関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
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【堺市】の激渋銭湯 
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電気湯 (堺市堺区) (廃業)
ニコニコ湯 (堺市堺区)
(廃業)
旭ヶ丘温泉 (堺市堺区) 
神石温泉 (堺市堺区)
深井中央温泉 ★(堺市中区) 
福田温泉 (堺市中区)(廃業)

大姉湯→大阪府南部の廃業銭湯
大阪府】 大阪市北摂河内泉州

電気湯 ≪廃業≫

2015年9月末で廃業されました。
目蒲さん、栗山さん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。


堺区西湊町1-3-12  →地図
【電話】 072-241-6356

【営業時間】14:00〜23:00
【定休日】 日曜日


 南海本線湊駅から東へ徒歩5分ほど。チン電の御陵前電停からなら1分くらい。
 環濠ぞいの幅広道路に、地味ながらもちょっと不思議な面持ちのかわいい銭湯あり。玄関上の突出、あれは富士山なのか、さかさま盃なのか。

 
(左)つっぱり棒あり   (右)細かいタイル玄関

 入ると番台におかみさんが座っている。
 こぢんまりした脱衣場はきれいに改装されて古いものはない。中央灰皿のソンブレロ型ソファ以外によけいなものはなくスッキリ。
 ロッカー上に神棚があるのだけ珍しい。

 浴室に進むや、おっとぉ〜。ここもこぢんまりだが、なんかエエ感じやないのぉ〜。
 まず気に入ったのは床のタイル。舗道敷きみたいな茶色いタイル、これって淀川区塚本の松の湯のと似てる。俺、それが好きで松の湯にちょいちょい通ってるのよね。

 そして石の湯船がどっしりと男女壁ぞいに浅、深、寝風呂ジェットと並んでいる。周囲の腰かけ段もどっしりと石造りだ。
 ここで目を見張るのは湯船内側のタイル。直径1cmちょいの紺色のミニ丸タイルあるでしょう、あれがもう隅々までびっしり地獄。数えるだけで不眠症完治ね。

 お湯はやや熱めで嬉しいねぇ。寝風呂は冷水枕や手すり完備で快適やし。
 そして一番奥には薬風呂、茶色い宝寿湯の薬袋が浮いている。半分は電気風呂になっていて足腰治療し倒さんかいなと。

 んで男女壁のタイルがまた石垣テイストの不揃いタイルがびっしり貼られていて、なかなかの味わいだ。
 カラン下にも石が使われ、端々まで清潔で心地よい。
 小ぶりながら落ち着いたエエ風呂やわ〜。

 上がってファイブミニ。話し好きのおかみさんによると、戦後ここへ来て50年以上になるが、建物は戦前のものらしい。屋根裏には極太の松の梁が針金で吊るされているんだと。
 「昔はすぐ近くが漁港で、ここまで波の音が聞こえてました。漁を終えた漁師さんたちが早い時間に入りに来てました」

 そうか、ここの町名は西湊町やもんなぁ。いまは埋め立てで海ははるか沖へと遠ざかり、巨大工場が連なっているばかり。
 堺の歴史を黙って見てきた小さな名銭湯だ。 
(2011.11.24)
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ニコニコ湯 ≪廃業≫

2011年、廃業されました。
(北河内さん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。

堺区西湊町6-5-10 →地図
【電話】 072-241-3229
【営業時間】15:30〜22:30
【定休日】 月曜日


 阪堺電車の東湊電停から北西徒歩3〜4分。
 激渋路地の入り乱れる西湊町を貫く紀州街道、それがぐぐっとカーブするところにシブシブな面持ちの平屋建て銭湯が現れる。脇に「西出口橋」の欄干だけが残っているのがまた風情あり。
 玄関部分は伝統的な凸型だが、出っ張り部分が前後にずれたり上部が張り出したりしている造形がグッドすぎ。青い瓦もナイスの2乗。

 番台にはほがらかなおかみさんがニコニコ座っている。400円OKでさらにニコニコね。
 コンパクトな内部はきれいに改装されていてイニシエなものはあまりないが、前栽に外便所というクラシックスタイルは堅持されている。苔むした庭には池があるけど水はなくてチト残念。

 浴室もコンパクトだが、入るやハッと目を見開いたよワシャ。カランまわりおよび湯船のへり外側の古いタイルが素晴らしや! 白地に青い柄で、氷の花なのか雪の結晶なのか、はかなくも清々しく美しい花柄模様が4枚1組で描かれておるぞ。
 もひとつ奥の水風呂下部の茶色い柄タイルもミヤビなる模様。このダブル古タイルでヤラレて俺様号泣ニコニコ地獄だよ二湖似小次郎くん、って誰やねん。

 その他は適度に改装済だが、細かめタイル様多用でじつにニコニコ。
 湯船はデンキと深・浅(ジェット)が1列に並び、奥にスチームサウナと水風呂。浅風呂の底にはタイル鯉が7匹も泳いでたり、深風呂のお湯吐き口のライオン顔がやたらでかかったりと小技もニコニコね。

 何より、かかり湯した瞬間にお湯のよさを感じた。スチームも心地よく、水風呂は銭湯規模のわりには広めで深い。そしてどこもかしこも磨き抜かれてピッカピカ。
 なんかもう、温冷交互浴でイキそうになりながらもスチームで猛然と腹筋20回とか、俺様壊れかけのニッコニコ。

 上がって裸でビックルを飲みながら、番台のおかみさんに思わず「キンモチよかったわ〜ゴクラク風呂ですね〜」と告げざるを得ない。
 まじでニコニコ湯。近ければ通う。
(2011.3.3)
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旭ヶ丘温泉

堺区緑ヶ丘北町2丁3-8 →地図
【電話】 072-241-0190
【営業時間】16:00〜21:00
【定休日】 日曜日


 ふろいこか〜ラジオのタカハマPご推薦の銭湯だ。
 南海高野線の堺東駅からバスに乗り、「緑ヶ丘」で下りる。国道の向かいにクボタ工場がデーンとあるが、それに背を向けて300mほど南東へ。
 最寄り駅から歩く場合はJR阪和線の上野芝駅から北西1kmちょっと。

 道幅も広く、昔ながら系の銭湯がありそうにない地味な住宅地だが、その中にふいに煙突が聳え立ち、傍らに燃料の廃材が積まれている。

 前まで行くと、玄関の両脇に前栽つきの伝統的な凸型建築だが、改装されたようできれいな外観をしている。玄関上の部分は増築かな?
 だが暖簾を一歩くぐると、いきなりセピア色の郷愁攻撃だ。

 
(左)玄関スペース正面   (右)木の下駄箱

 戸を開けると、番台におやじが座ってラジオの野球中継を聞いている。
 そしてその脱衣所風景がこれもうモロにタイムスリップ系やおまへんか。
 なんといっても漢数字浮き彫りの木製脱衣箱の存在感が素晴らしい。そして男女境の鏡の下の台、ここ一面にびっしり貼られた細かなタイルに目を奪われる。さらにその台の下もすべてパーフェクトに木の脱衣箱が納まっている。
 うむ〜、渋い!
 浮世の悩みを強制忘却させられる超越空間だ。

 浴室は20年前くらいに改装されたようなケハイが漂う。深・浅・デンキ・ジェット・スチーム・水風呂と設備一揃いを堪能でき、島カランもあって洗い場スペースも十分だ。
 補修された部分とくたびれたタイルとの混在具合がイニシエ銭湯ファンのカユイところをくすぐりやがるぜ。

 風呂上り、再び昭和な脱衣場で飲み物を飲みながら放心する。
 最近ちまたじゃパワースポットがどうたらとうるさいわけだが、このイニシエ銭湯空間に勝てるパワースポットは屋久島のウィルソン株くらいのもんだろう。

 
そして靴を履いて帰るのです

(2010.8.31)
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神石温泉

堺区石津町1-14-28 →地図
【電話】 072-244-8650
【営業時間】 15:10〜22:45
【定休日】 不定


 阪堺電車石津駅から東へ歩いて10分たらず。国道26号線の高架をくぐると石津神社があり、その裏手の狭い路地に入り込んだところ。

 上の写真で、路地の向こうに石津神社の屋根が見えている。道が狭いため、よほど近づかないと風呂屋があるとは気づかない。
 でも近づくと、あまり見たことのないデザインの外観だ。壁面に小さな窓のような掘り込みが並んでいる。

 
(左)そのうちいくつかは本当の窓  (右)Tフロント

 
玄関天井。脱衣場の逆格子が見える

 玄関はなんてことなく合板的昭和。でも天井が高い。
 中に入ると、番台に座っているおやじさんが一人一人のお客に「こんにちは」と挨拶している。その声や態度がひじょーにさわやかで、魔法のように一瞬で心がほどけてしまう。

 脱衣場は奥行きがなく、横に平べったい。
 天井は格天井ふうに四角形の組み合わせになっているが、格子状の枠ではなく中の四角形が飛び出ているのが珍しい。

 浴室も横長の空間だ。昭和中期の改装以来ほとんど手を加えていない感じ。
 地味な色合いだが、カラン上の石鹸置台が赤っぽいタイルでアクセントになっている。

 湯船は中央にデンと深風呂があり、そこから奥へクランク状に、浅ジェット、電気とつながる。
 正面奥にスチームサウナ、これも横に細長い。
 その左に水風呂と、小さな庭が並んでいる。ハハーンこれはきっと、細長かった庭を半分つぶしてスチームと水風呂を作ったに違いない。
 浴室と庭を隔てるガラス戸を元のまま温存したためか、水風呂がガラス戸によって半分隠れて、ちょっとふしぎなスペースになっている。
 
 湯は心もちぬる目。
 見上げれば、カマボコ天井が男湯と女湯で少しずれている。その境目に湯気抜きがあって、説明は難しいがこれまたちょっと不思議なことになっている。

 深風呂にクマ(たぶん)の水吐きがあり、入口横の水鉢にはライオン。さっきの庭にはタヌキ・キツネ・リスの置物・・・平和だ。
 相客3人ほど。脱衣場で賑やかに話している。

 石畳床やタイル絵といった特筆すべきレトロアイテムはないけど、一般銭湯の規格から少しずつずれている感じがなんだかおもしろい。
 特筆するとしたら、やはりおやじさんのさわやかさだろう。古びた銭湯ながらも、おやじさんのおかげで湯上りニコニコ心もホカホカで帰ることができる。 
(2014.6.16)
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深井中央温泉


堺市中区深井北町757 →地図
0722-78-0556
【営業時間】16:00〜21:30
【定休日】月曜日


 南海高野線の堺東駅からバスに乗るか、歩きならJR阪和線の上野芝駅または泉北高速の深井駅から徒歩15分・・・というやや不便な場所にポツンとある、こじんまりした古い銭湯。
 だが、訪れる価値は高い。

 

 周囲は古くからの民家も残る、大阪近郊にしては味わいのある街並みだが、この銭湯の存在が地域の景観と風情をいっそう高めている。
 印象的な美しい玄関に、温泉マークの渋いオリジナル暖簾が揺れる。もうこれだけで胸がキューン・・・。
 そして中に入ると、これがお出迎えでございます。

 
見よ、このツヤ!

 年季の入った木の番台。格子天井に古い扇風機(現役で動くらしい)。小さな庭の横には汲み取り式便所。どこもかしこも約50年前のままだが、ボロい感じはまったくなく、大事に使われてきた様子がうかがえる。
 安っぽいポスター類も貼られておらず、余計なものはなくて実にシンプル。男女の仕切り壁や戸棚も、木のロッカー同様のダークブラウンで統一され、ベージュの塗り壁に見事に映えている。
 美しい空間だ。


 
脱衣場の男女仕切り壁。せっけん類のショーケースも木製。上の鏡にはロッカーが映っている

 特別に女風呂の脱衣場も見せていただいた。もうめったにお目にかかれない、木のベビーベッドが置かれている。
 「もうこれを使ってくれている赤ちゃんは1人しかいないんです」
 おかみさんはそう言うが、21世紀の今日、この骨董品のようなベビーベッドでオムツを換えられている赤ちゃんが日本に存在していること自体が奇跡に近い。
 毎日ここで体を拭かれた子どもは、間違いなくいい子に育つ。そう断言してしまいたいね、このさい。


 
「これはおまえの場所だよ」・・・自分の子どもに言ってみたい

 タイル張りの浴室も、主浴槽と、棺桶サイズの浅い副浴槽だけ、というシンプルなもの。入口側の隅にかかり水槽がある。
 ジェットも気泡もなにもないから、とにかく静寂そのもの。沸かされた井戸水が、だまってそこに湧き上がっている。
 こういった小さな古い銭湯は、えてして地元のお年寄り客ばかり、しかも賑やかにしゃべっていたりして、外来者はなんとなく居ずらい雰囲気を感じたりすることがある。が、ここは僕が入った時には客の年齢層にも幅があり、しかも私語はなく、不思議なほどみんな静かに入っていた。
 チャプチャプ、カコーン、のみ。

 この静けさは、まったくもって貴重だ。こんな空間が今どき他にあるだろうか。
 とにかく、近くの人は一度行ってみるべきだろう(現役女子大生の娘さんが番台に座っていることもあるらしいぞ!)。

 南海高野線の堺東駅から南海バス(10番乗り場)2系統か3系統に乗って「深井新町」バス停で下車し、そのまま真っ直ぐ30秒。バスは15分に1本くらいある。
(2004.1.18)

 
こんな銭湯のある街角に住みたいねえ

※2010年7月よりオリジナルポストカードを番台にて販売中。買って帰ろう!
※2010年11/26、ふろいこか〜ラジオに登場!
※2011年8/27、薪焚き体験&湯あがりそうめん祭り開催!開催!
※2015年12月 レトロ銭湯へようこそ写真展開催
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福田温泉 ≪廃業≫

2017年6/15、廃業されました。
(きみちゃん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。

堺市中区福田894 →地図
【電話】 0722-34-2348
【営業時間】 14:30〜24:00
【定休日】 日曜日


 交通の便、よからず。でもそんなところにこんな銭湯が隠れているのねぇ。
 最寄駅は南海高野線の北野田駅だが、歩いたら30分くらいかかりそう。まあ普通はバスでしょう。
 国道310号線の下出口交差点から西へ徒歩数分、団地の影に煙突発見だ。

 正面から見て、アッと声をあげそうになった。湯気抜きが左右にある!
 これは舞鶴の若の湯と同じ、男女浴室が離れ離れの横長銭湯ではないのか。

 
(左)飛び出す屋号   (右)一般的なレトロ系玄関

 靴を脱いで中に入ると、古い番台にご高齢のばあさまがおられる。
 ゼニを払って脱衣場を見回してたまげた、ここここれは・・・濃厚なるレトロ空間ではないかえ!

 柱や桟などの材木と白いしっくい壁が奏でる伝統的日本建築美。奥壁と男女仕切り壁の下部に並ぶ脱衣箱はすべてケヤキ一枚板に漢数字浮き彫りモノ。男女仕切りの鏡の上部には、だいぶ痛んでいるが新双葉温泉と同じ鯉の絵の刷りガラス。天井の板も独特の激レトロな風合いを醸し出している。

 
3枚羽扇風機あり

 そしてやはり浴室は脱衣場の奥ではなく横についている。
 んでその入り口のある壁は、一面びっしりと細かいタイルで埋め尽くされている。これがえんじ色と水色の市松模様だったりと渋いのなんの。
 そして浴室入り口のガラス戸には、「きちんとしめてネ」とマジックじか書きだ。

 浴室もけっこうあなどれない。
 中央に深浅の主浴槽があり、浅いほうには底に鯉タイルが泳ぐ。奥には気泡・デンキ・ジェットの湯船があるが、その奥壁には富士山のモザイクタイル画あり。狭い空間になにかとみっちり詰まっている感じ。

 湯船のフチに石が乗っているほかは細かなタイル張りだが、タイルが剥がれたところがいろんな別種タイルで補修されている様子が楽しめる。
 お湯は、主浴槽は熱め、奥はぬるめ。カランの圧力もまあまあで、古いが使い勝手は悪くない。

 上がると、俺の入浴前から脱衣所でビールを飲みながら相撲を見ていた常連のオッサン連中が、こんどは競輪番組で盛り上がっている。こんな時間にテレビで競輪なんかやってんの? それに最初は2名だったオッサンが4名に増えてるし。
 なんかわからんが、まあ地元密着な憩いの場なんでしょう。

 ともかくレトロ度は高く、イニシエファンは交通不便を押して来る値打ちあり。
 バスは南海バス32系統。北野田駅からなら数分、三国ヶ丘駅や中百舌鳥駅からだと20〜30分というところ。ともに「下出口」で下車して徒歩5〜6分。
 
(2011.1.18)
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