ふしぎ山
三倉岳 みくらだけ
広島県大竹市、702m

 見た目2000mくらいありそうだが、じつは700mちょい。低さゆえに日本百名山にも選ばれず、おかげでこの美しく迫力ある山を静かに味わうことができる。
 三つの穂先は、右から「朝日岳」「中岳」「夕日岳」と名づけられている。

 朝6時台に神戸を出て、青春18きっぷで乗り継ぎ乗り継ぎ、山陽本線「玖波」駅に着いたらもう昼をまわっていた。
 玖波の「駅前食堂」でざるそばを食ったら、ちょうどバスの時刻になる(バス便は少ないので要注意)。
 バスといっても大竹市の委託業者が運行するフツーのマイクロバスで、「次は〇〇〜」といった車内アナウンスはいっさいなし。他の乗客は全部地域住民と学生で、自分の家が近づくと「つぎ下りまーす」と運転手に声をかけている。三倉岳の登山口へは「栗谷支所前」というところが近いので、あらかじめ運転手にそこで下りることを言っておく必要があるだろう。

 ピンクがバス路線、赤線が歩いたルート

 やがてバスの窓から三倉岳が見えてくる。三本槍と呼ばれるすばらしい姿だ。栗谷支所前まで玖波駅から40分ほど。
 13:40、バスを降りたらいきなり猛烈な日差し。うひー、あぢいよう。帽子の後ろにタオルを挟んで背中へ垂らし、首筋を保護して山へ向かって歩きはじめる。

 
(左)栗谷から見た三倉岳、カッコイイ   (右)三倉岳の東向かいの山、こちらもけっこう個性的

 舗装道路を20分ほど歩くと登山口付近の案内看板に到着する。この時点ですでにTシャツはぐっしょりだ。
 登山道はAとBの2本。帰りにラクすることを考えて、奥のBコースを登って手前のAコースに下ることにする。
 冒頭の写真はBコース登山口から見た三倉岳。あまりの蒸し暑さで白んでいるが、岩肌と樹木と空のコントラストがほれぼれするような美しさだ。しかしすごい急斜面、こんなの登れるんか?

 赤線の右がAコース、左がBコース

 道はよく整備されていて歩きやすい。でも樹林帯で蒸し暑くて、もう汗ベッタベタ。20分ほど登ったところの展望台でいきなりハダカだ。
 しかし登りはそこからが本番で、手で岩をつかんでよじ登るような急坂が30分ほど続く。涼しい季節ならこれも楽しかろうが、この日の蒸し暑さは地獄級。汗は顔面から地面へボタボタ、3歩登っては立ち止まってゼイゼイしながらじりじり進む。

 俺と同じように岩をよじ登るチンコ岩(松本命名)

 やっとのことで、朝日岳と中岳とのコルにたどり着く。ここから朝日岳の頂上はすぐ。
 登山口から1時間ほどで狭い頂上に到着。登ってきた栗谷方面がよく見える。隣にはこれから登る中岳の頂上が迫っている。

 朝日岳から見た中岳

 おにぎりを一つ食ってコルへ戻り、中岳へ。中岳のほうが朝日岳よりだいぶ高いな。岩と岩のスキマを這う松の根や、設置された鎖や金具などの手がかりをつかんでよじ登ること20分ほどで中岳山頂到着。もうバテバテです。
 でもここからは朝日岳以上に素晴らしい360度の展望だ。

 
(左)中岳への道   (右)頂上が見えてきた

 
(左)てっぺんの岩   (右)この岩は前方へ傾斜していてけっこう危ない

 
(左)下を覗くと股間がヒュ〜っとなる   (右)中岳から見た夕陽岳

 そしてまたしても隣には、次の夕陽岳が待ち構えている。こいつが一番高そうだ。当然、いったん中間コルに下りてから登りなおさないといけない。いやぁ、もうすでに堪能したから、コルから下山する道があれば下りようかな。
 でも下りる道はなかった。夕陽岳へ登らないと帰れないらしい。仕方ないな・・・。
 夕陽岳も中岳同様、鎖や金具に助けられながらよじ登る。さっきも書いたけど、別の季節ならこの登りはスリルもあっておもしろいだろう。でもはっきり言って真夏にここを歩くのは行者かマゾだ。間違いない。

 
(左)夕陽岳への登りもずっとこれ   (右)やっとこさ夕陽岳の頂上

 ヘバヘバにヘバって夕陽岳山頂到着。ここも怖いくらいの展望と高度感。高所恐怖症の人は立ち上がらないほうがいいでしょう。朝日岳から夕陽岳頂上まで50分くらいかかった(含休憩)。
 ここでゆっくり休んでいきたいところだったが、帰りのバス(16:42)まで時間の余裕がないため、泣く泣く切り上げて出発する。

 三つの頂上をやっと征服したと思ったら、夕陽岳の裏にまだもう一つピークがあるじゃないの。見たところ夕陽岳とほぼ同じ高さで、三角点はそっちにあるらしい。でも樹林に囲まれていて展望はイマイチっぽいし、時間もないのでパス。
 鎖にぶら下がって夕陽岳の岩峰を下りると、あとはAコースをずんずん下るのみ。こちらは谷道で、とちゅうのナメ滝で頭から水をかぶったりしながら40分ほどで登山口へ出た。

  登山口にある案内板

 舗装路を急いで栗谷支所前バス停へ着いたのは定刻の5分前。なのにバスがすぐに来た。ぴったりの時刻に着いてたら先に行かれてしまってた可能性もある。要注意だ。

 と、三倉岳は低山ながらも見た目どおりなかなか登り応えのある山だ。登山口で1組の中高年カップルに出会ったが、あとは終始誰にも会わなかった。
 栗谷からその雄姿を振り返ると、さっきまであの美しい頂上にいたのかとの満足感でいっぱいになる。  (05.7.21)
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