関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【北海道】の激渋銭湯
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藤の湯 (札幌市)

中央湯 ★(小樽市)

大正湯 ★(函館市)
弥生湯 ★(函館市)
桐の湯 (函館市)
山内温泉 長生湯 (函館市)
吉乃湯 (室蘭市)
黄金湯 △(室蘭市)


岬湯 (釧路市)
草津湯 (釧路市)

喜楽湯 (厚岸町)

藤の湯

札幌市手稲区手稲本町2条2丁目2-15 →地図
電話 011-681-3217
【営業時間】14:45〜22:00
【定休日】月曜日


 手稲駅から徒歩5分くらいの便利なところ。屋号に合わせた紫の外壁と、玄関まわりの茶色いタイルがクラシカルなムードを醸し出している。

 
(左)屋根は奥に傾斜している (右)木彫りの屋号

 2重玄関は北海道の標準スタイル

 二つ目の戸を開けて入ると、間口分の細長いタタキがあり、木製番台におやじさんがいる。
 脱衣場はレトロな脱力空間だ。丸籠が積んであるが、この脱衣場にはやや不似合いな100円リターン式のロッカーがあって、それを使っている常連おやじもいる。冬はスキー客が来るのかもしれないな。
 俺は籠を使った。

 風呂場へ行こうとすると、浴室入口の戸のガラスが一部割れているところがある。最近割れたのかもしれない。
 浴室に入ると、脇に椅子と桶がきちんとピラミッドに積まれている。

 奥に湯船があり、両横カランと島カランが一列という東京スタンダード。
 右側は湯カラン水カランが並んでいるけど、左側と島カランは混合カランが1本だけ。はじめ水だったが出しているうちに湯になった。シャワーは全部についている。

 奥の湯船は二つあり、広いほうはどえらく熱い。温度計があって45度を指している。手をつけて「あっつ!」と言うと、常連が「うめたらいいよ」と声をかけてくれた。そして隣の狭い気泡風呂に入っているイレズミおやじが、「こっちに入ったらいいよ」と声をかけてくれた。
 勢いのいい気泡風呂は41度くらい。どちらの湯船も深くてよし。

 その横にスチームサウナがある。中で腕立て伏せをした。
 スチームの手前に一人サイズの水風呂があるが、ここに冷たい水が掛け流されていてカッキンキンに冷たい。さすが北海道っちゅー感じだ。そして一人サイズのため、入ったときにオーバーフローする量がハンパない。そこらじゅう洪水だよ楽しいな〜。

 奥壁に、灯台の岬に入道雲が湧いている図のタイル絵がある。大阪の昌の湯の女風呂の絵に似ている。
 体を湯にならしてから、熱い湯にも30秒以上入った。直後にキンキンの水風呂に浸ってクラクラする。いや〜この刺激、クセになるぅ。

 上がって牛乳。脱衣場のテレビでリオオリンピックの水泳を見た。
 札幌市内の駅近ながら、ええ感じに田舎フレーバーが漂い、熱い湯とチベタイ水風呂の往復が嬉しいナイス銭湯であった。 (2016年8月)
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中央湯 

小樽市奥沢3丁目27-22 →地図
電話 0134-32-0502
【営業時間】13:40〜21:00(日曜は13:30〜)
【定休日】月曜日


 南小樽駅から南西2kmほど山のほうの、奥沢というやや奥まったところにある。
 ちなみに俺は小樽駅からあちこち寄りながら1時間以上かけて歩いて行ったけど。小樽駅前からのバスなら「保育所前」バス停の真ん前(奥沢保育所)だから、それを使うのが賢明だろう。

 古いが堂々とした建物、そしてカラフルだ。
 狭い玄関スペースを抜けて中に入ると間口幅のタタキがあり、年季の入った番台に50歳くらいのおかみさんが座っている。タタキの隅には渋い下駄箱がある。

 
(左)玄関入ったとこの細かな珍しいタイル (右)渋い番台

 脱衣場はイニシエの風情に溢れている。漢数字の脱衣箱があり、籠は京都式の長方形プラスチック。
 浴室入口の上部ガラスに描かれた松と鶴の絵が目を引く。どこかのレストランに飾るために作られたが、どこかに間違いがあって(聞いたけど忘れたスマヌ)、ここに使われることになったそうだ。
 エッチングのガラス絵は時々あるけど、こういうのは初めて見たかも。興奮だ。

 
(左)昔ながらのよき風情 (右)こういう絵は初めて見た!

 もうこの時点でテンションがヤバめになってきているのだが、心を落ち着けて浴室へ。
 むごー! 真ん中に前方後方中円墳みたいな不思議な形の湯船ポン! なんやのんこのカタチ。前方部は浅く、後方部はジェットが噴出している。

 そして男女壁の3ヶ所にイルカや魚の絵が描かれている。これはさっきのおかみさんが描いたものらしい。

 
(左)これまた珍しい (右)かわいい絵

 壁の上部からダイナミックに三角に抜けた湯気抜き部分はトタンの波板張りで、チープな味わいがなかなかよい。

 さて、ここは温泉銭湯ということなのだが、どれ。
 お湯は35〜36度の源泉を沸かして適温、アルカリ性単純泉。とってもツルツルしている。
 たまげたのはカランの湯と水。このぬっるぬるっぷりは、もはや天然リンス状態ではないか。ものすごい名湯やぞこれは!
 うーむ、もったいなくて上がれんぞ・・・。

 これでもかと堪能してようやく上がると、番台には70代後半とおぼしき明るい大おかみに代わっていた。女ぶろは話が盛り上がって賑やかだ。
 対照的に男風呂はすいていて、静かにじっくりと湯を楽しむタイプの常連客がポツリポツリといる。

 インパクトのあるお湯とともに、さまざまに味わい深い風呂だった。はるばる歩いて来たぶんの3倍返しくらいの値打ちがあった。

 男女壁の鏡付近
(2016年8月)
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大正湯 

函館市弥生町14-9 →地図
電話 0138-22-8231
【営業時間】15:00〜21:00(日曜は20:00まで)
【定休日】月・木


 日本一のロマンチック銭湯、略してロマ銭だ。メルヘン銭湯、略してメル銭でもかまわない。

 観光スポットがぎっしりコンパクトに詰め込まれた玉手箱シティ函館の中でも、とりわけ恋人たちに大人気の素敵まくりエリア・元町かいわい。
 路面電車の終点「函館どっく」から港を背にして函館山へと登る船見坂、その途中の交差点に1軒のおしゃれな洋館が忽然と現れる。

 まさかね。いやそのまさかさ。これがロマ銭メル銭で有名な大正湯さ。えっほんと、うそーこれが銭湯なの。そうさパステル色の銭湯、略してパス銭さ。

 
(左)並木とのマッチングが鹿鳴館気分   (右)文明開化のお湯が沸く

 素敵。函館の町によく似合ってるわ。だろ?なんでも昭和初期に船大工さんがそういうふうに苦労して建てたらしいよ。函館のエキゾチック銭湯、略してエキ銭ね。そうさピンクのピン銭さ。洋風の下見板張りが素敵なシタ銭なのね。函館市の文化財にもなってるブン銭でもあるんだよ。

 ガラス張りの戸を開けると、屋号が書かれた立派なタイルがあるタイ銭ね。バカだなよく見てごらん、タタキに番台がある昔ながらのタタ銭のバン銭だろ。

 
(左)玄関の屋号タイル   (右)タタキに番台の郷愁スタイル

 ということはタタキに靴を脱ぎ捨ててもいいヌギ銭なのね。そう、そして脱いだ服は丸籠に放り込むカゴ銭さ。
 床は小学校教室みたいな合板張りのキョウ銭ね。その上に竹敷きのタケ銭さ。
 天井は格天井のゴウ銭だし男女壁の楕円鏡が素敵なダエ銭だし、とってもレトロなレト銭ね。

 
渋い脱衣場

 でも浴室は改装されたカイ銭だろ? ほんとこぢんまりしたコジ銭だけど湯船が奥に並ぶ東京型のトウ銭で、スッキリ清潔なセイ銭ね。きみその場合はセイ銭というよりケツ銭のほうがインパクトがあるよ。
 あらそうかしらそれより見て、大きな窓にステンドグラスのステグラ銭よ。おっ4文字で来たな、じゃあ男女壁はラベンダー色のワイングラスみたいな柄タイルのラベワイガラ銭だ。あなたムキにならないで、壁の中央部はガラスブロックのカベガラブロ銭だわ。
 うーむ、いたるところが素敵でおしゃれなイタステオシャ銭だな。あなたもうやめましょう、お客さんが7〜8人もいてけっこう賑わってるニギ銭なんだから。だな、外観を写真に撮ってる人が多いシャ銭でもあるしね。

 というわけであなた、周囲の街並み散策とともに函館に来たらはずせない、これが本当のハズ銭ね。
 うっ、ま負けたよ…!  
(2011.5.3)

 
大正湯付近の風景
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弥生湯 

函館市弥生町20ー11 →地図
電話 0138-22-8746
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】木曜


 ハリストス正教会などが建ち並ぶステキな元町のまちなみを北へと楽しく散策していくと、上の大正湯の手前にこの銭湯が現れる。
 屋根の形がかわいらしいけど、なにしろ観光名所でもある大正湯の美しい姿に比べると地味なので、あとまわしにしていた……俺がアホだった。

 総合的に考えて、今のところ北海道で最も感激した銭湯かもしれない。

 暖簾をくぐると内側の狭い玄関スペースにタイル絵がある。富士をバックに松の枝にタンチョウがいる図。
 戸を開けて中に入るとタタキがあるが、まず番台の高さに驚かされる。タタキから20cmほど高床になっている。
 番台には70代くらいの優しいおかみさんが座っている。

 
(左)玄関スペース、タイル絵が素晴らしい (右)高い番台

 脱衣場は高い格天井でことのほか風情よし。浴室入口の上部がガラス張りで、木製の桟が水色に塗られているのがとてもよい。
 とくに見惚れるのは男女仕切り壁。ほんまもんの職人芸が随所に散りばめられたゴージャスな仕切り壁にタメイキ、うっとり、なでなでしちゃう。
 そこに分厚い装飾ガラスや色ガラスなどが嵌っていて、かつての函館全盛期を彷彿とさせよるわい。

 
(左)余計なもののない脱衣場空間 (右)大鏡の下の部分

 小さな鏡の周辺

 いつまでも裸でナデナデしてたら風邪ひきそうになるので、浴室へと……なななな、むわおぅおぅおぅ〜〜〜〜!
 奥壁一面のモザイクアート、しかもこここれは……、まぎれもなくハリストス正教会ではありませぬか。

 正教会の正面にフルチンで仁王立ち

 そして床のタイルが細かくて見たことのない柄だ。男女境はガラスブロックで、交互に色がついていて、おしゃれ〜。

 湯船は奥に2槽。広いほうにジェット2器、浅いほう気泡。
 お湯はけっこう熱めだ俺は好きだよ嬉しいな〜。浸かってはカランの水を浴びる。
 両サイドにカラン・シャワーが並び、中央に島カラン。カラン下の溝が逆カマボコ型になってるのも素敵よね。

 いや〜しかし。函館ですよ俺はいま函館にいるんだ。ハリストスを眺めながらしみじみと熱い湯に浸かっているんだよ。動きは緩慢だけど、なんかもう胸いっぱいの静かなコーフンだよ。
 帰りたくないな……なんか泣きそう。

 いつまでも入っているわけにもいかないので上がり、コーヒー牛乳いっとこう。
 おかみさんに聞くと、女湯の壁画は十和田湖だそうだ。いや〜それも見たいけど、女の人にも見せてやりたいねハリストス。

 おかみさんによると、この界隈(姿見坂)はかつて花街で置き屋が多く、高下駄を履いた芸者さんが歩いてたのをよく見たそうだ。
 その芸妓さん用なのか、女湯には以前、男女境の対面にも大きな鏡があり、背中も見られるようになっていたそうだ。でも男湯側からも鏡に映った芸者さんが見えてしまうので、先代が取り外したそうだ。

 このおかみさんも、風呂に劣らず素敵やわ。
 函館に来たら絶対に弥生湯へ、いや、弥生湯に入るために函館に来るべきだと断言したい。今すぐに! 
(2016年8月)
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桐の湯

函館市松陰町10-12 →地図
電話 0138-51-4815
【営業時間】 14:00〜22:00
【定休日】 木曜日


 函館駅から湯の川方面への路面電車に乗ってたら、杉並町の電停をすぎたところに「ゆ」の看板発見!
 なにか引力を感じ、夜中に再び路面電車に乗って杉並町で降りた。

 歩いて30秒ほどで到着したら、銭湯は道路から少し引っ込んでいて、看板のある建物の影に3分の1ほどが隠れている。なにを恥ずかしがっているんだい?

 
(左)いやーん・・・   (右)岩盤湯?岩盤浴じゃなくて?

 玄関をくぐると正面フロント&プチロビー、これは番台をひっくり返して脱衣場を仕切ったパターンね。フロントにはやさしげな年配のバアサマがいる。
 脱衣場はロビーのぶん狭くなっていて、ごくふつーなロッカーと丸籠仕様。

 で浴室に入ったれば、真っ先に目に飛び込んでくるのが奥壁の富士山だ。手前に砂浜と松林を配し、遠景に真っ白な雪景色の富士山が描かれている。
 よく見ると、巨大ベニヤ板を横に2枚つなげてキャンバスにしてあるようだ。それは隅の一部が朽ちて集成材が露出していることでわかる。

 浴槽は東京スタイルで奥に深浅2槽。
 浅風呂は壁に「寝湯」「座風呂」「ラドン」と3種類の表示があるが、ふつーの気泡つき浅風呂。脇にうたせ設備があるが出ていない。
 深風呂は狭く、座浴スタイルのジェット2連つき。小さな岩盤を積んだようなところから湯が出ているのが珍しい・・・あ、看板にあった「岩盤湯」ってもしかしてこれ?

 カランは男女壁側には普通に湯と水の2つずつついているが、反対壁側は自動調温のが1本ずつ。
 スチームサウナがあり、座面の端からチョロチョロと湯が出ていて快適だ。

 相客は2〜3人。
 表の看板に「ブラックシリカ」とあったが、どこにあるかよくわからなんだ。でも、まだまだ寒い函館の夜、とてもぬくもるお湯だった。

 湯あがり、フロントのバアサマに聞くと、壁画は昔、東京の絵師を呼んで描いてもらったという。
 現在東京におられる二人の絵師によるものではなく、故・早川師の絵でもない。
 たぶん貴重なものだと思われる。わざわざ来てよかった〜っと。 
(2011.5.4)
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山内温泉 長生湯

函館市湯川町2-20-9 →地図
TEL:0138-59-2681

【営業時間】 06:00〜21:30
【定休日】 火曜日


 湯の川温泉の山内温泉の長生湯。どの名で呼んだらエエのか。
 とにかく路面電車を湯の川温泉で下りて、そのまま線路沿いに進んだら右手に見えてくるウグイスの糞色のレトロ建物にウッと感激だ。

 
(左)渋いけど看板だけ新しい   (右)入ったところのタイルが最高

 俺好みのカホリがプンプン漂いまくってやがります。
 中へ入ったらタタキに古い番台のモロぎんぎんレトロ銭湯。でもここは湯の川にいくつかある中でも激熱で有名な温泉銭湯なのよね〜。

 
(左)階段付き番台が珍しい   (右)男女壁の上の箱型電照広告が最高

 そこらじゅうに当たり前に展開される骨董品的風景。脱力につぐ脱力。楕円形の鏡の渋いことよ。
 トイレを借りようとしたら、番台のパートのおばちゃんが案内してくれた。脱衣場横の戸をあけると、隣の玄関に出る。昔は旅館も営んでおられたらしい。その廊下をずーっと奥へ入ったところに広いトイレがあった。

 しかし脱衣場のノンビリムードはいつまでも続かない。浴室に入ったらどなたさまもビシッと背筋関係に気合が入ることであろう。

 
いざゆけ

 浴室の床面は脱衣場より2段ほど下がり、そこに小判型の湯船がひとつ。周囲は温泉成分が付着して白っぽくなっている。
 湯船の中が深浅に仕切られているが、どういうわけか深いほうが広いのに人はおらず、狭くて浅いほうで足をまげて2人が浸かっている。

 どしたのあんちゃん、広いほうへ堂々と入らんかい俺が見本を見せてやる。
 と思って湯を触った瞬間、わが息子は0.2ミリサイズにまで縮んだ。

 熱うて入れまっかいな。

 横にいた常連オヤジに聞くと、狭くて浅いほうはいくぶんぬるめらしい。そこにひしめいていた2人の根性なしが出たあとで、1人の根性なし(俺)もそこへ浸かった。
 こっちはまあ、43〜44度くらいかな。それなりに浸かれる。しょっぱい食塩泉で、湯船のヘリから溢れ出している。
 深くて広いほうは、たぶんそれより軽く3〜4度は熱そう。人間が入れる温度とは思えない。

 浴室の隅に源泉マスがあり、その周辺は析出コテコテ状態だ。
 壁には湯と水のカランとシャワーがいくつか並び、銭湯機能もOK。パイプむきだしやけど。

 そうこうしてたら、さっきの常連おやじが広いほうの激熱湯船にザバーっと入ったぞ! しかもけっこう耐えている。10秒、20秒・・・。
 「入りましたね!」
 と声をかけると、「慣れたら入れるよ。でもここに慣れたらよそには入れないよ」とのこと。
 「皮膚の弱い人は無理しちゃだめだね。上がったあと救急車で運ばれた人もいるから」

 この日は端午の節句にちなむ全国銭湯共通行事として、菖蒲の葉がちゃんと浮いていた。
 季節の風情にあふれる殺人的激熱の湯であった。 
(2011.5.4) 
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吉乃湯

室蘭市東町4丁目4-2 →地図
TEL:0143-44-4286

【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】金曜日


 東室蘭駅から海のほうへ1.8kmほど歩いた、古い集合住宅の多い地区にポツンとたたずんでいる。

 
(左)歩道橋の向こうに (右)横を向いている

 正面には未舗装の広い駐車スペースがあり、開拓時代の名残を感じさせる。
 東京型暖簾をくぐって戸を開けると下足スペースで、正面に「開湯」の文字が掲げられている。
 靴を脱いで中に入ると番台があるが、まるで電話ボックスのような造形。これは見ものだ。
 この中におかみさんがおられる。
 男女脱衣場を行き来する部分は一般にカーテンが多いが、ここはスイングドアになっている。

 
(左)なにかありがたみを感じる (右)カッコイイ!

 脱衣場にはロッカーもなく、籠のみ。戦後まもない頃に建てられた当時のままのひなびた味わいだ。
 男女仕切り壁や鏡もいちいち渋いね〜。

 
(左)左端が玄関 (右)ややチープな感じの2枚の鏡も年代物っぽいぞ

 裸になって浴室に入ると、床のタイルが果物を4つ向かい合わせたような細かい柄で、見たことないタイプだ。
 湯船は奥に2槽、角が丸い長方形で、長辺一辺が奥壁に接している。
 広いほうはアツアツ43度強のきわめて清澄な湯、狭いほうは気泡がわき上がるぬるめの宝寿湯、どちらもたっぷりタプタプ。こいつはゴキゲンだ。

 手前は両サイドと島カランひとつ。
 スチームサウナと冷水の立ちシャワーもある。どれも快調。基本がしっかり保持されている。
 この4つのローテーションをぐるぐると繰り返すうちに旅の疲れが完全に消えてしまう。いや〜、古いけど気持ちのいい銭湯!

 脱衣場から見た浴室方面

 70歳手前?くらいのおかみさんによると、「60年以上経ってる、戦後まもない頃の建物」とのこと。組合サイトでは昭和17年創業となっている。ということは戦後建て直したのだろう。

 周囲はかつて2階建てのアパートが多く、低所得者が住むエリアだった。鉄鋼関係者はまた別の住宅に住み、会社から支給される風呂券で入りに来たという。
 その後多くの住宅が建て替えられたが、まだ風呂なし物件も残っているので、続けてくれとの要請があって維持しているそうだ。

 おかみさんは結婚後は札幌に住んでいた。室蘭は工場煤煙のため空気が悪いのが嫌でしばらくは帰らなかったが、銭湯を継ぐべく二十数年ぶりに帰ったら、人が減っててビックリした、とおっしゃる。
 古い古いと風呂のことを言ってたけど、愛着がありそうだった。

(2016年8月)
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黄金湯 

室蘭市本輪西町3丁目25-7 →地図
TEL:0143-55-7853

【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】火曜日


 本輪西駅から山のほうへ10分弱歩くと、こんなとこに銭湯があるんかいとの疑念を抱かずにはおれない町外れの片田舎風景となる。
 よく探すと、八幡神社の並びの斜面にめり込むような建物に「ゆ」の暖簾がかかっている。神よ、ここに銭湯はまぎれもなく実在しました。
 横から見ると、玄関から釜場までワンボックスの建物だ。屋根トタンのサビと、その上に立てかけられた何かよくわからない横線物体がわが目を捉えて離さない。

 
(左)北海道は広いのに…なぜここか (右)坂の上から

 暖簾の右側は斜面のため、玄関の戸は左側からしか入れない。
 入ると狭い玄関スペースで男女別れるかたち。第二の戸を開けると、番台にやさしそうなおじいさんが座っている。

 脱衣場にはロッカーはなく、丸籠を使う。
 冷蔵庫にオロナミンCとファィブミニだけ入っている。古くてひなびてはいるが、スッキリとした空間だ。

 浴室には先客が2名いた。わりと広く、真ん中に、角が丸みを帯びて円形に近い正方形の湯船がぽんとある。
 湯船には浅い部分がなく、内側の足がかり段のほかはズボーンと深い。でもその一角に、大きな円柱形のミネラル鉱石が沈んでいて、水中椅子のようになっている。ただし、脱衣場に「ミネラル石に座らないでください、崩れますので」と注意書があったから、そっとしとくほうがよさそうだ。
 湯は熱くて43度強。よく温もるわ。真夏やけど。

 左右と奥の壁にカランとシャワーがある。カランは適温1本のみ。シャワーは出ないところもある。
 水カランが出入口横の一ヶ所しかない。そのすぐ横のカランで先客オヤジがずーっといるので水が使えず、暑くてしょうがない。仕方がないので、湯船の給水用の大カランをひねって桶で受け、水かぶりを繰り返した。
 ケロリン桶は関西サイズ。女湯は賑やかな声が響いている。

 のどかな時間が流れる地元民オンリーの真ローカル銭湯。
 建物外観は外来者を一瞬ひるませるいかつさを発しているが、入ってみればエエ具合にレトロで郷愁感を漂わせながらも、銭湯として十分に気持ちよく入浴できた。
 また来たいと思わされる、ふしぎな魅力を感じた風呂だった。
(2016年8月)
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岬湯

釧路市米町3-1-35 →地図
TEL:0154-41-2546

【営業時間】14:00〜21:30
【定休日】月曜日


 釧路の町の歴史は釧路川より南の、今は寂しげな旧い港のエリアから始まった。
 港を一望する米町公園から少し坂を上ると、寺の多い通りに1軒の銭湯がある。

 
(左)交差点にある (右)玄関まわりの黒いタイルが迫力

 暖簾は出ていないが、やっているようだ。
 狭い玄関スペースを抜けて入ると、タタキに番台があって、やさしげなおかみさんが座っている。
 広々とした脱衣場はロッカーなく、丸籠とタナだけがある。

 ゴザに長椅子

 浴室も広々。奥に2槽、手前に島カランの東京スタイルだ。ケロリンも東京サイズ。
 外側にさわやかな黄緑の柄が入ったタイル張りの湯船は、フチに大理石が乗っている。内側は細かなタイルで埋め尽くされている。
 広いほうは深くて42度くらい。狭いほうはやや浅く、ジェットが7つくらい等間隔に並んでいるのが珍しい。
 そして、奥壁に山岳と湖水のタイル絵がある。

 
(左)シンプルな湯船 (右)カランまわりも黄緑のタイル

 備長炭のようなものが袋に入って水中に吊るされている。こういうちょっとした気持ちが嬉しいねぇ。
 カランの水をかぶっては湯に浸かるの繰り返し。無心になれる風呂はよい風呂だ。

 上がって牛乳を飲んでいると、女湯がにわかに盛り上がっている。聞けば、常連さんの赤ちゃんが本日銭湯デビューでやって来たらしい。
 母親は一人で風呂に入ったが、赤ちゃんは脱衣場で常連のばあさんたちやおかみさんにさんざん可愛がられているようす。みんな「めんこい、めんこい」と言っている。

 今後はその赤ン坊が来る時間に合わせて、年配の女性客が集中することになるに違いない。
 その子はみんなに抱かれて間違いなくいい子に育つ。そして母親はしばし育児から解放されてのんびり風呂に入ることができる。
 素晴らしきかな、銭湯子育て!

 外に出ると米町の坂道は夜霧に包まれていた。

 (2016年8月)
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草津湯

釧路市大町6-4-15 →地図
TEL:0154-41-1079

【営業時間】14:00〜21:30
【定休日】火曜日


 バスに乗って「休み坂」で下りて徒歩1分。夕霧の中に無表情な建物が現れる。
 暖簾もなく営業中のケハイがあまり感じられないので一瞬ドキッとするが、よく見たらガラス越しに「お湯がわきました」と小さく表示されていてホッとする。

 
(左)正面はビル状だがじつは平屋建て (右)よかった・・・

 寒冷地スタンダードの二重の戸を開けて入ると、番台には高齢のおばあさん。
 脱衣場はスッキリ、シンプル。外観とどこか似ている。

 浴室にも、特別な飾りのようなものは何もない。男女仕切りがガラスブロックでできているのは北海道でよく見かける。
 湯船は奥に3槽、水色の薬湯とジェット浴槽と深風呂。
 深い浴槽は岩からお湯が出ていて、これが飾りといえば飾りだ。薬湯は蛇口から直接水色のお湯が出ているのが不思議な感じ。

 男湯のサウナは休止中だ(女湯は稼働しているらしい)。が、3つの湯船にたっぷり沸かされたお湯、勢いのいいジェットや気泡、豪快に溢れる水風呂のメリハリが最高に気持ちよい。
 いわゆる「お湯づくり」がしっかりしている感じで、サウナ休止中でも全然許せる。
 貸切状態になったが、もったいなくてなかなか上がれない。

 長湯のすえに上がると、来た時に番台に座っていたおばあさんよりも若いおかみさんに替わっていた。
 創業は大正8年、さっきのおばあさんは二代目で90歳だそうだ。

 見た目そっけなく、内部も特別なものは何もないシンプルな銭湯だが、じつに気持ちよく銭湯のよさを堪能できた。

 (2016年8月)
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喜楽湯

厚岸郡厚岸町真栄2丁目108 →地図
TEL:0153-52-4462

【営業時間】15:00〜21:00
【定休日】水曜日


 根室から釧路への帰りに厚岸で下車し、この町唯一の銭湯・喜楽湯へ向かった。
 駅から東へ徒歩数分、北海道らしい四角四面の、なかなかに堂々たる銭湯だ。でもよく見たら緑のタイルなどエエ感じのレトロムードを漂わせている。

 狭い玄関スペースを経て中に入ると、大柄な銭湯だ。 間口分に横長のタタキに木製番台、高齢の気さくなおかみさんが座っている。
 脱衣場にはロッカーはなく籠のみ。すごく広々としている。

 
(左)タタキに古い下駄箱、番台におかみさん (右)広い! 俺の籠ポツーン

 最初6時過ぎに来て営業時間だけを尋ねた。そのときはおじいさんの客がいたが、メシ食って7時前にいよいよ入りに来ると客おらず、この広大な北海道の大地を独り占めだった。

 浴室とも広々している。出ました落涙の円形湯船!

 
(左)これ見てなぜか泣いてしまう悲しい習性 (右)給湯部に貝殻模様まじりの玉石タイル

 円形主湯の内側には金属のオリが内縁沿いに半周するかたちで沈んでいる。壁に「ラドン温泉」の表示があるからその鉱石なのだろう。めっちゃぬくもる、汗ひかん。
 奥に副浴槽の薬湯あり。「柚子の香り」だが薄い。入るとザバーっと溢れるのが嬉しい。
 湯温は主湯と同じく42度強といったところ。

 
(左)「柚子の香り」 (右)男女仕切りにサンセベリア、そして富士山

 奥壁に富士山のタイル絵がある。
 風呂屋に富士山は定番だが、あちこち旅していると、ご当地風景が描かれているほうが断然嬉しい。とくに北海道はどこをとっても風景が美しいからね。
 でも常連客にとっては富士山のほうがいいのかな?

 台風の連続襲来で夏なのに寒い日だったが、ホッコホコになって上がった。
 おかみさんによると、この銭湯は明治から続いているという。おかみさん自身は昭和30年に十勝からヨメに来た。当時は平屋の小さい銭湯だったが、昭和33年に今の建物に建て直し、51年にタイル普請したそうだ。
 鉄骨が7本入っており、釧路沖地震でもびくともしなかったが、風呂場はカラン配管がやられて外付け配管に修理したという。

 古くても適宜なおされ、風情と使い勝手のよさを兼ね備えている。おかみさんとの静かな語らいもじつによい。見知らぬ土地での悪天候による緊張も、湯気とともに消えてゆくようだ。
 だが過疎化もあって、せっかく広くて快適な風呂がもったいない状況にある。
 根室方面に行かれる方は必ず厚岸で下りて、ここへ寄るべきだろう。来てよかったと思えることは間違いない。(2016年8月)
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