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【香川県】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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えびす湯 (高松市) 田町湯 △(高松市) (廃業) やなぎ湯 ★(坂出市) 富士見湯 ★(坂出市)(廃業) たから湯 (観音寺市) (廃業) 観光湯 △(さぬき市) (廃業) 琴平かまぶろ温泉 (琴平町) |
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えびす湯
春は名のみの風の寒さや。 高松駅から南へ数分の兵庫町通りを西へ西へ。この通り沿いには銭湯が点々と並んでいる。 1kmほど進んだあたりで、前方の角地に四角く白い、小さな建物が見えてきた。昔の銀行などの洋風建築をきゅーっとミニチュアサイズに縮めたようなかわいらしさだ。 背の低い建物の上部のかどっこに、「えびす湯」と緑色の文字で書かれた小さな四角い看板がくっついている。 (左)ひときわ低い (右)後ろは瓦屋根の普通の日本家屋 暖簾をくぐると、狭い狭い靴脱ぎ場がある。奥行き1メートルに満たないだろう。この薄べったさはあまり経験のないものだ。かがんで靴を脱ごうとすると尻は暖簾の外に出るし、頭は正面壁にぶつかりそうになる。楽しいぢゃないか。 だがここの床に敷かれている茶色と緑をあしらったタイルワークは俺好みだ。脱衣所入口の引き戸も渋い。 (左)子どものサンダルで奥行きのなさがわかる (右)あがりがまちも幅がないぞ〜 番台には誰もいなかった。料金だけ置いて服を脱ぐ。 外観同様にこじんまりとした脱衣所は、天井や壁が新建材でそっけなく改装されている。ロッカーは木製だがフタはベニヤ。木のベンチが1つあるだけで他になにもない。 浴室もコンパクトだが、上を見てギョッとした。 天井の湯気抜きが見たことのない形をしている。男湯女湯の天井全体を集約する四角錘天井で、ここまでは関西では一般的なのだが、その頂点にある湯気抜き部分だけが高々と、男女別々にスポーンと抜けている。 天井自体が男女別の四角錘というのはたまにあるが、湯気抜きだけがなぜわざわざ男女別なのか。謎だ。 他は特にどこがどうということもないシンプルな浴室だ。 湯船は男女境に沿って深と浅、湯はぬるめ。奥に緑色の薬湯があるが、入ろうとするとこれが激熱だ。別府級。47度は軽く越えている。 足をつけた俺が呻いているのを見て、子どもを連れた若い父親が、「うめないと・・・熱いんですよこの時間」と教えてくれた。俺は桶に水を4杯くんで46度くらいに下げ、1分耐えた。 窓側にカランが並ぶがシャワーはない。そのかわり、せっけんやシャンプーが常備されている。こんな小さな銭湯でこのサービスは珍しい。古いけど清潔感もある。 午後4時半すぎ、他客は2〜3人。 冷たい風の中を歩いて縮こまった体も、熱湯薬風呂でぽかぽかになった。 さて、うどんでも食うか。 高松の町外れ、鄙び風呂屋の早春賦。 (2009.3.14) ※「レトロ銭湯へようこそ西日本版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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田町湯△ <廃業>
高松での仕事の合間、1時間ちょい時間が空いたので銭湯へ。 コトデン瓦町駅から徒歩数分。観光通りを越えて田町商店街を歩き、アーケードが切れるあたりで左に入る。 外観は、これはレンガを積んであるのかレンガ調タイルなのか、とにかく全面どっしりとレンガチックでなかなか目立つ。いつごろの建物なんだろう。 (左)側面もレンガ (右)玄関まわりだけ違う 暖簾をくぐると開けっ放しの入り口、その付近もまたレンガ調。 正面に今どきピンク電話が! 中へ入るとタタキに番台。そして・・・おー、脱衣所も全面レンガ調で覆い尽くされている。外装と内装が同じというのも珍しい。 しかしここ、使われていない一人用サウナボックスや、ぶら下がり健康器、壊れたマッサージ器、かぶり式ドライヤーなどが無造作に居座っていて、かなり雑然とした濃厚系。 しかも入り口の戸に続いて、浴室の戸も開けっ放し。 ともかく服を脱いで浴室へ。うわー、浴室の壁も徹底的にレンガ調! 湯船は深浅の古い主浴槽、湯はぬるい。40度くらいか? 男女仕切り壁にモザイクタイル絵、これは高松築港にある玉藻公園だな。地方色のあるモザイク絵はなんとなく嬉しい。 奥に入浴剤入りの副浴槽、こっちはもっとぬるい。 出入り口横に水風呂もある。 壁際に並んだカランにはシャワーはないが、奥壁にはカランなしのシャワーだけがいくつか設置されている。 それにしても、ここまでレンガ調で統一された銭湯は初めて。北欧かどっかの山の避難小屋風というか、重厚にしっかりと守られているようなミョーな安らぎを感じる。冬に来るともっといいかも。 ただしカラン前の床がちょっとヌメってたりするのはいただけない。 上がると番台のオバチャンは女湯のお客とのおしゃべりに夢中で、割り込むスキもなかった。 (2004.9.25) |
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やなぎ湯 ★
坂出の駅前にはドデーンとイオンがある。 そのハコがデカくて見えないのだが、無表情な壁面に沿って右へ回り込んでいくと、風呂屋の煙突が見える。 なんと、駅から3分、イオンの隣! 中小の地方都市でこれは珍しい立地だ。この銭湯はイオンで買い物してから行くのが正解だろう。とりあえずパンツを買った。 でこの銭湯、なかなかの味わい深い外観ではありませぬか。救ってますよ、全国どこも同じ意匠の巨大スーパーに蹂躙される坂出駅前の景観を。 (左)アーチに丸い電燈がしびれる〜 (右)暖簾をくぐると狭い廊下スペース 中に入ってたまげたね。ザ・正調日本銭湯風情。どこもかしこも美しい。 (左)タタキに木の番台、おかみさん素敵 (右)広々した郷愁空間 (左)このレトロな鏡がまたスバラシイ (右)男女仕切りと反対側には庭がある 浴室入口付近のタイル 無意識にすーっと深呼吸してしまう。 庭がまたエエ。石の池があって、猫の置物があって、金魚が気持ちよさげに泳いでいる。この掃き出しのとこにわざわざ椅子が置いてある。特等席やな〜。 もうこの時点でニコニコで服を脱ぎ、浴室へと向かう。 入口手前のシュロマット部分に亀甲型えんじ色タイルが貼られているが、浴室へ入ったところにもステップみたいに同じタイルの段がしつらえてある。 俺、こういうちょっとした演出にやられる傾向があるのよね。 男女壁に接して深浅の主湯。深風呂の半分近くが浅風呂よりさらに浅くなっているのが珍しい。湯船へりの白いタイルがよい。 奥の隅にサブ浴槽、こちらはややあつめの薬湯だ。 外側壁に並ぶカラン。カマボコ天井は板張りの古いモノ。 椅子や桶は隅にきちんと積まれている。 一般的な光景だが、風情満点の脱衣場を通って入ると、そう、これよね! といちいち好感を覚えてしまう。風呂屋に限らず、これが商売の極意だろう。 さっぱりとした風呂あがり、買ったばかりのパンツをキュッとはく。キモチエエ〜♪ おかみさんによると、建物は100年くらい経ってるらしい。それをきっちりと補修しながら現在に至っている。 常連客に愛されているのはもちろん、自転車旅行の若者などもしばしば立ち寄るそうだ。 列車の時間ぎりぎりまで脱衣場でくつろいで行ける、ナイスすぎる銭湯。銭湯ファンにとっては、巨大イオンなど足元にも及ばぬ存在感がある。(2014.4.3) ※「レトロ銭湯へようこそ西日本版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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富士見湯★(廃業)
イイ。とっても。ボクチン幸せ〜な気分になっちゃう。 坂出駅から線路沿いに西へ約500メートル歩き、バス道で南へ折れて最初の信号を右へ入ったところ。 なんの変哲もない住宅地に、いきなりもわ〜んと漂うレトロなオーラ。この外見だけで銭湯ファンはイ・チ・コ・ロよ〜んシャランラ〜。 小粒だけど、ほれぼれドレトロ! カタイ外壁に明るい暖簾が絶妙にまいっちんぐマチコ イイのは外見だけではなかった。 暖簾をくぐると細かなタイルがびっしり敷き詰められた玄関。右手の庭の先には汲み取り式の外便所。イカス〜。 (左)えーがな (右)通路の奥に便所 もひとつ暖簾をくぐるとタタキに低い木の番台、玄関まわりと同じ薄い青緑に塗られている。そこにぶすっとしたオバサンが鎮座。サイコー。 香川県の銭湯料金は300円、安いねぇ〜。靴を脱いで脱衣所に上がると、天井と壁は改装されているものの、ガラスのはまった木のロッカーや木のベンチが見事な郷愁空間を演出する。 おぅ、浴室入口の横に小さな乾式サウナあり! このロッカーの色使いも関西ではあまり見ない もうこの時点でシアワセ小市民を完成させつつ浴室へ入る。昔ながら系銭湯としては中型の広さ。 中央やや外側に楕円形の深浅主湯、深いほうにはジェット2連。 意外にも大阪式の座り段がぐるっと取り巻いているが、その高さがたったの4cmほど。この低さは神戸西部でしかお目にかかれない。 主湯のへりには2cm角の濃紺タイルが貼られ、フチ外側には楕円型のタイル長径3cm短径1.5cmがびっしり。そして湯船の底には青系の不揃いな豆タイル。 主湯、奥に水風呂 最高。最高だぜアニキ、だってこんなタイル関西の風呂にないし、古いけどキレイだよ、丹念に磨かれてるよ。 湯も澄み切ってるし。どれ、チャプーンと・・・おう、やわらかいぞ。それにほのかに香るにおい・・・薪沸かしだな。 奥の左隅には水風呂がある。で右隅には入浴剤入り、こっちは43〜44度はある。これまった疲れた足に気持ちエエ。 (左)アッツアツの薬風呂 (右)天井のダブル湯気抜き 見上げれば天井はカマボコ型だが、男女境の上に湯気抜きが2つ並んでいるのがめずらしい。 見下ろせば、床タイルは自然石調の見たことのないタイプ。じつに好ましい。 さらにカランは最新式の自動調節モノと旧来の手動調節モノが交互に設置され、ハンドシャワーが完備されている。使い勝手はきわめて良好。 出入り口の横に小さなスチーム室があるが、ここは故障で使われていない。それを覗き込んでいたら、脱衣所と釜場を行ったり来たりしていた店主らしきおじさんが、 「そこは使ってないけど、こっちのサウナへどうぞ。7時まではタダやから」 とわざわざ言いに来てくれた。 さっそくお言葉に甘えてサウナへ。2人用の小さいサイズだが、ここもきれいだし温度もバッチリ。アチアチになるまで我慢して、水風呂へドボーン。 とまあ、きれいで気持ちのいい大満足銭湯だった。番台のおばさんによると創業80年、この建物は築50年くらいとのことだ。見知らぬ地方でこんなステキなお風呂に出会ったときの喜びはひとしおでございます。 (2004.9.24)→西讃旅行記 (左)横からも眺めちゃう (右)最後にもっぺん正面から眺めちゃう ※脱衣場のサウナは2016年4月現在、別料金なしとなっています。 ※浴室の写真は2016年6月に追加 ※「レトロ銭湯へようこそ西日本版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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たから湯 <廃業>
たどり着いて、しみじみ。 しかしまあ我ながらよくこんなところまで来よるわ俺ぁ、アホカイナと。 でもこの風呂へ入ったら思考が180度逆転。俺って最高! 高松からJR予讃線の鈍行に揺られて1時間15分ほど。カトキチ本社のある観音寺市に着く。 駅を出て北へ1kmちょっとだが、駅前通りが途中で終わってたりするので説明がやや難しいな。とりあえず四国霊場69番の観音寺を目指して歩き、三架橋(街のシンボルらしい)より1つ上流の染川橋まで来てください。 財田川を渡るとすぐ観音寺だが、渡らずに右へ土手を歩くと小さな鳥居がある。その向こうに・・・ほら、煙突が白い煙を上げているでしょう。 (左)横の細い路地を降りてけば嗚呼めぐり会い (右)観音寺の銭湯煙突はみなこのタイプ 外観、かなりキてる感じ。玄関の小屋根がゆがんでるし。屋号はどこにもないが、電話帳によると「たから湯」なので、そうなんでしょうきっと。 おーい、大丈夫か〜 でもよく見たら、なかなか味わい深い装飾があちこちに施されている。 (左)切妻部分に「湯」の大文字 (右)破風の鬼瓦は精巧な松鶴、正面にはチョウチョ 暖簾をくぐると狭い玄関スペースを挟んでまた暖簾。 さらにくぐると狭いタタキ、低い木の番台と鍵付の下駄箱が置かれている。番台には誰もおらん。300円を置いて脱衣所へ上がる。 さわやかな感じ 脱衣所も狭い。天井や壁は新建材で改装されている。中央にベンチがあり、隅に2階へ上がる小さな階段がある。 ロッカーは木枠にアクリル板をはめたもの。開けると、底面に1cmほどの高さで金網が設置されている。ほお、これは初めて見るが、清潔感のあるナイスなアイデアだな。 浴室は、脱衣所からすると広め。天井は新しそうなトタン張りで、床は見慣れない渋い色の小さめタイルで覆われている。 男女仕切り側にタイル張りの深浅2槽。ほう、湯は44度くらいあるぞ。俺は関西人には珍しく、熱い湯大好き。今日はさんざん歩いたしな。あ〜気持ちエエ! ほんのり薪を炊く香りが漂う。くつろぐねぇ。湯船のへりの、1cm角のレトロなえんじ色タイルをナデナデしながら、静かにアチチを我慢。 浅い浴槽は41度くらいでどなたさまも入りやすい。 奥に副浴槽、こっちは入浴剤入りで42度くらい、しかも半分は電気風呂。これがなんと電極版が木の板だ。 出入り口の横には水風呂もある。あまり冷たくはない。 カランだけでシャワーはなし。椅子と桶がきちんと整列している。カラン周囲の不ぞろいな小石形タイルがまた昭和ですなぁ。 全体的によく磨かれていて、辺鄙な場所のボロい木造銭湯としては快適度は相当高い。 上がると番台におやっさんが座っていた。牛乳とオロナミンCの販売もあって嬉しいな〜。 ところで営業時間と定休日を確認してくるのを忘れた、スマヌ。僕が行ったのは日曜日の午後3時半ごろ。先客1人、途中で1人、帰るときに1人、という客の入りだった。 観音寺からなら徒歩5分ほど。お遍路の帰りはここでっせ。(2004.9.26)→観音寺旅行記 |
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観光湯△ <廃業>
香川県在住の知人から「ここがよかった!」との情報を得ていた激渋銭湯へ、ついに行った。電話帳にも載っていない秘湯だ。 コトデン志度線の終点・志度駅を出て、四国霊場86番の志度寺へ向かう。数分歩けば山門が見えてくるが、その少し手前で右の細い路地を覗くと、煙突が黒い煙を吐いているのが見える。あれだな。 志度寺参道の1本南の通りにあたる 路地を抜けて正面へ行くと、角地に小さな祠を従えて、ムンムン漂ういにしえのオーラ。入母屋造りの前に洞窟のごときモルタルの門構え、その中から樫の木かなんかが生えている。 ふ、古い! しかも妙にカチッと存在を示すこの姿。なんかじーんとくるよ。 (左)玄関横の角に祠 (右)裏手から。壁はパッチワーク状態 (左)玄関先の看板、温泉マークの下は「画應」? (右)玄関中央から伸びる樹木 門をくぐると中庭には自転車やバアサン手押し車などが停められている。暖簾の奥には青く塗られた木の引き戸。 開けるとタタキに番台があり、おかみさんが座っているが・・・おや? 脱衣所の向こうの浴室が妙に薄暗い。女湯からは談笑が聞こえるが、男湯のお客は誰もおらんし、まさか女湯しか営業してないのか? でも、おかみさんは何も言わないので、男湯もやってるんだろう。湯銭を払って靴を脱ぎ、脱衣所へ上がる。 こじんまりした脱衣所のイニシエ度がまた激烈だ。剥げた白壁に囲まれた濃厚空間。天井は低く、プロペラ(現役)がやたらと近いところにある。出るのは感嘆のタメイキばかりなり。 でもそこはやはり銭湯、はだしになると板張り床が気持ちいい。 (左)番台周辺 (右)その上部には色ガラス、建った当時はモダンな建物だったのだろう (左)男女仕切り壁の鏡、緑のベンチもいい味 (右)木のロッカーにはもちろん鍵なし (左)プロペラ横の天井が一部抜けている (右)浴室方面(あとで電気がついてから撮影) 緑で統一されたガラス戸を開けて薄暗い浴室へ入ると・・・おおっ、こここ、こっこっこ、これは! ここも見事なまでの古さだが、このゴージャスな壁タイルは、かつてオスマントルコかチムール帝国の皇帝が入られた風呂に間違いない。そして床のタイル柄の美しさにもう絶句。 (左)左が男女隔壁。右下の排水溝には真鍮フタ (右)カラン下の桶置きがテーブル状になっている 皇帝の湯をおそるおそる体にかけ、まず主浴槽に浸かる。42度くらいで、地下水と薪のほのかないい香りがする。アッラー・アクバル! 奥にある扇形の副浴槽には湯が半分しか入っていないが、三角座りするとちょうどの深さになる。皇帝の湯らしくローズマリーの入浴剤入り。やや熱めで、山歩き後にちょうどよろしい。 四角錘天井もこの渋さ 途中で電気がつけられた。ゴージャスなタイルがますます妖しく輝く。 シャワーはないが、カランは快調に機能している。 上がりは飲み物販売などないが、砂漠の民はそんなもの平気だ。 おかみさんはいつごろの建物か定かにご存知なさそうだったが、「戦前です」とおっしゃっていた。言うまでもなく十字軍vsイスラム帝国の戦争のことだろう。 四国のお遍路は志度寺に巡礼するが、銭湯狂信徒は迷わずこの観光湯に巡礼しなければならない。それがわれわれフロリアンの民の掟だ。 (2003.3.25) 神殿の出口 |
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琴平かまぶろ温泉
琴平駅から南東へ徒歩数分、古い民家や商店が立ち並ぶ重々しい街道筋から少し入ったところに、ポンとたたずんでいる。琴平で最後の1軒だ。 横を流れる水路の情景がなかなか泣かせる。 (左)ええ感じ (右)側面の板塀もええがな (左)温泉、との断言が渋い(注:温泉ではありません) (右)ガラスの柄がヨイ! 暖簾をくぐると狭い下駄箱スペースがあり、白塗りの下駄箱がある。がこれが正味の下駄サイズで、俺のトレッキングシューズは厳しい。 脱衣場に入ると、大きめの番台に、わりとそっけない感じのおかみさんが座っている。 ここで一瞬たじろぐほどの存在感バリバリ物体が視界を遮る。なな、何だ。茶色い衝立だ! 風呂屋に衝立はよくある。しかし、ここではその一面にびっしりと、かまぶろ温泉の由来がるる墨書きしてある。 風呂に入るんならまずこれ読めと。んで「同意する」にチェック入れてから進めと。んなこたない。 長い文章なので全部読んでないが、蒸し風呂やサウナとも違って常に外気を取り込んで云々――京都八瀬のかまぶろ温泉と姉妹店…そうなのか! しかし入り口に立ってこんなん読んでるより、はよ風呂に入りたい。 脱衣場は田舎の木造銭湯共通のレトロムード。 渋い木の脱衣箱にアラビア数字が書かれ、部屋の真ん中に木の高座というのか、よくあるあの台が置かれている。 浴室は貸切りだった(あとからジモティオヤジが2人きた)。 おっとこれか! 入ってすぐ左手に、重量感のあるブロック積み上げイグルー造りのサウナ室のような小部屋がある。 問題のかまぶろ温泉に違いない。 3人くらい入れそうだが、覗いても・・・稼働してないぞ・・・。 浴室中央にタイル張りの深浅主湯。深は水中金属パイプからジェットが2本勢いよく噴出している。やや熱目で、よく歩いた足腰に心地よい。 奥左に棺桶サイズの水風呂があるが、こいつがなかなかのスグレものだ。1辺1センチ以下の非常に細かいタイルばりで、しかも寝風呂になっており、上半身部の底がカーブして背中から首へとだんだん浅くなる。 これはよい! ファラオの棺のようだ。しかも水をいっぱい溜めてザバーができる。 さらに右奥には一人サイズの薬風呂がある。緑白色のにごり湯だが、湯船のへりより喫水線が低く、見た目お湯が少なそう。 でもせっかくやから入ろう・・・むむっ、入ると底が深いな。それよりアチチチチ! 熱いがな! あわてて飛び出て水風呂で冷やす。これはとうてい入れる温度とちゃう。50度くらいあるで! あとから入ってきた常連おやじの許可を得て、水でうめまくる。 おやじによると、「そこはあまり入らない」とのこと。出ましたレトロ銭湯名物、行方不明の存在意義! 水風呂で半やけどの足を冷やしながら待つうち、なんとか入れる温度になった。 うむ。なかなか濃厚で悪くない。しかし、あとからあとから熱いのが底から沸いてくる・・・。 かまぶろ、ではなく、かまゆで、なのか? その他、カラン・シャワーはレトロ銭湯なりに機能してて、使い勝手は悪くない。 上がると番台はおやじに替わっていた。 番台前に冷蔵庫があり、おやじに言ってとってもらう。他の飲み物を押し退けて紙パックのヨーグルト飲料がたくさん入っているので、それをもらった。愛媛のメーカー、50円。 おしゃべりなおやじさんで、女湯の客と大きな声でずっと話し続けていて終わらず、話は聞けなかった。 それにしても、「かまぶろ」は機能せず、「温泉」でもなく、薬風呂は「かまゆで」と、人を食ったような宮沢賢治的銭湯だ。 しかしこういう風呂との出会いも旅の醍醐味。心に残る一湯となった。(2013.7.24) |
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