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【山梨県】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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喜久乃湯 ★
甲府は市街地のあちこちに天然温泉が湧きまくっている温泉シティだ。 甲府駅から徒歩10分ほど。太宰治が通った温泉銭湯があるっちゅーので、アッツイ真夏の昼ひなかにリュックしょって汗ベットベトで訪れた。 昭和初期から続く老舗だが、いまの建物は昭和42年に建て直されたもので、歴史や銭湯風情をあまり感じさせない高度成長期的なもの。 太宰はここから100メートルほど西で7ヶ月間、新婚生活を送ったようで、小さな石碑がある。 玄関下足スペースは典型的な銭湯スタイル。 中に入ると番台におやじさんのレトロ風景。観光客が少なくないのだろう、おやじさんは一見とみるや「中に石鹸やシャンプーはありませんが」と優しく声をかけてくれる。 ![]() 広々とした脱衣場は……これまった、ええ感じのレトロ風情にあふれてるやんか〜。 その主役は木製脱衣箱とともに、四囲の壁をびっしりと飾る立派な広告ポスター群だ。戦前を思わせる味わいだが、よく見ると市内局番が2ケタであり、「昭和40年代後半につけたものだろう」とおやじさんはおっしゃる。 男女境には大鏡が4面か5面設置されており、こちらの鏡広告は局番1ケタだ。 ![]() 浴室との境は東京式に全面ガラス戸で、隅々までよく見える。浴室の天井はフラット。 ガラス戸をガラガラっと開けて浴室に入ると、とても明るくて広々とした空間だ。 そして浴槽が不思議だ。浴室中央に、ダルマを上から押しつぶしたような形で2漕。ダルマの腹の部分に当たる横長楕円漕は手前ダルマ底部が窪んでいておもしろい形……あーんもう説明が難しい! その窪みの左右から出る2本のジェットが湯を左右に回転させている。 この2漕がメインで、加熱循環湯だが、形状のユニークさ、深さ、湯やジェットの勢いの良さ、湯の清澄さと適温、豆タイルの縁取りなど、とても味わい深い。 奥右手に「源泉(加熱)」の副浴槽があり、気泡が勢いよく噴出中。こちらは40度ないくらいのぬるめで、膝上くらいの浅さ。 さらにその隣に、一段あがって源泉の水風呂がある。27度と言ってたかな? 端の蛇口から掛け流されてて、入ったらドッバーと大洪水。嬉しい〜イヤホンマ! カラン横にはコップが一つ置かれている。飲んでみたら、まろやか〜な無味無臭透明。 いやはや〜、暑い日になんともエエ具合ではないか。源泉が気持ち良くて上がられへんぞ。このままでは人間失格だ。いや、もうそれでもええわという気になる。 浴室奥面は、右側半分がガラス張りで、外は庭になっていて植物が繁茂している。左側半分は庭をつぶして乾式サウナ(貸しバスタオル50円)が作られている。 洗い場はシャワー水圧もよく、快適に体を洗うことができる。 古いけどメンテよく、味わい深く、じっくり楽しめる風呂場。うれしさがこみ上げる。もうメロスの激怒も一発で収まるね。 はじめ貸し切りだったが、あとからポツリ、ポツリとやってきた。 上がって体を拭いているとき、2階への階段が目に留まった。2階は宴会場になっていて、入浴料込み900円で利用できる。 ![]() ![]() そうとうな広さ。出前を頼んでもいいし、持ち込みもオッケー。レンジもあるので簡単な自炊も可能だ。舞台と大きなモニターもあるし、昼寝マクラまであるぞ。 いろいろ使いでのある名銭湯、すばらしい。 創業時の写真をご主人に見せていただいたら、ギリシャ風の装飾が凝らされた円柱などを備えた洋館風の建物だったようだ。 すっかり感心して脱衣場で放心してたら、脱衣箱の上部に山梨日々新聞の切り抜きが貼られている。「銭湯は日本の宝」と題した記事、なんと俺のコメントや提供写真が紹介されていた。 ふむ〜、こんなインタビュー受けたっけ? まったく記憶にないけど・・・受けたんやろなぁ。 (2017年8月) |
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