ちょっとした旅ホーム
片野鴨池

生涯一度の邂逅



2004年12月9日
(石川県加賀市)

 去年の「出水の鶴」に続き、今年は「加賀にある片野鴨池へ行きたい」という姉上に、ナビ助として同行した。
 鴨池はラムサール条約の登録湿地で、大陸からやってきたたくさんのガン・カモ・ハクチョウなどが越冬しているらしい。でもその数が年々減ってきて問題化しているんだと。

 今回は車でのドライブツアーだ。北陸道を加賀インターで降りて海のほうへ向かう。冬枯れの田んぼを10分ほど走ると、正面に低い丘の連なりが迫ってくる。丘の向こうは日本海。鴨池は、この丘と日本海との狭間にポツンとある。
 あたりの田んぼでは、さいきん減ってきた鴨池の鳥たちのために、彼らが餌をとれるよう、乾田化された田にわざわざ水を入れて湿田(冬みず田んぼ)にする試みが始められている。カモはあんな口だから、水がないと餌を食えないんだな。ジジイみたいなやつだ。

 手前が「冬みず田んぼ」、向こうが普通の乾田

 丘を登ると、鴨池観察センターという小さな建物がひょいと現れる。建物の向こうに鴨池があるようで、鳥はここから眺めろということらしい。
 観察センターに入ると正面がガラス張りになっており、正面に鴨池が見える。

 森に囲まれた小さな池だ。ビックリするくらい。思わず「森トンカツ、泉ニンニク・・・」という歌詞が浮かんでくる。
 しかしこんなちっぽけなところに、はるばる遠くからやってきた野鳥たちがひっそりと生息しているとはね。まさに鳥たちだけの聖域だ。
 といっても鳥どもの多くは昼間は遠くの田んぼに餌を探しに出かけているとかで、今はさほどぎっしりといるわけではない。
 それでも池の奥のほうを眺めると、けっこうな数がいる。

 
(左)鴨池、これで全部   (右)白鳥とガン・カモ類が中心

 しばらく望遠鏡で見ていたが、鳥おたくの姉者と違って、30分で飽きてきた。ひとり観察センターの外へ出て、しばらく散歩する。
 鴨池の周囲は、海岸沿いになだらかな丘が広々と連なっていて、大部分がブドウ畑になっている。森に囲まれた鴨池とはまったく異なる風景。稜線からは白山が見える。

 霊峰・白山、2702m

 てきとうに歩いて鴨池へ戻る途中、出かけていたガンかカモかの大群が鴨池へ戻ってくる場面に遭遇した。
 大量の数の鳥たちが騒々しく鳴きながら何度も旋回し、徐々に輪を縮めて森に囲まれた1点に集約されながら降りてゆく。いや、これはなかなかの見ものだ。
 鴨池は、外の丘からはまったく見えない。まさしく秘密の楽園、そこだけぽっこりと別世界になっている。
 鳥たちにとっては、ほんとに「ここしかない」ということがよくわかる。

 観察センターに戻ると、わが姉者がいきなりウザイほどに興奮して、こう言った。
 「ア、ア、アンタ。一生に一回しか見られへんもん見したろ。一生に一回や。いや、もしかしたらわたしはまた見れるかもしれん。でもアンタみたいな鳥に興味のない一般人にはたぶんこれが一生に一回や。コレ、これや。この望遠鏡や。覗いてみ。ええから覗いてみ!」
 もー、なんやねん・・・と思いつつ、言われた望遠鏡を覗いてみる。と、こんなワシみたいな鳥がいた。
 「何、あれ。トンビ?」

 眼光ハードボイルド

 「アホかアンタ、あれはな、○○○○や。森の王者○○○○!」

 ○○○○はイヌワシに次いで2番目に大きな猛禽。自然保護的観点からはネットに情報を流出させるのも憚られる絶滅危惧種らしいので、検索にひっかからないようとりあえず伏字にしておこう。はっはっは。このさい知る権利の制限だ。
 ともかく、見ようと思って見られる鳥ではないらしい。
 それを僕のような鳥なんてどうでもエエ人間が、あたかもハトでも見るかのごとく、アップでじっくり見てしまった。しかも20分間くらい、アクビしたり屁をこいたりしながら。そして写真まで撮ってしもうたわ。だってそこの枝にずっと留まってるんだもん。

 どうもこれは奇跡に近いことらしい。
 出水のソデグロヅルに次いで、僕が歩けば絶滅危惧種に当たるようだ。次はツチノコ探しでもやるか。

 ○○○○様は鴨池のカモ類を食おうと思って来たらしい。しばらくはヤバイ目つきでカモの群れを睨みつけておられたが、○○○○様のおこぼれにあずかろうとカラスが数羽やってきたのがお気に触ったらしく、いつしかいなくなってしまわれた。

 さてと。まだしつこく観察を続ける姉者を説得してやっとこさ鴨池を離れ、今日の宿の金沢へ向かう。

 鴨池から少し北には尼御前の岬

 約1時間ほどで金沢市内。古い街だけあって幹線道路でも狭く、中央分離帯はない。なのに公共交通はバスのみだから車は多い。
 とりあえずソバ食って姉者と別れ、いろは湯(レポートこちら)でのんびり腰を癒してから、夕暮れの城下町外縁部を1時間ほど散歩しつつ宿へ向かう。ぐねぐねした迷路状の道が楽しい。

 犀川のゆふぐれ

 宿に戻ってから、晩飯を食いに姉者と片町へ。何軒か物色して「ぼんぼり」という店へ。この店、当たりでした。うまい&安い。

 
(左)片町で見つけた看板。「フロミス」って・・・  (右)ナイスな居酒屋、ぼんぼり

 
(左)寒ブリとか甘エビとか、もうとにかくアンタ  (右)感動のかぶら寿司

 能登のカキ、うますぎておかわり

 しかしまあ、この時期の日本海の魚のうまさときたら、ただごとじゃないな。あほらしくて瀬戸内の魚なんかもう食えない。来年から死ぬまで、必ず冬には北陸へ魚を食いに来ることを決意した。

 さんざん飲み食いしたあと、宿の近くの激渋銭湯「野町湯」(レポートこちら)でシメて寝た。いや〜充実した一日だったのう。うふふふふ〜。

 再開発中の金沢駅前

ちょっとした旅ホーム