ちょっとした旅ホーム
見捨てられたまち
(兵庫県小野市)



(2003年11月21日)
 神戸周辺地図を眺むるに、神戸電鉄粟生線というのに乗ったことがないことに気づき、そっち方面へ。

 雑務&発送作業を昼すぎに切り上げ、まずは阪急で新開地、そこから神戸電鉄に乗り換える。神鉄はカーブだらけのうねうね線路をゆっくりゆっくり走っていく、ローカル色満開の電車だ。
 新鉄粟生線沿線には三木市・小野市という2つの街がある。電車が小野行きだったので、まずは遠いほうの小野市へ向かう。午後2時台、電車は15分おきに走っているが、乗客は各車両に2〜3人ずつしかいない。

 神戸から小1時間で小野駅到着。播州平野の平坦な街である。日本一のソロバンの産地で、全国の7割がここで作られているっちゅーことだ。
 駅舎は3階建ての、なかなか立派な建物。だがその駅舎を出ると・・・おいーーーー、なんもないがな。パン屋もねぇ、コンビニもねぇ、うどん屋もラーメン屋も居酒屋もねぇ。ソロバンの産地っぽいモニュメントなどもない。人口5万人の市の中心駅とは思えない。
 少し歩くと「小野商店街」があった。どうやらこれが小野市の中心商店街らしい。
 んが・・・。

  
 おまえはすでに死んでいる・・・あたたたたた!(ケンシロウ)

 人っ子一人おりません。5軒のうち4軒はシャッターが下りている。完全な死に体だ。
 この商店街は南北1kmほど続いている。全部歩いてみた。でもずっと同じ。100mごとに老婆がポツンとカートを押してよぼよぼ歩いているだけの、直線で1000mの徒競走ができる状態のゴーストタウン。

 商店街の北の端を出ると、大きな池が現れる。「大池」というらしい。

  池の向こうに・・・

 池の向こうを眺めると、SATYの大看板を中心に、コンビニ、郊外型書店、家電用品店、タイヤ販売店、ガソリンスタンドなどが見える。
 地図を見ると、市役所・中央公民館・商工会館・保健センター・総合体育館・病院・創価学会、そして自動車教習所なども、駅から約2km離れたこの「池向こう」地域に揃っているようだ。

 つまり、駅前および小野商店街は、車社会にしか目が向いていない小野市当局によって見捨てられたわけね。
 僕は大学で落ちこぼれて留年したんだが、卒論タイトルは恥ずかしながら、「大型スーパー進出による商店街への影響」だった。
 大型スーパー出店には商店街の反対などもあってなにかと難しい問題がある。でも、どの場所に大型スーパーが進出するかによる商店街の浮沈は地理学的に事前にわかるわけね。しかも小野市の場合は市役所その他まるごと全部が「池向こう」に行ってしまってるわけだから、行政は意図的に商店街を「捨てた」。これはもう完璧に。

 池向こうには、いずこも同じ車社会の定番施設が並んだ、何の面白みもない街並みがあるだけと相場が決まっている。
 早々に駅へ引き返すことにした。

 それにしても、昼めしをこの街で食おうと思っていたんだが、気のきいた定食屋どころかうどん屋の1軒もないとは。おみやげにソロバンの1つも買おうかとも思っていたのだが、それもない。電車でこの街を訪れた旅人に失礼ではないか。
 食い物の恨みは恐ろしい。旅人は2度とこの街を訪れることはないであろう。

 仕方がないので駅の自動販売機で缶入りのコーンポタージュスープを買い、電車で三木市に移動することにした。

 小野駅近くに小野高校というのがあり、その生徒らが大勢同じ電車に乗り合わせたが、どうもかなり偏差値の高い高校らしく、髪の毛をいじって携帯ピコピコさせてるようないわゆる不良が一人もいない。しかもテスト前なのかみんな電車内で参考書を見ている。
 僕の目の前に座ったカップルはこんな会話をしていた。
 「ベルリン条約でルーマニアとセルビアとモンテネグロが独立したやろ。そしたらロシアとのからみはどうなったん」
 「だからブルガリアがオスマン帝国の一部を吸収して大ブルガリアになったけど、それはロシアの保護領としてということやから・・・」
 こいつら、レベル高い・・・。来年は花の都へ出て行くのかい。達者で暮らせよ。
三木へ→
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