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【大阪市住吉区】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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牡丹湯★ 万代湯★ 御幸湯 (廃業) 大和湯 →廃業銭湯(大阪市内) |
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牡丹湯★
いかつい外観に似合わず、しっとりと落ち着いた美しい内部。まったく意表を突かれるわい。 南海高野線の住吉東駅から北東へ徒歩5分ほど。チン電上町線の神ノ木駅からなら東へ3分。やや殺風景な街角に迫力あるモルタル壁が見えてくる。 凸玄関の屋号は木彫りの渋いものだが、そのうしろ、切妻面の看板建築のデザインがマジンガーZを思わせる。 今だ、出すんだ、ブレストファイヤー! おそるおそる暖簾をくぐると、広々した玄関に巨大な木の郷愁下駄箱がデーン。 (左)超合金の内部は意外にも木のぬくもり (右)男湯側だけでこの数 戸を開けると、年季の入った木の番台でなんとも柔和なばあさんが、「ようお越しなさった」ととろけそうな笑顔。こんなふうに歓迎されたのは初めてだ。嬉しいねえ。 そしてこの脱衣所、和の風情あふれる感動的なイニシエ空間。木のロッカーといい格天井といい男女仕切りといい、古いものがマコトにきれいに維持管理されている。 じつはこのとき僕は泥酔に近い状態だったのだが、このほれぼれするような光景を見て、酔いがかなり覚めた。いやほんま。なんかジワ〜っときまんねや。きっと番台のばあさんか誰かが使い込んだウエスで毎日拭いているに違いない。 小さな前栽もあるが、こちらはなにか補修用の足場みたいなのが組んであって、やや風情に欠ける状態だった。 格天井、びしっと隅まで美しい (左)昔のまんま。仕切り壁下部まで木製ロッカーが残っているのは珍しい (右)お見事 浴室も隅々まで磨かれている。気持ちのいい空間だ。 床は2cm角の細かいタイルがびっちり張られた古いスタイルだが、カランまわりは新しいタイルで改装されている。 男女隔壁側に深浅2槽、湯船のフチには白御影石が乗っている。ではさっそく浸かるとしませう、ア〜ちょうどええ湯加減や。酔って銭湯、これ最高。ハァ〜ビバノンノンと。いや、ほんまはアカンのですよみなさん・・・。 出入り口横には女湯とつながった石造りの水鉢があり、その横に上がり湯用の湯鉢があるという大阪の超古典スタイル。でも湯鉢の中は空っぽだった。残念。 上がりは牛乳を飲みながら、番台のばあさんの昔話を聞く。ばあさんは富山県の五箇山から出て来て35年。当時の故郷のアルバムを見せてくれた。 「この家は今は世界遺産になってるんです」 と合掌造りへの愛着を語る。そういや脱衣所の壁上部に五箇山の写真パネルがいくつか飾ってある。 「赤ちゃんが来んようなってお客さんはお年寄りばかり、もうぼちぼちあきませんわ。そやから兄ちゃんみたいな若い人が来てくれたら嬉しいんですわ」 泣ける。 五箇山の合掌造りが世界遺産なら、この手入れの行き届いた素晴らしい銭湯と番台のばあさんを俺は「心の世界遺産」に指定しよう。 さあみんな、冷たい冬には牡丹湯だ。ばあさんの「ようお越しなさった」で、心の芯まであったまろう。(2004.12.3) ※2012年5/26、関西てくてく銭湯開催! ※2013年1/6、関西てくてく銭湯開催! |
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万代湯★
南海高野線の住吉東駅から東へ徒歩5分ほど。この上の牡丹湯からも同じくらい。渋銭2軒がこれほど近接してるのは大阪では珍しい。 無骨な牡丹湯に比べて、こちらは玄関上部の形状(富士山型?)とサーモンピンクな色合い、玄関脇のタイル、庭の緑と、なかなかに色彩豊かね。ラドン温泉の看板もあって期待感沸騰。 (左)ひび割れパテ補修が泣かせる (右)暖簾をくぐると正面に鉢植え、その後ろには・・・ やっぱりあった、金魚のタイル絵 暖簾の向こうはゆったりした下足室。観葉植物の鉢の背後に金魚が隠れている。 戸を開けると番台にオヤジ、脱衣所の広さは中型。壁・天井やロッカーは昭和中期的な新建材で張り直されているが、前栽の緑がいい感じだ。 浴室へ足を踏み入れると、ぐぐっとイニシエ風情が濃くなる。床は石畳で、間にタイルが市松状に埋められているパターン。排水溝も石造りの希少タイプ。カラン下の段も白い御影石だぞ、うれしいなあ(マニアだけ)。 湯船は男女隔壁沿いに深浅2槽、フチは黒御影。内側は新しいタイルで、湯は40〜41度くらいとややぬるめ。 素晴らしい・・・ 湯につかって壁を見ると、やったーありました、富士山のタイル絵だ。タイル12枚分の小さなものだが、この絵、イイぞ。静岡方面の海岸から眺めた図はよく見るが、ここのは藁葺きの村に小川が流れ、向こうに湖が広がって横に滝があり、その向こうに富士山がそびえている。心やすらぐ風景だ。この村に行きてー! 奥には岩風呂があり、半分は電気風呂になっている。内側のタイルのハゲ方、いとあはれなり。 さらにここの目玉は、上がり湯用の湯鉢。牡丹湯のは使われていなかったが、こちらはちゃんと熱い湯が張られている。47度くらいか。俺はこれをルルドの泉と呼んでいる。 超貴重! 湯をくんでそのままかぶることも可能だが、横に男女つながった水鉢があり、湯と水をそれぞれひしゃくですくって桶で調合するのが正しいやり方。 実際にそのように使っているじいさんがいた。好みの温度に調合した湯でタオルを絞っている。いったい何十年これをやってるのか、じつにサマになっとるな。 見所の多い銭湯だ。古いけど隅々まできれいに管理されていて気持ちがいい。 上がりは飲み物もいろいろあり。庭を眺めながら牛乳でもいっとこう。(2004.12.3) 珍しいものが見れる銭湯 ※2010年3月より、オリジナルポストカードを番台にて販売中。買って帰ろう! ※2012年2/25、関西てくてく銭湯開催! |
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御幸湯 《廃業》
市バス62系統「播磨町」下車、徒歩3分。チン電「姫松」駅からだと徒歩6〜7分というところ。 あべの筋の1本西側の静かな通りに面して、伝統的な凸型をそのまま縦に伸ばしたようなかたちの銭湯あり。 「コインランドリー ミユキ」を併設しているから「みゆき湯」だろう。 すっきりした玄関を入ると、番台に人のよさげなおやじさんが座っている。 おおっと、脱衣場はなんとも堂々のクラシックスタイルだ。それでいて掃除が行き届いて美しい。 (左)ビューチフル脱衣場 (右)折り上げ格天井の職人技 脱衣場の中央に黒いテーブル…と思ったら、昔懐かしいゲーム機テーブルだった。 今はもう動かんらしいけど、この伝統的な和の空間にあってまったく違和感がない。もはや完全にこの脱衣場と同化しとんで。 (左)空間に溶け込むゲーム機 (右)浴室入口のちょっと変わったガラスブロック 浴室への戸は、ビール瓶の裏側でカポカポやったみたいな柄のガラスブロックに挟まれている。 浴室は、これまたスッキリさんやねぇ〜。 すっきり浴室 男女壁ぞいに深・浅・ブクブクの主湯があり、正面の奥まった部分にスチームと水風呂が隠れている。そしてさらにその奥にトイレがあるという、ちょっと珍しいパターンだ。 湯船まわり腰掛部分の玉石タイルが昭和のかほりをプンプン漂わせているが、全体に美しく磨かれまくり系。気持ちよく洗って、気持ちよく浸かれる。整いすぎて物足らんくらい。 ただし、湯温は俺には心もちぬるめだった。 あとで、気さくなご主人に釜場を見せていただいた。 ここでは燃料は木材工場から出る端材のほか、チップをソフトボール大に圧縮して固めたブリケットが使われている。 釜場にて、おやじさんと燃料のブリケット これがコロコロと自動的に釜に入っていく装置があれば、釜焚きはぐんとラクになるだろう。 日本中の木材加工工場からは端材やチップが毎日大量に出るが、それらは産廃としてコストをかけて処分されているのが現状だ。 薪沸かし銭湯は今後のエネルギー問題を考える上でもユニークな存在なんよねぇ〜誰も気づいてへんけども。 (2014.5.20) |
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