関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【鹿児島県】の激渋銭湯(大隅)
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前田温泉 ★(姶良郡湧水町)
つつはの湯 (姶良郡湧水町)

重富温泉 (姶良市)

江ノ島温泉 ★(垂水市)

梅の湯 △(錦江町)


尾之間温泉 ★(屋久島) 
【薩摩】はこちら

前田温泉

姶良郡湧水町鶴丸1281-2 →地図
TEL : 0995-75-2139
【営業時間】07:00〜20:30
【定休日】?
【入浴料金】大人200円


 ここもまた一つの究極といえるかもしれない。

 合併して「湧水町」となった旧吉松町は、水どころか湯がザブザブ湧きまくっている温泉郷。なのに、名水があるからということで「水」が新町名に採用された。鹿児島じゃ温泉に希少価値はないんだな。
 JR吉都線の鶴丸駅から南西1kmちょっと、線路が国道268と交わるすぐ北側に、古い酒屋あり。前田温泉はそこが兼業しており、料金もそこで払う。

 浴舎は裏手にある。中に入った瞬間ぐにゃりと時空がゆがみ、否応なく100年ほど前の世界にタイムスリップさせられることになる。
 説明は不可能。デジカメが記録した100年前の映像をご覧あれ。

 
(左)浴舎   (右)脱衣ロッカー

 
(左)脱衣所から天井を見る   (右)床、湯舟、壁(腰高まで)はジャリを固めた洗い出し

 
薄いモール泉

 
(左)小さなマスは排水マスらしい   (右)この切り込み!

 脱衣所と浴室の間にはサッシの戸があり、これだけがかろうじて現世を思い出させてくれる。
 やわらかなお湯は薄い黒湯。70度以上の源泉がまず奥の小さな湯船に流れ込み、そこで50度くらいに冷めたものが主浴槽に流れ込む。他に、源泉が直接主浴槽にチョロチョロ注ぎ込んでいる穴もある。主浴槽の湯温は42度くらいの適温になっている。

 カランはないが、椅子はある。湯舟の湯をかい出し、黙って身体を洗う。
 先客は地元のオヤジが一人、途中でまた一人。言葉少なに町内の情報を交換している。

 お湯のやわらかな肌ざわりと、洗い出しのざらっとした感触。床に刻まれた芸術的なラインと、それを伝う湯の動き。停止した時間、ただ湯に浸かるだけの生物に成り果てている自分。窓からの光、鳥の声。

 年月と人間の生活を溶かし込んできた小宇宙。
 奇跡の空間だ。 
(2005.12.12)
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つつはの湯

姶良郡湧水町川西390-1 →地図
TEL : 0995-75-3368
【営業時間】06:00〜21:00
【定休日】なし(たぶん)
【入浴料金】大人200円


 2010年1月1日、元旦である。そんな日になぜこんなところにいるのかよくわからないが、ともかく今年の初風呂はここだ。
 JR肥薩線の吉松駅を北へ10分弱歩くと、この看板が見えてくる。上の前田温泉からは川内川を挟んでちょうど対岸あたり。

 
ここをちょっと左へ入る

 古びた物置小屋がポツンと建っている。
 でも他に温泉施設らしき建物がないので物置小屋をよく見たら、「男」「女」と書かれてある。どうやらこれが「つつはの湯」らしい。

 戸を開けて入るとタタキに番台があるが、誰もいない。賽銭箱があるので、書かれてあるとおり200円を入れた。

 
(左)番台周辺  (右)こぢんまりした脱衣場、ロッカーはタナのみ

 この鄙び、このそっけなさ、この静寂。俺だけの正月。たまらん。
 勢いよく裸になって浴室へ。

 
(左)変形六角形の湯船   (右)差し込む元日の日光

 ああ、いま、ここに生かされてフルチンで立つ絶対的幸福。お湯の神が降臨しまくり三助の聖空間で本年最初の深呼吸を厳かに繰り返す。
 おぉ、つつは。お前はなぜにつつはなの。名前の意味教えてちょうだい。

 んでまた湯船のへりに不思議なタイル使いが施されている。
 だいぶ剥がれているところもあるが、神の業についてとやかく言う馬鹿之介にはこの聖なる風呂に入る資格がない。

 
(左)笹の葉型   (右)お湯が溢れる部分は黄金色に染まっている

 さあ。浸かろうぞ。まずはかかり湯だ、と・・・・

 
あぢ、あぢ、あぢぢーーー!!

 熱い。キワメテ熱い。これは素敵だ。45度くらいはありそうだ。奥の湯口から掛け流されている源泉は59.2度もあるらしい。
 何度もかかり湯を繰り返して体を温度に慣らし、1分ほど浸かった。無色透明無味無臭の単純泉だが、低張性・弱アルカリ性ということでツルツル感がある。

 なにより、この湯の清々しさ、さわやかさは特筆に価する。際立った特徴はないが、くせのない名湯だ。もったいなやありがたや。

 加えて、この浴室に立ち込める清きオーラは如何とも説明しがたい。イエスの生まれた馬小屋はこんあふうだったに違いない。
 立ち去りがたい初風呂だった。今年もいいことあるだろう。

 ちなみに道路沿いの看板には「家族風呂」と書かれてあるが、そんなものはない。 
(2010.1.1)
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重富温泉

姶良市平松6135 →地図
TEL : 0995-66-2683
【営業時間】7:00〜22:00
【定休日】第2、4水曜日


 歴史は古いらしいけど、風呂自体はとりたてて古いわけではない。
 だが全体的に「貫禄」「重厚」「王道」といった言葉を感じさせる温泉銭湯なんよねぇ。思わず「うむ〜渋い!」と唸ってしまったので紹介しときましょう。

 重富駅から出口と逆方向の北西へ15分近く歩いたところ。畑まじりの住宅地に、広々した駐車場を備えて現れる。
 まずもって建物が貫禄。そして渋柿色の暖簾が貫禄。さあ来いや!
 パッと見、もしかして税金を湯水のように投入して作られた公共施設なのか? あるいは地元資本系か? とも感じさせられる。

 ともかく暖簾をくぐる。左手に大きな番台があり、下足スペースとロビーとが一体になった広い空間になっている。
 ふーむ。この温かみは税金施設ではそう出まい。スーパー銭湯的な洗練性もなさげ。

 
ウッディーな脱力空間

 男女が左右に分かれて脱衣場へ。ここには木製ロッカーが並んでいるが、鍵がかからん田舎流。この時点で税金系・資本系の疑いは消滅する。

 浴室に入るや、全面ガラス張りの正面壁からたっぷりの陽光がお出迎え。湯気とともに温泉独特の気が充満しているぞ。
 おっとぉーナニコレ、床のタイルが全部コゲ茶色、壁のタイルは真っ黒! なんちゅうドスの効いた色使いや。

 正面に並ぶ湯船列、これもすべてコゲ茶色のタイル。よく見ると滑らんようにか表面がイボイボになっている。
 んでそのヘリからお湯がドバドバ溢れとるがな。手前湯船の隅に土色の壺を横倒しにした状態の湯吐き口があり、「お湯は循環していません」と書かれている。なかなか豪快や。

 湯船は主湯(気泡)・デンキ・浅などが並び、右奥に水風呂とサウナ。いたって正統派の銭湯スタイルだ。
 源泉温度は51度くらいあるらしいけど、湯船はそこまで熱くはなくて43〜44度くらい。多少うめてるかも。かすかに白濁のシジミ汁、舐めたら塩味だ。塩化物泉らしい浴感が心地エエぞ。
 左側の壁にカラン列がある。どれも快調で使い勝手よし。

 ガラス張りの向こうは広々とした露天風呂だ。庭をバックに石を組んで作られた池っぽい風呂。ここも内湯同様の温泉が満ちている。

 熱い湯、サウナ、水風呂、露天・・・ウロウロ、ハアハアしてまうで。

 しゃれた装飾や珍しい設備はない。まったくもってフツーに銭湯。
 そこに豪快に温泉ドバドバ。えらいぬくもる。
 さらにコゲ茶や黒の地味すぎるタイルが不思議な迫力を醸し出していて、逆に強く印象に残る。
 入浴そのものを堪能できる、ストロングスタイルのよき風呂だ。

 この日は大みそかということもあり、賑わって活気があった。
 上がりはロビーの木のテーブルで、地元牛乳飲みながら地元新聞を熟読だ。
 よく見ると、番台でオリジナル商品が数種類売られている。

 
温泉を煮詰めた塩、500円もしたけど購入

 いろいろと経営努力されているのね。おばちゃんも感じよし。
 他に家族風呂(1時間1100円)もあるらしい。

 旅先での大みそか、しかも山歩きの後やったけど、疲れが全部落ちた。満足できる2013風呂納めであった。 
(2013.12.31) 
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江ノ島温泉

垂水市海潟541−1
→地図

電話 ?
【営業時間】8:30〜21:00
【定休日】不定休
【入浴料金】大人200円


 もともと島だった桜島は、自分が噴き出した溶岩で海を埋め、大隈半島にくっついた。そのへんのちょい南。鹿児島市から見て桜島の対岸に当たる。

 海潟温泉バス停を降りてすぐそばの川岸に、わりと新しいっぽい看板あり。それに従って進むや、飾り気のない素朴な湯小屋が忽然とあらわれる。
 もうタダモノでないオーラばりばりでございます。

 
(左)普通の温泉施設かな、と思わせる看板  (右)土が黒いのは火山灰

 誰もいない番台に小銭を置き、激素朴なる脱衣場で裸になる。
 運命ね。宿命ともいう。そんなことを感じる。すでに呑み込まれた状態だ。

 
(左)黙って脱ぐのみ  (右)これは女湯の成分表。男湯のは剥げていて読めない

 そして生まれたままの姿になったれば、お湯の香りに導かれて夢遊病者のようにこの聖空間へと運ばれる。
 なされるがまま。もはや神を前にした無力な子羊でしかない。

 
湯の神、降臨

 
(左)熱く透き通った湯がザブザブ掛け流し  (右)トド用の木枕もあり

 熱めの湯だ。43〜4度くらいか。しかしアルカリ性単純泉らしくまったりと優しく、気高く香る。湯船のヘリを越えて、絶え間なく極上の湯が渋い床タイルを洗っている。
 地中より惜しげもなく湧き出て、小さき者どもの事情には微塵も介錯せず滔々と与えられ続ける豊饒の光景だ。

 湯に体を慣らしながら、浸かる。首まで沈みながらふんわりと包まれてゆく。しばらくして上がって休み、また浸かる。その繰り返しのみ。

 
(左)女湯は壁下部のタイルがピンク色だ  (右)湯船の底タイルの神々しさよ

 誰もいないので女湯もチョコッと拝見した。
 タイルの色を違えて張った人間の愛らしさと、そこへ悠然と湯を供給し続ける神との妙なるコラボレーションである。

 桜島の影にひっそりと湧く、愛すべき極上温泉だ。 
(2010.7.3)

 
帰りは雨が強くなった
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梅の湯

肝属郡錦江町城元1408
→地図
0994‐22‐1408
【営業時間】15:30〜20:30
【定休日】元旦


 おそらくは、日本で最もディープな銭湯である。
 旅と風呂の意味を問い続ける者は、やがてここへたどり着くのではないだろうか。次元が異なるため、従来の銭湯概念では捉えきれない存在だ。
 しいて言えば「伝説」だろうか。「神話」かもしれない。

 まずもって場所が・・・地元民以外にはまったく見当もつかないエリアだ。

 指宿の隣、日本最南端の有人駅である山川駅へ。列車の本数は少ない。
 そこから1日2〜3便のフェリーで錦江湾対岸の大隅半島へ渡るのだが、駅からフェリー乗り場まで2〜3kmは離れている。両者をつなぐ路線バスの本数は極めて少なく、しかも列車やフェリーの時刻と連動していないため、歩くかタクシーしかない。
 なんとかフェリーに乗ったら大隅側の根占港というところに着くが、梅の湯があるのは大根占の坂元というところ。路線バスはここでもフェリーと連動しておらず、1時間以上の待ち時間を強いられる。開いてる飲食店は皆無。
 なんとかバスに乗ってソレっぽいところ(大根占だったか坂元だったか、バス停の名前を忘れた)で降りるが、田舎の番地をネットの地図に入力してもまもとに表示されないので、テキトーに路地を歩き回って探すしかない。

 おいそれと行ける場所ではない。
 それでも執念の俺は、バス停から見て海と反対側の集落内に、目標の風呂屋を発見した。

 
(左)とうとう見つけた・・・  (右)間違いない

 
(左)番台、というかコタツ部屋  (右)ロビー、というか土間

 営業開始時刻の少し前だったのかもしれん。中に入っても、誰もいない。
 土間から一段上がって、左手にコタツの間、右手に物置の間。どこもモノで溢れている。正月のためか、日の丸の旗が何本も箱に入っているが、売り物のようだ。
 神話の世界に紛れ込んだ俺は、どうしていいかわからなかった。

 誰もいない場合は番台に入浴料金を置いて勝手に入る。たいていの場合、これが田舎銭湯の流儀だ。
 しかし番台がない場合はどうしたら・・・コタツの上だな。いくら置けばいいのだろう。たしか400円ぐらい置いたような気がするが、記憶は定かでない。

 
(左)脱衣場への扉、というか演歌歌手  (右)脱衣場の通路、というか土間+マンガ図書館

 
(左)脱衣場  (右)名言集

 「男湯」の木戸をあけて中へ進むと、ここも土間の通路がのびており、マンガ棚がしつらえられている。
 一段上がって板張りの脱衣スペースがあった。漁師の番屋を思わせる空間には不似合な、いくつかの最新運動器具がものものしい。

 壁にはいろんな人の名言(アントニオ猪木の詩など)がプリントされた紙がたくさん貼られている。
 脱衣場には籠があった。俺は裸になった。

 
(左)浴室  (右)湯船

 よそと比べてどうこう言うのは神話の世界になじまない。旅路の果てにこの風呂場と出会い、いま体験する興奮に身を任せよう。

 奥壁に「ラジウム温泉」の看板が貼られている。「当浴場のラジウム効果は天然湧出のラジウム温泉に劣らない…」と書かれてあるから、ラジウム鉱石か何かが使われているのかもしれない。
 神話的なタイルに囲まれた円形主浴槽の湯はぬるく、少ない。ジェットが1本出ている。
 奥に薬湯があるが、湯はほとんどない。
 手前に四角い水風呂がある。外壁側にはカランが2組ほどある。

 俺はカランで体を洗い、主浴槽と水風呂を何度か交互に入った。そうするうち、地元のおじさん客がひとり入ってきた。
 女湯からは何人かの談笑する声が聞こえている。

 水風呂の向かいにサウナがあることは、風呂から上がってから気づいた。さっきのおじさん客が出入りしていたからだ。
 俺はかなりテンパッていたようだ。

 服を着てロビー(コタツの間の横)に出ると、地元のおばさんたちが何人か賑やかにしゃべっていた。方言がきつくて、あまりわからない。
 俺はたしかコタツに置いたお金の釣銭をもらったように思うが、この風呂屋での出来事全体にぼんやりと靄がかかったようで、あまり記憶がない。

 どだいネットなんぞでこの銭湯の何かを伝えようと考えること自体が無意味だ。
 長い旅をしてこの地に至った者が、その場で体験し、そして心の片隅に小さな温かいカケラだけを残し、忘れてゆく。
 神話の世界とは、そういうものである。 
(2014.1.2)

※鹿児島市からは、鴨池からフェリーで垂水へ渡り、鹿屋で路線バスを乗り継ぐほうが簡単。
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尾之間温泉

熊毛郡屋久島町尾之間1299
→地図
09974-7-2139
【営業時間】07:00〜21:00
【定休日】無休
【入浴料金】大人200円


 屋久島といえば山、山に登ったあとは温泉と相場が決まっている。でこの日も山で大汗かいて、ここへたどり着いた。
 モッチョム岳の大岩壁を望む尾之間集落に看板があり、少し坂を上ると現われる。古いものではなさそうだが、木造り瓦葺のなんともいい感じの建物。右のほうには足湯スペースがあるが、湯は張られていなかった。
 あたりに漂う硫黄の香り。うほー、これは期待できますなあ。

 内部もすべてウッディー空間、もちろん屋久島の杉でしょう。
 フロントのおやじに200円払い、廊下右側の男湯脱衣所へと進む。ロッカーはなく木のタナのみ、横手に籠がある。

 裸になって浴室へ。とたんにかぐわしき硫黄臭の湯気に包まれる。
 戸を開けて4〜5段の階段を下りる半地下構造。木と石とコンクリで造られた、共同浴場的な素朴さに包まれたナイスな雰囲気だ。10人くらいが入れる長方形の湯舟が一つあり、無色透明な湯がへりからあふれて床を流れている。

 どれ、さっそく・・・おぉっ、まろまろっ! そして43度くらいのやや熱め、マイベスト湯温じゃありませんか。さらに底には玉石が敷き詰められていて、足裏もじつに気持ちよか。しかもなんと、この石の下から源泉が直接湧いてきているらしい。
 うひひ〜、いや、まじ最高。くたびれた筋肉が快感のあまりピクピクッと小躍りしやがるぜ。

 男女仕切り壁には「尾之間音頭」の歌詞と、モッチョム岳や棒踊りやポンカンなどこの地方の風物の絵が描かれていて、これまたアットホームな雰囲気。尾之間と書いて「おのあいだ」と読むが、この音頭には「オネダ」とルビがふってある。

 岩をあしらった壁際にはカランが2組と、水鉢がある。シャワーもあるが水しか出ないもよう。他客はほとんど湯舟からかい出して体を洗っている。
 夕方5時すぎ、地元民が子どもからじいさんまで次々にやってきて大繁盛。そらこんな極楽風呂が近所にありゃあ行くわな。俺も通いたい〜。 
 
(2005.12.8)→モッチョム岳登山記
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