関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【広島県】の激渋銭湯(東部)
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だいご湯 (福山市)
日乃出湯 (尾道市)(休業)
寿湯 (尾道市)(休業)
大宮湯 (尾道市)
金比羅湯 △(尾道市)
(廃業)
紅梅湯 △(尾道市 因島)
(廃業)
寿湯 △(尾道市 因島)
広島県(西部)の激渋銭湯

だいご湯


福山市古野上町3−4 →地図
TEL : 084-923-3726
【営業時間】16:00~22:00
【定休日】月曜日


 日本有数の変りダネ銭湯かもしれない。

 はじめから変わっている。
 暖簾の両脇はなぜかショーウインドーになっていて、そこには松尾芭蕉や童などの日本人形が飾られている。昔は食堂か何かだったのか?

 
(左)単独アーケード  (右)暖簾の内側の渋い入口

 戸を開けて入ったら男女共通の広いタタキ、左右に下駄箱がある。
 普通はここに番台があり、靴を脱いで一段上がって男女別の脱衣場…よね。
 しかしタタキの向こうにあるのは依然として男女共通空間。脱衣場の男女壁を取っ払ったようなかたちの「ロビー」になっていて、真ん中にソファーとテーブルが置かれている。
 しかもなかなかイニシエ色が濃いではないか。「ロビー」より「居間」がふさわしい。

 その「居間」の奥中央に、こちらを向いた番台があり、おかみさんが座っている。
 その左右に男女別の暖簾がかかっている。ここからやっと、普通の銭湯が開始されるみたいだ。
 男湯の暖簾をくぐると、ようやく一般的な脱衣場が現れた。



 裸になって浴室へと進む。
 入っていきなりグイッと左方向へ導かれる。部屋の形がグイっと左にずれているのだ。左といえば女湯のある方向だが、女湯はいったいどこへずれているのか。
 左へ回り込むとようやく湯船が現れ、そこに男女を仕切る壁がある。

 湯船は深浅2槽のみ、フチの黒タイルが珍しい。お湯は熱くてよい。浅は非常に浅く、底面中央に金属檻が仕組まれてそこからブクブク気泡が出ている。
 カランは湯船の逆側壁にあるが、この壁も一部突出部があったりして、浴室は説明不可能な形をしている。

 湯に浸かりながらフト見ると、奥壁の向こう全体が乾式サウナになっている。別料金なしだ。
 サウナに入ると、内壁は玉石タイルびっしりで圧巻だ。そしてサウナ室中央にベッドのような台がある。常連はそこで横になるのだろう。
 なかなかエエ温度のサウナやなと思っていたら、さらに奥にドアがあり、出ていく人がいる。俺も出てみたら、そこは半露天スペースで、ベンチでくつろげるようになっていた。
 そして左のほうを見て驚愕。そこには水風呂があり、「黄金水」という誇らしげなプレートがあった。その水風呂の湯船に目がクギ付けになった。細かな濃緑色の細かな玉石タイルでビッシリと覆われていて、玉手箱のようだ。

 それにしても、サウナの中を通らないと行けない露天スペースや水風呂ははじめて見た。
 だがこのスペースはよい。水質自慢の「黄金水」もエエやんか。でも水風呂のあと半露天ベンチで常連のおじさんと話してたら、体が冷えてしまった。
 再びサウナへ。
 常連おやじたちはこの反復をエンドレスに続けているようだ。

 あがったら、番台はやけに腰の低いおやじさんに代わっていた。
 「居間」中央のソファで地元牛乳を飲んだ。

 
テーブルも年季が入っている

 脱衣場みたいなロビー、いびつな浴室、無料サウナ、その奥の「黄金水」とベンチ。強い個性が光るインパクト風呂であった。 
(2015年1月)
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日乃出湯

長らく休業されています。
(澤田さんシロヤギさん、情報感謝!)


尾道市西久保町12-31 →地図
TEL : 0848-37-9732
【営業時間】15:00~22:00
【定休日】月曜日


 2年半ほど前に前を通ったときは休業中だった。道行く人に聞いたら、「おばあさんが倒れなさって」とのことだった。
 それで心配していたのだが、最近になって、営業しているらしいとの噂を聞いた。これは行かねばならんでしょう。

 で、やってきた風呂バカ大将。大山寺かられんが坂を下り、西園寺道を渡って「お好み焼き」の路地に入ったら、二股の左に見えてくる。
 尾道駅から商店街経由で直行するなら20分くらいかな。アーケードが切れた先のコンビニ「ポプラ」の角を左折し、坂を登って「お好み焼き」の路地を探すべし。

 
(左)路地の二股で左・・・そうら来たアレじゃけ   (右)ドキッとする存在感じゃけ

 
裏にまわると太い煙突じゃけ新巻じゃけ

 尾道の坂道をうねうね歩いてたどり着いた瞬間、もうアバラがきしんでるのかと思うほどの胸キュン銭湯風景が眼の前いっぱいに展開する。
 玄関の向かいには小さな庭があって、クリの木の下の池には鯉が泳いでいる。さすが広島はカープじゃけん朝日ソーラーじゃけん。

 暖簾をくぐると狭いタタキに年季バリバリ木製番台、傘入れ仕込み。
 そしてそこに座るはちょっと知的な感じのおばあさん、嗚呼あなたに会いたかったんです。お聞きすると、病気ではなくお怪我だったとのこと。無事に回復され、銭湯再開番台復帰に感謝感激です。

 
感無量の番台

 板張りの脱衣所、開け放たれた表の戸や窓。無敵の風情に、背骨の髄液までほぐれ切って困っちゃう。
 窓に吊るされた風鈴がチロチロって、ああもう、どうしたら。

 
(左)ロッカーのフタの小さな穴に注目   (右)脱衣所から表方面の郷愁泣け泣け攻撃

 さて裸になって、ロッカーのカギは・・・おっと、内側落としだ! 久々に見たぞぉ、といじっていたら・・・あら~、閉めちゃった。これは自分では開けられない。
 「アッ、しまった!」と叫んでおばあさんを見ると、番台の上に、因島の紅梅湯で見たのと同じ金具が用意されている。彼女はそれを示してニッコリ笑いながら、こうおっしゃった。
 「上がったときにね」
 つ、ついにこの開錠金具を使う日がやってきたのか!

 気持ちを落ち着けて風呂場へ向かう。浴室への戸はアルミサッシだが、上部はレールのかわりにこれまた不思議な金具で固定されている。

 
(左)浴室方面   (右)この金具ははじめて見た

 風呂場は低いカマボコ天井の小空間。細かいタイルづかいの壁や床の随所にひび割れがあり、白パテ補修が施されている。
 飾り気のない浴室のほぼ中央に深浅の湯舟がひとつ。一方の壁にパイプが2本走り、水と湯のカランが並んでいる。シャワーはないが、タナ上にせっけんやシャンプーが置かれているのが嬉しい。こんなサービスはレトロ銭湯では極めて珍しい。

 深いほうの湯舟には手すりがあり、ゆるいジェット2連がある。湯は42度弱くらいで、おばあさんの人柄同様たいへんやわらかい。
 古い古い浴室だが、清潔に管理されている。カランの湯や水の出も文句なし。桶や椅子もたっぷり用意されている。
 あとはもう、この場のオーラと湯に体を委ねるのみ。目を閉じて、体で感じよう。

 さあ、上がっていよいよ例の開錠金具を使うときがやってきた。
 金具を借りて適当にガチャガチャやってみたが、さっぱり開かない。おばあさんが「横のを見て」とおっしゃるので、横のロッカーを見ると一目で構造がわかった。そして再度試みると一瞬で開いた。落ち着けよ俺。

 脱衣所の隅に家庭用冷蔵庫があって、数種類の飲み物が入っている。パンツ一丁でローヤルゼリー飲料100円を飲みつつ、おばあさんと語らう。この建物は「100年から経っている」そうだ。
 彼女は「今なら誰もいないから」と言って、女湯も見せてくださった。
 女湯のロッカーはさらに旧式の木製に漢数字モノ、そして台上に長方形の籐籠が並べられていて、男湯よりも郷愁5割増しだ。

 
(左)女湯の脱衣所   (右)女湯の浴室、ここは男湯と同じ

 6時前後、終始貸切状態だったのは嬉しくもあり、少しさみしくもある。
 心も体もほっこりするお風呂。場所も坂道散策のちょうどいいところにある。尾道で本物の風情を感じたければ、ここは外せないだろう。
 おばあさん、また来ます。末永くお元気でいてください。 
(2007.9.2)

 
商店街への坂を下りながら振り返る

追記:その後、番台のおばあさんは亡くなり、息子さんが後を継がれました。
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寿湯

2016.11。11にご主人が亡くなり、閉めておられます。

尾道市栗原東1-10-9 →地図
TEL : 0848-23-2155
【営業時間】16:00~19:00
【定休日】隔週 日・月曜日


 レトロ銭湯の多い尾道でも最強の骨董品的銭湯。
 建物自体が隠遁生活を送っている。もはやわざと隠してるとしか思えない。しかも営業時間はたったの4時間てアンタ。

 尾道駅すぐ西のガードをくぐって北へ700メートルほど、千光寺山の西側山すそ。細~い路地奥、看板もなければ煙突も低い。おまけに路地からさらに1歩奥まっていて、その前に多種多様な樹木が激しく繁茂している。
 まん前まで行かなければ絶対に気づかないだろう。

 
(左)あと3歩で到着、まだ見えない  (右)葉の落ちた冬でこれだと、夏はいったい・・・


高台から眺める。中央の土色の家の左隣。写真右端に白い煙突


 
そして夜。発見不可能状態

 暖簾をくぐって戸を開けると、タタキに見上げるような高さの立派な木の番台があり、カンロクあるおかみが鎮座する。下駄箱はなく棚のみ。

 こぢんまりした脱衣所は黒光りした板張りの床。低い天井も板張りになっている。
 そして壁には当然のことながら漢数字が墨書きされた木のロッカー。鍵なんかあるわけない。フタを開けると昭和初期的広告が貼り付けられている。
 浴室入口の戸も木のまんま。水色はナミダ色のマニア感涙色。

 
そこらへんに何気なく古い広告が。好きな人にはたまらん世界

 古びた浴室は、懐かしくも細かいタイルばり。
 湯舟は、男女仕切り壁沿いに深浅浴槽が一つだけ。フチ外側には不揃いの小石状タイルが貼られている。
 どれ、さっそく・・・うわっち、こりゃ熱い、47度くらいある。他に客もいないし、水栓ひねってうめまくり。あ~気持ちエエ。
 深い湯舟の内側は3段の階段状に深くなり、1cm角の細かいタイルが底までびっしり貼りまくられている。
 しかしまあ尾道くんだりまで来て、こういう風呂に一人ゆったり浸かっているキブンというものはなんとも言えませんな。いまここで俺は何してる? この不思議感!

 カランはなんと、意外にもスーパー銭湯的な自動調温型でシャワーつき。だが湯の圧力は弱い。蛇口だけとっかえたらしい。

 上がりは飲み物もなし。

 このあと行った飲み屋の相客が銭湯好きの現地民で、ここ以外の尾道銭湯全5軒を正確に把握していたが、この銭湯のことだけは存在すら知らなかった。
 隠れぶりや営業時間の短さから考えて、早めに行っておくほうがいいかもしれない。栗原1丁目バス停から北へ2つ目くらいの路地を右折。明るいうちに根気強く探すべし。 
 
(2005.1.7)→尾道旅行記

追記(2007.9.22)
 「だく」さんという方から、夏の寿湯の写真をいただいた。
 こんなんです・・・あはは。

 
もはや秘密基地

 だくさんがここのご主人に聞かれたところによると、
 「昭和6年創業、脱衣場にある鏡は栗の木、ロッカーはケヤキの木でできていて、床板も含めて全部創業当時のまま」とのこと。かっけ~! 
(だくさん、ありがとうございます)
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大宮湯

尾道市東久保町6-11 →地図
TEL : 0848-37-5809
【営業時間】15:00~21:00
【定休日】水曜日


 尾道駅から東へ、1kmほどのアーケード商店街を最後まで歩き通す。2号線の防地口交差点に出たらJRの高架を北へくぐり、少し行くと右手のビルの間に「大宮湯」の真新しい看板が見える。
 でも銭湯は見えない。ハテナ~と思いつつ看板脇の細い路地を覗くと、突き当たりに暖簾がゆれている。これまった奥ゆかしい立地だな・・・。

 
(左)開店前   (右)開店後

 建物は古い町屋ふう、暖簾をくぐると水色に塗られた木の玄関部分が現れ、開け放たれた戸には男女別にまた暖簾がかかっている。

 入るとタタキに下駄箱が置かれ、番台に愛想のいいおばちゃんが座る。
 目の前の脱衣所は田舎風情バリバリ、板張り床の懐かしい光景。壁には尾道の風景写真など飾られている。

 
(左)脱衣所から玄関タタキ方面、この開放感   (右)気持ちのいい板張り床

 
(左)浴室を見る   (右)ロッカーの戸の裏側にはボロボロの広告の残骸あり

 服を脱いで古い木のロッカーに入れ、浴室へ。
 天井は男女それぞれのカマボコ形で、隔壁部分が一番低くなっている珍しい形態。中央に大きな湯気抜きが高々と吹き抜けているが、天井を彩るパステルグリーンのペンキはかなりハゲている。

 湯舟は中央に楕円形の深浅のみ、42度強。湯舟の底には昭和の定番、不揃いの小石形タイルが貼られている。
 湯舟の周囲にカランが並び、シャワーもあり。

 奥壁部分がちょっと複雑な形状になっている。釜場が男湯に突出しているようだ。隔壁越しに女湯側を眺めると奥壁部分は男湯より広く、アルプスの絵が飾られている。ちょうど倉敷の港湯のような感じ。

 上がりは飲み物販売あり。
 古い銭湯だがさすが観光地だけあって、夏休みにはしまなみ海道を走ってきた自転車野郎やヨット野郎どもがよく来るらしい。
 俺が「神戸から来た」と言うと、おきまりの震災話になった。「あれからもう10年たちました」と言うと、おかみさんはこうおっしゃった。
 「おたくさんはその頃子どもだったんですね」
 たしかに僕は若く見られることが多いけど・・・。  
(2005.7.22)
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金比羅湯【廃業】

2013年に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(岩田さん情報感謝!)


尾道市尾崎本町12-16 →地図
TEL : 0848-37-3671
【営業時間】15:00~23:00
【定休日】月・水・金


 尾道の東の街はずれ、駅からまっすぐ歩いて20分くらいかかるだろうか。
 このへんにもう一つ駅があれば有難いがJRにそんな気はさらさらないやろなというあたりに小さな突き出し看板が光っている。

 
(左)これがないとわからん  (右)路地を入って玄関口

 見た目はそっけない白いモルタル2階建てで、なんということもない。でも内部では相当ディープな世界が展開中だ。

 
(左)覗くと見えるこの世界  (右)男女壁の間に2階への階段がある

 靴はもちろんタタキに脱ぎ捨て。ハシゴで入る番台にはオヤジ。番台正面に階段があるのは中津の汐湯で見て以来だ。

 
木製脱衣箱に漢数字墨書き

 脱衣箱にはほじくり式の鍵穴が開いているが、言うまでもなく使われなくなって数十年が経過している。脱いだ服を放り込むのみ。

 浴室へ進むとさらに濃厚なるいにしえ世界が静かに広がっている。
 意外に奥行きが感じられるが、造りは簡素。全体にのっぺりとした床面は、カラン前の溝に向かってゆるく傾斜している。はがれたタイル補修によっていたるところがパッチワーク状態となっており、ふと古木の年輪を思わせる。
 浅いほうの小さな湯船のそばには、申し訳程度の装飾として小さな富士山のタイル絵がある。

 
(左)カラン・シャワーも若干ゆるめ  (右)深と浅、湯船フチに細かなタイル

 脱衣場・浴室を通じて時間の止まったようなB級オーラが色濃く漂っている。
 歩き疲れた旅の夜、こんな空間に身を沈めることで、さらに夜の底は深まってゆくのであった。 
(2012.5.1)
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紅梅湯【廃業】

2015年10月末に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(シロヤギさん情報感謝!)


尾道市因島土生町2122-1 →地図
TEL : 08452-2-0249
【営業時間】16:00~21:00
【定休日】日曜日と木曜日


 尾道からしまなみ海道をバスで45分くらい走ると、因島の中心地・土生(はぶ)港に着く。目の前はめくるめく瀬戸内の多島美だ。
 土生の商店街の南端近く、銅葺きの破風小屋根に渋い暖簾の古銭湯あり。入らずにはおれまへん。

 戸を開けるとタタキ、番台におばちゃんが座る。下駄箱はなく棚のみ。
 小さな脱衣所は第一級の濃厚いにしえ空間。新しいものは何一つない。すべてが古く、すべてがボロい。言語を絶する時空の逆流ぶりだ。
 そして格天井、高~い高~い。田舎のプチ銭湯でこれほど高い天井にはめったにお目にかかれない。

 
(左)ヨコよりタテの長い空間  (右)過去最ディープなロッカー

 ぬっ? このロッカーの鍵、なんじゃこりゃ。昔の雨戸よろしく内側で板錠を落とすようになっているが、これ、閉めたあとどうやって開けんの?
 おかみさんに聞いてみたら、出てきたのは1本の金具。おいー、博物館の学芸員はおらんか! これを今すぐガラスケースに陳列せーい!

 
(左)そういや錠の横に丸穴が  (右)外側から穴にこれを差し込み、手探りで錠を持ち上げる

 昔はこの金具を番台から借りてロッカーを開けたそうだが、もちろん今では使われていない。ロッカーに鍵をかける必要がもはやここにはない。

 浴室は妙にうすぐらい。床には不揃い小石型タイルが張り巡らされている。天井のペンキはハゲハゲで、全体が重々しいくたびれ感に覆われている。
 湯舟は3~4人でいっぱいになるサイズが一つだけ。湯は8分目しか入っておらず、しかも誰かがだいぶうめたようで僕にはちょっとぬるかった。

 浴室の両サイドにカランあるが、片側は機能していない。反対側の壁には太いパイプが2本走り、水とギンギンの熱湯が出る。シャワーはなし。
 掃除も行き届いているとは言い難く、すみっこのタイルなどはちょっとぬるっとした感触。しかしまあ、これはこれで島の漁師銭湯らしいディープな味わいというか、B級アジア的な憩いがなくもない。
 地元のじいさんやオヤジ客が3人仲良く湯船に浸かり、造船関係の話題で盛り上がっていた。

 上がりは意外にも飲み物販売あり。
 おかみさんに「いったいこれはいつごろの建物ですか?」と聞くと、「明治の終わりごろじゃないですかねぇ」とのことだった。ロッカーの鍵ともども、生きた博物館状態の愛すべきボロ銭だ。 
(2005.1.7)→尾道・因島旅行記

 外観は風情満点、内部は風情を超越
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寿湯


尾道市因島土生町1942-1 →地図
TEL : 08452-2-2966
【営業時間】15:00~21:30
【定休日】日曜日


 因島の土生港へは、尾道からならバス、今治からなら船が便利ね。
 港から2分の便利なところに、この島最後の銭湯がある。門構えと松の木、そして脇に積まれた燃料の材木が印象的だ。

 入ると、年季の入った木の番台があるが、誰もいない。ちょうど出るところだった30歳くらいの若者が、「ばーちゃん裏へ行ってるけん先に入っとったらええよ」。
 そして無人になった。
 年季の入ったコゲ茶色の重厚な脱衣箱は、ほぼ常連の物置と化している。中央に置かれたベンチやソファにプラ籠が置かれているので、そこに脱いだものを入れて浴室へ。

 
脱衣箱

 浴室には湯船がひとつだけ、バスクリン。非循環のようだが、入る人が少ないせいか湯は澄んでいる。
 大カランがついていて、湯と水をひねって客がめいめい好きな湯かげんを作るスタイルだ。湯水はものすごい勢いで出て、あっという間に増えてくる。じゃんじゃんいっとこう。

 タイル張りの湯船へり(またぎ)の幅が厚くて迫力だ。
 その湯船を頂点に床が周囲の排水溝へと傾斜している。と同時に、床タイルが湯船から放射状にひび割れてセメント補修されているのも豪快だ。

 カランへの配管は外付けで、断熱材が巻かれてこれまた豪快な状況になっている。
 湯船の上に小さなタイル絵がある。

 女湯の床は男湯ほどひび割れていない(あとで撮影)

 孤独に楽しんで上がると、ご高齢のおかみさんがいた。気さくなお人柄で、今はたった一人で釜焚きから番台まで全部やっておられる。
 おかみさんによると、昭和15年築で、脱衣場や浴室の壁タイルなどは当時のままだというが、まったくビクともしていない。
 脱衣場の男女壁の上の天井にはふしぎな模様がある。かつて番台前からそこへ階段があり、お遍路の人を泊めていたことがあるそうだ。

 しまなみ海道ができてから、旅行者や、自転車で走る若者らが団体で来ることも増えた。
 釜は5年前に「60年もつやつに換えた」という。因島最後の1軒、まだまだがんばってくださることを願う。
(2016年10月)
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