兵庫県の小都市ちょっとした旅ホーム
ペーロン祭りと相生あるき

(兵庫県相生市)
2004.5.29〜30


 土曜日の子守り当番。さてどこへ連れて行ってやろうかな。
 ネットでたまたま「相生ペーロン祭り」の文字を目にした。「日曜日が競漕、土曜日は前夜祭で花火大会」とある。
 そういやペーロン競漕って、子どものころから言葉だけは知ってるけど、見たことないな。
 それについ先日、まりも(6歳)が「あたし大きい花火を近くで見たことない!」と言ってすねてたしな・・・よし行くか。

 朝から2人にバタバタ準備させて昼前に出発。 普通・新快速・普通と乗り継いで1時間半たらずで相生駅に到着した。
 相生駅は新幹線も停まるのに、見事なまでに何もないガランとした駅だ。駅前ロータリーは真新しく再開発されたようで新品状態。

 さて、花火は夜だし、会場の港まで2kmほど離れているので、そこまで歩くついでに、近くの宮山という小さな山に登ることにした。180mたらずの小さな山だが、相生湾と市街地が一望できて、しかも丘(10歳)の好きそうな岩山らしい(ここで見つけた)。
 古く落ち着いた街並みを1kmほど歩いて、登山口の八幡神社に到着。

 
(左)那波本町の街並み  (右)いきなり廃業銭湯発見


 登り口がわからず、ふもとの保育所で道を教えてもらったりするうちに、小雨が降り出した。
 「なんでこんな山に登らなあかんの!」と 怒るまりもをなだめすかしつつ少し登ると、雨は間もなく止み、道は岩盤むき出しの上を歩くかたちになる。おー、これはなかなかおもしろい。まりもも文句を言うのをやめて、ひょいひょい岩とたわむれながら登ってゆく。

  
(左)(中)岩盤を登ってゆく   (右)宮山の頂上付近からの眺め。入り組んだ相生湾と市街地が見渡せる

 登るに連れて展望が開けてくる。いやー、この山は大ヒットだなあ。 手軽に登れて、岩登りがおもしろくて、眺めがいい。
 頂上手前のピークまで登ったところで、まりもが「ここでいい」と言うので、そこの岩のてっぺんでおべんとうを食べる。丘は食べながら「学校に間に合わない」(by たま)を歌い続け、食後は2人で「どらえもーーーん!」と大声で叫んでいた。

 山から下りて、ふもとから1kmほどのところにあるペーロン温泉「白龍城」というところへ行って汗を流す。中華風の豪華な建物で、1階は中華レストランなど、2階が温泉。大人650円、子ども300円。
 内部はどこにでもある感じのシンプルな浴室。湯はやや塩味、加熱循環で温泉らしい浴感もとくになし。だが外がすぐに海で眺めはいい。主浴槽や露天風呂からペーロンを漕いでいるのを眺められる。

 
(左)さっき登った宮山。左側のピークに登った  (右)白龍城。ここまで外観に凝るなら浴室も中華風にしてほしい

 風呂上がりは近くのファミレスでめしを食ってから、本日のお宿「河内屋旅館」へ向かう。
 花火とペーロン見物の主会場となるポート公園周辺は、ものすごい屋台の数。すでに大勢の人がシートを広げて場所を確保している。
 そこを通り抜け、相生港の岸壁に沿って、かつて相生の中心だったと思われる旧市街(相生市相生1〜5丁目)にさしかかると、とたんにレトロな看板建築の建物群が現れる。「おぉ〜、しぶいな」などとつぶやきながら歩いていると、中でもひときわレトロというか、かなりキてる感じの入母屋造りがその河内屋旅館だった。素泊まり3500円、子ども2000円。

  
(左)真ん中の日本建築が河内屋旅館。両隣のモダン建築も渋い  (中)右隣の「スナック太陽」の看板建築
(右)河内屋の玄関を入ると大きな鏡がお出迎え。サクラビールは大正〜昭和初期に製造された銘柄


 じつは相生市役所ホームページの宿泊所リストに載ってた宿に片っ端から電話したところ全部満室で、最後に電話したここが1部屋だけ空いてた。
 ここへの電話を最後まわしにしたのは、「8室、定員10名」という表示のドヤっぽさを子連れの今回いちおう警戒したわけだが、中へ入って8室10名の謎が解けた。8室のうち客室として使用されているのは4室だけで、1階と3階はその旅館の家族が住んでらっしゃるんですね。まあ商売気ゼロ。
 中へ入ると、ゆがんできしむ薄暗い廊下、色が半分消えた掛け軸など、激しいタイムスリップ空間。僕的には愉快だが、子どもらはちょっと恐がっている。
 でも通された部屋は南向き、4畳半居間+6畳寝室+板の間ベランダの広い部屋だった。

 河内屋で新聞紙を借り、花火の場所獲り。やがて日が暮れて花火が始まる。数も多くなかなか豪勢だった。
 「わたしこんなきぶんになったん、はじめてーーー!」とまりもちゃん大興奮。

  
(左)花火を待つ人々   (中)(右)花火は相生湾に浮かぶ2槽の船から打ち上げられる

 花火がすんだら9時半。旅館へ帰って寝たが、丘は旅館の激レトロな雰囲気に気圧されたのか、なかなか寝付けなかったようだ。

 目覚めると、高温多湿な朝だった。
 朝のテレビマンガを見ている子どもらを置いて、デジカメ持って一人で相生のまちを1時間ほどブラついた。
 うーむ、これはなかなか濃厚な雰囲気の、歩きがいのある街並みだ。山に囲まれた狭い空間にびっしりと黒瓦の家々が密集している。山沿いの路地は迷路状態。

  
(左)相生3丁目、昭和初期的モダン建築も  (中)港を望む家並み  (右)相生4丁目の坂道。路地に入ると強烈に狭い

 
そして出ました相生市唯一の銭湯「都湯」。朝だから当然シャッター下りてるわけだが・・・入りてぇ!(土曜定休、16:30〜)

  
(左)地面がすべてコケで覆われた荒神社   (中)鳥居の横には土俵が   (右)龍山公園から相生港の眺め

 龍山公園という小高い丘へ登ってみたが、夜中に雨がまた降ったのか木の葉は濡れており、猛烈な湿気で風もなく、かいた汗でメガネが曇る。

 宿へ戻ってチェックアウトし、ペーロン祭りの本番、ペーロン競漕を見に行く。
 ペーロンは26人のりの大きな木のカヌーみたいな船で、中国から長崎を経由して伝来したらしい。白龍と書いて中国読みでペーロンだ。
 乗員のうち一人は舵取り、一人は太鼓叩き、一人は鐘叩き、一人は旗振りで、残りが漕ぎ手。鐘と太鼓のリズムに合わせて一糸乱れずに漕ぐ。

 26人がマシンガンのように漕ぎまくるペーロン競漕

 1レース600メートルを4組ずつ競うのだが、見ていると速いチームと遅いチームとでは漕ぎ方がかなり違う。
 遅いチームは一人一人がいわば人間らしい。漕ぎ方にメンバー各々の個性がにじみ出ている。
 一方、速いチームのメンバーはほとんど機械部品だ。全員がまったく同じ姿勢、同じタイミングで櫂をふるう。没個性に船漕ぎマシーン化すればするほど船は速く進む。
 そしてこの場合、人間を捨てて機械部品になり果てている姿のほうが美しいことに気づかされる。ラインダンスと同じだな。
 見ているうちに、僕も腰さえ痛くなければあんなふうにマシーンのように漕いでみたい、という感情が湧きあがってきたのには自分でも驚いた。

 そういう競漕が午前10時ごろから夕方まで、60余チームが出場して延々と行なわれる。人々は屋台で飲み食いしながらそれを岸から眺めるという、まあのんびりムードの平和なお祭りだ。

 それにしてもこの日はめちゃくちゃ蒸し暑くて、じっとしてても汗と潮風でベトベト。昼前にはまりもの「帰りたい〜」が始まったので、とりあえずまた白龍城まで歩き、メシ食って風呂に入る。
 さて、帰ろうにも会場から相生駅までのバスは通行規制のために運休で、タクシーも走っておらず、2kmほど歩くしかない。歩き始めてすぐにまりもがぐずりだし、オンブしてやったら瞬時に眠りに落ちた。夕べは遅かったし、この暑さじゃバテるわな。
 仕方がないのでそのまま駅まで1.5kmほど歩いた。体重20kgを超えるユタンポを背負って、せっかく風呂に入ったのにまた汗で全身びしょぬれ。髪の毛から汗がポタポタと道路に落ちてゆく。
 でも、こうして我が子をオンブして歩くのも、もうそろそろ終わりだもんな。そう思うと、なんかしんみりした。

 帰ってテレビニュースを見ると、この日は今年最高の気温で、5月の観測記録を塗り替えたところもあったらしい。
 まりもはさっそく「来年も行こ!」と言っている。たしかに楽しかったが、問題は帰りの足だなあ。

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