関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
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 【大阪市住之江区】の激渋銭湯
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寿楽温泉 
福助湯 
(廃業)

寿楽温泉

住之江区北加賀屋1-10-1 →地図
電話 06-6681-8291
【営業時間】16:00〜24:00
【定休日】金曜日

 地下鉄四つ橋線の北加賀屋駅から北東へ徒歩4分ほど。市バス「造船所通」からなら南へ3分。
 飲み屋なども並ぶ住商混在地の角地に、スッキリとたたずむ大阪伝統凸型銭湯あり。なかなか素敵な面持ちへおまへんか〜。

 
(左)真新しい看板がやる気の証明   (右)モザイク屋号がファンシー

 最近この手の銭湯がどんどん廃業するから、真新しい営業案内看板を見るとホッとするなぁ。

 入り口の溝に架けられた木製スロープを越えると、スッキリした玄関で美しいランなどの花が出迎えてくれる。傘たての手前にはかわいい白い椅子がある。靴の紐を結ぶ人へのちょっとした配慮だな。
 もうこのへんで経営者の人柄がわかっちゃうねー。

 
(左)木の板ステキ   (右)お花ステキ

 戸を開けると、出ました! 半楕円の木製ゲージツ番台。
 そしてやさしげなおやじさんは、お金を払うと「ありがとうございます」と言ってきちんと頭を下げる誠実なお人柄。

 そこそこ広い脱衣場は昭和的に改装されているが、天井にある巨大な木製2枚羽プロペラが迫力だ。広めの前栽もよい。
 そして一角に無料ボックス式サウナが設置されているが、これ新品だ!

 浴室は白タイル壁ときれいに塗られた青天井に包まれ、壁画などは何もナシ。
 床はタイル張りだが溝が一本も切られておらず、何ヵ所かの排水穴に向かって全面が微妙に傾斜するイニシエタイプ。

 浴室の奥は全面ガラス張りで、外は庭になっている。暗くてよくわからなかったが石灯籠などが置かれているようす。
 ここをサウナ室などに改装する例が多いので、庭が残っているのは貴重だ。せっかくなので前栽とともにライトアップしてほしいな〜。

 湯船はほぼ中央に深浅主浴槽、それに一部つながってデンキ。浅にはジェット3連、頭を置く段がつけられていて快適だ。
 石造りの湯船は、よくある黒御影ではなく白っぽい花崗岩が使われている。神戸の浜添湯などと同じで、俺はこれを石臼浴槽と呼んでいる。デコボコ感が気色よし。湯船内側のタイルは張り替えられたばかりのようで目地が真っ白だ。
 湯船外側をとりまく腰掛部分は、へりの石とまたぎの石との間に青い円形の豆タイルが張り込まれていて美しい。

 水風呂はないが、出入り口の左右に水鉢と立ちシャワーがあってOK。
 お湯に入ったり水をかぶったりしながら、のーんびり長湯ちゃんね。

 上がりは飲み物やアイスなどいろいろあるが、一角にポットと紙コップが置かれている。おやじさんに「これはよばれていいんですか」と聞くと、「何杯でもどうぞ」とおっしゃる。横には「ルイボス茶」のポスター。
 飲むと香りよく、すきっと冷えていた。ナイスサービス!

 全体に伝統的な造りをそのまま残しつつ、タイルなどはこまめに補修され、どこもピカピカに磨き上げられていて清潔感ばりばり。
 番台・扇風機・石湯船のほかに古いものはあまりないが、玄関の花や冷たいルイボス茶、丁寧な応対など、経営者の愛情と真摯な姿勢がひしひしと伝わってくる。
 なんかちょっと嬉しくなる銭湯だ。 
(2011.2.15)
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福助湯(廃業)

2014年3月、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


住之江区中加賀屋1-2-9 →地図
電話 06-6681-6337
【営業時間】14:45〜22:30
【定休日】木曜日

 地下鉄四つ橋線の北加賀屋駅から東へ3〜4分。大通りから1筋奥に煙突が見える。
 近寄ってみると、ふいにボーボーと木が茂ったところがあって、その入口付近に材木が積んである。薪沸かしの燃料らしいが、長年積まれたままの薪にまでカズラ類がはびこっている。大規模な団地群の中にあって、ここだけ原始林の中の炭焼き小屋みたいな風情になっとるぞ。

 
(左)自然ってすばらしい   (右)表へ回る

 表へ回るとふつーの風呂屋。間口横断シルバーパネルが昭和40年代的な改装を物語るが、凸型玄関の両脇に前栽があるクラシック構造はそのままなのね。

 オーソドックスな玄関下足場を抜けて中に入ると、番台におかみさんが座っている。
 脱衣場はなかなかのノビノビ空間やおまへんか。脱衣箱はアルミ製に変えられているが、木枠ガラス戸を隔てた前栽にはナンテンの緑が茂り、天井には木製の3枚羽プロペラがぶら下がる。昔ながらの脱力空間ね。

 浴室に入ったらば、これが大阪の風呂やで的にド真ん中に石の湯船ドーンの四方風呂。周囲の腰かけ段は外フチが石造りで、内側にはカラフルな小石タイルが貼り込まれている。
 この中央主湯は深・浅・ジェットの3槽に分けられていて、ジェットは座り風呂になっている。ジェットの両脇には黒い小石タイルがびっしり貼られ、深風呂ではライオン口が湯を吐いている。

 奥にはデンキと薬湯(森林浴)、こいつが寝風呂になっていて腰のカーブがたまらんナイス。そしてなんと無料乾式サウナに水風呂(残念ながら非冷却)ときたもんだ。
 それら周辺からカラン下などあちこちに、小石タイルや花柄タイル、緑色の渋いタイルなどが使われていて昭和の風情が満ち溢れとる。

 まあそんなわけで激レトロというわけではないものの、薪沸かしの古典風呂にノビノビと浸かって湯あがりにビックルでも飲んでボーッとできる、銭湯よかですたい系のしみじみ風呂屋なのね。
(2011.8.9)
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