関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【涙の廃業】兵庫県の激渋銭湯
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日の出湯★ (西脇市)2011年1月廃業
歌敷山温泉 (神戸市垂水区)
2009年12月廃業
松乃湯 (加古川市)
2009年廃業
勇湯 (姫路市)
2008年7月廃業
日の出湯 (明石市)
2007年12月廃業
大同湯 (神戸市兵庫区)
2006年12月廃業
三十六温泉 ★(尼崎市)
2006年廃業
朝日湯 (龍野市)
2005年廃業
光中湯 ★(尼崎市)
2004年9月末廃業
天王温泉 ★(神戸市兵庫区)
2004年8月廃業
営業中の兵庫県の激渋銭湯 神戸 阪神間 東播磨 西播磨 淡路 但馬

日の出湯

2011年1月27日をもって廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


西脇市南旭町137
tel : 0795-22-0451
【営業時間】15:00〜23:30
【定休日】金曜日
大人320円+洗髪10円


 上の西脇温泉からさらに東へ、橋を渡って約3分。南側の旧繁華街(現在ほぼ死に体)の外れあたり。
 木を燃やすにおいが周囲に漂っている。そして木造バリバリの渋銭湯の登場だ。

 
(左)播磨名物、れんが製四角煙突が黒っぽい煙を吐く  (右)ちょっと奥ゆかしい感じ

 
木です、全部

 暖簾をくぐるとタタキに古い木の番台があり、上品な感じのおかみさんが座っている。50代後半くらいかな。
 おや、料金は320円+洗髪10円とな。「安いですね、兵庫県は380円に値上げしたでしょ?」と言うと、「去年水害があったし、値上げを自粛してるんです」とおっしゃる。
 去年の台風では豊岡の水没が派手に報道されたが、そのときひそかに西脇も水害に遭っていたらしく、この銭湯も床上浸水したそうだ。横にいたオヤジ客いわく、「もうちょいシモの家は首まで浸かったで」とのこと。知らなんだな〜。

 番台手前の下駄箱

 便所を尋ねると、外の釜場近くに水洗便所あり。横に駐車スペース2台。

 用を足して脱衣所へ戻り、服を脱ぎながらじっくり観察する。こじんまりした小銭湯だが、かなり濃厚なるイニシエ空間だ。ロッカーのみ新しい。

 
(左)スッキリした板張り床  (右)格天井に神棚

 浴室入口の左右の下のほうに小さなタイル絵がある。九谷焼かな。古そうだが色落ちはない。

 
(左)ロッカー横の絵   (右)流しの下の絵は富士山

 浴室もこじんまり。床には細かいタイルが張られ、壁や天井は水色と白であっさりまとめられている。
 男女隔壁沿いに深浅の浴槽。浅いほうには気泡。廃材で沸かされた湯は42度強、マイベスト湯温。
 兵庫らしい1×2cm長方形えんじ色タイルが張られた湯舟フチのヘリは、丸みがきつくていい感じ。ここに後頭部を乗せて体を浮かせると極楽なんよ。
 外側座り段には不揃い小石型タイルが張られている。昭和への旅でございます。
 カラン・シャワーは水圧まずまず。古いけど清潔感もオッケー。

 上がりは残念ながら飲み物なし。
 おやっ、あのサインは? 下は「篠山紀信」みたいだが・・・。

 
(左)入口横の、クーラーの下   (右)そして上のサインは横尾忠則だ!

 おかみさんによると、1970年、このまち出身の横尾忠則が故郷を歩くという雑誌か何かの企画でここを訪れたとき、随行したカメラマンが当時無名だった篠山紀信だった。
 「横尾さんが、『このカメラマンは将来大物になるからサインもらっときなさい』とおっしゃったので」
 横尾忠則の育った湯か。銭湯に歴史あり、やなぁ。

 おかみさんが言うには、この建物は90年以上前のもので、大正時代の前半ではないかということだ。 
 「昭和中期の新建材が流行った頃にロッカーと浴室の戸だけ入れ替えまして、そのときはなんときれいになったわぁと思ったんですけど、今にして思えば・・・」
 昔ながらの材料の味わいに気づく銭湯経営者は、じつは多くない。だがおかみさんのまなざしにはこの銭湯をこのまま大事に守っていこうという心意気が感じられる。
 芸術家を育て、水害を乗り越えて、イニシエのよさを今に伝える日の出湯に栄えあれ。  
(2005.2.3)

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歌敷山温泉

2009年12月31日をもって廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(pacific18さん、情報感謝!)

神戸市垂水区霞ヶ丘4-5-2
(078)707-3594
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】水曜日


 きましたねぇ・・・。いかがですこの貫禄の日本建築。
 山陽電車で垂水駅の西隣「霞ヶ丘」駅から山側へ歩き、最初の信号を右折したところにある。駐車スペースも4台あり。
 玄関周りの造りは天水湯に似ている。が、こちらはその他の部分の細部に渡るまで、和の装いが貫徹されている。

  
あっさり暖簾をくぐるのがもったいない味わい

 暖簾をくぐると正面に切り株を使ったオブジェあり。下駄箱の上がりがまちも全部木でできており、脱衣室へはさらに3段の木の階段を登っていくのが珍しい。お寺みたい。

  
下足室正面上部に、どなたかのお写真が・・・

 重厚な木の戸を開けると、これまたどっしりと黒光りする木の番台と、広い脱衣場。高〜い格天井に扇風機が回り、しっくい壁に木のロッカー、その上部にはさらに明り取りの格子窓に擦りガラスと、情緒満点マニア感涙の充実空間だ。
 そして開け放たれた履き出しの向こうに庭があり、縁側までついている。この庭、普通の銭湯の庭の倍はあるぞ。いやあ、よろしなぁ〜。
 普通は男女の仕切り壁の上にあることが多い神棚が、ここではロッカーの上に設置されており、しかもよく手入れされている。サカキの葉も新しくてつやつや。
 トイレの窓まで和の味わい。レトロ保存度では今のところ神戸最高だな。

 ただし気になるのは、ある人物のポスターや新聞切り抜きなどがやたらベタベタと貼ってあること。玄関先の暖簾の両脇にもデカデカと看板が出ているし、下足室の正面上部には額縁入りの近影が飾られている(上の写真)。
 どうやら地元の有力者のようで、政治活動などもなさっておられるらしいが、もしかしてこの銭湯のオーナーでもあらせられるのかもしれない。そういや天水湯にも・・・。
 せっかくの伝統建築の静かなる雰囲気が、このポスターベタベタで大きく損なわれているのがなんとも残念。

 気を取り直して浴室へ。
 湯船は中央に大きな主浴槽と、それと角部分でつながって奥の隅にサブ浴槽、というシンプルな構成。主浴槽は3分の1ほど浅くなっていて、浅い部分と深い部分に仕切りがない。深い部分には天水湯と同じ仕組みのユルいジェット水流。
 湯はやや熱めの42〜43度くらい、おぅ僕のベスト湯温じゃないですか。いやぁ湯船も大きいし、これは気持ちエエ〜。
 奥のサブ浴槽も、主浴槽とつながって湯がイケイケになってるので同じ湯温。でありながら浅いわけでも電気風呂なわけでもない。浴槽が2つある意味があまりないな。
 見上げると、奥の壁の上部に、女湯とブチ抜きでアルプス風景のモザイクタイル絵がある。

 タイル貼りの床には排水溝が刻まれておらず、床面を低いほうへ流れて排水口へ吸い込まれていくスタイル。
 震災の影響か、タイルがあちこち割れて白パテ補強してある感じも、天水湯に似ている。水風呂はないが、カランの水がけっこう冷たかったので、それをかぶってもなかなか気持ちよろしかった。

 あがりは、半裸で縁側に出て庭を眺めながら、腰に片手を当ててジョアを飲む。シャイコーです。 
(2003.10.10)
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松乃湯

2009年、廃業された模様。
レポートは営業当時のものです。
(シロヤギさん、播磨町民さん、情報感謝!)


加古川市尾上町長田526-6
(0794)22-5717
【営業時間】16:00〜22:00
【定休日】無休


 いやまあしかし、いろんな銭湯へ行ってるが、「こんなの初めて〜」のネタは尽きないなあ。

 山陽電車「尾上の松」駅から南東へ徒歩10分ちょい、はりま病院の北側に、小ぶりながらどっしりとした伝統建築でたたずむ。
 まず赤瓦に黒壁という取り合わせが珍しい。
 そして、この看板。こんなデッカイ温泉マークの単品、見たことないねぇ。
 しかしこんなのは序の口だ。

  
夜になったら・・・光りませんでした

 暖簾をくぐると、狭い下足室も伝統的風景。格子天井、下駄箱、玄関の戸、脱衣場への戸、あがりがまち、ぜぇ〜んぶ木でできております。

 

 脱衣場も狭いが、イニシエ度はさらに濃い。
 天井はかなり低いが、格子になっていて3枚羽のプロペラがぶらさがる。
 ロッカーはケヤキ一枚板の上等品。番台も見るからにいい木を使ってある。レトロ保存度は最高の部類だろう。

 そしていよいよ浴室へ・・・どひゃ〜ん、これは驚いた!
 こじんまりした空間だが、壁がなにやら騒がしい。よーく見ると、関西ではまったくもって珍しいペンキ絵みたいな壁画だ。かなり古びて黒ずんではいるが、アルプスっぽい高山と湖の絵図が、壁の上半分に直接書かれてある。
 しかも、ここここれがなんと、前後左右、男女仕切り壁にまでも、四周全部の壁にスキマなく徹底的に書かれてるーーーー!!!
 そしてその絵のあちこちに、古〜いブリキ板の広告が貼り付けてある。古すぎて波打ってまんがな。

 古びたタイル床の中央に排水溝が1本切られ、仕切り壁の下に男女共通の排水口がある。
 湯舟は1つ。一部が浅くなっている。
 この湯舟のヘリ、ふつーはタイル張りか石づくりだが、ここは洗い出しだ。関西では初めて見るなあ。しかもけっこうジャリが粗い。

 粗い光景はまだまだ続く。
 壁の穴からは配水の鉛管がムキダシ。
 カランは6つあるが、シャワーは立ちシャワー(水。弱し)が1つのみ。
 そして、椅子はない。

 先客が1人いたが、途中から貸切になった。くすんだ壁画アルプスに我が身を取り囲まれながら、のんびり湯舟に浸かる。

 入ったときには番台に人がおらず、あがってから湯銭を払ったのだが、兵庫県の協定料金より20円安い320円だった。
 ミニ銭湯にしては、脱衣場には飲み物類がちゃんと置かれているのは好印象。

 とかなりディープなわけだが、なんと年中無休で営業しているらしい。うーむ・・・まったくもって意表を突かれる。
 とにかくがんばっておられるみたい。 
(2004.5.14)
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勇湯

2008年7月4日、廃業された模様。
レポートは営業当時のものです。
(加古川の銭湯ファンさん情報感謝!)


姫路市城東町京口台23
(0792)22-4795
【営業時間】 17:00〜21:00
【定休日】 月曜日


 JR播但線で姫路から一つめの京口駅を東へすぐ、幹線道路に面している。小さくて古いスタイルの建物だが、塗り直されたようで小奇麗な外観だ。

 
(左)玄関上の屋号と温泉マークは木彫り   (右)コンパクトな全景、駐車場3台分あり

 中も改装済かな? と思いつつ玄関を覗く。下駄箱は新しく、入口の戸も茶色サッシになっている。が、正面に帆掛け舟のタイル絵があるじゃないの。

 
かわいい逸品

 ちょっと胸ときめかせながら戸を開けると、番台に上品そうなおかみさんが座って、なにやらパソコンをさわっておられる。
 脱衣所は・・・おぉ、これはなかなかのイニシエ空間じゃないの。格天井の中央に3枚プロペラ、でも動いておらずクーラーが効いている。男女仕切り壁がなんとも渋みの効いた木製。ロッカーは昔ながらの木製だが、番号はアラビア数字。

 便所を尋ねると、男便所は外らしいが鍵が見当たらず、衝立で隠しつつ女湯脱衣所の便所を借りることになった。ははは、わしゃ何にも見ておらんし触ってもおらんし嗅いでもおらん。

 浴室はこれまたクラシック。細かいタイル使いの浴室で、ひび割れや剥げたタイル部分には豪快に白セメン修理が施されている。
 湯舟は中央にポンと深浅のみで、周囲に低い座り段あり。おぅ、深にはヘルスパー発見! 久々じゃのう。湯舟のヘリには御影石が乗っているが赤銅色に色素沈着、地下水に鉄分が多いのかな?
 ただ、湯がぬるめだったのが山歩き後の俺としては残念。41度ないかも。
 カランは手前に8つ、うち3つはシャワーつき。出入り口横に水鉢あり。
 珍しいのは、奥壁にある絵本の挿絵みたいな壁画。森、家、海がじか描きされているが、ペンキ絵なのかな?
 
 上がりは飲み物販売あり。夕方6時すぎ、他客は一人、帰り際にまた一人という感じだった。  
(2005.8.4)
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日の出湯

2007年12月1日に廃業された模様です。
レポートは営業当時のものです。
(ルイガノ乗りさん、情報感謝!)


明石市大久保町大窪517
(078)934-0279
【営業時間】 15:30〜23:00
【定休日】 月曜日


 工場跡地が大規模再開発されて巨大分譲マンション群&マイカルタウンになったJR大久保駅南口。でも反対側の北口は、昔からの片田舎だ。
 北口から北へ伸びる大通りの1筋東の道をまっすぐ北上し、2又路を右へ、次の2又路も右へ。僕は己自身の事情から右へ曲がるのは得意だが、そんなことはどうでもいい。あたりは一気に鄙びた田舎町へと風景を変える。
 そんな中に当たり前のように佇む、小さな銭湯だ。

  
 
(左)下足室・脱衣室・浴室(湯気抜きがある)が3段式にこじんまりとまとまっている

 外観はなかなか味があるが、中は何がどうってことはない。下足室・脱衣場は格子天井になっているが、全体的な造りは昭和中期チックな安普請で、やや雑然とした感じ。そして久々にお目にかかる汲み取り便所。
 が、ただでさえ狭い脱衣場の隅に、小さなサウナ室(2名用)がある。この規模の小銭湯で、スチームでなく乾式サウナがあるのはちょっと珍しい。

 浴室はややくたびれた昭和的タイル系。天井は青く塗りなおされていて美。
 中央に細かい角タイル張りの湯船が1つ。真ん中に「ヘルスパー」(大阪編・文明湯参照)があるが、壁の説明書きを見ると「アワジェッター」という名前になっている。でも開発したのは芝浦工大のナントカ先生とあるから、同じものだな。
 カランとシャワーは別々の位置にあり、鏡は立った位置にある不便なパターン。

 とまあ素朴なお風呂だが、周囲の街並みに溶け込む外観とサウナで得点。明石市西部にはここと下の扇湯しかないから、ぜひがんばってほしい。 
(2004.1.7)

  
闇夜に輝く誇らしげな「サウナ」
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大同湯

2006年12月に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。
(「大きい風呂しか入られへん兵庫区民」さん情報感謝!)

神戸市兵庫区大同町3-5-20
(078)511-9052
【営業時間】15:30〜23:00
【定休日】水曜日
     7・8・9月は無休


 神戸電鉄湊川駅から1kmちょっと。東山商店街を抜け、新湊川商店街も抜け、菊水公園の北側にまわった住宅街の中にある。通りがかりで出会うことはなさそう。

 建物は大阪レトロ系に多い凸型玄関。暖簾をくぐると昔ながらの木の上がりがまちと、銭湯組合のポスターの後ろにタイル絵が残っている・・・ようだが、せっかくのタイル絵をこんなポスターで隠してしまうのはもったいないぞ。

  
タイル教信者の気持ちがわかってないな・・・

 脱衣場は、けっこう高い格天井と古い木の番台が健在で、昔ながらの前栽や古い体重計などもある。神戸では貴重だ。
 ただしロッカーは震災後に入れられたアルミ製でピッカピカ。

 浴室に入ると、男女壁側にほぼ正方形+1ヵ所突出の大きな主浴槽がデーン。
 床や壁は全面的に改装されていて古さはない。震災後の改装かと思ったが、カラン下などに長いひび割れがあったりもする。おや、震災前なのか?
 浴槽のヘリは神戸西部の古い銭湯に多いえんじ色の細かいタイルで縁取られている。

 主浴槽は、深・浅・ジェット・気泡・電気の5つのエリアに仕切り壁で分離されている。仕切が水面下5cmくらいまでなので湯は全部共通。こんなに仕切っているのは珍しい。
 さらに奥には3〜4人サイズのスチームサウナと水風呂がある。

 上がって番台のおばちゃんに聞くと、浴室の改装は震災前だそうだ。築60年の木造建築だが、震災ではビクともせず、地震後3日目に営業を開始した。3日目からの営業は神戸市で4軒だけで、そのうちの1軒だという。
 「その日からでも営業しようと思えばできる状態やったけど・・・しばらくは遠方からのお客がズラーッと行列して、たいへんやった。でも今はもうあかんね」

 思い出してちょっとしんみりした。
 震災時にみんなを救った、古い天井と番台の残る銭湯。小さいわりに設備も多彩だし、なんとなく落ち着けるいいお風呂だった。末永くがんばってほしい。 
(2004.5.21)

  
駅から遠いけど、印象に残る銭湯
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三十六温泉

2006年、廃業された模様です。
レポートは営業当時のものです。


尼崎市道意町4丁目46
【営業時間】16:00〜23:00
【定休日】水曜日


 写真だけ見るとどこか山峡のいで湯の風情だが、じつは阪神電車「尼崎センタープール」駅で下車、徒歩約3分。ホームから南を眺めると煙突が見えている。
 ちなみにセンタープールで人間が泳ぐことは禁じられている。モーターボートのためのプール・・・競艇場です。したがってこの街も駅前の焼き鳥屋の名前が「マクール」だったりする、まあソレ風の場所柄。

 町工場の混在する下町の住宅街を、煙突目指して歩いていくと・・・ナ、ナンダ〜!?
 公害道路として有名な国道43号線のすぐ近くなのだが、庭から生えた樹齢50年の桜の巨木やマツが生い茂り、壁にはツタ類がびっしり。銭湯が完全に植物に飲み込まれ、一体化している。す、すごい。屋号(みそろく、と読むらしい)もなんも見えない。暖簾がなければオバケ屋敷だよこりゃ。

  
 
(左)北側から見たところ   (右)南側から見たところ。やはり日当たりのいいほうが激しい

 暖簾をくぐり、ゲタ箱に靴を入れて戸を開けると、年季の入った低い番台。入浴料は300円と安い。
 こじんまりとした脱衣場は、人々を一気に郷愁の彼方へといざなう。年季の入った木のロッカーには、漢数字の番号。戦後に作り直したものだそうだが、ケヤキの一枚板で、「今なら1個何万円もする」と番台のオヤジは語る。
 それにしても外も木、中も木だ。脱衣場からは庭の桜の木が見えているので、春にはここから花見ができそうだ。天井にはちょっとホコリがくっついていたりもするが。

  
重厚なるたたずまい

 浴室は地味でこじんまりとしているが、深浅のメイン浴槽は石造り。深いほうではジェット2基が順調に吹き出ている。湯舟のへり外側の腰かけ段は低め。
 ほかに気泡風呂と、2〜3人用の小さなサウナがある。気泡風呂の豆タイルの色がまた渋い。ウグイスの糞色とか黄土色とか茶褐色とか・・・現代の銭湯では決して採用されない色使いだろう。
 水風呂はないが、勢いのいい立ちシャワーがある。

 客はこの地域の場所柄を表して、よく日焼けして肩口にちょっと刺青のあったりする高齢者が多かったが、感心したのは、みんな上がるときに椅子と洗面器を元通りに片づけていくことだ。
 僕はふだんはあまり片づけないのだが、ここで反省し、みなさんに見習ってきちんと片づけて上がった。

 番台のおやじは、「ここへ初めて来た人は、みんな『なっつかしい銭湯やなー』と驚くよ」と言う。外観といい木のロッカーといい地味な浴室といい客のマナーといい、「古き良き」という言葉がピッタリと当てはまる銭湯といえるだろう。
 震災で屋根が崩れたそうだが、みごとに復活した三十六温泉。もしかしたらこのボーボーと繁る木々の根が地震から建物を守ったのかもしれない。

 さて、桜の季節が楽しみだ。
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朝日湯

2005年、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


龍野市龍野町旭町57
電話 0791-62-0891
【営業時間】 18:00〜22:30
【定休日】 毎月5のつく日


 夕焼け小焼けの赤とんぼ〜♪ の作曲者・三木露風を生んだ龍野には、銭湯は1軒しか残っていない。その朝日湯の営業開始時刻は午後6時と遅い。
 夕焼けを待って開く銭湯だ。

 JR姫新線の本龍野駅から徒歩10分ほど。龍野橋の1本上流に旭橋という歩行者専用の小さな橋がかかっている。それを渡れば街の様相は一気に濃厚な城下町風情となる。
 正面の路地を入って少し歩くと、右手にブロック塀とトタン壁の殺風景な古びた建物が現われる。午後6時を過ぎたって暖簾はかからないから、知らなければ通り過ぎてしまうに違いない。
 目印は自動販売機と、ブロック塀に貼り出された「朝日湯川柳」だ。

 
(左)地味すぎるエントランス、ブロック塀に8編の川柳   (右)よく見たら銭湯

 戸を開けるとタタキに濃厚なる木の番台があり、おばちゃんが座っている。龍野は薄口しょうゆの町だが、ここは思い切り濃口しょうゆ色。

 
(左)しょうゆ樽状態の番台  (右)下駄箱(正面)も濃口醤油

 脱衣所は、こじーんまりした田舎の超郷愁空間、時間停止系。
 止まあ〜っていぃるぅよぉ、(時計の)針の先。
 さすがは赤とんぼ。泣いていいんだよ、思い切り泣いていいんだよ。

 

 

 浴室もこじんまり郷愁サイズ。でも狭いわりに大きな湯舟がデンとある。深浅の間に仕切りがなく、小さな子どもはボンヤリしてたら深いほうへドボンと落ちてしまう。
 でもこんな田舎風呂にはもう子どものお客は来ないかな。負われて浸かったはまぼろしか。
 湯舟のへりは珍しく黒の長方形豆タイルがびっしり張られている。外側座り段、カラン台などは不揃い小石型タイルだが、これも黒。

 先客はじいさん一人だけだが、しきりに水でうめている。湯をさわってみると44度強はある。
 まあ今日はよく歩いて股関節がくたびれているので、これくらい熱いのがちょうどいいや。ゆっくり浸かって、あー極楽。

 木の腰掛、木の桶がある。鏡は立って髭剃りせんならん位置に取り付けられたパターン。
 じいさんが上がったあとは貸切になった。お里の便りも絶え果てた。
 体を洗ってから再び湯に浸かろうとしたらアッチッチ、なんじゃこりゃ46度以上は確実にあるぞ! これはうめずにゃ入れまい。

 上がりは、ちゃんと飲み物販売あり。
 もう子どものお客は来まい、と思ったら、なんと女湯に小さな子連れ客が来た。4〜5歳だろうか。あの熱い湯に、ねえやに負われて浸かるのかな・・・。

 外に出たらもう暗い。帰ろうか。川風にやさしく顔を撫でられて、つい口ずさむのはあのメロディー。さあみなさん、ご一緒に。
 ゆうやぁ〜けこやけ〜えぇ〜の・・・  
(2005.5.20)
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光中湯

2004年9月末廃業。
レポートは営業当時のものです。


尼崎市常光寺2-3-36
(06)6481-3553
【営業時間】16:00〜23:00
【定休日】不定期


 JR尼崎駅から南東へ歩いて15分くらい。阪神電車の杭瀬駅からでも北へ同じくらい。幹線道路の1本南の細い路地に泰然とたたずむレトロな外観。塀や入口のたたずまいがなかなか渋い。

  
玄関内側から外を見る

 脱衣場は以外に広々している。格子天井に古い扇風機がぶらさがる。ロッカーは新しいが、目をひかれるのは浴室入口付近の石柱とタイルのあしらい。白タイルに赤い温泉マークが描かれていたりして楽しい。

 浴室も広々。銭湯は普通、のぞき防止のためか窓が高い位置にあることが多いが、ここは低い位置から大きく開口した窓が3つもあり、とても明るい雰囲気だ(すりガラスなので覗かれる心配は無用)。
 壁や床は震災後に改装されたと思われる新しいタイル張りだが、湯船は古い御影石の主浴槽が中央にドーン。しかも震災後に研磨し直したのか、新品かと思うほどビューチホーだ。よく見ると継ぎ目のセメントが古かったり石が一部欠けたりしているので、古いものとわかる。

 浴槽の底は新しいタイル張りだが、深いほうは内側の座り段にザラっとした古い石がそのまま使われており、これがまたなんともいい感じ。浅いほうと深いほうが半円のトンネルでつながっているのも懐かしい。
 主浴槽とつながって奥にはジェット・気泡・電気の浴槽(入浴剤入り)があるが、ブクブクという音もうるさくなく、静かな風呂を好む僕としては嬉しい限り。ここには一部に豆タイルも残存している。

 と、全体的に清潔で明るい雰囲気の中、古い良さをうまく残しながらシンプルに改装した、新旧融合のナイスな銭湯だ。駅から遠いが、来てよかった〜と思わせてくれる。
 尼崎は銭湯のレベルが高いなあ。 
(2004.2.24)
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天王温泉


2004年8月1日廃業。
レポートは営業当時のものです。


神戸市兵庫区上三条町5-7
【営業時間】6:30〜22:00
【定休日】月曜日


 震災で昔ながらの銭湯の多くが失われた神戸で、伝統的な木造建築のまま営業している銭湯。しかも平清盛の時代から800年も続く、由緒ある天然温泉であるそーな。そのためか入浴料金は400円とやや高め。
 外観は風情満点、唐破風造りの古い木造建築で、大屋根には金のシャチホコつき。さらに横の谷川に赤い欄干の小さな太鼓橋がかかっていて、いやが上にも温泉情緒を盛り上げる。

  
 
(左)東側     (右)西側から来た場合はこの橋を渡って行く

  
 (左)橋を渡ると「名所」の石碑と小さな祠  (右)東側の看板

  
 
青空にそびえるシャチホコと煙突

  
 
唐破風の懸魚と小屋根裏面の下にある彫物。美観を損ねるスチールパイプがご愛嬌

 湯銭は券売機で購入。番台のおじさんのほかに青い制服のおばさんが2人いて、あちこちこまめに手入れしている光景も、一般の銭湯との格の違いを感じさせる。

   
 
(左)下足室の柱  (中)番台  (右)畳敷きの休憩スペース

 脱衣場が素晴らしい。表に張り出した小さな和室の休憩所があるのもいいし、高い格天井の近くには大正期のものと思われる極彩色の天王温泉全景絵図がズデーンと飾ってある。吊り下げられた電灯がかなり風変わり。
 だが、浴室の手前、改装された流し部分はちょっと安っぽくてもったいない。

  
(上左)こんなに高い天井の銭湯は関西では珍しい
(上右)天王温泉のいわれを描いた絵図
(下左)欄間の透かし彫り

 浴室の戸を開けるなり、温泉独特のいいかおりに迎えられる。
 川に沿った細長い浴室は、普通の銭湯風にあっさりしたもの。浅い湯舟、深い湯舟、熱い湯舟、気泡風呂と、四角い湯舟が一列に並んでいる。
 湯はやや黄色がかった含土類重曹泉(緩和性低張微温泉)。泉温30℃の源泉が加熱されてモコモコ湧き上がっており、湯ざわりはとってもまろやか。石造りの給湯口からひんやりした源泉が間欠的に出てくる。
 熱い湯舟は46度以上あるだろう。たいてい誰も入っていない。僕は1分が限界。体にビシっとヤキを入れる感じだが、これだけ熱い風呂があるくせに水風呂がないのはチトつらい(かかり水の水鉢はあり)。
 気泡風呂は、壁に貼ってある古い説明書きがほほえましい。たんなるブクブクだが、その効能をやけにもったいつけた言い回しで書いてある。昔は珍しかったんだろうねぇ。でもこの気泡はなぜかビミョーに石油くさく感じるんだが・・・。
 浴室の隅に飲泉用の蛇口とコップもある。

 ところで、ここからほんの100メートルほど上流に「湊山温泉」というのもある。おもしろいことにこちらは天王温泉とは逆に、建物に風情はないが、細長い浴槽がちょっと湯治場っぽい雰囲気。心なしか湯も濃そう。2004年に改装されるまではもっとディープだったんだが。
 入り比べてみられたし。
営業中の兵庫県の激渋銭湯 神戸 阪神間 東播磨 西播磨 淡路 但馬
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