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【大分県(別府以外)】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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あたみ温泉 (大分市) 王子温泉 (大分市)★ 汐湯 (中津市)★★ ゆのつぼ温泉 (由布市) 加勢の湯 (由布市)★ |
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あたみ温泉
別府の隣で「あたみ」って。ビミョーな対抗意識なのだろうか。 それはともかく、大分駅から線路沿いに徒歩1分、ちょっとした時間つぶしにももってこい・・・なんて言い方をするのはもったいなすぎる、レトロ感たっぷりの源泉かけ流し温泉銭湯だ。 (左)ちょっと離れて眺めたら改装っぽいが・・・ (右)じつは豆タイルびっしりのアールデコ! 玄関周りのカーブ地獄な造形、そしてこれでもかと貼られたミニタイル地獄の迫力にハッとさせられる。 上の写真は営業時間前でしかも正月だったからしめ飾りなんかがあるけど、営業時間中に来たらこれがまたエエ感じの暖簾が揺れとるがな。 (左)この風情いかが (右)おっ、タタキに脱ぎ捨て即脱衣場のイニシエスタイル! (左)狭い! 素朴! (右)板の間すばらしい 番台から下駄箱から脱衣箱からみな当然のごとく木製渋茶色。古いマッサージ器いまだに10円。期待以上やおまへんか〜(注:何を期待しているかによる)。 さーて裸になって浴室は〜っと。 (左)浴室入口の見たことないタイル (右)浴槽タイルは温泉成分に染まっている 使い込まれた2槽が奥に並ぶ。手前左右にカラン列、中央にも島カランというこぢんまりな間取りだ。 奥壁には西洋風の山と湖のタイル絵があるやおまへんか〜。 左側の浴槽に熱めの源泉が常時注ぎ込まれ、右側の浴槽はその流れ込みを受けて少しぬるめの湯になっている。その端からオーバーフロー中。 このお湯、じゃっかんのオイリーな芳香を放つモール泉で、お肌ツルツルスベスベ系だ。じつにやさしく心地よい。はじめはぬるいほうで慣れたら、あとは熱いほうでも問題なく浸かれるぞ。フニャニャ〜。 温泉を吐くところがおもしろい。 カープ 鯉とライオンが並んでいて、鯉だけが湯を吐き出し中。ライオンはよく見るけど鯉は珍しい。しかも見たことのない造形だ。ナナメ左下に小さな尾びれまでついてるぞ。 あとで聞いたら、これは職人さんがコテでその場で手作りしたものだそうだ。女湯はゾウさんが湯を吐いているらしい。 そういうわけで、駅近し、お湯よし、見所多し。大分に行ったら寄るべきでしょう。 (2012年8月) |
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王子温泉 ★
土曜日に休まないで〜、と旅行者なら言いたくなる王子温泉にやっと入浴が叶った。ここの湯は温泉マニアには有名っちゅー話。 大分駅から徒歩10分ほどの宿からさらに10分ほどかかった。西大分駅のほうがちょっと近そうだが、いずれにせよ便利な場所とは言いがたい。 何の変哲もない住宅地にポツンと現れる姿は地方のミニ銭湯そのものだ。暖簾は出ていない。 (左)こぢんまり (右)脱衣場も完全なるミニ銭湯 戸を開けて入るといきなり狭いタタキに木製番台、おっちゃんが静かに座っている。靴を脱ぎ捨てて上がる脱衣場もミニサイズだ。 (左)年季の入った脱衣箱 (右)浴室方面 ツルスベの板張り床、古いロッカー、神棚、浴室ガラスに浴場組合マークと、銭湯マニアにはこれぞ!ともいうべき郷愁風景。 寒いのですばやく裸になって浴室へ。 ここも深浅の湯船一つポン、奥壁に山と川と洋館のモザイクタイル画が描かれているという、まさしくミニ銭湯そのものだ。 が・・・おぉ、お湯が薄めの黒湯、これか! 温泉のいい香りが漂っているぞ。 パイプから深い湯船に源泉がどんどん流れ込み、へりからオーバーフローして周囲のタイルが温泉色に染まっている。100%かけ流しの豊穣なる光景ね。 かかり湯したらアッチッチ、45度くらいはあるな。 「浅いほうがちょっとぬるめだ」と一人だけいた相客のじいさんが教えてくれた。たしかに浅いほうは42〜43度くらいにさめている。 でまずは浅いほうに浸かって体を慣らしたけど、このお湯、ウワサ通りのツルンツルンのマロンマロンやおまへんかい! どっかの温泉マニアが「全身化粧水」とか「全身リンス」みたいなことを書いてたけど、大げさではないな。キショクええったらありゃしない。熱さに慣れたら深いほうでもじっくりいきましょう。 カランは5つ、シャワーなしのコンパクトサイズだが、すいてたこともあって長湯せざるをえない。 上がって聞くと、おやじさんで3代目、「この建物も100年くらいになるよ」とのこと。 以前はノコクズで沸かすフツーの銭湯だったが、材木不況で供給が間に合わなくなり、まわりを見たら温泉が出てるみたいだし「掘ったら出るかも」と先代のオヤジが掘ったのが1981年。そしたら深度700mほどでこの湯が湧いたということだ。 常連客に聞いたら、「温泉になったからって客が増えたようには見えんなぁ」とおっしゃる。 しかし一般銭湯がほとんど消えつつある大分市内でこのミニ銭湯が生き残っているのは、やっぱりこの温泉の賜物ではないか。 小ささ、脱衣場や浴室の郷愁感、最高のお湯、おだやかなご主人と、どこをとっても愛すべきナイスな温泉銭湯だ。また行かねば! (2012.1.6) ※「レトロ銭湯へようこそ西日本版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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汐湯 ★★
チープに極楽、生きててよかった・・・まじです。俺もう泣きそう。 1万円札の福沢諭吉を生んだ町、中津。 駅でもらった市内マップを見ると、中津川の土手のあたりに「銭湯汐湯」というのが小さく載っている。「塩健康法の元祖、塩水(海水)の銭湯、木造三階建の築70年」だと。横のイラストには「涼み台でのビールは最高」との吹き出しがついている。 行かんわけにはいかんでしょう、そら。 駅から古い町並みを抜けて北へ徒歩10分ほど。中津神社の横手へ抜ける道を行くと、城跡の石垣に突き当たる手前に看板が見える。 近寄ると、3軒続きの渋い建物群が。手前の白い建物が浴場棟らしい。その隣には激渋の木造三階建て、さらにその隣には木造二階建てがあり、「割烹汐湯」という看板が出ている。 銭湯&割烹・・・いまだかつてこのような銭湯があっただろうか。 (左)見えてきた (右)浴場棟はさほど古そうに見えないが・・・ (左)三階建てと二階建ての激渋日本建築が並ぶ (右)由緒ありそな「中津海水湯」の石碑 入浴前にちょっと裏手の土手へまわってみる。海へと続くさわやかな風景の中にたたずむ、この銭湯の風情を見よ。もうこの時点で癒される。 しかも高床のあれは・・・「涼み台でのビールは最高」って、あれだな! (左)土手の西には中津川の河口 (右)そして東に汐湯、涼み台が見える 正面へ戻って入館。もうこの時点ですでに激渋銭湯を確信、なんかドキドキするよ。 (左)正面は男湯と女湯の間がタバコ屋になっている (右)この柱のタイル! 年季の入った戸を開けると、玄関タタキの右側に高級感のあるガラス張りのフロントがあり、上品なおかみさんがいらっしゃる。逆サイドには古い木の下駄箱。入浴料も安いし、しかも午前中からやってるみたい。 靴を脱いで、磨きぬかれた板の間の廊下に上がる。廊下を右へ行くと、三階建て二階建て部分へ通じているらしい。まるで温泉旅館だ。 脱衣所へは正面のガラス戸を開けて入る。 渋いフロント、ここで料金を払う (左)タタキから見た正面廊下と脱衣所入口 (右)脱衣所入口の横には大きな冷蔵庫 脱衣所へ入ると、これまた渋い空間だが・・・なんとここにも番台のような小部屋がある! しかもその中に給湯や小さな流しなどが見えるぞ。 かつては入浴客へのお茶出しサービスなどがここで行なわれていたのかもしれん。 天井だけ新建材で改装されているが、ほかは床からロッカーまで、年季の入った高級素材。柱には桜の磨き丸太なんかも使われている。 (左)脱衣所内の番台的小部屋、階段の向こうは女湯 (右)脱衣所は板張り、ゴザに火鉢 (左)脱衣所の奥からロッカーと玄関方面を見る (右)脱衣所から浴室を見る 風呂場へはガラス戸を開けて2段下がる。タイル張りのクラシックな空間だ。正面の土手に面した側が全面ガラス張りで、さんさんと明るい。青く塗られた窓枠がまたレトロな味わい。 白塗りのコンクリ天井はフラットだがズドーンと高い。大きな長方形の湯気抜きは窓枠と揃いの青塗りになっている。 そんな開放的な雰囲気の浴室に、二つの湯舟がある。 向かって左の大きな湯舟は深浅に仕切られ、深は43度、浅は42度くらいかな。へりには長方形の濃緑の豆タイルびっしり、外側には青くて丸い豆タイル。 この湯舟の湯は普通の井戸水を沸かしてあるようだが、湯ざわり柔らかでミョーに気持ちがよろしい。 そして右側にあるやや小さめの湯舟も、左の湯舟と同じタイル使いだが、こっちにはやや黄緑がかった湯が満たされている。これが海水湯だな。ちょっと舐めたらまさに海水、42度くらいに沸かされている。 さっそく入ってみよか・・・おっ! うっほーぅ、まろまろっ! こ、これはキモチエエ。 洗い場にシャワーはないが、そんなことは問題外。 とにかくこの雰囲気、この湯の極楽度の高さは並大抵のもんやない。わしゃ幸せたい。水をかぶっては、白湯と海水湯に交互に浸かる。 大阪・堺の湊潮湯にも海水湯があるが、香りや湯の透明感など、こっちに軍配を上げざるをえない。そら大阪湾とは海の水が違うから仕方ないけどさ。 しかし海水湯だけでなく、真水の湯のほうもやたらと気持ちエエんだわこれが。カルシウム分か何かが多いのか、そっちの湯舟だけタイルが白くなっている。 どっちも気持ちよくて、どうにも上がるきっかけが掴めない。 先客1人、あとから2人。平日の昼間だから当然じいさまだが、この人たちも湯舟のへりでボーッとしたりして全然上がる気配がない。 最近、タラソテラピーとか言って海水健康法みたいなのが流行りつつあるようだが、もうそんなのチャンチャラおかしいねえ。 中津の汐湯、それでいいじゃないか。 ところで、この銭湯はこれだけにあらず。むしろ、上がってからが真骨頂だ。 脱衣所の横に通路があり、そこを覗くと天国への階段が見える。 おぉ、光よ・・・ パンツ一丁のまま、迷わずここを上がるべし。 信じるものは救われる。ヘブンリーな涼み台があなたに最上級の祝福を与えるだらふ。父と子と銭湯の御名において。 さわやかな風が吹き抜ける。逝け今すぐに (左)土手の対面には中庭 (右)浴室外側。昔はここまで海で、子どもらが泳いでたそうな まだある。 じつは入浴前、脱衣所で服を脱ぎながら周囲を見回してしきりに感心していたら、おかみさんが入って来られた。観光客風情の俺を見て、館内を案内してくださるという。 すでにパンツ一丁になっていたのだがあわててズボンをはき直し、彼女のあとについて、横に連なる三階建て二階建て部分を見学した。 この激渋棟は、すべて入浴後の休憩室になっている。入浴料にあと350円足せば、これらの部屋を借りることができる。 細部まで手抜きなく作られた古き職人建築は、まったくもって素晴らしいの一言。しかしこれだけの建物を維持管理するだけでも大変だろう。 団体なら食事もできるようだ。 (左)三階建て部分の廊下 (右)落ち着いた休憩室 (左)中津城の石垣や中津神社が見える (右)宴会もできる大広間、すばらしい 地元のおばちゃんたち3人がくつろいでいた 元祖タラソな風呂にゆっくり浸かり、広々した涼み台でくつろぎ、そして見晴らしよく落ち着いた休憩室で幼なじみと長々ダベる。 中津の人たちはこうして一日を過ごすのだ。これを天国と言わずして何と言おう。 ソウイウヒトニワタシハナリタヒ。中津移住計画、始動! 俺は今回時間がなかったが、次は午前中から来て、風呂上りに部屋を借り、本を読みながら昼寝へ移行したりして、日がな一日ここで過ごすことを誓った。(2006.5.27) (左)予定の列車を1本遅らせてビール飲んだ (右)愛、それは中津に汐湯がある限り ※2011年5月、ふろいこか〜ラジオ1周年記念特別版に登場! ※2011年9月、ふろいこか〜汐湯ツアー実施 ※「レトロ銭湯へようこそ西日本版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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ゆのつぼ温泉
キャピキャピ全開、観光客ゾロゾロで情緒もへったくれもない温泉町、由布院。 駅前から大通りを進み、さらにメインのコジャレた土産物屋通りを10分ほど歩いたあたりで右に折れると、金鱗湖から流れてくる小川のほとりに1軒のこじんまりとした共同湯がある。 造りは古風でいい感じだが、わりと近年に建て直されたようで、まだ新しい。「一般客は夕方6時まで」ということは、6時以降は地元民専用になるようだ。 入口の料金箱に200円を入れて中へ入る。 真ん中に料金箱 狭い脱衣所は清潔に管理されている。タナ式の木製ラックと、コインロッカーもある。 浴室は木と石の落ち着いた雰囲気で、なかなかよろしい。大きな湯舟には無色透明無味無臭のくせのない湯が満ちており、太い木でできた湯舟のへりからオーバーフローしている。 湯の温度は43度くらいのやや熱めで、俺にはちょうどよろし。源泉は64度らしいけど。 この日はやたらと暑かった。しかしこういう暑い日の熱い湯がまた気持ちエエんだわ。 隅にカランが2つあって、先客(地元のじいさん)が体を洗っている。 外は観光客ゾロゾロだが、ここに入る人はさほどおらんみたいで、静かな気分にひたれる。ていうか由布院では温泉はあくまでもオマケみたいな地位だな。 水を浴びては何度も浸かっているうち、じいさんと入れ替わりに親子連れの観光客が入ってきた。 上がって外へ出たが、汗がひかないので、しばらく上半身ハダカでいた。山の風が気持ちよし。(2007.8.17) 裏道からの由布岳 |
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加勢の湯(西石松共同浴場) ★
由布院のはずれ。駅から南へ歩いたら15分ちょっとかかるかも。 石松という交差点から県道を西へ行くと、左手に古びた物置のようなのが見える。どう見ても農機具置き場だけど、共同浴場でありますとの看板が出てるからたぶんそうなんでしょう。 奥の新しいコーポみたいなのと対照的だ。 (左)素通りするのが普通のヒト (右)灯りがともってます (左)軒下の看板 (右)入ったところに分析表や注意事項がある だーれもいない。 入口に賽銭箱があって、そこへ100円をチャリーンと入れる。 で中に入ったら・・・! (左)脱衣箱 (右)その向かいに浴槽 女湯との仕切りの下に穴があいている あるがままなすがままキュウリがパパの激素朴空間に圧倒される。いいんですかここに入っていいんですか。 建物のすべてが木造木製。脱衣箱や奥壁の上部には板張りの窓というかスキマというか、ようするに外から丸見えだ。 そしてコンクリ打ちっぱなしの飾り気のない湯舟。そこに満ちる温泉。 ここでスッポンポンになる幸せをなんとしょう。ありがたやありがたや。 お湯は由布院らしく無色透明無味無臭だが、ちょうどええ温度でじっくり浸かれる。ああありがたや。 建物は古いが、非常に清潔にぴしっと管理されていて気持ちがよい。とにかくありがたや。 おっ、女湯との境目は、下のほうに穴が開いているぞ。これはまた夢の広がるお風呂ぢゃないですかオホホホホ。ありがたや。 もうね、ずっとここにいたい。このままここで裸のまま酒飲んで湯舟に片足つっこんだまま寝たいよ朝まで。 女湯にも誰もおらなんだので、ちょっと覗かせてもらったら・・・おや! こっちには男湯にはないお地蔵様がおわしますではないですか。いやー、こういう方がいらっしゃると雰囲気がぐっと違いますなあ。ますますありがたや。 (左)禁断の女風呂 (右)ワタクシも思わず手を合わせちゃう ここはあくまで地元民のための共同湯であり、商売をなさっているわけではないから、ヨソモノは「入らせていただく」気持ちで、ありがたやありがたやと唱えながら湯を頂戴いたしませう。 (2008.10.6) |
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