|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
晴天の正月2日、なーんも予定なし。 三島から伊豆箱根鉄道に乗って、チンタラポッポと伊豆半島の中央部、修善寺方面へ。 赤い十字がそのあたり 大仁(おおひと)駅に近づくに連れ、車窓右側にいかつい岩山がゴッキンゴッキンに根張りしているのが見えてくる。 なんかもうムキダシなのよね。周囲の平和な田園風景をぶち壊す勢い。 いかつく腰を下ろす この山は城山と書いて「じょうやま」と読むらしい。伊豆にはもう一つ城山(こっちは「しろやま」)があるけど、こっちが断然おそろしい姿をしている。 でも事前の調べによると、見た目に似合わず誰でも平和的に登ることができるフレンドリーな山っちゅーことなので、正月の怠惰な旅行ついでに登ることにした。 電車はこの山を少し過ぎて大仁駅に停まる。駅を出て振り返るとこいつがデカデカとそびえているので、そっち方面へ向かうと、有料道路の大仁南インター交差点に出る。 (左)茶線=登山口まで、赤線=登山道 (右)修善寺道路のインター交差点から そこから狩野川の橋を渡って、堤防から田んぼの畦に降りる。目の前には常にこの山がそびえているから、とにかくそっちへ向かってゆくと。 小さな川をわたって車道を右折、城山手前の山裾を右へ巻いてゆくかたちになる。途中にちょっとユニークな面持ちの子育て地蔵がある。 (左)狩野川を渡る (右)とぼけたお顔の子持ち地蔵 さらに進むと小さな墓地があり、いったんは手前の山かげに隠れて見えなくなっていた本日の主人公、城山先生が、墓地の向こうにドガガーンと大迫力での再登場だ(冒頭写真)。 胸全面に絶壁の鎧をまとって鎮座する、この威圧感はなかなかのものだ。 とてもマトモに登れそうには見えないが、この墓地の先が登山口になっているようで、路傍に車が何台も駐車してある。駅から歩いて30分ほど。 登山口には、2種類の案内板が設置されていた。 (左)ハイキングコース案内図 (右)クライミングゲレンデ案内図 ハイカー&クライマーのどっちにも親しまれている山のようだ。人は見かけによらんね。人ではないが。 登山道へ踏み込むと、道がえぐれて沢になっている。歩きやすいところを選んで登っていくと、樹林の合間からこの山の南壁がチラチラ見える。 城山の南壁と向い合わせに、あたかも南壁を包み込むように尾根筋が走っている。登山ルートはその間の谷を詰めていくかたちだ。途中、何組ものハイカーとすれ違った。 クライミングルートとハイキングルートの分岐を過ぎると、南壁がよく見えるようになる。こいつはすごいぞ。 (左)沢化した登山道 (右)ハイキングとクライミングの分岐 (左)むきだしの壁 (右)峠 山道はよく歩かれていて迷うこともない。山の見た目の割には、さほどの激登りでもない。 適度な傾斜の樹林の中を適度に登り、源頭近くの広々としたエリアを過ぎたら、登山口から30分たらずでベンチと道標のある峠に出る。ここからは葛城山方面へも行けるようだ。 道標に従って右へ、城山山頂へ向かう。 最初のうちは普通の混合林の広い尾根だが、やがて尾根が狭くなるとウバメガシの純林となる。このエリアがこのコースの白眉だな。岩だらけの痩せ尾根が波打つようなウバメガシの幹に取り囲まれて、まるで花道のアーチをくぐってゆくようだ。 この日は瞬間最大35メートルという強風が吹いていたが、その厳しさも含めてなんともいえず美しく、山歩き特有の幸福感に包まれる。 (左)ウバメガシの尾根 (右)美しく、楽しい この尾根をいつまでも歩いていたいと思ったが、その幸福は長くは続かず、峠から10分かそこらで山頂に着いた。 先客がいた。小学生の娘と父親が、火を沸かしてカップスープを食べようとしている。 山頂は10人くらい滞在できるほどの広さがあり、銅製の風景案内板が設置されている。そこからは案内板に描かれた通りに、眼下の大仁周辺はもちろん、狩野川流域と伊豆半島東部の180度ほどが一望できる。 ただし山頂の周囲を潅木が囲んでいるので、かぶりつき展望というわけにはいかないのがやや残念。 (左)父と娘 (右)三島・富士山方面 北方には富士山が見えるはずだが、強風で空気中に粒子が多いのか、全体的に白く霞んでいて富士山も見えなかった。 山頂の少し南には、南壁の上端部があって、高度感を味わうことができる。 (左)修善寺方面 (右)岩壁の上から 15分ほど滞在しておやつを食べ、ますます強まってきた風の中、カップスープの親子を残して同じ道を下山する。 ウバメガシの尾根道は強風によってさらに仙境の度合いを増していたが、やはりあっという間に通り過ぎてしまった。 途中、南壁がよく見えるところで、何人かの親子連れが立ち止まってロッククライミングを見物している。なんと、こんなにすさまじい風の中でも壁にへばりついているクライマーが何人かいるぞ。すげー勇気! 小さな男の子が「風に飛ばされちゃうよ」と心配していた。 (左)右に一人、左に一人 (右)さらば城山 山頂から25分くらいで登山口に戻ってきた。正月早々だというのに、けっこう人と出会う山だった。 見た目おっかないけど気軽に登れる城山は、地元の小さな子どもからロッククライマーまで、幅広い層に親しまれているユースフルなふしぎ山であった。 (登山日:2013.1.2) |
||||||||||||
「ふしぎ山」トップ |