メ シ つ き 文 化 遺 産 | ||
![]() |
||
大分県の渋~い大衆食堂 | ||
|
||
大師食堂
中津駅から日の出商店街を抜けて大通りを右へ曲がると現れる。古びたタイル壁とネオンが過去の栄光を匂わせる。 とくに心拍数を加速させるのは、ドア両側に真っ赤な色で書かれた「大師」。なぜなんだ、と問いたくなる。 俺が日本でいちばん好きな銭湯、汐湯へ行くときいつも前を通って気になっていたが、なかなかタイミングが合わなかった。 この日も暖簾は出ていない・・・が、営業中の札がかかっているではないか。 ![]() 中は意外に広い。テーブル6つくらいと、奥にカウンターがある。 12時台なのに客おらず。おやじと、その母親とおぼしきご高齢で線の細い感じのおばあさまが入り口近くのテレビを見ていたが、俺を見てパッと仕事モードに体勢転換し、いったん奥へと消える。 ![]() ![]() (左)広い (右)スナック的カウンター席 置かれているビール用冷蔵庫から壁紙のセンスまですべてが古く、この手の雰囲気が好きな人にはたまらんムードが満ちている。でも、古い割にはこぎれいに維持されている。 メニューは洋食・和食・麺類に分かれる。 洋食はカレーライス400円、オムライス450円など安いが、一番上のAランチ1000円が目を引く。 和食は玉子丼400円から、そしてこれも一番上の和定食1000円が気になる。 麺類はかやくうどん250円、カレーうどん400円、チャンポン450円など、安すぎ。 それとは別に、テーブル上にあった「並定食500円」はメイン料理を選べるようだ。 ![]() 注文を聞きに来たばあさまに「並定食の煮魚、焼き魚はそれぞれ何ですか」と聞くと、「ちょっと待ってください」と奥へ聞きに行かれた。 もしかして今日まだ誰も客が来てないんか? 戻ってきたおばあさまは、「煮魚は鯛、焼き魚は塩鯖」だとおっしゃる。塩鯖、のところで妙に恥ずかしそうに言いごもる感じがあった。 なんでや、500円の並定食で塩鯖の何が恥ずかしいんや! 総合的に判断して不吉な予感を覚えつつ、煮魚を注文して待つ。テレビではしょーもないバラエティがかかっている。 しかしその予感は杞憂に終わった。やってきた煮魚の並定食、ええやん十分やん! すごく丁寧に作られている感じ。 飯はやや少な目だったが、俺はこれくらいでちょうどいい。味噌汁も熱くで具だくさん、玉子焼きも嬉しい。 ![]() 俺が食べている間、おばあさまはホールにたってテレビのしょーもない番組を見ていた。息子は姿を現さない。 1時をまわって食べ終わる頃、ようやく次の客が来た。60歳くらいの女性が一人。 営業中は暖簾をかけるほうがいいと思うが、もしかしたらヘタに暖簾をかけて、知らん客に大勢入って来られても困るのかもしれん。 静かにメシを食えた俺は気に入った。次はフンパツしてAランチ1000円を頼んでみよかな~。想像するだけで胸がはち切れそう。 ![]() |
||
このページの頭/激渋食堂メモのトップ | ||
食堂石山
杵築バスターミナルからお城方面へ2分。地味に角張った食堂が現れる。暖簾がかかっているので営業しているのだろう。 中に入ると、テーブル三つに小上がり5卓くらいあって、なかなかの収容力だ。 お昼前でまだ客は誰もいないが、おっちゃんとおばちゃんがいて、昼の弁当作りで忙しそう。 ![]() ![]() (左)なんとも地味な面持ち (右)縦列テーブル、左手に収容力のある小上がり テーブルに座って壁のメニューを見ると、麺類・丼物・定食ものが標準的な大衆食堂価格+50円くらいで並ぶ。めし250円、味噌汁200円は関西標準と比べるとチト高い。 麺類はうどん類・ちゃんぽん・冷やし中華・焼きそばなどがあるけど普通の中華そばがないという、九州にありがちな構成。 特筆すべきは焼肉メニューの存在だ。そして焼魚、揚げ出し豆腐、モロキューなど一品ものもあるから、小上がりでのビール宴会需要があるのだろう。 年齢層バラバラなグループでここの小上がりに陣取り、バラバラな注文でダラダラ過ごすのも悪くない。 親子丼600円を注文。それから大瓶たのんでもーた。野菜炒めにしといたらよかったか。 昼間からビールを飲みつつ、黙々と作られた親子丼を黙々と食べ、ボーッと一人憩う。そんな旅のヒトコマであった。 ![]() (2017年5月) |
||
このページの頭/激渋食堂メモのトップ | ||
一休み ★
以前から前を通っては気になっていた店。一見そっけないけど、暖簾がよいね。 それにやっと入れたと思ったら……予想を上回る感動が待っていた! 11時半頃、戸が開いてカウンターにおかずの大皿と弁当箱をズラリと並べ、二人のオバチャンがせっせと弁当を作っているのが見える。顔を突っ込んで「ここはお弁当やさんですか? 食堂ではないんですね?」と聞くと、 「12時半からしか食事はできないよ」との答え。弁当注文が片づいたら食堂になるようだ。 時間をつぶして12時半に覗いたら、まだ弁当作りが続いている。仕方なくさらに30分ちょい散歩してから再び行くと弁当箱は消えていた。 中に入って「ご飯、食べられますかね」と言うと、オバチャンはこうおっしゃった。 「もうちょっと早く来てくれたら・・・いま10人来るって電話があったんですよ」 席はカウンターに沿って並ぶ固定の丸椅子がちょうど10。そんなぁ~。 名残惜しげにグズグズしていたら、オバチャンの一人が「ささっと食べます?」と聞いてくれた。 「ハイッ、ささっと食べるであります!」 ということでお許しが出た。 カウンター上にはうまそうなオカズの大皿がざっと7~8並んでいる。積まれた皿を一つ取り、そこへオカズ群から好きに取ってよいという、津山のかっぱ食堂に似たシステムのようだ。 それで500円! ![]() ![]() 楽しいなぁ~! 喜び勇んで取っているところへキターーーッ10人様。 俺はどこへ逃げ隠れすればよいのかとキョドっていると、10人様のうちお二人はお子様で「膝に乗せるからいいですよ」とのことで、俺はそのまま隅の丸椅子で、尻尾を股ぐらに挟んだ情けない犬のようにこっそりと食い続けてもいいことになった。 ![]() 聞けば10人様は親戚友人4ファミリー様だった。子どもたちは騒ぎもせずにお行儀よく食っている。 10人様が現れて、カツの皿が新たに登場した。俺もそれを一切れいただいた。 そしてお吸い物が出た。何かわからんがハモの頭みたいなのがダシとして入っている。そして豆腐やらネギやら具だくさん。「かぼすを絞ってね」とオバチャンがおっしゃるので、テーブルに盛られたカットカボスを絞って入れてすすってみたらば、まーなんとウマスギルことか! 当然、酸っぱいんだが、メッチャうまい。こんな汁の食い方は初めてだ。 ![]() さらにソーセージの皿が現れ、お子様方がそれをさんざん食った後、最後の一切れを美しいお母様が「お一つどうぞ」と俺にも恵んでくださった。 さらに柿の大皿が現れた。10人様のデザートのようだが、俺はどのクソガキ様よりも素早く数切れ手づかみで取って頬張った。ウンモァ~。 ![]() 年中無休でやっているとオバチャンはおっしゃる。昼と夕方は弁当作りで忙しく、食堂タイムは間の3時間半ほどだけ。オバチャン、一休みしてもいいんですよっ。 最近、地元のテレビで紹介されたらしく、団体ファミリーはそれを見て来たようだ。 レアでディープな感激食堂、再訪確実。(2017年11月) |
||
このページの頭/激渋食堂メモのトップ |