ふしぎ山
獅子山 (Lion Rock)
しーずーしゃん

中国・香港特別行政区、495m

 寒い日本を逃げ出して香港へ。地下鉄観塘線の黄大仙(うぉんたいしん)駅で降りたら、目の前に黄大仙という道教の派手なお寺がある。(地図)
 多くの人で賑わっているが、お寺の建物自体は真新しく改装されていて、あまり趣きはない。
 でもそんなことより目を引かれるのは、その寺の背後に見えている異様な岩山だ。

 
(左)黄大仙の背後の高層マンションのそのまた背後に   (右)拡大、ライオンだ!

 うむ〜、はるか高みに気高く鎮座する獅子の姿。手前の高層マンション群との対比が、一瞬目の錯覚かと思うくらいに鮮烈だ。
 出発前にネットで調べたら、ちゃんと登山道があって登れるらしい。

 しかしその登山道へはどう行けばいいのだろう。周辺は高速道路とマンション群のコミュニティ街路に挟まれていて、道はかなり複雑だ。山の方角へまっすぐには進めない。
 ともかく大ざっぱな地図を見ながら竹園路という道に出て、山の南西にある「獅子山公園」を目指す。

 
(左)巨大な岩山の切っ先部分にあたる   (右)幟のところの階段を上がる

 戻ったり迂回したりしながら、なんとか獅子山公園らしき場所の入口近くへ来た。右に登山道っぽい道があるけど、これだろうか。歩いてきたおじさんに、
 「ライオン・ロック、まーるー、つぁいなーる?」(ライオンロック、道どこですか)
 と聞いたが、「ライオン・ロック」がわからないらしい。獅子山って中国語でなんと言うんかな。「子」は「ズ」と発音するから・・・そういやシーズー犬という犬がいるがあれはライオンに似てるからそう言うんよね。
 それで、「しーずーしゃん」と言い直したとたん、おじさんの表情がパッと明るくなった。通じたぞ!

 
(左)獅子山公園の入口   (右)その右手の道に標識あり

 おじさんが教えてくれたのは俺が目星をつけた道ではなく、公園入口のすぐ右から分岐する舗装道路だった。車止めゲートの隅に、「獅子山→」の看板もある。
 そこを進むとまもなく左手に階段があり、それらしい矢印があった(左下写真)。

 
(左)この階段を登る   (右)立派すぎる道

 急な階段を登ると、あとは真新しく整備された石畳の道が森の中を続いていた。この道がやたらと立派でカネがかかっている。
 周囲は亜熱帯の森だ。ゆるい尾根上を15分ほど進んだところで真新しい石畳が終わり、古い石畳に切り替わった。
 途中で何ヵ所か、下界のビル群を展望できる岩場がある。

 
(左)クワズイモでかい   (右)ゴム

 
(左)ここから古い石畳   (右)見えてきた

 やがて獅子山の山頂が見えてきたが、あまり高度はかせいでいない。あんなとこへどうやって登るのか。
 道は山麓を西へ西へと回り込んでいる感じだ。獅子の顔の正面まで回ったあたりから、本格的な上り坂になってきた。
 工事中の展望広場を過ぎるとようやく石畳が終わって土の道になり、獅子山にぐんぐん近づいてゆく。

 
(左)正面にまわったぞ   (右)中国返還記念の展望台を作っているらしい

 
(左)ここからやっと地道   (右)岩頭が近づいてきた

 
(左)人の顔のようになってきた   (右)唯一のロープ場

 ルートはライオン頭の向かって左(右側面)に回りこみ、さらに後頭部方面へとたどる。
 岩場が多くなり、傾斜が急になるが、さして危険な場所はない。六甲山のロックガーデン付近のハイキングコース程度だ。このあたりで2〜3組のハイカーとすれ違った。

 やがてライオン頭と思われる岩塔に至るが、道はそこへは登らず、そのまま続いている。とりあえず進んでみよう。

 
(左)ここは危険と書いてある(たぶん)   (右)この上がライオンの頭頂部

 ライオン頭の東のやせ尾根を通って、黄大仙からはライオンの肩に見えていた部分と思しきピークに到達した。ここが頂上のようだ。
 時計を見ていなかったけど、獅子山公園の入口から1時間かからなかった感じ。見た目より簡単だった。

 
(左)ライオンの肩に着いた   (右)ライオンヘッドはあそこ。こっちが少し高い?

 頂上からは360度の展望がこれでもかと広がる。
 とくに香港中心部に面した南側は断崖で切れ落ちているので、すぐ足の下の高層マンション群から九龍半島、香港島までが、もうなにこれ状態。ひとりでに笑いがこみ上げる。

 香港島ビクトリアピークからの有名な「100万ドルの夜景」は、南から北を望むかたちだが、今見ているのはその逆だ。
 ただしこの日はちょっとかすんでいて残念。空気が澄んでいれば怖いくらいの大景観だろう。


南の方角、九龍半島が箱庭のように全部見える

 
(左)足の下の高層マンション群がすごい   (右)九龍半島尖端の摩天楼と香港島のビクトリアピーク


北側(新界)は新興住宅地(すべて高層マンション)が広がっている

 ところでライオンの頭には行けないのかな・・・?
 と探ってみると尾根筋から細い道が続いていて、こちらも簡単に登れた。

 
(左)ライオンの頭頂に着いた   (右)肩を振り返る

 
(左)岩にこんな文字あり   (右)こんなところで亀を飼育しているやつがいる

 
(左)岩の尖端に鎖があるけど怖くて近寄れない   (右)と思ったら人間が登ってきた!

 驚いたのは、ライオン頭の切っ先のキンタマ縮み上がり部分から、いきなりお兄さんがヒョイと現れたことだ。登ってくるか〜、こんなとこから!
 「この山ではたくさんの人がクライミングやハイキングを楽しんでいます」
 と英語で言って、お兄さんは再び岩壁を下降していった。

 道はライオンの肩から尻のほうへと尾根伝いに続いているようだったが、下界での香港観光もしたかったので、しばし眺めを堪能してから往路を戻った。

 
(左)ライオン頭の裏側へ直接下りる険路もあり   (右)写真中央部にさっきの人がへばりついている

 下りは獅子山公園まで30分くらいだったかも。あっという間だった。

 獅子山公園のベンチに座って、目の前にそびえるライオン・ロックをしみじみと眺める。ほんの30分ほど前まであのてっぺんにいたというんだから信じられないねぇ。足は偉大なり。

 
(左)獅子山公園からの遠望   (右)黄大仙にあったライオン像

 見た目よく、登るのもさして苦もなく、ビクトリアピークの夜景とはまた違った眺めを堪能できる獅子山は、いろんな意味で値打ちのある山だ。
 問題は、獅子山公園までの道順だな。 (登山日:2010年1月14日)
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