ふしぎ山
八木ヶ鼻 やぎがはな
新潟県三条市、272m


 新聞をパラパラ見とったら、漢学者のナントカいう偉い人を紹介する記事があった。
 そこにこの山の写真が掲載されていた。ナントカ先生の故郷らしい。少年時代のナントカ先生はこの山を日々眺めながら水滸伝に出てくる梁山泊に思いをはせ、漢学者への道を歩み始めたそうな。

 アホな俺は水滸伝は横山光輝のマンガでしか読んでいないし、ナントカ先生の名前も忘れてしもた。でもこの山の名前だけはインプットしとったね。
 それで新潟へ行ったついでに立ち寄ってみた。

 赤い十字印のあたり

 新潟から信越線で小一時間の東三条駅。そっから越後交通バスの「八木ヶ鼻温泉行き」に乗り、五十嵐川沿いに山へ向かうこと40分ほどで、終点の八木ヶ鼻温泉に着く。
 べつに温泉地というわけではない。新しく作られた「いい湯らてい」という公営温泉施設が1軒あるだけ。地方のちょっとした景勝地によくあるパターンの施設だ。キャンプ場もある。

 
(左)八木ヶ鼻をバックに「いい湯らてい」  (右)ヤギがいた

 八木ヶ鼻の「鼻」とは「端」のことで、岬のように突出した地形を指す。
 地形図を見ると、これは一つの山というより、袴腰山(526m)から南に伸びる尾根の末端だ。そのピーク直下が五十嵐川に削られて200m以上の断崖となり、奇観を呈しているわけね。


「八木ヶ鼻温泉」バス停から時計回りに歩いた

 山の西側の八木神社から登路があるらしいので、まずはバス停から15分ほどバス道を戻ってそこへ向かう。

 
(左)五十嵐川を渡る  (右)断崖の正面。江戸時代からハヤブサ営巣地として知られているらしい

 
(左)バス停とは反対側から見た八木ヶ鼻。左からの尾根の断端であることがわかる  (右)八木神社

 八木神社は杉の木立が美しく、中には圧倒されるような巨木もある。
 と、ここで変なもの発見!

 
(左)狛犬のポジションに・・・  (右)うんこの神様! そうに違いない!

 この拝殿右手から山道がある。八木ヶ鼻の山腹をジグザグに切り返しながら登っていく。

 
(左)雪国の新緑、心が洗われる美しさ  (右)天気もええし

 
(左)ムシカリの花  (右)尾根に出た

 15分ほどで、さわやかな尾根に出た。左へ行けば袴腰山。右が八木ヶ鼻だ。
 快適に歩いてわずか数分で八木ヶ鼻の頂上に着いた。

 
(左)あっけなく頂上  (右)粟ヶ岳(1293m)

 
(左)袴腰山(526m)  (右)崖っぷちを求めて

 頂上には小さなベンチがあり、袴腰山と東方で雪を頂く粟ヶ岳が見える。5月の風が吹き抜けて、心地よいことこの上ない。
 でも断崖になっているはずの南側は低木が茂っていて展望がきかない。かすかな踏み分けがあるので行ってみたら・・・。

 
(左)うひょう〜っ、出たーー!  (右)名峰・守門岳(右側、1573m)のアップ

 しかしこの崖っぷちはかなり危ない。自信のない人はやめときましょう。

 さてと。景色も堪能したし下りようか。
 尾根から頂上へ来る途中にステンレスの案内プレートがあった。ここから東へ、温泉施設横のキャンプ場に直接下りられるようだ。

 
(左)案内プレート  (右)ブナの新緑めちゃくちゃ美しい

 しかしこの道は荒れているうえ粘土質の急坂で、しかも前日の雨でぬかるんでいて相当歩きづらかった。

 
(左)意外に手こずって下山   (右)「いい湯らてい」の玄関マット

 以上、偉大な漢学者ナントカ先生を生んだ八木ヶ鼻は、麓の神社からわずか20分たらずで登れるお手軽な山だった。歩き足りない方は袴腰山にも登るほうが下山後の風呂が気持ちよいかも。
 レトロ銭湯マニアな俺は結局「いい湯らてい」には入らず、東三条に戻ってからこの渋い銭湯へ行ったけどね。 (2013.5.6)
※付記
上記レポートのアップ後、新潟在住の方から、「漢学者のナントカ先生ではなく諸橋轍次先生です。大漢和辞典を編纂されたかたです」とご指摘がありました。
諸橋轍次(ウィキペディア)
このときは気づかなかったけど、バスで八木ヶ鼻温泉へ行く途中に諸橋轍次記念館前」というバス停があるようです。
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