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【大阪市淀川区】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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三国温泉★(阪急三国駅)(廃業) 高須温泉(阪急三国駅)(廃業) 末広湯★(阪急三国駅、神崎川駅)(廃業) 寿湯(西中島南方駅)(廃業) 新木川温泉△(西中島南方駅) 市之湯(塚本駅)(廃業) 金川温泉(塚本駅)(廃業) |
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三国温泉★ ≪廃業≫
激渋銭湯の宝庫、淀川区。次々と現れる激渋ラッシュは、まるで俺に「いっそ住めば?」と言っているかのようだ。 阪急三国駅を北口に降りて北東へ徒歩6〜7分というところ。路地の中に煙突が見える。近辺には「三国新温泉」「三国中央温泉」と三国を冠する銭湯が3つあるが、その中で最も質素でつつましやかな銭湯がここ。 大阪レトロの伝統スタイルともいえる凸型玄関に、モザイクタイルで形成された屋号がデカイ。 淀川区に多いパターン 暖簾をくぐると、1鉢のベンジャミンがお出迎え。そのうしろには小さなタイル絵がひっそり隠れている。むむっ、できる・・・。 心ニクイ演出 引き戸を開けると、木の番台に柔和なばあさんが座る。 脱衣場はさほどの濃厚レトロではないが、男女仕切り壁や神棚、柱などは昔ながらのもの。高い天井は横木で天板を支えるタイプ。壁は化粧合板だが、あえて古い土壁ふうのものが選ばれている。なかなか落ち着く空間だ。 こじんまりとした浴室へ。出ました石畳の床、すきまにタイルはめ込みタイプ。 湯舟は中央やや隔壁寄りに、黒御影石の深・浅、その奥にタイル貼りの座浴ジェットと並ぶ。 奥の壁には「湖畔の宿」っぽいモザイクタイル絵があり、入口横には立ちシャワー。 壁やカランまわりはきれいに改装されていて一見とくに変哲なく見えるが、カラン下には湯舟と同じ黒御影がどっしり据えられ、その奥に濃紺の懐かしい豆タイル(の新品!)がはめ込まれている。古い銭湯らしい味わいを大事にした、そのちょっとしたセンスに感心させられる。 そして湯舟フチ外側の座り段も黒御影石だが、これも、もしかして新品か? とにかくきれいでツルッツル。 しかしこんなことに感心している場合ではない。 深い主浴槽の給水口に金網籠が吊り下げられている。なんだろうと思って見ると、中に生のレモンが丸ごと、いっぱいに詰まっているではないか。 近くへ寄ると、プーンと漂う柑橘系の香り。 なんと心のこもったおもてなしだろう。 平日7時ごろに入ったが、近所の人たちが入れ替わり立ち代りやってきて、常時10人くらいで賑わっていた。 帰り際には、番台のばあさんが柔らかい笑顔で、何度も「おおきに、ありがとうございます、おやすみなさい」と丁寧に言ってくれる。 古めかしい外観でありながら、すっきり美しい玄関先、浴室のニクイ改装センス、生レモン風呂の心づくし、そしてばあさんの超好感度な応対。 設備はないのに流行っているのもうなづける。古くて小さな銭湯の生きる道がここにくっきりと指し示されている。(2004.6.8) |
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高須温泉 ≪廃業≫
みごとな新旧合体っぷりに感心したねワシャ。 aikoの故郷、阪急三国駅から北東へ徒歩10分ほど。 ちょっと造りがかわってる。正面中央はズボッと洞窟みたいになってて、左に玄関、右にコインランドリー。昔は真ん中が玄関だったんだろうけども。 (左)中央洞窟は自転車置き場みたい (右)かつての玄関は出窓に。上部に屋号あり 淀川区に多いモザイクタイル屋号! 狭い前栽と脱衣場スペースをやりくりしてフロント式に改造することが多い一般的な改装と違って、ここは明らかに旧玄関の左右をグイっと前に建物をせり出させて、玄関とコインランドリーを設置した。そのため旧玄関前スペースがネアンデルタール人の洞窟住居状態となって、そこを自転車置き場にしてある。そのおかげで、かつての凸型玄関の屋号の面影を偲んで涙することもできるわけね。 前方へせり出させた下足スペースはなかなかの広さ。 中に入ると、かつての玄関と両側の前栽スペースが全部ブチ抜きでフロントロビーになっている。さすがに広い。ソファーセットはもちろん、熱帯魚やら金魚やらの水槽がいっぱいあってグッピーも赤ちゃん産みまくりだ。 脱衣場へ進むと、一般的な銭湯風景。古い木のベンチがけっこう渋い。 そして浴室はなんと、石畳の床という江戸時代からの大阪銭湯の伝統様式が今に息づいているやおまへんか。 湯船は電気→浅→深の流れ風呂式に改装されているが、湯船のヘリや腰掛け段はこれまた石造りのイニシエスタイル。カッチョエー! ほかにスチームサウナや水風呂、気泡の寝風呂、ボディシャワーもあって設備十分。カラン・シャワーも快調で使い勝手よし。 この時点でウームと唸っている場合ではない。この銭湯の真骨頂は男女壁の壁画だ。 チップタイルのモザイクアートで、人間と動物と植物が融合したような不思議な現代芸術なのか何なのかが壁一面に描かれている。オモロイ! 快適に改装されているため★つきを逃したが(ふはは、この歪み!)、マトモな人間の視点に立ち返れば、銭湯好きに幅広くアピールできる楽しい銭湯だ。よかよ〜! (2012年7月) |
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末広湯★≪廃業≫
きたがな〜。「おばあちゃんの家」系の郷愁銭湯。 阪急宝塚線の三国駅から南西へ徒歩数分、または神戸線の神崎川駅からでも同じくらい。ちょっとややこしい路地の中にある。 (左)右書きの屋号はこのあたりに多いモザイクタイル製 (右)湯ヒロスエ 中はとにかくこぢーんまりしている。格子になった天井に木の扇風機が設置され、黒光りする板の間に年季の入った木のベンチが2つ。 神棚、身長計。脱衣場に漂う空気が停止を感じさせる。ロッカーのみ化粧合板。 (左)使い込まれた味わい深い番台 (右)木の扇風機はちゃんと動くそうだ (左)女湯だけにある木の脱衣箱。五木ひろしが出たら当たり (右)神棚 そしてこじーんまりの浴室もきたがな〜。 床は石畳で隙間は市松タイル貼りという、俺が一番好きなパターンだ。 湯船は男女仕切りに接して、熱くて深いのとぬるくて浅いのの2つ。古い御影石が使い込まれてツルッツル。深いほうにはヘルスパー(文明湯参照)がある。 入口横には細かいタイル貼りの水鉢。 そして特筆すべきは、仕切り壁にあるタイル絵だ。54枚の白タイルに、富士山と天女が描かれている。小さいが感じいい。 狭い空間に、渋いものたちが最小限ずつそっと息づいている。湯船に浸かって、ガラス越しに脱衣場の上の窓から向かいの家の庭木を眺める。 止まっている。なにもかもが。そして客は俺一人。最近世間じゃ「癒し癒し」ってうるさいわけだが、四の五の言わずにここに浸かれと言いたいね。 番台のばあちゃんに聞くと、築90年だそうだ。戦災も運良くまぬがれ、阪神大震災でもスキマ一つできなかったんだと。ちなみにばあちゃんは84歳、パートで30年間も番台を勤めている。先代のばあちゃんは91歳まで番台に座っていたそうだ。 そう、この銭湯の番台は、ばあちゃんでなければならんだろう。(2003.11.18) ※「関西のレトロ銭湯」に掲載されました。 ※ポストカード「ERIKO in 末広湯」番台で販売中。買って帰ろう! ※2010年10/26、ふろいこか〜ラジオに登場! |
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寿湯 ≪廃業≫
阪急十三駅東口からちょっとややこしい道を徒歩10分くらい。 住宅地の中に現れる美しい白壁がこの銭湯だ。大阪伝統の凸形玄関に、屋号はモザイクタイルで書かれてあって、上品さをさらに引き立てる。 大阪北部に多いパターン 中はかなり重厚な雰囲気。格天井の下足室の正面には、おそらく富士山と思われるタイル絵があるが、看板で隠れている。惜しい! (左)下足室の天井 (右)年季の入った上がりがまちと隠されたタイル絵 中へ入ると、楕円形を半分に切ったような曲面の木の番台におかみさんが座る。 広々した脱衣場は、高々と紅白に塗り分けられた折り上げ格天井。そこにちょっと不思議な、下向きに開いた傘に蛍光灯を何本もくっつけたような照明器具がぶら下がっている。 男女仕切り壁も古い木製。ロッカーは新しいが、脱衣所中央には古い木のベンチが置かれていていい感じ。前栽に飛び出た外便所もタイムスリップ系の逸品だ。 浴室もけっこう広い。床は石畳で、石の隙間に青と白の角タイルが市松模様にはめこまれている。 湯舟は中央に黒御影石の深浅主浴槽がドーン。奥にジェット&気泡の寝風呂と電気風呂が並んでいる。手前には入浴剤風呂があり、その半分はうたせ湯の機械が設置されているが機能していない。 カランまわりには、ちょっとマジョリカタイルふうのでこぼこした僕好みのタイルが張られていて嬉しいなっと。 でも湯舟はどれも湯温がややぬるめで、お湯の量も若干少なめなのがちょい残念だ。 奥壁には男女隔壁をまたいで、滝を描いた立派なモザイクタイル絵もある。なかなか味わいごたえのある雰囲気の、どっしりとした銭湯だ。(2003.10.27) (左)美形なる正面 (右)夜になると灯る電灯が雰囲気よし ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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新木川温泉 △
阪急電車の十三駅から東へ10分ほど歩いたところにある。 下町の中に突如現れる、青い洋館。古い小学校舎を思わせるレトロモダンの素晴らしい外観だ。 アーチ型の入口と、細かく貼られた屋号周りのタイル使いがじつに味わい深い。「ほぅーー」としばらく見とれてしまう。 (左)青ペンキがちと強烈過ぎるかも (右)屋号の後ろは黄緑色の細かいタイル この銭湯は、間取りが変わっている。 靴を脱いで戸をあけると、番台がフロント式にこっちを向いていて、おばちゃんが座っている。脱衣所は右手にあり、浴室はおばちゃん背後の壁の向こう側だ。 普通は暖簾の向こうに下足場→脱衣場→浴室と順に並んでいるよねぇ。間口が狭くて奥行きがある。ところがここは間口のほうが奥行きより長そうだ。 脱衣場は古い近代建築物の重厚なオーラに包まれているが、壁や床は若干のほころびやガムテープ補修もあり。 柱とのスキマが微妙に開いている感じからすると阪神大震災の影響を受けたと思われるが、それも手作り補修の味わいといえなくもない。 でも出入り口上部にはアーチ型のガラスがはめ込まれていたりして、モダンな味わいが感じられる。 浴室に入るや、壁上部から天井にかけての青ペンキが目に飛び込んでくる。青い天井の銭湯はままあるが、ここは迫力っちゅーかドギツイっちゅーか、どこか倉庫を思わせる不思議空間だ。 中央の主浴槽は石造りで、「ヘルスパー」があるぞ。その奥に気泡(ぬるい)・薬湯(生薬入り)・電気がL字型に並んでいる。 浴槽の形がちょっと妙だったり、湯船の半分くらいは石造りだけど途中からタイル貼りのツギハギになっていたりと、時代とともに手を加えていった努力の跡が偲ばれる。 壁のタイルの補修も手づくり感満載。しかし、こうして生き延びてきたことこそが貴重ともいえる。 素晴らしい外観、石造りの湯船、懐かしいモザイクタイル。もう少し手を入れたら名銭湯まちがいなし。 (2003.9.18) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
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市之湯 ≪廃業≫
1軒の銭湯、1編の詩。 JR塚本駅から北へ歩いて5分ほど。大通りを渡ってコインランドリーの角を右へ曲がると、この一角だけ戦災を免れたグニャグニャの細い路地地帯が残っている。 そこを入って左を見ると、煙突がそびえ立っている。 (左)左右の路地に挟まれて中央に煙突 (右)右の路地をゆくと入口がある。白壁は浴室外壁 外観はモロ民家。どこがどうということもないチープな木造モルタル2階家で、ベランダに洗濯物が干してあったりする。 玄関は木の戸が渋い 玄関スペース、脱衣所ともに昭和中期的新建材でチープに改装されていて、イニシエ度はそう高くない。脱衣所は路地の屈曲そのままに少々歪んだかたちをしている。 問題は、この空間を支配するタダならぬオーラである。3丁目の夕日が丘の総理大臣の青い三角定規的な郷愁オーラが強烈に充満している。どうにも言葉では説明できぬ。 浴室はまた一段とポエムだ。 白タイル壁に囲まれた飾り気ゼロの世界に、深い湯船が小さな子ども風呂を従えて黙って鎮座している。湯船のへりも、まわりのこしかけも、うちがわのこしかけも、カランの下も、ぶ厚い黒御影石がずっしりと固めている。 ジェットも気泡もなく、静寂そのもの。大阪駅の隣の駅だというのに、この静寂はミラクルだ。 湯に浸かると、ザザーっとあふれ出た。 カラン前に腰かけてシャワーをひねると、お湯がシュボボシュボボと頭皮を叩く。 シュボボである。21世紀にシュボボである。頭のつむじにシュボボである。 はじめ一人いたおじさんが上がると、貸切になった。以後は徹底的な静寂が浴室を支配した。 5年ほど前に来たときは、まだ夕方だったこともあって、隣の駄菓子屋の前でたむろっている小学生らの声や、買い物帰りに立ち話をする人々の声が、夕陽に染まった浴室にまでよく聞こえてきた。 その郷愁度は目まいを覚えるほどだった。ここほど「うちの風呂」的な生活感に包まれる銭湯はあまり経験がない。 上がりは飲み物販売あり。 番台のおかみさんに聞くと、隣の駄菓子屋は去年の11月に閉店されたらしい。この銭湯は今から80年ほど前の戦前から営業を続けているが、隣の駄菓子屋もその頃からあったそうだ。 「向かいに寺子屋みたいな塾があって、その帰りに子どもたちが駄菓子屋へ寄ってました。そのために駄菓子屋さんも夜の9時10時まで開けておられました。でもその塾も10年以上前になくなり、子どもも減りました。うちの風呂屋に来る子どもももういません」 大阪の雑踏に疲れた人は、電車で1駅、この風呂屋の静寂に身を埋めてみるのがいいだろう。(09.3.12) |
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金川温泉 ≪廃業≫
タイル絵が雑誌などでも取り上げられる有名銭湯。 JR塚本駅から北へ10分ちょっと歩くと、工場と住宅が混在する一角に無骨な表情で現れる。和風の外壁に丸窓、モダン凸型デザイン、そして金属パネル。昭和20〜30年代の銭湯建築を凝縮したようなちょっと珍しい外観だ。 暖簾をくぐると広めの下足室。正面には章仙作の宝船のタイル絵があるが、残念なことに広告などで隠されている。 なんでこんな張り方するのよぉ〜 靴を脱いで戸を開けると、古い木の半楕円番台にオヤジが鎮座。前栽に外便所のある昔ながらの様式だが、壁や天井、ロッカーなどは昭和中期的な新建材で改装されていて、イニシエ度はさほど高くない。 浴室は思ったよりこじんまり。天井は四角錘に湯気抜き、床は石畳でスキマに水色タイルはめこみ、そして中央に黒御影の深浅主浴槽という、大阪の伝統的な古いスタイルだ。 奥壁に鯉の滝登りのタイル絵がある。もちろん章仙作の九谷焼。その手前に、あとから増設したっぽい岩風呂風の浴槽がある。立派なタイル絵と岩とがうまくマッチしていて、なかなかの風情だ。 ただしここは電気風呂になっている。でも電流が異様に弱い。過去最弱だ。もしかしたら、タイル絵に魅かれてこの湯船に入った人を驚かさないためかもしれないな。 他に、2連ジェット(弱い)、うたせ湯、水風呂、乾式サウナ(バスタオル100円)、サウナ脇に水鉢もある。改装してからだいぶ経っていそうだが、古い小銭湯にしてはなかなかの設備。それでいてカラン下の段も御影石だったりと、渋い味わいも十分残っている。 そしてもう一つの見所は、男女仕切り壁のタイル絵。関西では珍しく、端から端まで描かれた大きなものだ。だいぶかすれているが、鴨や鶴などの水鳥が遊ぶ水辺の風景で、「九谷 暁舟画」のサインと「鈴栄堂」の朱印あり。章仙師のお仲間なのだろう。 上がりは飲み物もいろいろ。 昔ながらの石材やタイル絵などを残しながらも時代に応じて設備を付け加えていった、ありそうでなかなかない印象的な銭湯だ。(2005.1.28) |
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