メ シ つ き 文 化 遺 産
激渋食堂メモ
静岡県の渋~い大衆食堂
松葉食堂(掛川市、掛川駅)

まるしまのおにぎり★(静岡市、静岡駅)

呉竹★(富士市、富士駅)


富士屋★(三島市、三島二日町駅)(閉店)
 
松葉食堂
掛川市緑ヶ丘1-21-5
→地図

電話/0537-24-4601

【営業時間】11:00~14:00
      17:00~20:00
【定休日】木曜日


 雨の中、掛川駅から10分ほど歩いた住宅地にポツンとある大衆食堂。
 店内はわりと広くて、6人がけテーブル3つと、小上がり2卓。昼下がりの時間帯、無口で無表情なおやじさんが迎えてくれる。

 メニューはえらく豊富だ。昔ながらの木のメニュー短冊の下に、手書きの紙短冊が洪水のように貼られていて、それらを見ているだけでも楽しくなる。でもなぜかラーメンがないのが不思議だ。

 
(左)ガラスに直書きメニューがナイス   (右)手書き短冊がすごい

 雨宿り目的で入ったが・・・焼酎でももらおか。でも焼酎はないというので瓶ビールにした。
 「一品でなんかもらいましょかね」と言うと、おやじさんは控えめに、「オカズここにもいろいろあります」とおっしゃる。
 見ると、冷蔵庫周辺に一皿200円で並んでいるが・・・おぉ、どの皿も数種類のおかずを組み合わせたもので、なかなかうまそうやん。
 この組み合わせのセットっぷりや、「おかずにおつまみ、いかがですか」などの張り紙のフレンドリーさが、おやじさんの寡黙な印象とミスマッチでほほえましい。

 「パプリカとエリンギとベーコンのバター炒め」を選択。バター不足のご時世だからもしかしてマーガリンかとも思ったが、食べたらちゃんとバター炒めだった。
 「ネギの肉巻きブロッコリー添え」もうまし。どっちも200円は安いなぁ。

 
ホッとするひととき

 帰りがけ、台所におかみさんらしき女性が見えた。フレンドリーな張り紙はこのお方によるものかもしれない。
 ビール中瓶600円とでちょうど1000円。ふんだんなメニューが再訪を誘う、意外なヒット食堂だ。
(2015年4月)
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まるしまのおにぎり  
静岡市駿河区南町7-15
→地図

電話/054-281-4900

【営業時間】6:30~18:00
     (土曜日は17:00まで)
【定休日】日・祝


 静岡駅の南口を出て1分もかからないようなところに、何やら気になる店がある。

 
ビジュアル最高!

 入ると、4人がけのテーブル2つと、二人がけの小さなテーブル一つ、おでん器が中央に仕込まれた正方形テーブル、小さな小上がり1卓。
 10人超えたらいっぱいになりそうな小さな店で、70代くらいの淡々とした老夫婦がやっている。狭いけど開放的な人気店で、客の出入りが多い。

 
(左)このおでん席がいい! (右)奥の席にもみな相席して静かに食っている

 壁のメニューは、おにぎり各種と、おでん、天ぷら。
 おでんは自分で好きなのを取る。1本60円。カツブシ粉をかけてカラシで食べる、いわゆる「しぞーかおでん」スタイル。。
 スジはとても柔らかい。豚? 練り物をアゲで包んだ「しのだ」も関西ではあまりお目にかからない。
 みんながどんどん取って食べるから、途中でどんどん補充される。

 
(左)おでん器 (右)かつぶしパラパラ

 おにぎりは赤飯110円、その他90円。
 にぎりたての梅おにぎり、うんま! 思えば、にぎりたてのおにぎりなんていつ以来やろ。
 天ぷらは3品ある。ニンジンかき揚げ、ゴボウかき揚げ、タマネギ他のかき揚げ、それぞれ80円。

 
(左)梅おにぎり90円 (右)ずっとおりたい

 いやー、この店の雰囲気、最高やわ。おでんで酒かビールをチビチビいきたくなるが、飲み物はお茶のみ。
 そらこれでビールや酒を置いたら、みな長々と居座るやろなー。
 会計は、おかみさんに声をかけたら6つ玉ソロバンで計算してくれる。

 お客は多様だ。常連らしき女性一人、若い男、旅行者らしき老夫婦……開けっ放しの表戸からみなフラ~っと入ってきて、勝手におでんをとって静かに食べている。なんとも脱力な、よき光景だ。
 いくらお金をかけても、この店に漂うオーラは作り出せまいて。
(2016年8月)
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呉竹  
富士市水戸島元町5-9
→地図

電話/0545-61-6779

【営業時間】 10:00ごろ~18:00ごろ
【定休日】 水曜日


 富士駅から3分ほどの便利な場所にある。
 外観は飾り気なくそっけないが、食堂好きならピンとくる渋いオーラが漂っている。期待が膨らむぅ~。

 中に入ると、予想以上にエエやん! 内装は古いままだが、磨かれて大事に使われている感じ。窓際の小上がりも居心地よさそうだ。

 おやじさんとおかみさんが主に台所を担当し、50前後の娘さんらしき女性が注文・会計・拭き掃除などをキビキビとやっている。
 まだ午前中だが、カウンターでビールを飲んでいるオヤジ客が一人いる。

 
(左)テーブル4つ5つとカウンター、小上がり2卓   (右)煮かつ定食800円

 壁メニューは和洋中ほか定食もの一品もの、すべてリーズナブルな大衆食堂標準価格。うどんがない代わりにラーメン類が充実しているのが特徴か。
 中でも気になった煮かつ定食を注文した。肉厚で、だしも甘すぎずウンマーイ! 味噌汁には細かいシジミが入ってるし、漬物もうまいわ。嬉しいなぁ~。

 
壁にあった、ちょっと気になる絵

 古き良き庶民の風情に包まれて食べる、ちょっと早めの昼飯。じつにエエ。
 「朝はお客さんがいらした時間から開けますから、暖簾が出てなくても入ってみてくださいね」
 とおっしゃる娘さんのお人柄が非常に感じよし。
 夕方に閉まってしまうのが残念だが、これは隠れた名店やわ。絶対また来ようっと。
(2015年4月)
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富士屋   (閉店)
2015年5月で閉店されました。

三島市東本町2-3-47
→地図

電話/055-971-2282

【営業時間】 11:00すぎ~20:00
【定休日】 日曜日


 三島大社から下田街道を歩いて5~6分ほど下ったところに、時代がかった食堂がある。
 入り口の引き戸をガタガタと開けるところから、もはや時計が逆回転を始める。

 
(左)渋すぎ・・・夜も訪れてみたい   (右)ホッピーのナカ濃いめで一息

 店内にはテーブルが二つと、カウンターには赤い毛糸をかぶった椅子が4つ、それで全部。狭い、渋い、あたたかい。完全に時間が止まったエアポケットだ。
 壁に手書きのメニューが貼られている。麺類500~600円台、丼物やカレーライス600~700円、あとは酒類。

 一人でやっているおかみさんは83歳になるというが、そんなお歳には見えない。
 この店を始めて45年、建物は100年近く経っているらしい。

 そして残念なことに、この5月いっぱいで店をたたむことを決めたとおっしゃる。

 
(左)毛糸の椅子   (右)ラーメン550円、しみじみ味わう

 ラーメンを作っていただいた。とってもうまいです・・・。

 おかみさんは、かつて東京で親戚が経営する銭湯の番台に座っていたこともあるらしい。話題豊富で話し上手、あっという間に時間が過ぎてゆく。
 近所の常連客だけでなく、旅行でふらりと訪れて以来毎年立ち寄るようになった客もけっこういるようだ。みんなにとって残念な閉店に違いない。

 今ならまだ間に合う。5月末までに三島を通る人は、ぜひ立ち寄って、この雰囲気を味わっておかれるとよいだろう。
(2014年4月)
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