チープ&ディープな男の旅路・県庁所在地シリーズ

岡山

---半端に歩く---

(2005.4.2〜3)



 「県庁所在地シリーズ」はもうほとんど挫折しかかっている。
 県庁所在地の多くは都市整備が進みすぎてて、他の中小都市に比べて街歩きのツマラン度が高いということがわかってきた。奈良なんかは例外だったのね、やっぱし。
 いや、行く前から諦めてはいかん。で、いちおうの岡山だ。近いしな。
 でも気持ちの盛り上がりっちゅーかテンションの低さは否めない。岡山は仕事などで何度も来てる。
 ここで逆転の発想だ。なにかしらの発見や出会いを妙に期待するのは旅人のわがままというものだ。平常心と自然体。これが今回のテーマだ。
 ・・・無理矢理やな。

気分だらだら操山興奮しまくり西大寺半端な夜の半端飲みあっさり終了

 気分だらだら操山

 18きっぷを使って昼前に岡山着。
 岡山には日本三名園のひとつ後楽園があるが、今のところ庭にはあんまり興味がない。銭湯の脱衣所で牛乳片手にフルチンで眺める庭は大好きなんだが。
 中心部も、クレドの紀伊国屋やシンフォニーホールの丸善などへ仕事で来るたびに歩いているしなあ。

 とりあえず駅前に路面電車の停留所があるのでこれに乗ってみる。岡山の路面電車は途中で分岐して2系統。東山行きに乗って、終点の東山で降りる。
 ちょっと先に路面電車の車庫があった。おっ、かっこいいのが並んでいるぞ。

 ちょっとヨーロピアン

 目の前に操山という小高い山があるので、低山マニアらしくまずはこいつに登って街を一望してやろう。
 しかしこの日は妙に蒸し暑く、すぐに汗でべたべたになる。三勲神社跡というところからは市街地が一望できるが、湿気のせいかだいぶかすんでいて残念。

 
(左)操山に向かう   (右)三勲神社跡から見た岡山市街、中央の緑は岡山城

 三勲神社跡から尾根道をずんずん歩いて、30分ほどで操山山頂に着く。169メートル。大きなヤマモモの木が生えている。

 
(左)操山へ続く道  (右)カナメモチのトンネル

 
(左)山頂三角点   (右)護国神社から仰ぎ見る操山

 山頂近くにも眺めのいい場所があるが、やっぱりかすんでいて残念。山の南側の谷道を通って護国神社へ下りた。谷道は大木の密生する立派な照葉樹林になっている。

 さてと。どうするかな。例によって銭湯でも探しながら歩くか。岡山には銭湯が少ないようだが、とりあえず路面電車のもう一系統の終点・清輝橋を目指してブラブラ歩く。
 車の少ない路地を探して歩くんだが、そういう細い路地というものがここにはない。どの道も車だらけで、イライラしてくる。これだから県庁所在地は嫌なんだ。

 
(左)LRTと旧型電車がすれ違う  (右)2つの中洲を挟んで流れる旭川

 清輝橋の近くに清輝湯というのがあるはずなので探してみたら、これがまたすごい銭湯だった。まず、煙突が屋根より低い。次に、外観がまったく銭湯に見えない超殺風景建築。さらに、営業時間なのに暖簾が出ていない。そっけない小さなアルミドアが一見さんを冷徹に拒む。
 廃業してるのかと思ったら、洗面器をもったじいさんが自転車で乗り付けて、小さなドアを開けて入ってゆく。どうやらやってるらしい。
 マニア的には興味をそそられるものがあるが、僕は「名銭湯」の発掘を優先しているので今回はパス。でも次回まで存在するかどうかは定かでない。

 清輝湯、これで営業中って・・・

 清輝橋からまた路面電車に乗って、いったん岡山駅へ戻る。
 どうもこのまま市街地を歩いてもつまらなさそうなので、せっかく乗り放題きっぷもあることだし、赤穂線で駅4つほど離れた西大寺というところへ行くことにした。同じ岡山市に所属するが、こちらはこじんまりとした門前町らしい。

興奮しまくり西大寺

 5時すぎに西大寺駅着。郊外のベッドタウン的な駅前だ。
 昔の門前町はここから南へ1.5kmほど歩いたあたりらしい。バスもあるが、この程度ならもちろん歩きだ。タウンページによると、そのへんに銭湯が1軒あるっちゅーことだが。

 周囲に古い家が増えてきたあたりで、幹線道路を昔ふうの水路が横切っている。その流れに沿ってゆくと激渋の看板建築などが現われ、やがてひときわイニシエ色の濃い一角に行き着いたと思ったら・・・げげげーっ! これだ、柳湯だ! これは渋い。渋すぎる日本建築、しかも美しい!

 激渋酒屋「めぐみや」と水路を挟んで隣り合う

 ダラダラ〜っとしていた気分が一気に沸点にまで高まる。顔が自然とニヤついてくるのがわかる。ああ変態って嫌だ。
 すぐに入るのはもったいないので、興奮を抑えつつ、もったいつけて地域の核である西大寺を見に行った。でも本当はこんな寺、どうでもいいんだよーー。

 
(左)西大寺山門だとよ    (右)反対の川側にある石門だとよ

 
(左)本堂だとよ   (右)裸祭りが名物だとよ、あソレソレ

 寺の石門をくぐると吉井川の堤防に出る。
 岡山県には三大河川というものがある。東から吉井川・旭川・高梁川。
 岡山市の中心部には旭川が流れているが、この西大寺というところは吉井川の河口にあたる。

 ちなみに水質や魚の種類は旭川が最高。10年以上前に水中メガネとシュノーケルで旭川の中流に潜ったことがあるが、絶滅危惧種の〇〇〇がわんさかいて驚いた。ほかにも〇〇〇など珍しいのがいろいろいて、じつに楽しい川だった。支流の祇園用水には特別天然記念物の〇〇〇も生息していて、そこも歩いたことがある(以上、自然保護の観点から情報を隠蔽いたします)。
 多彩な魚種という点では、関西では琵琶湖淀川水系に次ぐ名川だろう。そんな川が大きな県庁所在地を貫流しているという点も興味深い。
 したがって淡水魚オタク的には、岡山は極めて楽しめるところ。

 だが今回はあくまで県庁所在地シリーズという目的不明のダラダラ歩き。俺という人間もワカランやっちゃのう。

 
(左)吉井川下流域の風景   (右)西大寺そばの船だまり

 ついでに西大寺の旧市街を歩き回ったが、ほとんどの家が建て替えられていて、思ったほど古いまちなみは残っていなかった。

 というわけで、やっとこさ柳湯へ。
 これがその浴室。泣くしかないだろ、ジッサイ。入浴レポートはこちら
 耳の遠い番台バアサンとも語らって、大満足で岡山駅に戻る。

 すべてが御影石でできております

半端な夜の半端な飲み食い

 今夜は、安宿利用者の間では有名なユニバーサルホテルチェーンのひとつ、岡山ユニバーサルインをとってある。泣く子も黙る1泊2食付2980円。
 路面電車で清輝橋のひとつ手前の大雲寺にあるが、体も心もポカポカなので夜道を歩いてゆく。でも2km以上あった。ピンサロの呼び込みが多い。
 歩くうちに腹が減って死にそうになってきたが、せっかくの2食つきなので我慢を貫く。

 ユニバーサルインは新築のきれいな建物で、部屋割りはマンションタイプのバス・トイレ共同型。ホテルがコケたらマンションとして転売するつもりなんだろうか。まあ現代型のドヤといったところか。でも若者やビジネス客もたくさん泊まっているようす。
 さっそく食堂へ行って無料の夕食にありつく。サバ煮定食、無料の味。無料セルフのお茶を飲みながら黙々と食べる。無料の夕食、感無量。

 いつもは居酒屋などで土地のものを飲み食いするんだが、もうお腹パンパンだ。でもビールくらいは飲みたいので夜の街へ。
 雨がしとしと降り始めているので傘をさして歩く。
 この界隈はけっこう場末っぽいな。岡山の名物って何だったっけ。ままかりか。でも腹いっぱいだし何でもええわ。辛いもんでも肴に飲みたいね。

 ぐるっと歩いて、表町のはずれあたりで目に付いた韓国料理屋へ。入ってみたらけっこう大バコで、しかも満席に近い繁盛ぶり。カウンターに座ってとりあえずビール、そして「ゆで豚キムチ」を頼んだら、なかなかの逸品だった。腹いっぱいなのに、心の中で「うまいなあ、うまいなあ」とつぶやきながら食べて、ビール2本飲む。
 でも一人でゆっくりくつろげるような雰囲気でもなかったので早目に切り上げ、もう少しぶらぶら。

 アーケード街にドイツビールの看板を発見。こじんまりしたビアホールだ。お口直しにそこへ寄る。
 陽気な中年女性が切り盛りしていて、カウンターでは品のある2人組の老婦人が飲んでいる。ザワークラウトをつまみながらナントカいうドイツのバイツェンを飲み、さらに「今月のおすすめ」のスコットランドのナントカいうビールを飲んだ。有名なアイランドウィスキー醸造所で作っているらしい。いやー、うまいよ、これ。ははははは〜。
 これまでの人生でビールにだけはつぎ込んできた俺も、最近は金欠のあまり発泡酒の無間地獄に陥ってたからなあ。
 そして2人組老婦人と楽しくおしゃべり。僕がじじむさい銭湯が好きだと言うと、気品に満ちた老婦人はこう言った。
 「やっぱり神戸の人はセンスがいいわあ。そんな人、岡山にはいませんもの」
 ・・・違うと思う。神戸にもあんまりいませんから。

 ホテルに帰ってテレビ見て寝た。

あっさり終了

 翌朝もしとしと降ったりやんだり。だが無料の朝食をしっかり食べて元気よく出発だ。
 この日は鬼ノ城の遺構を歩いて桃太郎伝説の新解釈をでっち上げようかと思っていたのだが、天気イマイチなので断念。岡山駅方面は昨日歩いたので、瀬戸大橋線でひとつ南の大元駅に向けて歩く。
 しばらく西川緑道公園沿いに歩く。過去に何度か歩いているが、この公園は都市中心部の緑地としては最高レベルの素晴らしいもの。市街地の真ん中を2km以上にわたって流れる用水路沿いを緑道に整備したもので、歩道が川ともつれながら左右の岸に行き来する楽しさ、歩道が土の道である点、旭川から引き入れた水の美しさと魚種の多さ&魚影の濃さなどで歩き飽きず、毎回感心させられる。川のどこを覗いても魚がビュンビュン泳いでいるからね。

 西川緑道公園

 でも西川を離れると、また昨日歩いたのと同じような、何の味わいもないまちなみになる。市役所前などを通って小1時間歩き、大元駅から1駅だけ乗って岡山駅に戻った。
 さてと。これ以上このへんをウロついても面白みを感じる可能性は少なそうやな。
 というわけで隣の倉敷へ移動することにした。

 県庁所在地シリーズ岡山歩きはここであっさり終了。いやー今回はわざわざWebで全世界に報告せんならんような出来事はまったくなかったなぁ。柳湯のみ。そのせいで旅行後2ヶ月も書く気が起こらなかったのだよ。岡山ちゅーても周辺部をウロウロしただけやし。
 ははは〜、最後まで読んでくれたのにスマヌ。

 岡山に比べればずっと楽しかった倉敷編はこちら。  (05.6.7)
ちょっとした旅ホーム