関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
  
 【京都市北部】の激渋銭湯 
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(今出川通り以北)

竹殿湯 (北区)
船岡温泉 ★★(北区)
栄盛湯 (左京区)
白川温泉 △(左京区)
(廃業)
蛭子湯 ★(上京区)
(廃業)
京都市北部京都市東部京都市西部京都市南部京都府下の銭湯

竹殿湯

北区紫竹上竹殿町34 地図
【電話】075-492-8207
【営業時間】PM3:00〜AM12:30
【定休日】日曜日


 けっこう本格的なゴーカートのある大宮交通公園で子どもらと遊んだあと、閑静な住宅街を東へ数分歩くと突如現れる、赤壁に唐破風の堂々たる伝統建築。市バスは下竹殿町バス停が近いが、堀川通りの下岸町バス停のほうが本数が多い。
 小3になった娘はまだ一人で女湯に入ったことがないが、この銭湯を見るや、「入る!」と決意の声を上げた。人をそういう気持ちにさせるオーラを放っている。

 
(左)極太の煙突    (右)破風の下にトタンの小屋根、さらに青テントの3段構え

 唐破風の下の玄関周りは改装されているが、安っぽい新建材でなく白壁とタイルでしっかり固めてあるのがよろすい。
 暖簾をくぐると、ここも形状は伝統的だがこざっぱりとした清潔空間。下駄箱はアルミ製。
 ここで女湯へ向かう娘と別れる。いや〜俺のほうがドキドキしちゃうぜまったく。

 
きれいさっぱり

 入ると番台に若めのおにいさん。娘の湯銭も払って一声かけておく。
 脱衣所もきれいに改装されている。伝統ばりばりの折り上げ格天井だが、きれいな壁紙がぴっちり張られていて、おしゃれな感じの天井になっている。こういうのもアリだな。

 中型の浴室も全面改装ピカピカで古さなし。明るいムードの風呂場だ。
 中央に深浅の湯舟がある。深は43度はあるが浅はややぬるめで、ジェット2連つき。
 その両サイドに並んだカラン列の鏡の上は、ピンク・水色・クリームなどのパステル色のタイルで飾られていて、さらに明るく軽快なイメージを醸し出す。

 脱衣所に飛び出すかたちで、半楕円の一人用湯舟が2つある。片やぬるめの気泡風呂でキミドリの入浴剤入り、片や電気風呂。
 そして奥には無料乾式サウナ5〜6人用と水風呂。サウナではゆるく演歌が流れている。
 わりにコンパクトな浴室だが、うまいこと諸設備が機能的にまとめられている。文句なし。

 上がりは飲み物あり。脱衣所の男女壁ごしに声をかけると、娘も無事に上がっていた。でもやはり緊張したのか、サウナの存在には気付かなかったとのこと。
 建物外観から期待したイニシエ風情はまったくないが、明るくて清潔で使いやすい、いい銭湯だ。そしてわが娘の一人銭湯デビューの記念湯として、永遠に語り継がれることであろう。 
(2007.2.3)

 
なかなかナイスじゃ
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船岡温泉

北区紫野南舟岡町82  地図
【営業時間】15:00〜25:00(日祝8:00〜) 
【定休日】無休


 銭湯ファンのあいだでは超有名な銭湯だ。「日本最強の銭湯」とも言われているらしい。
 市バス「千本鞍馬口」から鞍馬口通りを東へ6〜7分歩くと、京都らしい住宅街の中にこんもりと繁る樹木が見え、そこにうずもれるようにして古めかしくも格調高き門構えが見えてくる。立派な唐破風どすえ。
 これ、銭湯の外観じゃないですなあ。オリジナルのれんも渋い。

 
元は料亭旅館だったらしい

 受付はフロント形式で、その周辺は機能的かつ雰囲気をこわさないよううまく改装されている。フロントの人、感じいい。
 男湯のれんをくぐって脱衣場に入る。と、おぉ〜これが噂の!
 欄間のすかし彫りがすごい。男湯と女湯の間の欄間は日露戦争か何かの図。反対側には大名行列。そして格子天井にはなぜか極彩色の天狗の面が取り付けられている。ほとんど博物館状態でございます。装飾でこの銭湯に勝てる銭湯は存在しないだろ。
 ま、とりあえずこの船岡温泉ホームページを見て仰天しておくれ。
 ロッカーは、籐の籠に脱いだものを入れて、その籠ごと収納する京都スタイル。

 脱衣場と浴室の間に中庭があり、浴室へはその池のある中庭を右手に見ながら通路を通っていく。この通路は流しにもなっているのだが、このあたりのマジョリカタイル1枚1枚にたまらない味わいがある。

 浴室は、間口からすると意外に広く、なおかつ歴史まみれの外観・脱衣場とは一転して設備系だ。浅くてぬるめの大浴槽を中心に、薬草風呂・高温風呂・ジェットバス・電気風呂・水風呂・打たせ湯・サウナ(無料)と多彩だが、なんといっても最大のポイントは、中庭にあるヒノキの露天風呂。普通の銭湯でこれは珍しい。
 しかも、湯船だけではない。その背後の壁、東屋風の屋根などもヒノキ造りで、しかも屋根をささえる柱が杉の床柱だったり、湯船の隅に白石をあしらったり、セピア色の照明をスポットで照らしたりと、和風の伝統美を演出する細工が施されている。屋根の裏側まで美しい。思いっきり京都です。

 そんなのを眺めながら、ヒノキの香りに包まれてお湯をチャプチャプしつつ、ぼんやり過ごす。
 うーむぅ・・・。うーむぅ・・・。いやまあ唸るしかないよ実際。
 銭湯かくあるべし。350円でここまでしてもらって、いいものだろうか。

 ちなみに浴室は2種類あり、日替わりで男女が入れ替わるようだ。
 もう一つのほうはヒノキ風呂は浴室内にあり、露天風呂は岩風呂になっている。その岩風呂もイミテーションではなく、2メートルはあろうかという大きな岩石を積み上げ、その上に樹木が繁り、石像なんかも建っている本格的なもの。こちらも最高。

 まあともかく、船岡温泉を知らずして銭湯は語れないかも。京都駅からは遠いが、わざわざ行く価値はある。
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栄盛湯

左京区下鴨膳部町1 地図
tel 075-781-0744
【営業時間】
15:00〜23:00
【定休日】月曜日


 ええ顔したはります。べっぴんさんどすえ。今年出た『京都極楽銭湯案内』という本の表紙にもなったはります。

 北大路通りと下鴨本通りが交差する「洛北高校前」バス停から信号ひとつ下がって東イル。
 とにかく外観が素晴らしい。松の枝ぶりが唐破風ないしは富士山を彷彿とさせる。しばし惚れ惚れと眺めて門を入ると池があり、そこにかかる石橋を渡って暖簾へ向かうというアプローチ。池には大きな鯉がいて、その周囲はこれまた見事な庭だ。広くはないが、いかにも京都らしくキチっと立体的な造形。
 ニクイ演出やおへんか。風呂へ入る前にこないに憩うのは初めてどす。

 
(左)黒い大ゴイは50年以上生きているらしい  (右)銭湯ファン憧れの木札

 
(左)正面に鉢植えのおもてなし

 戸を開けるとすぐ間口分のタタキ。番台は改装されていて、わりと若いオネーサマ(といってもたぶん50前)が愛想よく座る。
 こじんまりした脱衣所はしっくい壁に格天井の伝統建築で、男女仕切り壁も古い。ロッカーは集成材のチープものだが、籠は・・・出ました、柳行李! さっそく使わせていただきましょう。

 ところがだ。
 浴室手前の流しスペースから雰囲気が一変する。浴室の入口は、レトロ系にはありえないステンレス柱に一枚もんの硬質ガラスドア。おんやぁ〜?
 予想通り、浴室内は全面改装。浴槽・タイル・鏡の形から排水溝のフタに至るまで古さは皆無で、しかもこれスー銭風味だぞ。

 まず手前には半楕円形の無料乾式サウナ、広めで快適。サウナ正面に大き目の水風呂、これもナイス。
 でもその隣の深浅浴槽は、ジェット2連つきの深風呂が狭いよ〜。そして奥寄り中央に円形の浅風呂、気泡ブクブク。これが主浴槽的存在だ。
 湯温は円形が41度くらい、深浅が42度くらい。主浴槽の浅さから湯温の低さまで、どう見てもスー銭仕様だな。
 俺の好きな深くて大きな湯舟がないし、イニシエ銭湯ファン的には面白味に欠ける浴室ではあるが、サウナ→水風呂→ブクブクの反復でだらだら楽しめる。

 上がりは飲み物いろいろあり。漫画もあり。
 玄関先の立派な庭は脱衣所とつながっていないので、庭を眺めながら腰に手を当てて牛乳ぐいっ、の唯我独尊行動ができないのはちと残念。
 脱衣所に「栄盛湯友の会 4月親睦会のお知らせ」の張り紙があった。地元衆のコミュニティーとしてバッチリ親しまれている銭湯なのですね。

 外へ出てもまたしばらく庭を眺めて、ゆっくり帰った。  
(2005.4.26)
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白川温泉《廃業》

2010年、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


左京区北白川上別当町6
tel 075-791-2063
【営業時間】PM4:00〜PM11:00
【定休日】土曜日


 和の権化・京都には珍しい洋風建築の銭湯として一部でユーメーなのがここ。
 京阪の出町柳駅からバス約10分ほど。北白川別当町の交差点からちょい下がると、左手の床屋の隣に看板が出ている。
 その矢印の指し示すほうを見れば、超郷愁的な石畳の小さな坂が。この銭湯へ行くための袋小路、異次元空間へのタイムワープ通路です。

 
(左)角の欠けた看板   (右)心の琴線ハジキたおしのロケーション

 細い坂を上がると、すぐ左手に現われる堂々たるモダン建築。古い公会堂みたいな建物がこの細い路地奥に建っている光景はどことなく異様で、妙に興奮させられる。

 
(左)狭い場所によくこんなの建てましたな   (右)わりとそっけない玄関

 戸を開けると間口分のタタキ、古い番台におかみさんが座る。
 脱衣所はかなり濃厚なるイニシエ空間。木質部分の深いこげ茶色が激烈な渋さを演出する中、随所に洋風のしつらえが見え隠れする。和洋折衷とボロさ加減のスリリングなスパークぶりに、マニアならウホウホ言いながら観察に脱衣にと多忙な時間を過ごさざるを得ないだろう。

 
(左)基本は格天井にしっくい壁の日本建築  (右)流しスペース手前にはマジョリカタイル

 
(左)玄関横にはアーチカットな下駄箱スペース  (右)京都名物、籠ごと式の木製ロッカー

 積み上げられた籐籠。貫目表示の体重計に、尺表示の身長計。隅に何かあると思ったらインベーダーゲームだ。当然のごとく壊れており、上にモノが置いてある。
 流し手前の壁には美しくも貴重なマジョリカタイルが張られているが、ロッカーのせいで大部分が隠れてしまっているのが残念。
 浴室の入口手前に桶と椅子が置かれている。これに気づかずに入ってしまった小学生のわが息子は、風呂場で「椅子は? 桶は?」と探し回っていた。

 浴室は中型の広さ。床も湯舟も細かいタイル張りの、京都の古い浴室スタイルそのまんま。お客もじいさんばかり3人ほど。
 男女壁側に深浅の主浴槽、やや熱めの43度くらい。奥にぬるめの小さな副浴槽、こちらは備長炭の袋が浸かっている。ジェットもなんもなし。
 湯舟はやや磨きのユルそうな手触りだが、この手の銭湯独特の時間停止型ひたり感に満ちている。カランやシャワーの出は悪くない。

 あがりは飲み物販売あり。
 存在の貴重さは特級。ただし現役銭湯としては若干雑然とした印象で、老築化とともに微妙なさびしさがぬぐえない。すこし手を入れて磨き上げたら素晴らしい激渋銭湯になるんだろうけど・・・。 
(2005.5.15)

 
背後から見たら老築化のほどがわかる
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蛭子湯 《廃業》

2007年5月に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


上京区新町通立売上ル裏風呂町371
【電話】075-431-1665
【営業時間】PM4:00〜AM1:00
【定休日】月曜日


 ちあき♪さんからこんなメール。

もーったまりません。何がって行ってみてください。
1時間半以上も長湯してしまい、体中ふやけてしまいましたとさ。
タイル絵の富士山もいいですが、なんやしらん落ち着くのです。


 んで操られるようにフラフラと京都の北のほうまで向かう俺。だって住所もすごいぜ「裏風呂町」。どこの裏やねん。
 市バスの上京区役所前から新町通りを北へ2分ほど歩くと同志社の新町校舎がある。そこで道が右へクイッと曲がって校舎の裏に・・・出ました煙突ドーン。なるほど、同志社の裏であったか。

 見た目がちょっと奇妙だ。古いアパートみたいな灰色コンクリの四角い建物の正面入口に、強引にイニシエの唐破風がくついている。懸魚もある銅葺きの立派なものだが・・・建て替え時にもったいないから残したんかな。

 
(左)建物自体は殺風景   (右)唐破風の懸魚

 暖簾をくぐると、やたらと横に長い下足室になっている。
 そして脱衣所に上がると番台におやっさんが座っているが、この番台、下足室にめりこんだようになっている。
 わかったぞ。昔はタタキに番台があって下足と脱衣の一体型だったのを、仕切って別室にしたのだな。

 脱衣所も横長で、全体に昭和中期的な合板改装が施された無造作チープ系。隅に半世紀近くも前のものかと思われるパチンコ台みたいなのが置いてある。
 籐籠に脱いだものを入れ、籠ごとロッカーにぶち込む。

 浴室手前の流しスペースに桶が2つほどある。これを持って入らないと中にはないというパターンだな。この手のところはもしかして・・・浴室に入ると、やっぱり! 椅子なしのベタ座り式だ。
 浴室全体になにやらボヤ〜ンとしたレトロな脱力ムードが立ち込めている。白タイルの壁に包まれたシンプルな浴室だ。カマボコ型天井に大きな四角い湯気抜きが開いている。

 湯気の向こうに見えるのは、奥壁上部に男女ぶち抜きで描かれた富士山のモザイクタイル絵だ。振り返ると、手前の壁上部には湖にボートの西洋風景が描かれている。なかなかよろし。

 湯舟は浴室の中央に、深浅2槽の主浴槽がデンと鎮座する。フチ外側には変形亀甲型のえんじ色タイル、京都ならではの逸品だ。
 深43度、浅42度強と湯温が熱めなのも嬉しいねえ。

 奥にこれまた古いタイル張りの3槽が並んでいる。左の湯舟はゆるいジェット2連つき、真ん中の湯舟は電気風呂、ともに42度弱。
 そして右の湯舟は薬湯だ。乳緑色でほのかにヨモギっぽい香り。ゆるい気泡がコポコポと出ていて、しかも40度くらいなので、なんぼでも入っていられる。いやーこれはジイサマ的極楽度高し。
 さらに手前には京都名物無料乾式サウナと、水風呂&立ちシャワーもある。水風呂は豆タイルぎっしりのイニシエ系。なかなかの充実設備やん。

 男女仕切り壁の隅に金魚の水槽が設置されている。水槽の中は女湯とつながっているようだが、さすがに見えない。この中で数匹のバカでかい金魚がけだるそうに泳いでいるのが脱力ムードをさらに盛り上げる。

 古ぼけたタイル、椅子もなし、ゆるゆる泳ぐ巨大金魚。
 そんな脱力ムードのくせして、なにげにいろいろ揃ってるのがニクイ。古くても清潔だし、湯船の温度が全部微妙に違うのもよろしい。
 とくに薬湯が気持ちいい。たしかにこれは長湯するわ。

 午後5時半前後、相客は3人ほどだった。
 上がりは飲み物販売あり。

 ちあき♪さんの言う通りだ。妙に落ち着くんだが、このよさを口で説明するのは難しい。こんな不思議な銭湯が近所に欲しいねぇ。  
(2007.1.27)
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