兵庫県の小都市ちょっとした旅ホーム
網干から姫路臨海部・各駅停車の旅
(兵庫県姫路市)

(2004年4月22日)

 山陽電車の「三宮〜姫路1dayきっぷ」、最高。
 JRだと三宮〜姫路を往復するだけで2000円を超えるんだが、この切符だと1400円で乗り降り自由だ。
 で、行ったことのない姫路南部の臨海エリアを途中下車しまくりで歩いてみた。


 渋いぞ網干

 阪神三宮から「直通特急」に乗り、飾磨で乗り換えて終点の網干へ。
 昔、NHKで夕方やってた人形劇「新八犬伝」に「さもしい浪人、網干さも次郎」というのが出てきたが、その頃から気になっていた町。いかにも漁港〜っちゅー地名だな。
 網干駅から南へ。余子浜商店街(といいつつ寂れきって商店はほとんどない)を抜けると網干川の橋に出る。ここから先は揖保川河口の三角州になる。江戸期以前から栄えた古い港らしいが、現在は沖が埋め立てられてしまっている。
 おっ、こんな駅から離れたところからまた商店街が始まってるぞ。ゲートに「橋本町商店街」と書いてある。
 この商店街、そうとうシブイ。寂れているんだが、なんちゅーか品がある。

   
(左)網干川  (中)橋を渡ると、ここから網干の核心部  (右)こんな文化財的な洋服店があったり

 網干はかつて龍野藩の領地だったが、あるとき龍野のナントカいう殿様が四国の丸亀藩に放り出された。だが網干の一部のみ領有を許され、以後、網干は町の東半分「新在家」地区が龍野藩、西半分の「興浜」地区が丸亀藩と分断統治されてきたらしい。
 このあたりは旧龍野藩の新在家地区。商店街が途切れるあたりに網干神社がある。いかにも港町の神社らしく、派手で威勢のいい拝殿の面がまえ。

  ケンカ強そう

 寺もやたらと大きくて立派なのがあちこちにある。
 丸亀藩の興浜地区へ。黒瓦の古い家並みが続くが、こっちも寺と神社はやたらと立派。海にはそれだけ危険が多かったということか。

 
(左)新在家の善慶寺。ごついです  (右)興浜の魚屋さん。店はショボいが家は堂々

 興浜地区には江戸時代の建物がまだ残っていて、かつての栄華が偲ばれる、雰囲気いっぱいの迫力ある街並みが続く。まったく観光地化されていないのがちょっと不思議だが、その寂れっぷりがまたなんとも。

  
(左)丸亀藩の奉行所跡  (中)(右)なんかしらんがたぶん江戸時代の豪邸

 さらに西へ歩くと揖保川に出る。土手にナノハナが満開。
 橋を渡るとやはり三角州の浜田地区、こちらはよくある漁村風景。興浜ほどの歴史的建造物はない。
 浜田地区のさらに西には揖保川の河口分流である中川が流れており、そこが姫路市と揖保郡御津町との境界になっている。

 
(左)揖保川にかかる本町橋から河口方面。臨海工業地帯の煙が見える  (右)木村温泉

 駅に戻る途中、余子浜地区にある網干唯一の銭湯、木村温泉の前を通る。木造モルタルのそっけない安普請な建物。まあこれはこれでマニアには味わいがあるんだが。


 大津〜広畑〜飾磨の銭湯めぐり

 さてと。せっかく乗り降り自由だから、姫路臨海部の銭湯を順に見て回るとするか。
 網干から2駅隣の天満駅(姫路市大津区)下車。新日鉄の企業城下町らしい高度成長期的な街並み。徒歩2分のところに天神湯発見。なんかガチャガチャした古いビルだが全体が銭湯のようで、スー銭のはしりっぽい印象。

 次の電車に乗って、また2駅隣の夢前川駅(姫路市広畑区)下車、こちらも同様の昭和的街並み。徒歩3分のところに新鶴湯発見。玄関まわりは安っぽい新建材で改装されているが、なかなか感じよさげな下町銭湯。

 次の電車で、また2駅隣の飾磨(姫路市飾磨区)下車、商店街を南へ。古い港の風情と昭和的商店が混在するひなびた街並み。徒歩2分のところに旅館併設の薬師湯発見。こじんまりした、典型的昭和レトロな地味目の看板建築。
 けっこうそそられたが、ここから徒歩5分のところにあるもう1軒の中島湯も見に行く。この中島湯の風情が一番気に入ったので入湯。内部もよかったぞ。「名銭湯・播磨編」に★つきでアゲた。
 湯船に浸かりながら、「若いころアマ相撲で全国3位になったことがある」という地元の初老オヤジと、腰痛について語らう。「エッチのときは気をつけなあかん」そうだ。

  
(左)ゴチャゴチャした天満の天神湯  (中)旅館併設、飾磨の薬師湯  (右)そして僕が入った中島湯。いい感じでしょ?

 さてと。よく歩いたし風呂も入ったし、そろそろ1杯行きたいところだ。でも、せっかくのフリーきっぷだし、陽があるうちに残りの銭湯も見てしまおうか。僕ってまじで貧乏性だな。


 妻鹿という迷路

 飾磨から山電本線で大きな市川を越え、1駅隣の妻鹿(めが)駅を下車して、南へ。
 この妻鹿というところはすごかった。古い漁村なんだろうが、ここまで迷路のような細い路地のみの密集集落は都市部では珍しい。立派な黒瓦のお屋敷と崩壊寸前の廃屋とが混在している。朽ちた廃屋の中庭で幼児が遊び、ヨボヨボのステテコじじいが廃材を積んでいる。とても21世紀とは思えない光景。歩きながら「スゲー、スゲー」と独り言が口をついて出てしまう。しかしここまで建て込んでても、寺だけはやはり広々してるのが異様だ。

 迷路を歩き回るうち、いきなりチュドーンと巨大なレンガ四角煙突登場。迷路の奥の奥の奥にある濃厚銭湯、桜湯だ。すげー! いまだかつてここに外部の人間が入ったことはないんじゃないか。だって、たどりつけないよこれ。桜湯は浴場組合の名簿にはないが、電話帳には載っている。

  
(左)夕暮れの市川  (中)黒瓦の古い家が密集する  (右)ぐねぐね続くよ妻鹿の路地

  
(左)桜湯、いずれ入らにゃならんな  (中)妻鹿の神社  (右)飢饉に備えた江戸期の蔵も残存

 兵庫県浴場組合のホームページによると妻鹿地区には住吉湯というのもあるはずなのだが、発見できなかった。
 いやーしかしディープな路地もここまでくると文化遺産だなぁ。


 白浜の宮ウロウロ

 駅へ戻って神戸方面の電車に乗り、ひとつ隣の白浜の宮で下車。駅前に松原八幡神社という大きな神社がある。驚いたことに、正面の鳥居前に階段状の観客席が設置されている。どうも荒っぽいケンカ祭りが名物らしい。
 ここもかつての港町と近年の住宅開発とが渾然一体となった町だなぁ。でも住むならこれくらいがちょうどいいかも。妻鹿までいくとヨソモノにはチトしんどいだろうし。
 グルグルとずいぶん歩き回って、やっとこさ杉の湯発見。木造モルタルにトタン屋根の下町庶民系プチ銭湯だ。

  
(左)松原八幡の迫力ある楼門  (中)隣の寺では子どもが穴掘り遊び  (右)杉の湯、なんかかわいい。ここもいずれ


 姫路の飲み屋で〆

 さて、とうとう日も暮れてきた。もー足も腹も喉も限界。どこで飲もうかな〜。せっかくのフリーきっぷだし、神戸とは逆方向だが姫路まで行ってやれ。
 姫路駅の北西を少しぶらつき、駅から2分ほどのところにあった「八起」という焼き鳥系に入る。70歳くらいのおかみを中心に女性スタッフばかり3人という、鳥にしては珍しいパターンだが、いやーここ、うまかった。焼き物もだが生ものが絶品だ。鳥の酢の物とか。さんかくもうまい〜。客の年齢層も幅広く、なかなかの居心地。
 カウンターで隣に座った55歳の女性(公文塾講師)と絵本の話で盛り上がる。「悩んだときに本に逃げ込める子どもを育てたい」との狙いでプログラムを作っていると彼女は言う。
 「あなた、ここ初めて? 通りかかりで入ったの? それはラッキーよアナタ!」

 「ラッキーよアナタ」な店、八起で本日の旅はお開き

本日の万歩計・・・2万3446歩(1歩70cmとして約16.4km)
兵庫県の小都市ちょっとした旅ホーム