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【涙の廃業】大阪市の激渋銭湯 (2008年以降) |
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大手湯 (中央区)2012年廃業 末広湯 ★ (此花区)2011年廃業 栄温泉 (北区)2011年6月廃業 沢の湯 (生野区)2010年廃業 東温泉 (東成区)2010年廃業 大和湯 ★(住吉区)2010年廃業 千代見湯 (港区)2009年廃業 吾妻温泉 ★ (港区)2009年廃業 宮の温泉 ★(生野区)2008年廃業 宝来湯 (大正区)2008年廃業 美章園温泉 ★(阿倍野区)2008年2月廃業 2007年以前の廃業はこちら |
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大手湯
天満橋駅から南西へ数分。大阪ビジネス街のど真ん中、さすがにこのへんに銭湯は少ない。 が、ここがポツーンとがんばっておられるのです。営業時間はヒジョーに短いが、それでも現役で湯が沸かされ続けていることに大いなる意味と価値がある。 ビルに挟まれて、正面は幅広の間口横断型パネルだが、その向こうには昔ながらの瓦屋根が見えている。いやもうこの時点で泣けてきまっせ。 ああ、やってる・・・ 玄関下足スペースから脱衣所は昭和中期的にそこそこ改装されているが、昔ながら系銭湯ならではのしんみり感が充満している。 浴室は中央付近に深浅の湯船がポンとひとつあるだけだ。湯船のへり及び周囲の座り段は言わずもがなの黒御影石。ジェットや気泡などの仕掛けは何もなく、黙って「お風呂。」とつぶやくしかない状態に追い込まれる。 もっとも、壁や床はわりと新しいタイルに張り替えられていて、全体的にそれほど濃厚なイニシエムードが立ちこめているわけではない。 しかし重要なのは、この大阪の無機質なビル街のど真ん中に、このストイックなまでにシンプルな伝統銭湯が存在し、そして今日もまた石の湯船にぬくぬくの湯がぢっと沸かされているという、この文化の懐の深さである。 そこに人々は酔いしれ、感動し、むせび泣くのであった。 (2008.9.1) |
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末広湯★
いやあ・・・またもやみごとな銭湯に出会ってしまったなあ。 玄関小屋根にキリッとしたテリの千鳥破風。伝統建築バリバリを誇る激渋銭湯だ。 阪神電車西大阪線の伝法駅を出て左へ。甘〜い香りを発散するカバヤ食品工場の前を通り、お寺と神社の前を通り、最初の信号を左折して一筋目を右へ入ると、エアポケットのごとく静かな横丁に黙って暖簾が揺れている。駅から徒歩4〜5分。 思わず嘆息・・・ 外壁は、膝高くらいまではどっしりした石材だが、その上はサイディングになっていてやや残念。でも面構えは思いっきり古風です。トキメキマヤコ〜ンと。 暖簾をくぐると石畳。入口の戸周辺の材木がなんとも渋い色合い。 (左)玄関の天井 (右)あがりがまち、黒光りしてっどぉ〜 (右)玄関正面、年季入ってんどぉ〜 (左)傘入れ 靴を脱いで戸を開けると、期待を裏切らない脱衣場が広がっている。ロッカーは新しいものだが、その上はフスマの戸袋、格天井には飛行機のプロペラみたいなモスグリーンの2枚羽扇風機、男女の仕切りには松島柄のステンドグラス、重厚な木の番台、そして手入れされた前栽。・・・しんみりと感動。 とくにプロペラはすごい。妙にごつく角張っていて、これまで見たものの中で最強レトロかも。しかもちゃんと動くらしい。 番台のおやっさんによると「築60年くらい」とか。 (左)天井はケヤキ一枚板 (右)番台万歳 (左)引き戸の向こうは前栽 (右)脱衣所から浴室方面を望む 脱衣場と浴室の間には、まずステンドグラス風のシールが貼られた楽しいガラス戸があり、その向こうに流しとトイレがあって、さらに戸をあけて浴室となる。 この浴室---マニアは泣かずにおれまいて。 床は石畳、そのスキマに紺と白の市松タイル。 湯船は中央に深い主浴槽、それとつながって仕切り壁側に子ども用の浅い副浴槽、奥の壁際に気泡の出ている浅い副浴槽と、全部で3つ。それらが全部、御影石でできている。 そして、子ども用浴槽の底にタイルの白い鯉2匹が泳ぐ。たんなるタイルではない。ヒレや背中の丸みが盛り上がっていて、お尻を乗せると違和感があってちょっとおもしろい。本物の鯉みたいで、ナデナデしてあげたくなる。 それにしてもこの銭湯、どこか芸術品のように美しい。石の湯船はもちろん、石畳のカッティングから市松タイルの目地まで、なんか惚れ惚れしてしまう。部分的に新しいタイル張りになっているところもあるが、全体の雰囲気をまったく壊していない。センスがいいのである。 そして、浴室も脱衣場もピカピカに磨き上げられている。脱衣場ではおばちゃんが布巾を持って、目に付いたところを常に拭いている。とても古いのに、ボロい感じがまったくない。すばらしいの一言。 古い建物をこれだけきれいに管理するのは大変だろうが、とにかく末長くがんばってほしいと心から願わずにはおれない。 上がりは脱衣所に飲み物自動販売機あり。これだけやや無粋かも。 (2004.3.2)(2004.10.14写真追加) (左)玄関口を内側から (右)外から |
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栄温泉
地下鉄&阪急の天神橋筋六丁目駅を出て南東へ徒歩1分、天神橋筋商店街の1本東のスジにある。 建物は四角い古ビル状だが、玄関横の曲面がエエ味出しとりまんがな。 暖簾をくぐった玄関スペースは、タタキ部分の細かいタイル使いがいきなりイニシエを予感させる。 中に入ったら、まずは半楕円の古い木の番台にオッと感激だ。めったにお目にかかれない美しい逸品。 広々した脱衣所は年季の入ったレトロモダンな装いで、高くて白いパルテノン的デザインの天井、豆タイルびっしりのロッカーまわり、天井の3枚羽プロペラなどにもうニコニコでっせ。 そして浴室、出ました全面石畳の床! 石と石の隙間には四角い青タイル。 湯舟は奥のほうに深・浅・ジェット・電気と並び、その横は気泡風呂・・・と思ったら水風呂だ。水風呂に気泡て、これはまったく珍しい。なんでまた! チベタイ水の中でチベタイのんがブクブクいうとるもんやさかいに冷える冷える。 湯舟のへりにも御影石が使われているが、タイルとの継ぎ目などかなりガタがきているようで、白パテ補修がそこかしこに目立つ。 水風呂の横にはスチームサウナもあり。 さらに、浴室の中央にズドンと太い円柱があり、その根元にかかり湯が湧いているのが嬉しいでんなぁ。 洗い場にも注目だ。カラン前がズドーンと1本の腰かけ台になっていて椅子いらずのレア・デザイン。緑のタイルが印象的ね。 それともうひとつ、湯舟の滝口がおもしろい。よくあるライオン頭のほかに、横倒しの壺から湯が出てくるのもあって、しかもこの壺の上にカエルが2匹乗っている。ぱっと見、交尾しているように見えるが、よく見たら微妙に離れていた。 こんな賑やかな繁華街に、こんな昔ながらの石畳をブイブイゆわしてるイニシエ銭湯があるなんて。もう湯上がりはそのへんの飲み屋で乾杯するしかおまへんな。 ちなみに、この銭湯から徒歩1分、天神橋筋六丁目交差点の角にある「大阪くらしのミュージアム」には、江戸時代の大阪銭湯がそっくりそのまま復元されている。それを見たあとにこの栄温泉に入れば、じつは大阪銭湯の伝統が江戸時代から続いているものだということがわかるであろう。 その共通点とは・・・ま、見てのお楽しみ〜っと。 (2008.12.11) |
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沢の湯
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東温泉
環状線の玉造駅から東北東に徒歩10分くらい。古い建物と新しいマンションが混在する住宅地に溶け込んでいる。 外壁などは改装されているが、よく見ると昔チックな構えだ。正面左の薄い出っ張りが生野区の生照温泉に通ずるものがある。 用途不明の出っ張り、なんだろう・・・ 中に入ると、玄関・番台・脱衣所は新建材で一般的に改装されていて、さほどの古さを感じさせない。広々、すっきりした印象。だが感じのいいおかみさんによると、昭和12年の建物とのこと。戦前からの生き残りは大阪市内では貴重だ。 「おおっ」と思わされるのが、創業当時から使われている木のロッカー。ご主人が大事に守ってこられたそうだ。 素晴らしい存在感、外枠が白っぽく塗られている 浴室も一般的なタイルで改装されていて古さはない。 湯舟は中央に黒御影の深浅がデンとあり、奥に気泡・ジェット・電気あり。さらに強烈なスチームサウナ、これはキクぞぉ。水風呂もビシッと冷えている。でも全体にやや塩素がキツめかな。 じゅうぶん風呂を楽しんで脱衣所へ出た瞬間、目に飛び込んでくるロッカーと前栽の風情が非常によろすい。ほあ〜っとタメイキ出まっせ。 もちろん飲み物販売あり。パンツ一丁、開け放たれた庭に向かい、腰に手を当てる正しい姿勢で牛乳いっときましょう。 (2005.10.26) 銭湯ならではの風情 |
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大和湯★
大阪市の南端近く。阪堺電車の我孫子道駅から南海高野線の我孫子前駅へ向かって歩いていると、あべの筋を渡ったところで激渋の和風伝統銭湯発見! でも暖簾がかかっていない。近所の人に聞いたら「もうだいぶ前にやめはった」とのことでガックシ・・・。 肩を落としてさらに300mほど歩き、我孫子前駅までもうすぐというところで、同じ並びにまたもや激渋銭湯発見! 今度はモダン凸形系だ。しかも暖簾がかかっているぞ。 (左)超残念な廃業銭湯 (右)こちらは営業中、凸玄関の屋号は失われている 躊躇なく暖簾をくぐると、おーこれはこれは、格天井のカンロクある玄関スペースやおまへんか。 (左)伝統美 (右)このへんがなんともリッチテイスト (左)木彫りの立派なものだが、「男」はなかった (右)あがりがまちもエエ感じ アルミ戸を開けると、がっしりした木の四角番台があり、その前にくだけた感じのマッタリおやじが立っている。財布をさぐっていると、「310円でいいわ」とおっしゃる。 そのあいまいな言い方に未確定要素を読み取った。 「やすいな〜。あっ、そういうたら大阪の銭湯は値上げするらしいね」 と言うと、 「そや。もう23日からやで。でもホンマは値上げしていらんのや、自分の首を絞めるようなもんやで、まあせいぜい350円ぐらいかな・・・」などとブツブツ言っている。見ると壁にはすでに新料金表(大人390円)が貼ってある。 どこかなげやり気味だが、味のあるおやじだ。 脱衣所はなかなか広く、中央にデンとソファーが置かれている。ここも立派な格天井で、たわみもなし。男女仕切り壁もイニシエのものが活躍中だ。見るからに上等なイニシエ空間であるな。 前栽にシダが茂る風情も良い。板張りの縁側を通って外便所に行く古いスタイルがそのまま生きている。ロッカーのみ、高度成長期的な木質ボードもの。 おやじは、昭和20年ごろの建物だという。 さあ期待しつつ浴室へ。 おっとー、出ました白御影の石畳! スキマに薄青タイルがはめられているが、排水溝まで石造りになっている。スバラシー。 湯舟は男女壁に沿って深と浅。これはフチも外側座り段も内側の腰掛け段もすべてどっしりとした黒御影が使われていて、その重量級の質感がたまらない。 しかも深風呂の中央には、渋銭ファンのアイドル的存在「ヘルスパー」があるぞ。これは湯舟中央の底から真上に伸びたステンレスパイプから、水面近くで四方にジェットが噴出するというだけの古い装置だが、かつては画期的なものだったのかもしれん。 湯はぬるめの41度くらい。男女壁に湖と白鳥・帆船のモザイクタイル絵が描かれている。 さらに注目すべきは、奥壁を掘り込んで円形浴槽だ。掘り込まれた部分の天井がドーム型になっていて、その曲面には熱帯魚のモザイクタイル絵がある。しかも掘り込まれた壁の奥の一部がさらに四角く掘り込まれて、そこに岩があしらわれている。じつに凝った造りだ。ここには緑の入浴剤入りの40度くらいのぬる湯が張られているが、意表を突いて電気風呂になっている。 まだあるぞ、出入り口横には女湯と共用の隔壁ぶち抜き型の水鉢、これも御影石造りだ。そしてその手前に出ました、ルルドの泉!(くわしくは港区の千代美湯参照)これは万代湯にもあった。まったくもって住吉区は大阪イニシエ銭湯教のメッカだな。泉の温度は45度くらい。ステンレスのフタがかぶせられ、中央に丸い穴が開いている。 ぬるめの湯にダラダラ浸かり、円形浴槽で電気ビリビリしたり水鉢の水をかぶったりしながらくつろいでいると、ルルドの泉の伝統的利用者を発見。60台のおやじがステンレス穴から手桶を突っ込み、熱い湯を汲んでは隣の水鉢の水と調合して、それをありがたげにかぶっている。 これがこの銭湯における一連の行為の総仕上げなのだな。 上がるとおやじが脱衣所のソファーでタバコ吸いながら、常連客と靖国参拝問題についてボソーリボソリと議論している。 見るからに脱力。現代の客商売としてはもはや通用しにくいスタイルだが、なぜか許せるスローライフな人柄だ。 飲み物販売あり。夕方4時すぎ、お客は俺以外に7人くらいいた。 というわけで、脱衣所のイニシエ風情に加えて、浴室の石畳、石の湯舟、ヘルスパー、掘り込み円形浴槽、2つのモザイクタイル絵、そしてルルドの泉と、ほとんど大阪銭湯の伝統集積基地のような貫禄だ。 一見やる気なさげなおやじにも、この銭湯に対する愛情をさりげなく感じさせられる。駅からも近いし(我孫子前から南西へ徒歩3分ほど)、渋銭ファンならぜひ訪れるべし。 (2005.10.18) 玄関内側から表通りを見る |
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千代見湯
何をかいわんや。合成写真ではございません。 JR環状線の弁天町駅にそびえる高層ビル・オーク200から北へ徒歩3分ほど。町工場や飲食店の混在する下町に、オークに負けじと、いきなりモロに富士山がそびえておるのであります。しかも小富士までちゃんとついているリアルな富士山。 裏はいったいどうなってるんじゃ! とまわってみると・・・。 山梨県側? 隣家にさえぎられてわかりずらいが、ようはレトロモダンな凸型玄関の後ろの母屋部分はフツーの家の屋根のようになっていて、その切妻面にこの富士山が取り付けられているわけね。これも看板建築の一種なのか。 とにかく、大阪で富士山を見たけりゃここだな。 外部はドハデだが、内部はいたってシンプル。 脱衣場は、ロッカーや天井は改装されているが、その他の部分はだいぶガタがきてるようすが見うけられる。 番台や男女仕切り壁などはいにしえの良き風情が残る。とくに仕切り壁にある擦りガラス絵がいい。菊の群華、昭和27年作。 庭があって池がある。その手前の板の間は一部ガラス張りになっていて、池に魚がいれば足の下を泳ぐことになるわけだが、残念ながら水は張られていない。 浴室はレトロ系にしてはやや広め。中央に御影石の主浴槽がドーン。浅いほうも広々してジェットつき。壁際に電気風呂と子ども浴槽がある。 そして入口の隅には古い石を使った水鉢があるが、さらにその横に40×50cmくらいのがもう1槽あり、古びて朽ちかけた木のフタがしてある。フタの真ん中には丸い穴が空いていて、そこに洗面器がはめ込まれている。なんだこれ? よく見ると洗面器には「上がり湯」と書かれてあり、木のフタの横には、これまた超古びて補修されまくりの木のひしゃくが置かれている。 そーっと洗面器を外してみると・・・お湯がこんこんと湯気をたてておった。 ほぉ! この湯を、この木のひしゃくで汲んで、上がり湯につかえとな! ひしゃくはボロイし小さくて、はっきり言って使いにくい。だが、この湯をかぶるとなにか特別な霊験でもありそうな気がしてくるから不思議だ。しかもこれをボロイまま保存し、ちゃんと毎日湯が張られているというのが感動的だ。 せっかくなので有難くかかって上がったが、見たところ僕以外は誰も使っていなかった。 それにしてもこの銭湯、最初に富士山で驚かせ、最後にルルドの泉で泣かすとは・・・なにか底知れぬ味わいがある。 (2004.4.15) (左)それにしても不思議な風景 (右)向かい側にはコレですし・・・(オーク200) |
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吾妻温泉★
ボロは着ててンもぉ心の錦ぃ〜とぉ♪ ちゅー歌が昔あったけど、まったくもってこの銭湯、外観はけっこうキてるイメージだが内部は惚れ惚れするような美しさだ。 弁天町駅と地下鉄朝潮橋駅の中間くらい、中央大通からやや北へ。どっちの駅からも10分ちょっとは歩くかな。 大阪伝統の凸型玄関だが、その上に住居のベランダ部分が乗っている。そして屋号は剥がれて判読困難。ちょっと殺風景な印象は否めない。 暖簾をくぐると玄関正面にタイル絵があるみたいだが、ポスターで隠れていて残念ね。 無骨っちゅーか でもこの銭湯の魅力はここからだ。 脱衣所へ上がるや、「おぉっ!」と声が出る。 風格たっぷりの重厚な折り上げ格天井から、柱やしっくい壁まで、見事なまでにイニシエ色のがっしりした木造空間がアナタを包み込むであろう。 うーん、これやな、やっぱり・・・。脱衣箱だけアルミ製。 さらに浴室でもまた「おおっ!」と声が出たぞこの野郎。 真ん中に石の深浅湯船がデーンとあり、手前から右側カランにかけての床は石畳。逆に左側から奥半分は腰かけ段の高さのままカラン下までつながるパターンでタイル張りになっているが、この茶色いタイルもなかなか味わい深い。 奥にはジェット&デンキ、そして薬湯があり、壁には魚のタイル絵もある。 そしてなによりこの浴室で光るのは、その清潔感だ。石畳の古い浴室だが、店主が愛情込めて毎日磨いているに違いないことがヒシヒシと感じられる。 あまり時間がなくて長居できなかったのがものすごく残念。そう感じさせてくれる素晴らしい銭湯だ。 お客が少なかったのも残念・・・駅からやや遠いけど、たくさんの人に訪れてほしい。感動できまっせ! (2009.6.19) |
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宮の温泉★
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宝来湯
大正駅から三光湯の前を通って南へまっすぐ数分歩き、三軒家東小学校の手前で右へ曲がってまた数分。 ごくフツーの下町系住宅地の中に、おぉっ、これはこれは昭和20年代の大阪典型モダン銭湯、しかもどことなく気品を感じさせられる面持ちだ。 暖簾の中を覗くと、玄関の床は石畳のすきまにタイルはめこみ式。ってこれ、古い浴室の床パターンですがな。 (左)屋号じか書き (右)男湯偏重のサンダル脱ぎ捨てが客層を物語る。正面の鏡に僕の足が 玄関上部のイニシエ風情 ともあれ、これは入るしかない。 戸を開けると、予想通りに昔ながらの脱衣所風景が広がる。 番台におばちゃん。天井は格天井ではないが、しっくい壁や男女仕切り、欄間などにイニシエ銭湯の味わいが無造作に漂い、前栽にはシラカシとアオキがつややかに茂る。その傍らには外便所、ここにも和の古典的意匠がそのまま残されている。 ほや〜っと一気に力が抜けるわいな。 広めの浴室はタイル張りに改装されているが、それなりに古びていて、カラン下の段などは豪快に白セメントでベタ塗り補修されている。 湯舟は中央に堂々と深い主浴槽、その奥に広めの浅風呂ジェット付き、スミッコに電気風呂。 湯舟のへりには1×2cmの紺色豆タイルがびっしりと張られており、その部分の丸いカーブがよろすい。周囲の座り段には御影石が使われているのもうれしい。 湯温は・・・おや、41度くらいか? 僕にはぬるいな。ちょい残念だが、一杯飲んだあとにダラダラ入るには適温かも(注:良い大人は飲酒入浴しないように)。 他に、出入り口の横に石造りの水鉢あり。 夕方6時台、お客はけっこう次々とやってくる。仕事を終えた常連客ばかりで、いなり寿司や巻き寿司や肉じゃがの話題をのんびりと交わしている。 古き良きご近所の憩い系脱力銭湯、まだまだ現役だ。(2005.4.19) 塀の窓がおしゃれです |
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美章園温泉★★
見よ、この堂々たる風格。伝統系では大阪最強じゃないかな。 天王寺からJR阪和線で1駅の美章園駅下車、徒歩1分。改札から左へ、線路の高架に沿って戻るかたちで濃い〜商店の並ぶ通りを歩き、1筋目を右折するとすぐに見える。初めて見たとき、思わず「おおおー」と声が出た。 でかい。重厚なる洋風建築。なおかつエレガント。そして何なんだよこの巨大プランター。暖簾の代わりに提灯が並んでいるのが目を引く。 目立つのである。美しいのである。銭湯というより、温泉地の風情なのである。源ヶ橋温泉と同様、文化財に指定されている。 提灯をくぐると下足室。いきなり高〜い天井、しかもシャンデリアのような照明が下がっている。もうギンギンに雰囲気が盛り上がる。 どこもかしこも黒光りのいい木を使ってます 券売機で入浴券を購入し、番台に提出。脱衣場が・・・ひひ広い〜。天井も思いっきり高い〜。 そして壁も柱も、使われてる材木は古いんだけど見るからにいちいち高級。板張りの床に竹の上敷きがさわやかに広がる空間。脱衣場から眺める庭の雰囲気も最高。昭和初期の建築らしいが、ずいぶんカネかけたんだろうねえ。 もうこの時点ですでに癒されてしまう。 それでも贅沢に浴室へ。これまった広い! 入口すぐに噴水だ。そして中央の主浴槽は階段状に3槽に流れ落ちる仕組み。奥のほうには寝風呂、座浴、ともに気泡つき。そして漢方薬湯兼電気風呂、スチームサウナ、冷たーい水風呂、さらにガラス戸で別室状になったラドン風呂・・・。 もう、どこでも好きなだけ入ってよ。 ゴージャスでありながら、スーパー銭湯のような安っぽさがない。1つ1つこだわって、いい材料で丁寧に作った感じ、職人の魂が吹き込まれている感じ。 脱衣場ともども、なんとも落ち着く空間だ。これで360円とはね。当然のごとく繁盛している。 まったく、「遠くの温泉より近くの銭湯」ですなあ。 帰りにも必ず振り返って見てしまう |
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営業中の大阪市の激渋銭湯 | ||||||||||||
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