関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【京都府下】の激渋銭湯
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橋本湯 (八幡市)(廃業)
櫻湯 ★(福知山市)
松本湯 (綾部市) 
若の湯 (舞鶴市)
日の出湯 ★(舞鶴市)
京都市北部京都市西部京都市東部京都市南部

橋本湯 ≪廃業≫
2015年9月末に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


八幡市橋本小金川36
 →地図
075-981-0323
【営業時間】16:00〜23:00
【定休日】月曜日


 寝屋川出身の俺は、京阪電車の寝屋川〜京都間には何百回も乗っている。だが、大阪と京都の府境に位置する橋本駅で下りたことはたぶん一度もない。
 そこで2005年最後の日、実家へ帰るついでに足を伸ばした。大晦日の初橋本。

 橋本駅で下りると、北側(淀川方面)の狭い地域は旧遊郭らしい。伝統的な日本建築の中にもモダンな意匠が光る、味わい深い建築物が並んでいる。
 その西はずれ、ほとんど大阪府との府境かというあたりに、淀川の堤防をバックに黒い煙をもくもく吐いている煙突あり。駅から歩いて5分ほど。

 前まで行くと、まちなみに負けない激渋の面構えに、思わず感嘆の声が出そうになる。暗くてよく見えないが、玄関小屋根の破風上には「橋本湯」と掘り込まれたゴージャスな鬼瓦が乗っている。

 
(左)遠くからでも目立つ看板   (右)うれしくなる風景

 
古いけどきれいです

 夕方5時すぎ、一年の垢を落としにお客が連れ立ってどんどんやってくる。繁盛しているな。まあ紅白やプロレスが始まったら空くんだろうけど。
 暖簾をくぐると狭い玄関スペース、不揃いの小石タイルがびっしり張られている。

 
(左)重々しい石の柱   (右)下駄箱に入れない人多数な地元密着系

 戸を開けると番台があってオヤジがいるが、脱衣所の手前に壁を作ってフロント式に改造してある。
 脱衣所も改装されていて、建物外観から想像されるような古さはない。唯一トイレのみ横の住居部分に付属した古いスタイルで、汲み取り式だ。
 京都名物の長方形カゴはなく、脱いだ服はアルミのロッカーに直接入れる式。鍵を抜かずに使っている人が多く、いくつかのフタを開けてやっと空きを見つけた。

 こじんまりした浴室も全面改装でピカピカ。天井には大きな四角い湯気抜き、湯舟まわりには座り段なしと、構造はしっかり京都式だ。
 しかしさすがは大晦日、子どもから老人から極彩色バックの方々まで20人近いお客で大繁盛。空いた桶がなくてかかり湯もできず、しばらく待ったほど。こんなの久しぶりだな。

 主浴槽は半円を二つくっつけたような形で、深浅に電気とジェットが組み込まれている。手前には入浴剤入りの気泡風呂、奥にはサウナと水風呂と、コンパクトにきっちりまとめられている。
 幅広いニーズに応えうるすぐれたデザインだが、多彩な設備より広々した深風呂を求める俺のようないにしえファンにはチト辛いところ。でも使い勝手はよく、混んでいるわりに長風呂した。

 上がりは飲み物販売あり。でも相変わらず人がいっぱいの脱衣所では落ち着けないので、何も飲まず早々に退散した。
 しかし今年もたくさんの銭湯に行ったなあ。来年も素敵なお風呂に出会えますように。 
(2005.12.31)

 
年が変われど、この風景はいつまでも
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櫻湯
営業時間が短縮されています。
ありもっちゃん情報感謝!


福知山市西長24 →地図
0773-22-5527
【営業時間】15:30〜20:30
【定休日】水曜日

 興奮するです。旅先でこんなのに出くわしたら。
 そして中に入ると、さらなる感動が待っていた! ・・・もう、うっとりしちゃう。

 京都府北部の山間盆地・福知山は、交通の要衝ではあるが、まーあまりパッとせんところ。旧市街の東の外れに新町商店街のアーケードがつらなり、そのさらに1本東の通り。駅から約1km。
 この建物の放つオーラでその場に金縛り状態になるです。(マニアだけ)

 
素晴らしい洋風建築

 
 
曇り一つなく磨かれたガラス。なにもかもがロマン。おひねり渡したいくらい

 最初通りかかった時は午前中だった。そのあと列車で2時間かかる別の町へ行ったのだが、とにかくもうこの銭湯の残像が僕の網膜からはがれない。で夜になってから再び福知山へ舞い戻り、執念で暖簾をくぐる。
 常人には理解できないであろうこの行動はしかし、間違いではなかった。

 
 
夜になるとさらに雰囲気!

 たたきに低い番台。愛想のないバアサンが座っている。
 土間部分は幅が狭いが奥行きがあって、番台より4歩くらい前進してから靴を脱ぐ。だいぶ奥に長い、ウナギの寝床型の銭湯だな。
 土間は吹き抜けで天井がスコーンと高い。が、脱衣所部分になると上は2階間になっていて、天井はぐぐっと低くなり、男女仕切りも天井と合体してしまう。
 細長い脱衣所には窓もないので、やや圧迫感。かろうじて男女仕切り壁に一部開口があって、男女のやりとりができるようになっている。

 
いわゆるひとつの完璧状態

 しかしこの脱衣所、非常にきれいに整頓されている。
 木のロッカーはガラスがはまっており、籠ごと入れる京都式。全部にきちんと鍵がついており、下2段にはきっちりと柳行李が並んでいる。柳行李にも傷みはほとんどない。
 完璧、という状態。田舎銭湯とは思えない。

 浴室へは広めの緩衝部分に細かいタイルの流しがあり、入口上部にはステンドグラス。

 いよいよ浴室へ。おぉ、貸切だ。
 水色ペンキで塗られた低い船底天井に小さな湯気抜き。こりゃー、これまで訪れた銭湯でもトップクラスの天井の低さだな。
 湯舟は深浅2槽。浅いほうは、湯がライオン口から吐き出され、まず小さい湯鉢に溜まってからジェットで噴入される仕組み。深いほうは女神の壷から湯が出る。
 まあ京都銭湯ありがちな、ちょっとした演出。
 こう書くと、ごくフツーの銭湯のようでしょ? でも違うんです。一目見た瞬間にドキッとしましたワタクシ。
 なんかしらんが、ものすごくキレイんです、このお風呂。

 湯舟のふちには紺色の細かい角タイルが徹底的に大量に張りまくられている。1×2cmのと、それより一回り小さいサイズのが、几帳面にびっしり。しかもそれが1枚の狂いも、1ミリのズレもない。
 へりはカマボコ曲面が見事。火を噴くような職人魂をこれでもかと見せ付けられる。
 しかもそれが、輝くほどに磨きマクラレている。マクっているでしょう、これは。2時間はマクっているに違いない。

 湯舟の外側に、京都にしては珍しく大阪式の座り段がある。水色の2cm四角タイルが張られている。
 座り壇の下に溝があり、ここは味噌色の渋いタイル。
 いやー、どこもかしこもピッカピカですわ。新品じゃないのよ。古いのが磨かれてピッカピカなんです。

 感心ばかりもしていられない。湯に浸かろう。
 お湯はなみなみと満たされ、浸かるとザザーっとオーバーフロー。うひゃー、湯もピチピチと生きてる感じで、コリャ気持ちええ。きっと地下水だな。
 ここでもまた底面の角タイル、センスよし。
 お湯につかりながら、そこらじゅうのタイルを撫で回してしまう。

 カランまわりには新しいタイル。だが鏡高の位置のタイル、これがすばらしい。こんなの見たことありません。ざらっとした手触りの大きめタイルで、イスラムかスペインか、そんなようなパターン模様が白地に緑色で入っている。すごいインパクト。
 シャワーは圧力ばっちり。取り付け部分が盛り上がってれんがタイルで覆われているから、中にパイプが通ってるんだろう。地方の銭湯じゃこういう場合パイプ剥き出しのことが多いが、こちらは一分のスキもなく美しく仕上げられている。

 男女の仕切り壁の上には、鯉や小鳥の置物が飾ってある。ニクイねぇ。
 すっかり感銘を受けて大満足、さあ上がろうかと出入り口へ向かって、さらなる衝撃を受けた。
 出入口すみのカラン列の端っこ、シャワーパイプを覆うれんがタイルの終点から、さらに細いパイプが延びている。なんだろうと目で追うと、浴室のいちばん角から、チョロチョロと常時湯を流している。
 ここ、一番湯がかかりにくくて、アワがちょっと残ったりするところ。
 そこにわざわざパイプをひき、湯を掛け流して、最も目の届かないところまでをきれいに維持しようという工夫なわけか。

 すごい。完璧。ここには愛が存在する。
 隅々まで超美しく、きめ細やかに磨き上げられた銭湯。タイル職人魂と経営者の風呂屋魂がスパーク。田舎くささゼロ、洗練されきったセンス。

 生き返る。疲れが吹き飛ぶ。再生の風呂だ。

 脱衣所に出ると、扇風機がセンサー式だったりして、こんなところにも店主の工夫が凝らされている。飲み物販売もあり。
 唯一の難点は番台のバーサンが無愛想なこと。番台の印象がイマイチな場合、僕は大きく減点することにしているが、しかしさすがにここではそれもたいした問題ではない。
 それにしても、これほど素晴らしい銭湯なのに、お客は僕しかいなかった(午後7時半前後)。ちょっと心配だ。

 福知山は遠い。でも銭湯好きなら、ここに行かざるは人生の損失だ。
(2004.9.10)

※2009年「関西のレトロ銭湯」に掲載されました。
※2016年1月30日「レトロ銭湯探訪ツアー」が行われました。
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松本湯
綾部市新宮町3 →地図
0773-42-0567
【営業時間】16:00〜22:00
【定休日】6のつく日


 雨がしのつく綾部の里の、古き軒端に暖簾の揺れて、濡れにぞ濡れし我立ち止まり、サッシ戸くぐりて湯銭ぞ払ふ。

 
(左)角に「ポーラ化粧品」と薄く読める部分あり。美容室跡か  (右)よき面構え

 
(左)破風には梅の花の懸魚がある  (右)細かいタイル飾り

 人こそ見えね女将のみ、裸足に床板心地よく、いにしえ香る脱衣箱、我よりほかに脱ぐものは無し。

 
(左)横長タタキに古番台  (右)スッキリ郷愁

 
(左)下駄箱は手作りの逸品  (右)円形傘立て

 
(左)作り付けの脱衣箱、十九番は勝手に開く  (右)これ最高

 
(左)墨書き漢数字  (右)開けたらピロン

 
(左)やや波打っている格天井  (右)浴室方面のタイル

 スマヌ・・・七五調は疲れるのでヤメ。
 まあそんなわけでご覧の通り、脱衣所のイニシエ色はかなりのものだ。
 だが浴室は、昔ながらのシンプルデザインながらも、タイルは真新しいもので改装済み。清潔度もきわめて高い。
 とくに湯船の底は、ざらざらっとした滑り止め加工の水色タイル新品が貼られていてビックリ。あとでおかみさんに聞くと、2年前に張り替えたものらしい。

 
(左)深浅湯舟だけのスタンダードスタイル  (右)京都らしい湯舟フチ

 お湯はやや熱めで俺的ベスト。貸しきり状態のうえにどうも一番風呂のようで、湯がピカピカに輝いている。でも肌触りはやわらかいので井戸水だな。
 それとこのお湯、独特のふしぎな香りがする。なんだろう。ボイラーのにおいや塩素臭も混じっているようではあるが、この個性的な香りはやはりここ独自の地下水によって醸し出されているものではないか。ちょっとクセになりそうな、悪くないにおいだ。

 カランはシャワーの水圧もゴキゲンで気持ちよく体を洗える。
 もうね、俺だけのために、まっさらピチピチのお湯なみなみ、シャワーじゃんじゃか、贅沢三昧で申し訳ないんだよ皆の衆。うっはっは。

 上がりは、種類は少ないけど飲み物販売あり。
 おかみさんは、途中からやってるから、いつの建物かはわからん、とおっしゃる。でもこの渋さは100年近いかもしれない。
 とくに、広めのタタキから前栽あたりの風情がたまらない。いつまでも上半身ハダカでくつろいでいたいような、すばらしい脱衣場だ。

 それにしても、せっかくいいお湯が湧いているのに、2番目のお客はなかなか来なかった。雨のせいもあるんだろうけど、心配だ・・・。
 俺と同じ苗字のお風呂へ、みなさん行きましょうね!  
(2008.5.13)

 
(左)黄色いベンチの上は俺の荷物  (右)男女壁の鏡も年季もの

 
番傘をひっかけた釘と番号が残っている
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若の湯

舞鶴市字本町58 →地図
0773-75-2541
【営業時間】16:00〜21:30
【定休日】日曜と水曜


 西舞鶴駅から海へ向かって10分ばかし北上すると、商店街の手前になにやら立派な洋館が見えてくる。・・・ってこれ銭湯やぞおい!
 白タイルの外壁が長くのびて威風堂々、ミュージアムな風格だ。

 
(左)おめめパッチリ   (右)上のほうに右書き屋号

 暖簾をくぐると狭い玄関スペースがあり、傘建ての背後にナイスなマジョリカタイルが張られていたりする。
 戸を開けると狭いタタキで靴を脱ぐ。番台におかみさんが座っている。
 おや? 建物の間口の広さに比べ、内部は意外にこじんまりしているぞ。

 非常に感じの良いおかみさんは3代目に当たるという。
 この建物は昭和初期、親戚筋の建築家の手によるものらしい。内部は24年前に改装されているが、古い趣もそこはかとなく残っている。

 
(左)数字の打ち方がおもしろい脱衣箱   (右)男女壁上部には透かし彫り

 それよりも、この銭湯には決定的に他の銭湯と違う点がある。
 それは浴室の位置だ。ふつうは玄関→脱衣場→浴室と奥に向かって並んでいるものだ。男湯と女湯は脱衣場も浴室も仕切り壁で隔てられている。
 が、ここでは脱衣所の左隣に男湯浴室、右隣に女湯浴室がある。すなわち脱衣所は男女は仕切り1枚で隣り合っているが、浴室は建物の端と端に離れている。

 奥行きのない、道路に沿って横に長ーい銭湯なのだ。古い銭湯でこういう造りは非常に珍しい。

 浴室はさらにピカピカに改装されて古さはない。浴室は深浅だけのシンプル設計で、深の一部からはジェットが噴出。
 天井や窓周りが黄色に塗られているのが珍しい光景だ。

 他に客はいなかった。
 壁に貼られた人生訓のような文章を読みながら、井戸水100%の心地よい湯船にゆっくりと浸かる。
 日本海の港町にさりげなく残る歴史的な建物の中、誰もいない清潔空間でゆっくりと湯に浸かる贅沢。これが旅なのだよナカタくん。 
(2008.8.27)

※2009年「関西のレトロ銭湯」に掲載されました。
※2016年5月、東京のペンキ絵師・中島盛夫さんを招いて浴室に富士山のペンキ絵が描かれました!
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日の出湯

舞鶴市字東吉原297 →地図
0773-75-0366
【営業時間】16:30〜20:30
【定休日】土曜日


 日も暮れた西舞鶴。ホンマにこんなとこに風呂屋があんのかいな? というぐらい駅から町はずれまで歩く。
 漁船がいっぱい繋がれた川や水路を渡ったが、どうも見当たらない。大きな不安に襲われながらも酒屋のおばちゃんに聞いて、ようやく実在を確信した。
 教わった通りに真っ暗な狭い通りを進むと、おぉ! 暖簾がかかってるぞ。よかった〜。

 

(左)緑の縞テントが泣かせる  (右)玄関下がちょっと変わってる

 暗くてようわからんけど、町家づくりの2階建て。木の引き戸も渋い。明るいうちに見たらきっと風情ある姿に違いない。
 暖簾をくぐるとタタキに下駄箱、番台にはやさしげなおかみさんが座っている。ああホンマよかったよ。

 建物は古いけど、こぢんまりとした脱衣場はスッキリ清潔だ。
 地元の祭りのポスターで旅情3割増。ここまで歩いてくる途中、印象的なシルエットで見えていた建部山(丹後富士)の絵もあるぞ。

 
(左)脱衣場から玄関タタキ方面   (右)脱衣箱

 浴室方面を見たらば、京都銭湯らしい細かいタイル使いがエエねんわ。流しのあたりも味わい深し。
 
(左)浴室へのツーステップ   (右)超清潔な風呂場

 浴室には、角が丸みを帯びた長方形の湯船がひとつポンとあるだけ。全体に改装されていて、立地から想像したほどの古さはない。ピンクの天井、ミドリの洗い場でパステルなほんわか空間に仕上げられている。
 しかしこのシンプルな風呂場がなんちゅーか、磨かれまくっとるんよね。はるばる探してやってきて、この清潔さに歓待されるというのはヒジョーに気持ちがエエね。
 お湯はアツアツ、でも俺には嬉しい温度。カラン類も快調で、文句のつけようがない。

 辺鄙な場所で、真面目に丁寧に、風呂屋をやっておられるなぁ。じーんとくるよ。
 明るいおかみさんもたいへん感じよし。

 駅から遠いけど、途中の水路なども非常に絵になる趣深い場所だ。薄暗いのに写真をいっぱい撮った。
 そしてお風呂は、特別なものは何もないけど、めっちゃ最高。
 心の満足度の針が「100」を指してしまったので、★印をつけざるを得ない。

 次はもっと明るいうちに来よう。近いうちに必ず来るぞ。
(2014年9月)


日の出湯へ来る途中の風景。中央やや左の山が建部山

※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。
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