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必死のジジムサまち作り

(滋賀県近江八幡市・彦根市)

 日帰り出張で近江八幡へ。
 本売り会場を抜け出してちょっと街を歩いてみたら、これがまた本格的な歴史的街並み保存地区だった。しかもそれを観光資源とすべく力こぶを入れまくっているようすで、小奇麗に整備されている。ちょっと散歩のつもりが、仕事そっちのけで歩き回ってしまった。

  八幡山を望む古い街並み

  八幡神社のお堀端。雰囲気よろし

 そのくせ地元商店街はほとんど死に体で、開いている店は観光客相手のお食事どころとかミヤゲ物屋がチラホラ。
 フツーのうどん屋の1軒もないんかい。
 いくら街並みがよくても、こうなっちゃったらちょっとつまんない。

 集会が終わってから、集会講師のKさんも一緒に、ソッコーで彦根へ移動する。
 彦根市は滋賀県・湖東地区の中心都市。そして狭い旧市街中心部に渋い銭湯が数軒密集しているっちゅーハナシだ。
 駅から中心部へは1〜2km離れている。駅コインロッカーに荷物を放り込み、聳え立つ国宝・彦根城には一瞥もくれずに風呂屋地区へと向かう。
 ・・・といいつつ空腹のあまり、とりあえず途中でヤキトリ「大吉」で鶏肉その他&ビールをかき込む。
 空腹に一気にビールを流し込んだおかげで効率よく酔っ払いつつ、さらに細い裏道を歩いてゆく。いやーしかし彦根っていうところも、どこもかしこも古い町だなあ。

 彦根駅から南へ。古い民家がいっぱい残る

 さて、まずは旧色街の「花しょうぶ通り」にある「梅玉湯」へ。
 昔ながらの町屋風だが、いきなり「休業のお知らせ」が貼ってあった。近くにいた近所のおじさんいわく、「切り盛りしていた91歳のおじいさんが倒れて数日前から休んでいる。もう再開は難しいのではないか」とのことだった。
 91歳で銭湯を切り盛りしていたとはスゴイが・・・ご快復をお祈りしたい。

 休業中の梅玉湯

 ところでこの花しょうぶ通り、古い街並みのあちこみに花しょうぶのプランターが置かれていて、それがちょうど満開。ここも近江八幡に負けず劣らず、古い街並みの再現および観光地化に力を入れているようすがありあり。

  
(左)花しょうぶ通り  (中)統一感のある店構え、看板。店先には花しょうぶが飾られている  (右)モダンな洋館もあり

 西へちょっと歩くと銀座街というところへ出た。ここが彦根の中心商業地のようだが、この一帯のさびれっぷりがすごい。土曜の夕方というのに、歩行者もめったに見当たらない。彦根を中心とする湖東地域はもはや完全な車社会になってしまっていることを思い知らされる。

 それにしてもこの銀座街の建物はすべて総3〜4階建ての横長ビルなのだが、ビル同士の間にまったくスキマがなく、何棟ものビルが延々連なる超ロングハウスになっている。しかもその2階と3階部分はほとんど使われておらずゴーストビル状態。1階の商店部分だけが営業している(ハヌケも多い)。これはちょっと壮観だ。

 その銀座街の北側裏手に「山の湯」発見。なかなかイニシエ度高く、堂々とした立派な雰囲気。

 
(左)銀座街、どこまでも続く超ロングビル  (右)山の湯

 さて、山の湯もなかなかいいが、この近くにもう1軒あるみたいなのでそっちも見に行き、気に行ったほうに入ることに。
 銀座街の南側の芹橋地区は、細〜い路地が縦横に交差する昔ながらの一帯。歩く人はほとんどいないが・・・おっ、風呂桶を抱えたおばさんが歩いているぞ。髪が濡れている・・・ということは、おばさんの来た方向に銭湯があるはず。

 
(左)芹橋地区の狭い路地をずっと行くと・・・  (右)ありました、末広湯。この名前の銭湯には渋いところが多いような

 山の湯よりこじんまりしているが、ここも心ひかれる激シブの面構え。どっちに入るか、楽しい迷いのひととき。
 結局、同行のKさんの希望に従って山の湯に入った。これまた不思議なお風呂じゃったわい。山の湯の詳細はこちら。

 風呂からあがると、もうとっぷりと暮れていた。
 駅方面へ大きな通りを歩いていくが、ここも統一感のある街並みが整備されつつあるようす。パチンコ屋も外壁などが他の店や民家と同じ雰囲気に作られており、外からパチンコ台がまったく見えないようになっている。

 彦根市はとにかくあちこちで城下町を意識したレトロ系の街並み再開発に力を入れているみたいだ。年月が経てばいい味が出てくるのかもしれないが、必死になって新しい建物をわざわざ昔風に作っている有様にはちょっと滑稽感も漂う。
 まあ何も考えずに流れに身を任せているよりはマシなのだろうか。

 でも、銀座街にせよ芹橋地区にせよ、彦根にはいろんなパターンのレトロな街並みがじゅうぶんあちこちに残っているのだが。そういうところはほったらかしのよーに見えますねぇ。

 
(左)銀座街西側に整備中の街並み。ざーとらしいレトロモダン調の新築 
(右)駅付近から南へのびる中心街。意味不明の妙なネオン飾りで統一


 駅近くの居酒屋に入って、列車の時間までビール。
 いやまぁしかし、彦根市のなりふりかまわぬ景観再開発は興味深い。今回はご自慢の国宝・彦根城も見なかったことだし、近いうちに再訪してじっくり観察してみたいもんじゃのう。
  (2004年6月12日)

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