メ シ つ き 文 化 遺 産
激渋食堂メモ
東京都の渋~い大衆食堂
千曲食堂 (練馬区、練馬駅)
軽食なかや (豊島区、落合南長崎駅)
なみき食堂 ★(豊島区、要町駅)
天平食堂 ★(豊島区、大塚駅)
民生食堂 天平 (中野区、高円寺駅)
定食のヤシロ (杉並区、高円寺駅)
日正カレー (台東区、南千住駅)

千曲食堂
練馬区豊玉北5-32
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電話/03-3994-2612

【営業時間】 07:00~19:00
【定休日】 無休


 練馬区役所の近くに、凄みさえ感じさせる激渋食堂がある。表に貼られたメニューがえらい安いで!
 ということで練馬在住の息子と8時半に朝メシ食いに来た。

 
魅かれる!

 中に入るとカウンターのみの狭い店で、7~8人で満席になる。それがけっこういっぱいやん。先客の背中と壁のスキマをすり抜けて、真ん中あたりのカウンターに座った。
 カウンター内にはかなり高齢のおばあさんがお一人。休みなしでやっているという。

 頭上に一品ものメニューが豊富にズラッと貼ってある。カウンターとおばあさんの間に、おかずケースが置かれている。カレイ煮付けがうまそうだ。

 
(左)この狭さ   (右)おかずケース

 左側の中年カップルは朝から飲んでいる。右側は大阪弁の酔っ払い女と男ダチ2人ほど、やはり飲んでいる。
 どう見ても朝まで飲んでの帰りやな。両側でタバコすぱすぱ吸いやがって。

 ごはん+味噌汁+漬物で200円だ。俺はそれにハムエッグ350円、息子は塩サバ350円。
 間違いのない安心おふくろ味、二人で1100円だった。

 
ハムエッグ整っている

 おばあさんが一人で切り盛りするミニ食堂は、たいてい客も年寄りなことが多い。だが、さすがは東京というべきか。幅広いニーズがあるようだ。
 しかし休みなしとはね・・・客としては有難いけど、おばあさん、お体を大切にやっておくれよ~。

 ファーストフード店やファミレスのパートでこき使われているオカーチャン方は、ぜひこういう店をばんばん開いてもらいたいものだ。安くておいしければ、ぜったい流行る。
(2015年4月)
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軽食なかや
豊島区南長崎3-6-16
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電話/03-3951-9565

【営業時間】09:00~20:00
【定休日】未確認



 手塚治虫や藤子不二雄など、日本を代表する漫画家らがかつて住んだトキワ荘。その跡地から1分もかからない場所にある。
 黄色いテントには「軽食」と書かれているが、暖簾は「大衆食堂」。

 たぶん普通の食堂

 テーブル4つほどの小さな店。70近いおかみさんが愛想よく対応してくれる。
 壁メニューは多くない。いちばん安いのは焼きそば400円。ラーメン450円、丼物600~650円、いちばん高いカツカレーで700円。そして日替り定食650円はチキンソテー。

 
(左)こぢんまりとした店内 (右)トキワ荘絵はがきをくれた

 「トキワ荘の人らもこの店にも来たんですか?」とおかみさんに聞くと、
 「あの人らがおったのは、うちができるよりもうちょっと前ですから…うちは40年前からです」とのこと。
 といいながら、おかみさんはトキワ荘絵葉書を2枚くれた。商店街おこしに使っているようだ。
 料理は奥の厨房で別の人が作っている。

 やがて、親子丼が盆に乗ってやって来た。味噌汁と漬物と小さな冷奴つき。
 フタが浮いている…フタが閉まらんほど中身が山盛りだ。「軽食」ちゃうやん。
 フタを取ると、大ぶりの鶏肉がゴロゴロ入っていて、タマネギとともに玉子でしっかり目にとじられている。まあこんだけ山盛りやと、繊細なじゅるふわ式ではうまいこといかんわな。

 親子丼650円

 豪快な親子丼で腹いっぱい。これが東京式なのかどうかはよそでも食べないと判断できんけど。
 みそしるはエノキ入りだが、ちょい薄い。でも茄子の漬物がうまかった。
(2016年7月)
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なみき食堂 ★
豊島区池袋3丁目37-2
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電話/?

【営業時間】 10:00~14:00
         16:00~21:00
【定休日】 金曜日



 要町からややこしい道を徒歩7~8分、池袋からなら10分くらい。やや入り込んだ入口に遠慮がちな暖簾がかかっている。
 中に入ると閑静にして見事な昭和空間。でも4人テーブル×3に対して2人テーブル×5と、少人数を想定したテーブル配置がちょっと変わっている。

 
(左)静かな店内   (右)2人がけテーブルが並んでいる

 卓上メニューを見たら、どれも安いやん! 「とんかつ」も「豚しょうが焼」も320円、オムレツ200円やとう!
 丼物や洋食は500~700円台。ラーメン490円。
 おばちゃんも感じエエし、なんかここすでに気に入ったわ。

 そのメニューから、めし小120円、味噌汁60円(!)、ハムエッグ180円を注文した。計360円の朝めし。じゅうぶんやん。
 しかも味噌汁は60円やのにワカメうまい。ハムエッグも過去最安値やぞ、一つ玉やけど。

 
めしは小でもたっぷり

 料理は奥の厨房でおやじさんが作っているようだ。
 俺が来たのは11時半ごろで、相客ははじめ60歳くらいの夫婦一組だったが、12時近くになると初老の4人組、さらに常連ぽいおっちゃん一人が来た。
 そのおっちゃん客が4人組に、
 「あそこん中におかずが並んでるから、そこから選べるよ」と厨房の窓口を指している。それで俺も初めて作り置きおかずの存在に気づいた。

 厨房の窓口から覗くと、厨房内は広く、覗いたところにいろいろウマそうなおかずが並んでいるではないか。

 
(左)あそこが厨房窓口   (右)おおお!

 朝っぱらから刺身やらなんやら豊富やんか!

 雰囲気、値段、料理、すべてよし。また来なければ!
(2015年4月)
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天平食堂 
豊島区北大塚1-34-13
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電話/03-3917-5391

【営業時間】 11:30~14:30、17:30~21:30
【定休日】 日曜日



 大塚駅から5分くらい歩いたところ。2つのビルに挟まれながら暖簾を揺らす健気な姿は、まさしく、“ちいさいおうち”以外の何物でもない。

 
(左)がんばれ、負けるな!   (右)湯気にけぶる店内とメニュー

 中に入ると、年季が入りつつもきれいに整えられた店内。手前にテーブル4つほどと、奥に小上がり座敷4卓あり、狭い店の半分ほどを座敷が占める。

 
居心地のよさ抜群

 おばあさんとおじいさんがやっておられる店。お二人ともにこやかで注文を頼みやすく、すこぶる感じよい。
 小あがりの壁上部には食品衛生関係のいろんな賞状が飾られている。

 
(左)この日の一品もの   (右)あぁ、こういう店で鍋もええなあ

 メニューは定食が500円台から20種類くらい、丼物からオムライスなど洋食もの、ラーメン480円などのほか、一品ものがいろいろ。かなり種類が多いが、そば・うどん類はない。
 この日は10年以上ぶりの知人とここで待ち合わせ。小上がりに陣取って、ビール大瓶550円や酒(沢の鶴)400円を飲みながら、一品ものを次々に作ってもらう。

 
(左)なすしょうが炒め300円   (右)さしみ600円?

 
(左)なんかの天ぷら   (右)タラコとオムレツ?忘れた

 
(左)コロッケ   (右)つけもの

 どれもうまい。だんだんと値段もわからなくなり、メニューから選ぶというよりは食べたいものを作ってもらう感じになってきたぞ。

 客層はいろいろだ。若い女性が小あがりの隅の席で一人で晩飯を食っている。その女性が帰ったら、また別の若い女性が同じ席に座って一人めしを食いはじめ、閉店過ぎて10時ごろまでいたのが印象的だった。
 我々もうっかり10:15くらいまでいたが、お店のご夫婦は嫌な顔ひとつせず、愛想よくて嬉しくなった。お勘定は、あれこれ食って生ビール2杯にお銚子4~5本飲んで、2人で4000円台だった。

 この店のおかげで、俺の中で東京全体の好感度が上がってしまったではないか。
(2015年4月)
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民生食堂 天平
中野区大和町3-10-14
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電話/03-3337-2488

【営業時間】11:00~20:30ごろ
【定休日】金曜日



 高円寺から北へ15分くらい歩いたかな。中央線と西武新宿線の中間あたりの、便利なのか不便なのかようわからん地域。
 一目見てズギューン!とやられた。角地に建つ、この造り、看板、植木、タイル、ショーケース、暖簾……。全然腹減ってなかったけど、思わず入ってもうた。

 民生食堂って、南千住のドヤエリアでも見かけたけど、きっと俺みたいな貧乏人のための食堂なのだろう。そのくせ看板に「鰻蒲焼」と書いてある。貧乏人に鰻を食わせてくれるとは…。

 
(左)側面 (右)ヒナビの店内

 ガラガラっと入った瞬間、時計の針がキュルルと逆回転した。これは昭和、それも戦後まもなくの世界ではないか。
 やや薄暗い店内では、店のおやじさんと思しき高齢男性が一人で食事中だった。俺を見て食事を中断し、すぐにお仕事体勢に入られた。
 相席用の長いテーブルと、小さなテーブル3つ。いろいろな写真や賞状が額に入れて飾られている。

 腹が減ってないので、とりあえずビールもらお。中瓶にしたかったが大瓶しかないという。大瓶700円はチト高い。そのかわりキリンラガー、一番搾り、アサヒの三種類あり。
 ビールには柿ピーがついてきた。

 そして壁にズラリと貼られたメニュー数多し。マグロ刺身を始め居酒屋的な一品ものがたくさんあり、それに飯と味噌汁をつけた定食がだいたい700~800円になる感じ。
 ヤキトリ2つ70円、味噌汁100円など安いものもあるが、親子丼・かつ丼が800円(上1000円)、オムライスも800円とは、民生食堂の名に似合わず微妙に強気な値段だ。
 問題の鰻は、蒲焼3200円、うな重3600円。うむ~。

 
(左)カウンター下のタイルも渋い! (右)雰囲気は最高

 真面目一筋とお見受けするおやじさんに、アジフライ単品400円を注文した。火を落としてたのか、できてくるまで10分ちょっとかかった。たぶん一から丁寧に作ってくださったのだろう。

 
アジフライ400円、けっこうボリュームあり

 あっつあつに揚がったアジフライでビールを飲みながらポツポツと聞くと、この店は昭和26年創業、30年改築。おやじさんで二代目だそうだ。
 だんだん客が少なくなってきてる、とおっしゃる。たしかに、店の雰囲気を味わう「拝観料」コミの値段としても、このご時世に大瓶700円では、たびたび通うのは厳しいだろう。

 しかし他では得難いムード満点の文化財的な店だ。おやじさんも味わい深い。末永く続いてほしい。
(2016年7月)
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定食のヤシロ
杉並区高円寺北3丁目17−3
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電話/03-3330-4632

【営業時間】10:30~22:30
      土曜日は22:00まで
【定休日】日曜日



 高円寺の駅から徒歩6~7分。看板の「早い!安い!うまい!」に勢いを感じる。

 いろんなお店が並ぶにぎやかな通り

 テーブル4つとカウンター席。表の看板には「おふくろの味」とあったが、60手前くらいの淡々としたおやじさんが一人で店番をしている。
 カウンター前のガラスケースに入っているお惣菜、その上に並んでいる魚などのうまそうなこと。

 
(左)使い込まれているが清潔な店 (右)メニュー多し、お惣菜も魅力的で迷う

 定食の店といっても、〇〇定食とはじめからセットが決まっているのではなく、メニュー短冊にはおかず単品の値段が書かれている。それと、めし大中小と汁などを別々に頼んでマイ定食を作る方式。俺の好きなパターンだ。
 だが麺類はない。カレーもない。おかずとめしに特化している。こういう店は関西にはないので新鮮な印象。

 魚系、野菜系、どれも150~300円台。ウーム安いではないか嬉しいではないか。
 豊富なあまり迷って決められず、結局はハムエッグ300円、ごはん小150円、味噌汁70円、それにオクラ納豆150円で合計670円定食とした。

 よけいなことを言わず、淡々と作るおやじさん。とても手早くてまさに江戸的な職人だ。そしてできた料理をサッサッとすばやく持ってくる。
 「どうぞ」といった言葉もとくにないが、流れるような職人技を見て悪い気はしない。

 
(左)われながら満足できるマイ定食670円 (右)揚げナス1個70円

 食いながら、さらにお惣菜のうち揚げ茄子がとくに気になったので聞くと、二つで150円だが一つでもいいとおっしゃるので、1つもらった。アツアツにぬくめ、生姜をすって散らせる。
 合計740円やったから、茄子1つ70円。

 うーむ、看板の「早い!安い!うまい!」は本当だった。しかも組み合わせ無限で楽しい。この日はあまり時間のない昼飯だったが、次は飲みがてらゆっくり居座りたいなあ。
 近所にあれば最低でも3日に1度は通うであろう名店だ。
(2016年7月)
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日正カレー
台東区清川2丁目9−12
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電話/03-3873-5810

【営業時間】 11:00 ~ 21:00
【定休日】 日曜日



 雨のそぼ降る泪橋からドヤ街をぐねぐねっと抜けていくと、角に渋い店がある。1階暖簾まわりのたたずまいもいいが、2階部分の外壁に取り付けられている3つの看板がじつによい。

 
豚(たぶん)の絵がよい

 中に入ると、相当年季の入った小空間にテーブル3つほど。他に客はおらず。散在する丸イスが沈滞ムードを盛り立てる。
 床のストーブ前には段ボール箱が落ちている。いや、落ちているのではなく、中で猫が寝ていた。ストーブかぶりつきの猫御殿なのだった。

 
(左)店内   (右)中央に陣取る猫御殿

 
(左)火事で焦げたかのようなメニュー   (右)オリジナル湯のみが渋い

 壁に貼られているメニューの黒ずみっぷりには、なにか意地のようなものを感じてしまう。カレーライス(650円)類とラーメン(500円)類、丼物700円~、その他洋食ライスもの。
 チキンライスの横に「野菜イタメライス」や「オムレツライス」などが書かれているが、まさか野菜とライスのまぜ炒めみたいなんとちゃうわな?

 地味な感じのおやじが一人でやっているようだ。カツカレー850円を注文した。

 
(左)カツカレー   (右)お客さんからのお手紙

 壁に、若い女性と思われるお客さんからの手紙が貼られている。猫好きなのだろう、この店で過ごした猫との思い出写真も一緒に何枚か貼られている。

 やがておやじがカツカレーを持ってきた。カツの肉が厚いやん、嬉しいではないか。カレーは普通の日本カレーで、昔から食べ慣れたような安定の味だ。

 肌寒い日だったが、ストーブの効いた部屋で猫の寝姿を見ながらカレーを食って、たいそう温もった。
 場末の小さな古びた食堂から、汗をかきかきまた外へ出てゆく。そんな旅のヒトコマであった。
(2015年4月)
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