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瀬戸内海は備讃瀬戸の西端、笠岡の沖合いの白石島というところに、天然記念物のふしぎな岩があるっちゅー話。 ということで笠岡港から高速艇に乗り込んだ。 ![]() ![]() (左)笠岡諸島 (右)白石島(赤線は歩いたルート) 20分ほどで白石島に到着。船のきっぷ売り場で島の案内パンフをもらった。 目の前に、島の西部を南北に連なるギザギザの山々が並んでいる。目的の鎧岩という岩は、主脈から東へ派生する尾根先端の「鬼ヶ城」と呼ばれる山の山頂部にあるらしい。岡山県の本土には鬼ノ城(きのじょう)という桃太郎伝説の山があるけど、ここも関係あんのかな? でも鬼ヶ城だけでなく主脈の山々も、山頂部にいちいち妙な石を乗せていたりしておもしろそう。だから、これを縦走しながら途中で鎧岩に立ち寄ることにした。 ![]() 「国際交流ヴィラ」の看板を目印に、島内の狭い路地を抜けてゆく。素朴な島の風情がまったくもって素晴らしい。 西ノ浦の海水浴場へ抜ける峠に出たら、そこから尾根筋に道がついている。 ![]() ![]() (左)青い看板が目印 (右)素敵な路地 道は偽木階段でよく整備され、歩きやすい。六甲山と同様の風化した花崗岩の尾根道だ。 案内図によると、尾根筋の最初のポイントに「はと石(大)」とある。数分の登りで、それらしき大岩が見えてきた。 ![]() ![]() (左)あれが「はと石(大)」かな (右)振り返るとこんな道 ![]() ![]() (左)はと石(大)は高さ3m、幅4mほど (右)ステップが彫られている ![]() ![]() はと石(大)の上から、来た方角を見る。右の湾が港、左の砂浜が西ノ浦海水浴場 ![]() この石は、南の谷にある開龍寺の奥の院に位置づけられているようで、下の寺から直接登ってくるルートがある。その道沿いにミニ八十八カ所が設けられているようだ。はと石(小)もその途中にあるのかな? 行く手の山頂に、まっ平らな面をこちらに向けた変な岩が乗っている。案内図によると「大玉岩」。 ![]() ![]() (左)行く手は岩だらけ、そして左の山の頂に・・・ (右)なんじゃありゃ? ![]() ![]() (左)桜が咲き始めている (右)ヤマツツジも咲いている 尾根は広く快適で、木々もまだ葉を茂らせていないので、道全体が展望台状態だ。途中、開龍寺や海水浴場へ下る道が右に左に分岐する。 ゆっくり登って、登り口から30分ほどで高山展望台(150m)に到着した。国土地理院の地図では応神山となっている。 ここで一気に西側の海が視界に飛び込んで、360度の展望が広がった。 ![]() ![]() (左)島々を抜けてゆく船 (右)北西に福山の工業地帯が見える ![]() ![]() (左)これから進む道。左側のピークに大玉岩 (右)西側斜面は切り立った崖になっている 南は、この先の道が一望のもとだ。よく整備されているようで、まるで万里の長城のように尾根にくっきりと続いている。 ここから岩がゴロゴロした尾根をいったん下り、登りなおして10分かからずに大玉岩のピークに着いた。 ![]() ![]() (左)途中にあった、地層の浮き出た岩 (右)積んだような岩 ![]() ![]() (左)出ました大玉岩、でも平たくないが・・・ (右)鼻みたいなのがついてるぞ ![]() ![]() (左)おっと、こっちの面がまっ平だ (右)平らな面を見上げる ![]() ![]() (左)この鼻が気になる (右)大玉岩の下の神様 大玉岩の横の岩でのんびりとパンを食い、寝ころんで日光浴をしていたら、ちょっと寝てしまった。風はひんやりしているが春の日差しは暖かくて、ぽっかりこぽっかりこだ。 幸せにひたりながら30分以上だらだらした。 いったん下って、次のピークは東側を巻いて通過する。尾根筋はずっと展望台状態だったが、この巻き道部分だけが樹林の中になる。 少し離れて見ると、巻いたピークの山頂には切れ目を入れたトーフみたいなおもしろい岩が乗っている。案内パンフの地図には「なべかろう」と書かれている。意味はわからん。 ![]() その次のピークは、鎧岩のある鬼ヶ城へと続く支尾根の分岐点になっている。このあたり、植栽された桜のつぼみがすずなりに膨らんで開花寸前。あと1週間ほどしたら一面の桜山になるだろう。 それを5分も歩くと、鬼ヶ城の山頂付近に到達した。 ![]() ![]() (左)鬼ヶ城山頂、岩だらけ (右)この岩の上だ ![]() 鬼ヶ城から見下ろす港と集落 山頂の岩の上も当然のごとく360度展望だ。 白石島の中心集落と港とが箱庭のように見える。南には白石島最高峰の立石山と、その脇に隣の北木島が見えている。西にはここまで歩いて来た主脈が並んでいる。 ![]() ![]() (左)右から高山展望台、大玉石、なべかろう、の各ピーク (右)鎧岩を示す標識 ところで国の天然記念物という鎧岩はどこにあるんだろう。 麓へ続く道を少し下ったところに「鎧岩→」の標識があり、こんな岩壁が現れた。 ![]() ![]() (左)鎧岩 (右)碁盤目のように四角く割れてはがれている 高さ8〜10mくらいだろうか。花崗岩を貫いて噴出したアプライト岩脈で、垂直の花崗岩の表面に15cmくらいの厚みで貼り付いている。これが鎧に似てるというわけだが、たしかにきっちりと四角い割れ方がおもしろい。こんなの見たことがないな。 ここから港方面へ下りていけるが、最高峰の立石山へもしっかりとした道が見えるので、そっちへまわっていくことにした。 主稜線の分岐点に戻り、南のコルへいったん下る。 ![]() ![]() (左)分岐点からの立石山 (右)分岐点から下る途中の番兵みたいな石 コルは東の集落から西の海岸へ抜ける峠になっていて、東側に竹林が広がっている。 そこからの登りなおしはこの日いちばんの面白いコースだった。岩ゴロゴロの隙間を縫うルートは石を積んだステップも適度に不安定で、六甲山のロックガーデンみたいな感じで楽しめる。 ![]() ![]() (左)立石山の頂上部 (右)大きな岩を縫って登る ![]() ![]() (左)おにぎりみたいな岩に石製の祠がある (右)祠と海 ![]() ![]() (左)浮いた三角岩と途中でずれた岩 (右)岩の路地を曲がって・・・ ![]() ![]() (左)立石山頂に到着、168m (右)立石山頂から見た鬼ヶ城 ![]() ![]() (左)ここから南にはこの木がたくさん植栽されている (右)たぶん南米原産のマメ科植物 ![]() ![]() 立石山頂からは南隣の北木島の全景が見えた さて、あとは下るだけだ。立石山からの下山路は東へ向かう。 少し下ると、そのまま港の方面へ下る道と、南海岸の「鳥の口」というところへ下る道とに分かれる。鳥の口へ下りようと思ったが、その前に、正面に見えている気になる岩場へも行ってみた。 ![]() ![]() (左)あの岩のカタマリは何だ? (右)一番大きいのを裏から見たら・・・ウラスジがありました しかし標高100m台でこれだけ岩と遊べる山もそうないだろうね。 あとは一気に鳥の口へ下りた。 ![]() ![]() (左)下の砂浜が鳥の口 (右)道沿いにこんな浮き岩もある ![]() ![]() (左)森の中から岩がニョキニョキ生える変な風景 (右)鳥の口の砂浜 立石山周辺はややスリルもあるが、全行程を通じて展望最高、ハイキングコースとしてよく整備されていた。 タッタカ歩いたらたぶん1時間ほどで縦走できてしまうだろう。そこを3時間くらいかけて、昼寝したり写真を撮りまくったりしながら、じっくりと楽しんだ。 港のほうへ戻る道から見上げる鬼ヶ城は、まさにツノを生やした鬼のようだ。さっきはあのツノのてっぺんからこっちを見下ろしていた。 その雄姿をバックに、ソラマメや桜の花などを何枚も写真に収めた。 ![]() ![]() 次の船まで時間があったので、開龍寺にも行ってみた。弘法大師の寺だが、のしかかる岩盤の下に大師堂があって、まさに石の島の寺だ。 そのあと西ノ浦海水浴場に出て、1軒だけ開いていた食堂「さんちゃん」でカレーうどんを食い、ビールを飲みながら船の時間を待った。 ![]() ![]() (左)開龍寺大師堂 (右)西ノ浦の浜べ 春の日差しの中、小さな島で岩とたわむれた心地よい一日だった。 (登:09.3.26) |
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