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【和歌山県】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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芦原温泉★(海南市)(廃業) 大正温泉 (海南市) 隅田湯 (田辺市)(廃業) 白良湯 ★(白浜町) はまゆ ★(那智勝浦町) ゆりの山温泉 ★(那智勝浦町) |
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廃業した和歌山県の激渋銭湯 | ||||||||||||
芦原温泉 ★(廃業)
海南駅から一番近い銭湯。東口を出て高架沿いに北上し、川の手前を右折、最初の路地をまた右折。駅から5分くらい。 大阪伝統の凸型玄関、その両脇の前栽に大きく樹木を茂らせた激渋系だ。 半年前、前を通った俺をクギヅケにしたオーラを忘れられず、南紀からの帰りにわざわざ途中下車して訪れた。 そして夜にはこの雰囲気 暖簾をくぐると広めの玄関。期待に違わぬ渋い空間だ。 (左)上がりがまちにはどっしりした木が使われている (右)入口のすりガラスも最高 古い木の戸をなめらかに開けると、木の番台におやじが座る。 いにしえ系としては中型の銭湯。天井はブリキ板かな。床はカーペット、ロッカーはアルミに改装されている。 でも前栽がよろすいがな。大きく育ったサザンカの木には、真っ白な花が満開状態。その下には池があり、10cmオーバーに育った和金がたくさん泳いでいる。 前栽の手前スペースにある木の台がまた渋い。赤ちゃんのオムツ交換台みたいだが、よくあるように一人分ずつ分かれておらず、幅2.5メートル、奥行き1メートルほどの大きな作業台ふうになっている。 裸になって浴室へ。 入って右手に流しがある。床は細か目のタイル張り。天井は男女セパレートの四角錘になっていて、それぞれ中央に四角い湯気抜きが開いている。 右寄りに深浅の主浴槽がデーンとあるが、これがなかなかすばらしい。 ぶ厚いフチにはカマボコカーヴがつけられ、1cm角の小さなえんじ色タイルがびっしり張られている。 深と浅の仕切りも同じタイル使いだが、全面が仕切られておらず、両端から中央部分に向けて凸カーヴを描きながらぐぐ−っと浅の底までの切込みになっている。これは初めて見た。 しかもその切込み左右の仕切りにそれぞれジェット噴射穴があり、深風呂に向けて噴出している。うまく説明できんな。 深風呂の深さがまたよろすい。立ってヘソまで、座って首までのたっぷり主義オーケー。底面は深浅とも、濃緑と白のタイルが市松張りになっていて美しい。 内部のちょっとしたデザインやタイル使いが、いちいちすぐれている。マニアならたぶんあちこち見て触って、「おっ!」「おおっ!」と小声を発してしまうだろう。 奥の浅い副浴槽は電気風呂、弱めだから初心者もオーケー。 湯温は42度弱、俺にはややぬるめだが一般人にはこれくらいがオーケー。 外側の壁にはカランとシャワーが並んでいるが・・・おっと、ここでまた初めて見るもの登場。カラン壁には細かい緑色のタイルが張られているが、赤いカランの横には「湯」、青いカランの横には「水」と書かれた10cm角の白タイルがそれぞれはめこまれているぞ。文字を書いてから焼いた特注品だ。 鏡位置には横一線にラーメン鉢柄のデコボコタイル、これもマジョリカタイルの一種なのか? 同じものが男女仕切り壁にも使われている。 もひとつ書いておくべきは清潔感。古いタイルが隅々まで磨かれて輝いている光景はまったくもって美しい。店主の愛情を感じさせられる。 ぱっと見はナンてことないシンプルなプチ銭湯だが、さりげなく深い味わいが染み出す激渋銭湯だ。 あがりは飲み物販売あり。(2006.1.20) →海南旅行記 帰りしな、玄関の暖簾を裏から見る |
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大正温泉
海南駅からは2kmくらい離れてるけど、かつての港町風情が残る船尾は渋いエリアだ。 そういう場所には渋い銭湯がある、というのが10年くらい前までは当たり前だった。でも今じゃそういう風呂屋は全部なくなっちゃっ・・・てないぞ! ここにあるぞ! (左)大衆演劇のポスターが目を引く (右)はい! ありがとうございます! ディープな木造だ。玄関部分の小屋根が寄棟になってるのが珍しい。 暖簾をくぐるとさらに大衆演劇ポスター。押せ押せやな。 (左)ぐぐっと奥へ (右)下駄箱 ええ感じの観葉植物 中に入ると、番台に優しいおかみさんが座っている。わりと賑わってるな。 そこそこ改修されて外観ほどの濃厚レトロではないが、ええ感じの脱力フィーリングが漂っている。 真ん中のテーブルが幅を利かしていてロッカー前はやや窮屈、しかしこのテーブルはテーブルで湯上りの脱力装置の一つとして機能しているので捨てがたい。 脱いだ服をロッカーに放り込んで風呂場へ。かなり湯気モクモク、お客が4〜5人いる。 おっ、風呂場の広さはまあ普通やけど、湯船がデカイぞ! 腰かけ段のない、細かなタイル張りのレトロな浴槽だ。深浅2槽に分かれているが、両方で浴室の半分以上を占めている。 そこへお湯がナミナミだ。 どれ、さっそく浸かるとしよう。 むーん。体を沈めるや、お湯がザワーっとあふれよるぞウッヒ。そして絶妙にやや熱めのお湯、しかも肌触りが気色エエど。 湯船はやや浅めだが、こののびのび感はヨイねじつにヨイ。他客も気持ちよさげに浸かっている。 銭湯の聖地のひとつ海南も、じょじょに風呂屋が減ってきている。だがこのシンプルな風呂がそこそこ賑わっているのはなんとなく納得だ。 何がどうと聞かれても説明が難しいが・・・なんちゅーか田舎風呂の王道というかね。 ていうかもう説明なんか無意味! 頭もホーケてくるし。黙って浸かってこのミョーな極楽感を味わうしかないな。 上がりは脱衣場のテレビをボーっと見ながら牛乳飲んで脱力5割増。 これぞ銭湯、行って損なし。遠いけど。 (2013.10.30) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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隅田湯(廃業)
ここは電話帳にも載ってない。桶太郎さんのブログで存在を知った。 紀伊田辺駅から西へ徒歩10分ほど、新たに拡幅された幹線道路に面して「ゆ」の突き出し電飾あり。拡幅がこの銭湯にかからなかったことに感謝したいねー。 「ゆ」を目指せ! 外観上部はステンレスパネルで覆われているが、玄関の左右に岩板があしらわれていて銭湯気分が盛り上がる。 暖簾をくぐると下足スペースがある。 さらに入り口にかわいい暖簾 中に入ると、番台にしゃきしゃきした感じのおかみさんが座っている。 中くらいサイズの脱衣場は改装されていて古さはないが、天井の3枚羽や流しの細かいタイル、ガラスブロックなどに味わいあり。 とにかく寒い日だったのでさっさと裸になって浴室へ。 と、お客がいっぱいいるぞ! こぢんまりした空間に俺を含めて10人だ。最近はさみしい地方銭湯が多いので嬉しい光景だ。 水色タイルに包まれた浴室もほぼ全面改装で天井までピカピカ。湯船は中央に深浅と、一部連結してジェット2連槽、というだけのシンプルスタイル。底には昭和的な不揃い小石型タイルが敷き詰められている。これだよね銭湯。 湯船フチは石ノセだが周囲に大阪式の腰掛段はない。 そしてこの銭湯を引き立てるのは、男女仕切り壁のタイル絵だ。瀞峡と思われる峡谷にジェット船の図。これも新しいもののようだけど、改装にあたってわざわざ特注したのだろうか。風呂屋魂と言わねばなるまいて。 もう一つ気になるのは、すべての桶にマジックで「片町フロヤ」と書かれていること。そういや表に屋号がどこにもなかったけど、そういう名前なのか? いずれにせよ旅先の寒い夜、小さくとも美しく快適な銭湯であったかぬくぬく、幸せね。 おかみさんによると、前の道が片町通りなので「片町フロヤ」で通っているらしい。 (2011.2.12) 寒風に人を誘うや湯の暖簾 |
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白良湯 ★
白浜にいくつかある共同湯の一つ。白良浜海水浴場に面して、ビーチのやや北寄りの便利なところにある。 寄せ棟造りの日本建築に見えるが、暖簾をくぐると六角形の空間で、太い木を贅沢に使ったログハウス調の休憩スペースになっている。建って十余年という感じ。 玄関の反対側は砂浜で、テラスからそのまま侵入可。その開放感がなんとも心地よろしい。 あぁ、海やのう、温泉やのう、白浜やのう、と実感できる。一気に脱力。 浴舎は横の階段から隣棟の2階へ上がる。券売機で券を買って入口の戸を開けると、意外にも番台のある銭湯方式。ここも木がふんだんに使われたウッディーな空間だ。 浴室からは海水浴場が一望できる。開け放たれた窓の開放感がナイス。ていうか砂浜のギャルたちからも俺の裸体が丸見えでっせ。 壁上部から天井にかけてはここも木が多用されているが、潮風のせいか白っぽく風化しているさまがええ感じ。 湯舟は7〜8人サイズのが一つで、白浜らしいしょっぱいナトリウム塩化物泉がオーバーフロー。源泉は70度以上だが、自動温度調節機能がついているとの表示があって、42度くらいに保たれている。奥のほうはやや深くなっている。 カランは7つくらい、こちらも新しいタイプで使い勝手よし。 砂浜のそばだけあって、ビーチの茶髪なニーチャンたちで賑わっていたが、それでも半数は「毎日来てる」という地元のおっちゃん連中だった。 その好対照な光景を眺めつつ長々とじっくり浸かったら、あがりは1階の休憩棟でカルピス飲みながら海を眺めてボケーっとする。ええのぉ、こんなのが近所にあったらタマランな。 JR白浜駅からバスで約15分、「白浜バスセンター」と「白良浜」の中間くらい。 (2005.8.22) |
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はまゆ ★
それほどイニシエ度が高いわけではないが、かなり好印象な温泉銭湯。 紀伊勝浦駅から港へ出て、海沿いに左(東)へ歩く。漁船がぎっしり並んだ勝浦港の一番奥まで行くと、あたりになにやら漂う香り。おや〜? 潮の香りじゃないぞ、魚の臭いでもない。ゆで卵のよーなこれは、まぎれもなく・・・漁港で潮の香りを打ち消すほどの硫黄臭ってアンタ。 すると正面に「はまゆ」登場。駅から15分ほど歩いたかな。 十数年前に建て直されたらしい建物は四角四面だが、木をたっぷり使った感じはなかなか味がある。 暖簾をくぐると狭いタタキ、番台におばちゃんが座る田舎銭湯スタンダード。下駄箱はなく棚のみ。 こじんまりとした脱衣所も新しいが、ウッディーなナイスセンスでまとめられている。 しかしまあ芳しきこの硫黄臭。何はともあれ浴室へ。 ハヒフヘホーーー! 充満してますイオウが充満百万いっせんまーん! タイル張りの浴室は壁上部および天井がやはり板張り仕上げでいい感じ。湯舟は6〜7人サイズの大きくて深いのがドーンと一つ。湯舟のへりにはえんじ色の豆タイル、まさしく銭湯です。外側壁にカランが8つほど並ぶ。 さっそく浸かろうかい。よいしょっと・・・あかん、顔がニヤケる。 やや熱めの43度くらい、マイベスト湯温。やや緑がかったマロマロのお湯がナミナミと溢れております。 泉質は、含硫黄−ナトリウム・カルシウム−塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)、湧出温度45度とのこと。まあ難しいことはワシャわからんが、とにかくキモチエエ。こりゃ冬はめちゃめちゃぬくもりそう。偉大なり温泉パワー。 水をかぶっちゃ何度も浸かりなおす。入るたびに湯がザバーっと大洪水。まさにチープな極楽ね。 (05.8.21) |
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ゆりの山温泉 ★
落ち着いた和風建築だが、施設は新しい。しかも周囲に人家は少なく、当サイトで取り上げている銭湯とはやや趣が異なるかも。遠方からここのお湯を目当てに来る客も多いとのこと。 だが値段も安いし、地元での使われ方は下町銭湯と変わらなさそう。雰囲気もよく、何といっても湯の極上っぷり、これまた紹介せずにはおれんて。 紀伊勝浦駅の隣の湯川駅から湯川温泉へ向いて国道を5分ほど歩くと、ゆかし潟という風光明媚な汽水湖あり。そこで国道を左折し、看板に従って駅から15分たらず、坂を下りたところにある和風の一軒家がココ。 (左)いい感じです (右)施設は新しいが歴史は古いらしい 道の向かいには広い駐車場があって、ほとんどのお客は車で来ている様子。でも値段も何も書かれておらず、商売気はあまり感じられない。 「木の国」らしく、下足室やフロントロビーは木が贅沢に使われている。清潔感のある脱衣所には見慣れた普通の銭湯ロッカーと籠が並ぶ。 浴室へ入ると、プーンとほのかな硫黄の香り。男女隔壁に沿って6〜7人サイズの長方形の湯舟があり、やや白濁した湯が奥からザバザバ投入され、湯舟のヘリからどんどん溢れている。この贅沢な光景をなんとしょう。 今日は強引にヤブ山を歩いたから切り傷だらけの汗みどろ。どれ、たっぷりかかり湯して・・・おっ、ぬる湯だ! ナニナニ、「硫化水素泉 38.5度」だと。どうりで浸かってるじいさんたちはほとんど寝顔なわけだ。ほな俺も一眠りするか。 やわらかーいお湯に、つるーんと侵入。ははは。たまらんなこりゃ。 外側壁にカランが6〜7並ぶ。体を洗うべくそっちを見て驚いた。各カランは普通どおり湯と水の蛇口がセットになっているが、どのカランも湯のほうはジャージャー出っぱなし。止めようにも栓がない。止める気なんざ元からこれっぽっちもネエ。なんとなあ。初めて見たよ、こんな光景。 そして壁には「お湯はすべて飲めます」と書いてある。なんかもうヤラレタね。飲んでみたら癖のない、ふわふわのお味。うまいです。 床や湯舟の底にはタイルのかわりに白っぽい御影石の10cm角ブロックがしっかり張られていて、じつに好印象。わざとらしい岩の薄切り不定形カットなんかが張られているより、こっちのほうが僕は好きだ。 ウトウトしながら徹底的にぬる湯を楽しんで上がる。 ロビーには牛乳ほか飲み物あり。休憩スペースも木をふんだんに使ってあってよろすい。300円の温泉銭湯としては最高レベルではないか。 (2005.8.21) (追記:2008年の訪問時には、湯カランを止める栓がついておりました) ゆかし潟の近くです |
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