暮れてからの風情もよし
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東湯

大野市高砂町14-4 →地図
0779-66-2488
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】火曜と金曜
駐車場6台


 越前の「小京都」こと大野は名水の里としても名高い。街のあちこちに「清水(しょうず)」と呼ばれる湧き水がある。
 当然、名水風呂を期待しないわけにはいかんでしょう。

 JR越前大野駅から南西へ10分ほど歩く。天然記念物の小魚・イトヨの生息する本願清水の少し手前に、この銭湯がある。
 なんともいえない風格。豪雪地帯らしく、がっしりした木をふんだんに使った構造。

  
(左)松の木が風情を添える  (右)昔ながらの看板があったかい

 くどいほどに個性的なガラスの桟の複雑装飾が印象的。
 あとでおかみさんに聞くと、この銭湯は築70年以上たっており、「特選大野」(未来に残したい、大野らしい建築物)として大野市に認定されているそうだ。
 「玄関に表示する認定看板をもらってるけど、掛けてない」とのこと。奥ゆかしい。

 
(左)玄関上部のガラス  (右)脱衣所から表のほうを見る。やはり窓のさんに注目

 暖簾をくぐると木の戸が開けっぱなし。すぐタタキに重厚な木の番台があり、お金を払って靴を脱ぐ。
 振り返ると脱衣所から表通りが丸見えでっせ。木の下駄箱にはフタがあったりなかったり。どうせなら脱ぎ捨てるほうが似合うような、開放的で地元密着なのんびりムードだ。

 
(左)番台の天板は巨木の一枚板  (右)木製ロッカー、ガラスの向こうは浴室

 昔ながらの郷愁系脱衣所はなかなかの広さ。天井では薄緑のプロペラが勢いよく回っている。
 中央に古い木のベンチが二つあり、マンガ数冊とオモチャの水鉄砲が置いてある。「オモチャ禁止」のスーパー銭湯なんかの対極にあるこのおおらかさ。
 脱衣所の横には板張りの通路があり、経営者宅らしき部分の中庭や居間とイケイケになっている。つまりフルチンでここの家に乱入することが可能だ。
 ウーム、お客を信じ切っているというか家族同然というか、ここまでの開放度は他に類を見ない。
 木のロッカーにも、当然のごとく鍵はない。んなもん必要ないわけよ、ここじゃ。
 たぶん家の玄関にも鍵なんかかけたことないんだろう。もしかしたらウンチするときも開けっ放しかもしれん。

 浴室との間は全面ガラスで、これまた脱衣所から中が丸見え。ちょっと東京銭湯ぽい感じかな。
 浴室内もなかなかの広さ。そしてここもまた窓が大きく、湯気抜きの開口も大きくて、光と開放感に溢れている。
 おっ、壁にタイル絵か?・・・と思ったらシールだった。

 奥にL字型の大きな主浴槽。むむっ、意外にも浴槽の外側に座り段がある大阪式だぞ。
 タイルはレトロな逸品ぞろい。座り段は不揃いの黒系小石タイルで埋めつくされ、浴槽のふちにはこげ茶色の細かい長方形タイルがびっちり。しかもこれ、幅1センチに満たないくせに柄が入ってるぞ。
 主浴槽は浅い部分が2ヵ所に分かれており、片方にはジェット2連。なみなみと満ちたお湯は43度くらいと熱めだが、給水蛇口からチョロチョロと絶えず水が出ており、ジェットの勢いで湯が少しずつオーバーフローしていて掛け流しみたいになっている。

 他にお客は一人だけ。ゆっくり浸かると、ザアアーっと湯が溢れて床を流れ去ってゆく。
 お湯は限りなくピッカピカ。名水を沸かしたお湯だけあって、肌からしみこむかのような心地よさ。循環してるんだろうけど、不思議と新鮮な感じがするのよね。
 先入観のせいか? いや、どう考えてもエエお湯やぞこれは・・・。

 窓側の奥コーナーには小さな副浴槽。ここは漢方薬湯で、実母散入りの布袋が浮かんでいる。落ちつく香りやのぉ。湯はぬるめで38度くらいか。ウホー、よろしよろしよろしいなあ!
 ただし、タイルはかなりくたびれていてハゲ落ちや白パテ補修が目立つ。お湯が少なめなのもちょい残念。

 さて、名水を沸かしたお湯のシャイコーぶりだけでなく、ここでどうしても書いておかねばならんのはカランの水のことだ。
 井戸水だから夏でも冷たいが、この水を桶に汲んで、頭からかぶってみんしゃい。髪を流れて口元まで来たとき、あなたは間違いなく「ずずずーー」っと吸い取って口に含んでしまうはずだ。
 絶対だ。ウソだと思うならやってみよ。
 そしてその口当たりは、大野で一番有名な名水100選の湧水池「おしょうず」で飲んだ水とまったく同じ。まあるいまあるい神の水。たまげたね。

 赤ちゃんは口元に乳首をもっていくと無意識にくわえてしまうわけだが、人間は口元に名水が流れてくると無意識に「ずずずーー」っと吸い取ってしまうという法則を俺はここで発見した。
 名水100選の水がカランからドバドバ。飲もうが浴びようがウガイしようがハナをかもうが、やりたい放題。
 お湯に浸かっては頭から水を浴び、ズズズーと吸い取って口の中でころがす。これをエンドレスに繰り返す。

 なんかもう、
超キモチエエんじゃあああーーと叫ぶしかないようなハイな気分になってくる。
 と同時に、アラビアやサハラやゴビの人々に土下座して謝りたい衝動に駆られてしまう。

 脱衣所にはドリンク販売あり。気さくなおかみさんも感じがいい。
 用もないのにこんな辺鄙なところまで銭湯入りに来たドアホな俺は、じつは人生の勝ち組だったのだな。そうとしか思えない。
(2004.8.11) →大野旅行記

 
2階の窓にも細かい桟
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亀山湯

大野市城町7-18 →地図
0779-66-4959
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】月曜と木曜

駐車場5台


 越前大野駅から北西へ徒歩15分ほど、大野城のそびえる亀山の北登り口そばにある。山際の町外れっぽい立地に似合う、大野の銭湯の中でもとりわけ素朴でこじんまりとしたたたずまいだ。


横から。左側の2階建てが脱衣所、右が浴室、まさしく軽自動車サイズ

 暖簾をくぐると、タタキに番台の伝統的田舎銭湯。古〜い木の下駄箱が置かれている。
 だが意外にも脱衣所は改装されていて、予想外の新しさ。プロペラの回る天井は洋風のビニールクロス張りで、おやっさんの座る番台も新建材だ。
 脱衣所から浴室は全面透明ガラスで、その一体感は東湯と同様。さらにここの木製ロッカーには鍵どころかフタもなく、棚に仕切りがついただけ。
 浴室との壁には熱帯魚のモザイクタイル絵がある。

 小さな浴室も全面改装済みで古さはない。
 奥コーナーに接して深浅浴槽が一つ。浅いほうはさらに10cmくらい浅くなっている部分がある。東湯と違って大阪式の座り段はない。
 お湯は東湯と同様、なみなみと満たされた上に絶えず加水されており、掛け流しみたいになっている。やっぱりエエ湯じゃのぉ。洗い場の真新しいタイルが少し茶色くなっているが、鉄分が含まれているのか?

 そしてカランの水だが、これを桶に汲んで頭からかぶってみんしゃい。これがまたアンタ、「ずずずーー」っと・・・(以下同文)。
 小さいけど新しくて清潔、チョチョイと使いやすい銭湯ね。
(2004.8.11)

 外観はとっても古風だが
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改盛湯 《廃業》

2013年10/31で廃業されました。
(シロヤギさん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。


大野市本町4−19
0779-66-5342
【営業時間】PM2:00〜?
【定休日】火・金曜日


 直線状に街路が整理された城下町の一角に、伝統建築の銭湯あり。4年前に大野を訪れた時に入り残して気になってたんだよな〜。
 木の板に彫られた看板や、玄関破風小屋根の左右に乗っているえべっさんが味わい深い。

 
(左)木造瓦葺    (右)湯盛改

 
(左)左のえべっさん  (右)右のえべっさん、ズイっと前傾姿勢

 暖簾をくぐるとタタキに番台があり、おやじさんが座っている。
 開放的な脱衣所は何の変哲もなく改装され、古いものはとくにない。浴室手前の流しの豆タイルくらい。ロッカーはフタなし。
 天井が洋風模様になっているのに目を引かれる。

 浴室も改装スミで古さなし。壁の下部はクリーム色のタイル、上部から天井はトタン張り。奥に深と浅の湯舟があり、ふちが石でできている。
 唯一のレトロ物品は、浴室のほぼ中央にポツンとある円筒形の島カランだ。

 しかしまあ、なんちゅーても大野の銭湯、やっぱり水質が最高ね。心の底からキモチエエ。もうほとんど反則レベル。
 風呂の造りがどうであれ、湯に浸かって水をかぶれば大満足できてしまう。それが大野の銭湯だ。

 わりと早い時間から開いてるし、駐車場もあるので、明るいうちから途切れずにお客がやってくる。
(2008.6.28)

 
気軽に立ち寄りましょう
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南部湯

勝山市元町1-17-6 →地図
0779-88-0188
【営業時間】16:00〜22:30
【定休日】水曜と土曜

駐車場5台


 えちぜん鉄道の終点、勝山駅から九頭竜川を渡り、ゆるやかな坂を登る。本町商店街の次の筋を右(南東)へ折れると煙突が見える。駅から1kmくらい。大野からバスで行く場合は「サンプラザ前」下車3分ほど。
 おっ、煙突から白い煙が出ているな。薪沸かしか。

 外観はけっこうキてますなあ。入口の上のヒサシは雪の重みでこうなったのか、垂れ下がってほとんどヒサシの意味をなしていない。
 でも暖簾のうしろの格子戸、板壁の前に並んだ鉢植えなどのたたずまいがヒナビの風情。
 暖簾になんか書いてある。「エナラジウム温泉」って、なんや?

 
(左)オリジナル暖簾、この色って誰が選んだのか  (右)すみずみまでオール木製

 戸を開けるとタタキに高めの渋い番台、50歳くらいのおかみさんが座っている。
 傍らには木の傘立て・・・おいー、これはちょっとそこらにないぞ!

 
(左)木の下駄箱、でもみんなタタキに脱ぎ捨て  (右)貴重品てゆーか骨董品

 こじんまりした脱衣所は郷愁度爆発。これでもかーの木造攻撃。
 作り付けの木のロッカーは番号によって微妙に寸法が異なり、木の天井ではプロペラが回転中。中央には、昔病院の待合にあったような緑色のビニール座面の長椅子が置かれている。
 流し周辺の細かいタイルづかいも泣ける。

 
(左)脱力系空間でございます  (右)天井ファン、やさしい風がきます

 
(左)「12」と「13」の間に「いろはに」の小ロッカー  (右)流しのカランは押し下げレバー

 浴室もこじんまりしているが、光が差し込んでいてずいぶん明るい。ここも大野の銭湯と同じく脱衣所と浴室が全面ガラス張りのスケスケ。番台の上にこっち向きにテレビがあって、風呂に浸かりながらも見える。

 湯舟は壁際に深浅浴槽がポンとあるだけだが、深緑の小さな長方形タイルがびっしり張られた古い味わいがナカナカの逸品。角の丸みがやさしい感じ。古いけどよく磨かれている。大阪式座り段はなし。
 湯は満ち満ちて、少しずつオーバーフローしているのも大野の銭湯と同じ。この贅沢感がうれしいねぇ。

 ん? 湯船の底に長方形の木箱が3つ沈んでいる。座り段にしては深いところにあるし、なんだろう。木の表面に小さい穴が開けられている。
 壁を見ると、「恵那ラジウム温泉」の説明書きがある。恵那地方に産出するラジウム鉱砂を投入してあり、これこれの温泉効果がある云々。ふむ、もしかしてこの沈んでいる木箱の中にその鉱砂が入っているのか?

 男女仕切り壁は、下部は細かいタイル張りだが、上部は白いプラ板になっているのが珍しい。
 洗い場はカラン前が一段高くなっており、前方に傾斜している。
 水を出してみる。おおっ冷たい。そして、ここここここの水も大野とほとんど同じ水質のよーな!
 うひょー、さすがは大野の隣町、最高〜〜。これを桶に汲んで頭からかぶってみんしゃい、思わず「ずずずーー」っと・・・(以下同文)。

 上がっておかみさんに聞くと、やはりあの木箱の中にラジウム鉱砂が入っているらしい。小さな穴は「ちょっとでも成分が出やすいように」との思いから。
 「夏はわからないけど、冬場は湯冷めしない」んだそうだ。

 ただでさえいい水、それを薪で沸かし、さらにラジウム鉱砂投入と、雪国のあたたかな心づくし。これが泣かずにいらりょーか。
 あとは玄関前のヒサシだけだな。
(2004.8.12) →勝山旅行記
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谷澤湯 《廃業》

2013年、廃業されたようです。
(雨霧さん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。


勝山市本町2-3-22 →地図
0779-88-3436
【営業時間】PM4:00〜PM10:00
【定休日】毎週火・金曜日
【入浴料金】大人350円

駐車場5台


 勝山駅から九頭竜川の橋を渡り、本町商店街を左へ入って最初の角を右折。暖簾がなければわからないような素っ気なさでポンと現れる。駅から歩いて10分くらいかな。煙突からは白い煙、いい光景やねえ。
 ここもやはりオリジナル暖簾に木の引き戸が渋い。でも南部湯に比べると、窓はアルミサッシ、玄関の小屋根はアスファルト葺きとチープに改装されている。

 戸を開けるとタタキに番台があるが、正面に壁があって外から脱衣所が見えないようになっている。
 脱衣所もあっさりとチープ系。ロッカーはフタのない棚だけの簡素なもの。
 といいつつ、うーむ・・・じつはここへ入ったときはかなり酔ってたので細部は忘れちゃった。ごめん!

 浴室は奥コーナーに深浅の湯舟がひとつ。緑タイル張り、ふちに石が乗っている。
 浅いほうにジェット2連、熱めの湯がオーバーフロー。お客は好き好きに水栓をひねってうめている。その水がアンタ、やっぱり・・・(以下同文)
 男女仕切りは、タイル張りの円柱5本の間に擦りガラス壁という、これもちょっと珍しいタイプ。

 フト奥の壁を見ると・・・ややや、何かあると思ったら水槽だ。しかも妙に中途半端な胸くらいの高さに、いきなりハメコミだ。中でリュウキンが6匹、元気なく泳いでいる。

 さてお待ちかね、カランの水でもひねるとするか。うひょう〜、やっぱりこれもアンタ、思わず「ずずずーー」っと・・・(以下同文)。
 しかしまあこの大野〜勝山の奥越前地方の水、マジすごいわ。なんかもう輝いてるって感じ。いろんな銭湯へ行ってるが、カランの水を飲みたくなることってこれまでなかったな。
 そしてどの銭湯でもお湯がなみなみと溢れているのも感動的だ。
(2004.8.12)

 
次回はぜひシラフで
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霞湯 《廃業》

廃業されたもようです・・・。
ワダさん情報感謝!
(レポートは営業当時のものです)


坂井郡丸岡町本町2-30
0776-66-3740
【営業時間】PM3:00〜PM10:00
【定休日】毎週月曜日
【入浴料金】大人350円

駐車場5台


 福井駅からバスで北へ30分ほど走ったところにある丸岡町は、『日本一短い母への手紙』で有名になったところ。
 町の真ん中に日本最古の現存天守である丸岡城がそびえ、その北西徒歩約3分にこの銭湯がある。町の中心部では唯一の銭湯。
 福井銀行の向かいで、なかなかの風格と存在感を醸し出す。玄関の破風屋根の中央が平たくなっていて、ちょっと変わっている。

 
(左)向かって左側の女湯部分だけ壁板が新しい  (右)オリジナル暖簾も渋い

 暖簾をくぐると、ほぉーこれは珍しい。入口が引き戸ではなく、昔の医院などで見かけたような四角い取っ手のついた、すりガラスの重たいドアになっている。

 入ってすぐタタキに番台、反対側に古い木の下駄箱があるが、脱衣所との間にアルミフレームの仕切りがあって、外から見えないようになっている。仕切りというよりパーティションというほうが似合いそうな新しいもの。

 脱衣所は意外に広く、イニシエ度は高い。板張りの床に木製ロッカー、乳緑色に塗られた板張り天井でプロペラがまわっている。
 ややっ、脱衣所の横手が少し横に張り出し、その向こうが中庭になっているぞ。しかもかなり広く、池や石灯籠がワイルドに配してあって、これはなかなか素晴らしい。ドリンク販売もあるし、風呂上がりが楽しみだ。
 浴室入口のそばに1〜2人用の乾式サウナ室が置かれている。いやーこの脱衣所サウナ、久しぶり。

 さて浴室へ。なかなかの広さ。
 窓が広くてめっぽう明るい。福井の銭湯の特徴なのか。天井はやや傾斜しているものの、ほとんど東京の2段式天井に近い。
 浴槽からタイルまでほぼ全面改装されていて、外観や脱衣所から想像されるような古さはない。
 壁ぞい中央に深浅の主浴槽、ふちに御影石が乗っている。浅いほうは全面気泡風呂。奥に副浴槽、こちらはジェット2連。

 入口横に水風呂が。あぁ〜嬉しい、夏はやっぱりコレですなあ。と喜び勇んで入ってみると、ややぬるい。うむむー、大野や勝山と違って、ここは普通の水だったか。
 カランの水も、ごく普通。うむむー、そうか、そうだよな、これが普通なんよねえ。しかし前日までの大野・勝山の名水のインパクトが強すぎて、ここで普通の水が出てきたことで非常に落胆してしまった。
 いや、この銭湯に罪はない。ないんだが・・・。

 ちょっと珍しいのは、カラン前に座ったとき足元に排水溝がなく、床全体が後ろに傾斜していること。使った湯や水は足元を通って背後へと流れ、浴室の中央付近にある排水口に吸い込まれていく。

 とまあ、外観や脱衣所は渋く、浴室は新しくてサウナや水風呂もあるというナカナカええ感じの銭湯なわけだが、なんせ奥越前の名水風呂を堪能しまくったあとに来てしまったために、満足度がイマイチになっちゃった。
 でもこれはフェアじゃないね。庭の風情も素晴らしく、それを眺めながら腰に手を当てて飲むカルピス最高、やはり★をつけときませう。
(2004.8.13) →丸岡旅行記

 女湯側は道路に面しているため庭はなさげ
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