兵庫県の小都市ちょっとした旅ホーム
淡路島にチョイはまる ≪その3・由良≫
(兵庫県洲本市)

 狂ったように、半月で3度目の淡路島。
 地図を見てたら、南東端の由良っちゅーとこ、フシギなことになっとるやないの。漁港に細長い砂洲がフワッとフタしてる。カサブタがはがれたみたいにも見えるな。この砂洲は「成ヶ島」というらしいのだが。
 ここは大阪湾の入口にあたる場所だから、海流の影響でこんなふうになったんだろう。

 ここんとこ。精子くんのようにも・・・

 とにかく地図オタクとしては、どないなっとるのか見に行かねばならん。
 でまたもや舞子から高速バス。1時間で洲本に着き、淡路交通の島内路線バスに乗り換える。この乗り換えがまた田舎丸出しのどんくささ。島内バス乗り場は高速バス乗り場から5分ほど離れており、しかも看板もなく高い塀で隔てられているうえ入口が背を向けていて、旅行者には絶対にわからないような仕組みになっている。
 淡路島、ヤル気ゼロ。

 1時間に1本のバスは海岸に沿って走り、20分ほどで由良に到着。
 ひなびた集落内の道を10分ほど歩くと、問題の砂洲「成ヶ島」への渡し舟が発着する船着場に出た(ここは「由良支局前」というバス停が近い)。
 目の前に成ヶ島が迫る。左のほう(北部)は照葉樹がこんもり繁る小山、右のほうは潅木の生える砂洲になっている。

 往復300円の渡し賃を払って、ボロ船に乗る。潮干狩りシーズンのため満員だ。といっても15人くらいしか乗れないが。ほとんどが子連れファミリー。
 船が岸を離れ、狭い海を渡り始めたと思ったら、わずか20秒で対岸に着いた。
 え? これで終わり? ち、近いなあ・・・。
 
 
(左)成ヶ島の船着場。右のハシケが渡し舟、対岸は由良港  (右)貝掘り軍団。天然なので多くは獲れない

 成ヶ島に建つ施設は、真新しい公衆便所が1棟。それだけ。人々はそのへんの砂浜で貝を掘っている。学生キャンパーのテントも2張ほど。
 腰痛持ちの僕が潮干狩りなんかした日にゃあ、そのあと1ヵ月は寝たきり生活が避けられない。ちょっと残念だが仕方がない。砂浜に背を向けて公衆便所の裏にまわると、背後の黒々とした森に入る道がある。
 成ヶ島は、北端に標高52mの成山があり、そこから南へ約2kmほど細長い砂洲が伸びていて、由良港を包むようなかたちになっている。その成山に登って、成ヶ島の全貌を眺めてみることにした。

 この山は昭和のはじめごろ、紀淡海峡を守る砲台が設置されていたらしく、コンクリで固められた幅1.5mほどの道が山頂に向けて続いている。といってもほとんど落ち葉に埋まっており、ここしばらく人が歩いたような形跡がない。周囲はヤマモモなどが繁る典型的な照葉樹林で、道にはアシタバみたいな南方系のセリ科植物がボーボー生えている。

 
(左)成ヶ島北端の成山52m(南の砂洲からのぞむ)   (右)もうすぐ頂上

 数分の登りであっという間に頂上。広々した草原台地になっている。昔はここにいろいろな施設があったのだろう。今はクローバーやコメツブツメクサ、ニワゼキショウなどが群生する。
 一番高いところから南を眺めると、こんな風景が広がる。


中央が由良湾、右側が由良港、左のほそ〜いのが成ヶ島の砂洲部分。一番遠くの陸地の切れ目が今川口

 今いる成山の右側(西)は、幅数十メートルの細い海峡で由良港と隔てられていて、その部分は「新川口」と呼ばれている(写真には写っていない)。
 そして左側(東)は、ちょっと外海に湾曲しながら砂洲が南へ3kmほど伸び、その先端部分では、対岸の淡路本島からお迎え状に岬が突出している。その陸地の切れ目は「今川口」と呼ばれていて、ここも数十メートルの幅しかない。
 丹後の天橋立は砂洲の片端が本土とつながっているが、ここは両端が切れている。内側の由良湾の幅は広いところで1kmちょっとくらいか。
 眺めていて飽きない印象的な風景だ。しかもほとんど観光地化されていないところがまたすばらしい。
 小鳥が木のこずえにとまってしきりにさえずっている。

  
(左)砂洲の内側、潮干狩りをしているあたり   (右)南の「今川口」から、漁を終えた船が港へ続々と帰ってくる

 成山山頂の北側には、廃墟状態の小さな神社がある。そこから断崖上の坂を北へ降り、西の新川口へぐるっとまわる道をたどって、元の船着場へ戻った。
 そこから潮干狩りエリアを抜け、こんどは細い砂州を南へ歩く。道沿いには黄色い花を咲かせたミヤコグサが群生しており、砂洲の幅が広いところは中低木が繁る林になっている。あまり見ないタイプの植物相だ。暖地性の海浜植物か。
 真ん丸い石を拾いながら1kmちょっと歩くと、道が不明瞭になった。帰りの渡し舟は2時が最後で、もうあまり時間がない。残念ながらここで引き返した。

 砂洲歩きはここまで。右の海は由良湾。あと1kmあまりで今川口

 潮干狩りを終えた家族連れに混じって、また船で由良に戻る。港のそばの食堂でラーメンを食ってから、しばらく由良を散策。漁村の例にもれず狭い場所に家が濃密に建て込み、細い坂道の路地が無秩序に錯綜している。

 
(左)ちょっと高台に上って眺めた家並み   (右)船だまり

 さて、兵庫県浴場組合のホームページによると、由良にはこの狭いエリアになんと4軒もの銭湯があるらしい。さっそく全部見て回った。
 最初に見つけた「みなと湯」は超ヒナビの外観。看板がかかっている家自体は銭湯ではなく、看板下の1階部分が通路のようになっていて、その奥にある。
 そこから南へ5分ほど歩くと、さっきの船着場にいちばん近い「常盤湯」がある。開店前はビルの1階に看板があったのでビル銭湯かと思ったが、3時になってシャッターが開くと看板の下はやはり通路になっていて、ビルを通り抜けた裏のひなびた家が銭湯だった。由良の銭湯は奥ゆかしい。
 さらに南へ、右手の坂を5分ほど登っていくと「増田湯」。こちらはシンプルな白いモルタル造りで、建物は古いが玄関周囲はサイディングで改装されている。港に近い先の2軒に比べ、こちらはヨソモノは絶対に来そうにない立地環境だ。
 残る「朝日湯」は集落の北端にあるはずだが、細い路地をいくら探しても発見できない。そのへんにいた婆さんに聞くと、半年ほど前に廃業し、すでに取り壊されたとのことだった。

 結局、最初にみつけた「みなと湯」に入る。漁師町を感じさせる素朴で素敵な銭湯だった。「名銭湯・淡路編」に★つきでアゲといたのでくわしくはそちら。

 激渋「みなと湯」のオレンジ色の小暖簾。銭湯はこの家の裏に隠れている

 湯上がりほっこり、バスに乗って洲本へ戻る。
 さてメシだ。前回来たときにちょっと気になっていた海鮮料理「三平」へ。市役所の南、徒歩2〜3分。
 カワハギの造りと何種類かのおそうざいを食う。カワハギは最後は「三平汁」にしてくれる。
 魚はうまかったが、店のネーチャンがあまりに無表情で驚いた。前回の「栄舟」より店はやや広くこぎれいだが、総合的には「栄舟」のほうが好印象だな。
 といいつつおいしく食べて飲んで、神戸に帰った。

 それにしても淡路島、洲本も由良もゴールデンウィーク真っ只中というのに閑散と・・・穴場です。
  (2004.5.3)

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