メ シ つ き 文 化 遺 産 | ||
熊本県の渋~い大衆食堂 | ||
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茶千食堂 ★(再開!)
激レトロ銭湯として有名なくすり湯の近く。市電の洗馬町電停から徒歩2分、中央郵便局の向かいに古い食堂がポツーンとある。 店先にぶら下げられた白い提灯に、マジックで「いなり寿司」「おはぎ」などと書かれている。 その横のガラスケースには、「いきなりだご」がいきなり入っている。カツサンドやクッキーも置いてあるぞ……クッキー? (左)ちいさいおうち系 (右)おはぎ、団子、いなり寿司、サンドイッチ、クッキー… 正午なのに薄暗い店内には、ご高齢の小柄なおやじさんが一人。時間が完全に停止して何年も過ぎ去ったオーラが漂っている。 左右に小上がりが2卓ずつと、奥に小さなカウンター。テーブル席がないやん! お昼時なのに先客はいない。とりあえず左の小上がり席につくと電気をつけてくれた。 壁メニューを見ると、みそ汁130円、うどん250円に始まって麺類・丼物が300~600円。定食ものは650~850円。 それとは別に白板に一品ものが十数品書かれている。 テーブルなし。左端の壁際が厨房 寡黙なおやじさんは、ピノキオに出てきたゼペットじいさんのような帽子をかぶっている。ゆっくりとした動作でお茶を持ってきてくれた。 めし小160円、味噌汁130円と、白板の一品から玉子焼き200円、コロッケ60円×2個を注文。 ゼペットじいさんは、きわめて緩慢な動作で料理の準備を始めた。 とそこへ、ペンキだらけの職人の若者2人が来店し、オムレツ定食と野菜炒め定食を注文。 じいさんの表情に変化はないものの、静かなパニック状態に陥りつつあることが感じられた。 じいさんは誰かに電話した。数分後、茶色いカッポウギを来た貫禄のある女性が買い物袋を3つほど下げて現れた。妻だろうか。 じいさんはゆっくりとキャベツをきざみ始めた。どうやら妻がキャベツを買ってきたらしい。 しばらくすると、初夏っぽいワンピースを来たこれまた貫禄のある中年女性が現れた。さっきの妻らしき女性と顔がクリソツだから娘だろう。 この時点でさっきのペンキ若者二人にようやくお茶が出た。 とたんに娘らしき人物が厨房を仕切り始め、じいさんの動けるスペースが約5分の1に縮小。娘は狭い厨房内を左右に立ち働き、すでに邪魔者になりつつあるゼペットじいさんをどかすための「ゴメン!」というトゲのある声が10秒に1回の割合で聞かれるようになる。 この頃からペンキ若者のうち一人が食卓に突っ伏して寝はじめた。 だが娘の登場によって調理場はめざましく回転し、わが注文の品々が順次運ばれてきた。 (左)〆て610円 (右)うまい! 60円のカチカチコロッケ×2 出てきたものは全部うまかった。玉子焼きも甘すぎず、みそ汁は豆腐までうまい。 驚いたのはコロッケ60円だ。衣がカッチカチで箸が折れそうになる。でも中身はいろいろミックスされた、非常に味わいのあるナイスなコロッケだった。こんなに中と外の変化の大きいコロッケは食ったことがない。硬いから持ち運びにもよいし、60円は魅力。店頭で売ったらブレイクするかもしれない。 他にカニクリームコロッケもあってそそられたが、忙しそうだったのでやめといた。 さてペンキ若者のほうは、まず野菜炒め定食が完成。寝ていたほうの若者は引き続き待たされたが、やっと出てきたオムレツ定食もうまそうだった。 これらの料理が完成した時点で二人の女性は即刻姿を消し、ゼペットじいさん一人が残されて、店は最初の平和な姿に戻った。 一品の「梅昆布200円」も気になったが、やめといた。 玄関の床にポリの透明衣装ケースみたいなのが置かれ、なぜか1匹の小さなフグが泳いでいた。どないすんねんこれ。 食後、表のショーケースにあったファンシーな包みのクッキー大200円を購入し、翌日の登山でおやつに食った。素朴な味でたいへんうまかった。山で食うもんはみなうまいけど。 茶千のクッキー 店のたたずまいから店内のディープなムード、緩慢なゼペットじいさんと貫禄の女性陣、やたらとうまいカチカチのコロッケなど、たいへん印象に残る食堂だった。 コロッケはくせになる。ぜひまた行こう。 (2015年3月) |
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おく村食堂
上熊本駅の正面にある食堂。 間口は広いが三角形のいびつな敷地に建っているため、店内はテーブル4つか5つだけの小ぢんまりサイズだ。 (左)店内 (右)知らんがな 感じのいい女性店員さんが二人いる。 壁メニューは、丼物や定食ものが600~920円。ラーメンやカレー類、一品ものやめし大中小もある。 だご汁720円が看板商品のようなのでそれを頼むと、「味噌とすましがあります」とのこと。熊本のだご汁って普通はすましよね? なのでここは味噌を選ぶ。 それと熊本名物ささみチーズフライ、定食780円のおかずだけ注文。 さらに焼酎お湯割りを頼むと、あらかじめ割った状態でコップで出てきた。 (左)味噌だご汁 (右)ささみチーズフライ 「だご汁 日本一『翔』」と書かれた色紙が壁にある。聞けば、「年に2~3回、芦屋から来られるご夫婦が書いてくださったんです」とのこと。芦屋にもファンがおるんやな~。 出てきた日本一のだご汁は、ボリュームたっぷりだった。べろりーんとしただご、食っても食っても減らんがな。 ささみチーズフライには天ぷらも添えられている。いやはや、もう腹一杯! 料理が全部出終わったとき、奥で料理を作っていたと思われるオヤジが出てきて客席の一つにどっかと座り、テレビのヒルナンデスを見始めた。腕組みをしながら、CMまで凝視している。 と思ったら、目を閉じて一瞬眠りに落ちていた。 その様子を観察しながら、だご汁とささみチーズフライを食った。ぐるじ~。 (2015年3月) |
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中吉
長洲駅は南口が正面だが、その裏の北口に出て、ほんますぐのところ。 壁にじか書きの屋号が豪快であるにもかかわらず、中吉とはやけに控えめだ。大吉でもいいんだよ誰も怒りはしないから。 中に入ると意外に広い。カウンターたくさん、小上がり3卓ほどと、玄関近くにテーブル2つ。でも客おらず。 店のおばちゃんが一人いる。なんとなく控え目というか、やや自信なげな感じ。それで中吉にしといたのか? 最初カウンターに座ったが椅子が高くて硬く、座りにくいのでテーブルに移った。 メニューは洋食中心に、焼きそば550円~カツカレー950円(玉子焼きサラダ付)。ごはんは別に200円で注文するようだ。ハンバーグ目玉焼付600円にごはんで800円か。安いようでそうでもないかも。ビール飲むからごはんやめとこ。 豚しょうが(750円)、をやめてチキンカツ(700円)、をやめて「肉付け目玉焼き」550円なるものが目について注文した。注文してからおばちゃんに「これは何?」と聞くと、 「ハムエッグのハムじゃなくて豚肉」とおっしゃる。 ビール大瓶たぶん600円を飲みながら待つうち、やがてそれができてきた。たしかにハムエッグのハムじゃなくて豚肉だ。しかしこんなん初めて見たぞ。 「ソースか醤油か」と聞かれるが、塩がかかってるならとそのまま食った。 肉付け目玉焼き550円 それにしても店内のセンスは見事に昭和40年代オカーチャン世代だ。石油ストーブを丁寧に電気店のチラシで包んである。ラジカセはサランラップ包み。そうそう、見たなあこういうのん。教科書的モッタイナイ精神に泣けるぜチキチョー。 駅前で便利、通し営業、ほぼ無休、ほぼ活気なし。でもこんなんも悪くない。 (2016年5月) |
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茶びん(閉店)
人吉の街は呑み屋は多いけど昼食の選択肢が非常に少なく、名物のうなぎ屋などたいへんな行列だ。 建物は古いが看板はやたらと派手派手しいこの店も、外で待っている4人組がいる。待つのが嫌で30分ほど無理に散策して、少しすいたのを見計らって入る。 手前にテーブル3つ4つと、奥の座敷に大きな円卓3つ。 愛想の良いバーサマが「相席でよければ一番奥にどうぞ~」と言うので、靴を脱いで一番奥の円卓へ。 60歳くらいの夫婦が先に座っている。隣の円卓には家族連れなど、土曜日のためか観光客の割合が目立つ。 壁には誰だか知らんがユーメー人かゲーノー人と店主の記念写真がいっぱい貼られている。地元の名物店のようだ。 (左)玄関から右手厨房、左にテーブル席 (右)奥の座敷の円卓、来たときはいっぱいだった メニューは和洋中揃っていてどれも500~600円台とリーズナブルだが、メインは中華で、八宝菜950円エビチリ1200円など本格派っぽい。 焼き餃子450円が名物のようなのでまずそれと、あとは汁ビーフン700円や「支那天」950円なども気になったが、あえて中華以外のドライカレー(テーブルメニューではそう書いてあるが壁メニューではカレー焼飯)、そしてビールを注文した。 先に餃子が来た。大振りで、中はニラがぎっしりの緑色。たしかにうまいわ。ドライカレーが来る前に全部食べた。 ドライカレーは香りがよく、具もいろいろで、油っ気が多いけど良い。スープつき。 (左)焼き餃子450円 (右)ドライカレー600円 愛想のよいにこやかなバーサマと、そうでもないバーサマの2人がよく動いてホールをやりくりし、店主らしき人は厨房で料理を作っているのだろうけどまったく姿は見えなかった。 もう少しすいている時に、テーブル席で他のメニューもいろいろ試したいな~。 (2016年11月) |
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