|
||||||||||||
【阪神間】の激渋銭湯 | ||||||||||||
阪神間<兵庫県<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
第一敷島湯 (尼崎市)★ 高砂湯 (尼崎市)(廃業) 難波温泉 (尼崎市)(廃業) 桜湯 (尼崎市)(廃業) 武庫川湯 (尼崎市)(廃業) 新町温泉 (川西市) 新地湯 (三田市) →この地域の廃業した激渋銭湯はこちら |
||||||||||||
【兵庫県】 神戸市/阪神間/東播磨/西播磨/淡路/但馬 | ||||||||||||
第一敷島湯★
唐破風の小屋根です。京都にはあるが大阪以西では今や唯一ここだけかも。 阪神杭瀬駅から東北へ徒歩5分ほど。国道2号線を大阪方面に歩くと、北側に煙突がちゅどーんとそびえているからすぐわかる(明るいうちは)。 でも玄関は、その裏手にちょっと入った狭〜い路地に面している。 後ろに見えてる煙突の向こうが2号線 こじんまりした脱衣場は、造りは昔ながらだがきれいに改装されている。 格天井は白く塗られ、ロッカーはピカピカ。中央にソファーがドン、とあって、隅の水槽ではネオンテトラが泳いでいる。小さい庭も手入れされていてよい。 浴室入口の壁は全面細かいタイルが貼られており、テレビの背後にモザイクタイル絵がある。脱衣場のモザイクタイル絵はこの地域では珍しい。 (左)狭いけど快適 (右)鯉なんだろうけど太りすぎで鯛みたい 小さな浴室もきれいに改装済み。おっ、中央の主浴槽はほぼ円形だ。奥の薬湯(ジェットつき)と浅い子ども風呂に接している部分だけ円が欠けているかたち。 浴槽のフチはカマボコカーブを描き、そこに長方形の豆タイルがびっしり並んでいる。給水部分には円形タイル。 豆タイルといえば昭和の遺物だが、こんなにきれいに現存しているのはめったに見ない。カランまわりなども全般的に小さめタイルが使われていて嬉しいな〜。 美! 湯温は42度くらい。奥の薬湯(この日は「ユッカ」、ヌルヌル白濁で最高!)は40度くらいか。 女湯との仕切り壁には滝のモザイクタイル絵がある。これも美品。 こだわりのピカピカタイルの3つの浴槽になみなみと満たされ、底から噴き上がって盛り上がるお湯。しばし見とれてしまった。ものすごく贅沢な光景だ。 ほかに設備は何もないが、どうにももったいなくて、なかなか上がれない。 あまりに美しいので、てっきり震災後に復元されたのかと思ったら、おかみさんによると40年ほど前の改装だそうだ。震災の被害はほとんどなかったらしい。 そしてなんと、この建物は大正12年に建てられたものだという。天井を直すときにめくって見たら、材木にそのことが記されていたとおっしゃる。 この美しい銭湯が大正12年築! いかに大切に磨き上げてこられたかがよくわかる。 狭い路地裏のプチ銭湯。小さな宝石のように永遠の輝きを放ち続けてほしい。 国道2号線と背中合わせの路地にあり (2003.12.4) (2011.3.1、写真追加・加筆訂正) ※2011年9/26、ふろいこか〜ラジオに登場! ※2012年8/26、2013年3/23、2015年8/29、関西てくてく銭湯開催! ※幸福を呼ぶラッキー銭湯ポストカード第一敷島湯編、発売中! ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 当湯番台で販売中!(本書が買える銭湯一覧) |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
高砂湯《廃業》
阪神尼崎駅から北西へ歩いて15分ほど。けっこうあるな。 白い客船のような体躯、3本線が印象的なファザードがまったくもって渋い。要塞か空母を思わせる。 後ろ側の四角い釜場の前には廃材が積まれ、煙突からは黒い煙がもくもく。薪沸かし銭湯だ。 (左)凸型玄関の背後に看板建築。何を表すのか (右)玄関前は波板のひさしで覆われている ちょうど雨が降っていたので、玄関前の雨よけひさしで助かった。ひさしの下の玄関脇はつやつやの茶色いタイルがびっちり貼られている。 暖簾をくぐると、正面に宝船のタイル絵だ。こいつは素晴らしい! (左)美しき和の玄関 (右)銘が入ってるけど読めませぬ 戸を開けて入ると、番台にバーサマが座っておられる。なんと310円だって! 脱衣場は白っぽいクロス張りで、あまりイニシエな素材は見えない。番台も改装されたツルンとしたやつ。天井もシンプル。 でも造り自体は前栽も含めて古典スタイルのままだ。 飾り気はゼロといっていい。唯一目を引くのは、ヨーロッパの風景写真ポスターが7枚くらい貼られていること。スイスのグリンデルワルトとかオランダのチューリップなど、今では逆に珍しいくらいの超定番風景だ。なぜか1枚だけ韓国慶州の仏国寺がある。 浴室も激シンプル&古典スタイル。男女壁に沿って、石造りの湯船が深・浅・デンキと並んでいる。周囲の座り段も石造りで、肌触りよし。 浴室内も飾り気はほぼゼロだが、唯一、男女壁に富士山のタイル絵が存在する。7枚×14枚分の大きさで、三保の松原からの定番風景だ。空の部分の釉薬が割れてたりするが、富士と松など主要部分は無事で、なぜかほっとさせられる。 床に溝はなく、数ヵ所の排水口に集まる古いパターンだ。 近くでカウンター5席の小さなお好み焼き屋を一人で切り盛りするバアサンが、「ここのお風呂はきれいよ、お湯もたっぷり出るし」とほめていた。 実際にはよそと比べてカランの湯がそれほど勢いよく出るというわけでもない。でも、この近所でつましく生きてきたバアサン世代にとっては、押せばいくらでも湯が出る豊かな風呂に違いない。 そうですよね、おばあさん。脱衣場のクロスも張り替えられ、きれいに掃除もされ、薪でゆっくり沸かされたお湯がたっぷり。値段も安い。こんなにありがたい風呂に文句なんかありません。 (2012年6月) |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
難波温泉《廃業》
想像力が最高に試される銭湯だ。 この上の高砂湯のすぐ近く。昔はこんな至近に銭湯がいくらもあったもんだが、今や貴重な立地よね。 大通りから路地をチョイっと入ったところで、いかにも昭和な玄関が迎えてくれる。 (左)昭和の普通、平成のレトロ (右)盆栽よろしい 入ると番台におかみさんが座っている。高砂湯同様、310円でがんばっておられるよ嬉しいな〜。 こぢんまりとした脱衣場は小奇麗に改装されていて、天井などは310円にしてはゴージャスな感じ。 浴室も改装され、スチームサウナや水風呂もある快適空間。湯船まわりに腰かけ段がなく、またぎも低いのがちょっと珍しいけど、とりわけレトロなものが残っているわけではない。 だがこの銭湯には、もしかしたら日本一かもしれない特徴がある。 最初は気づかなかった。異常なまでのシンプルさゆえに。 (左)シンプルな浴室 (右)シンプルな・・・ も、もしかしてタイル絵かっ!? や、山なのか? 手前は海なのか? 間違いない。銭湯通いだけがとりえの俺をしてあまりのシンプルさゆえに気づくのが遅れてしまったが、これはまぎれもなく銭湯奥壁によくある「山水図」のタイル絵ではないか。 もしかしたら日本一シンプルなタイルの風景画かもしれん。神戸・新開地の湊湯には「花」を描いた超単純なタイル絵があるが、それと並ぶ2大オオザッパタイルアートといえるのではないか。 タイル絵の常識を逸脱するシンプルさではあるが、よく見たらタイル絵が備えるべき最低限のビジュアル性をきちんと押さえている。 (左)山頂部は波型にタイルを切って雰囲気を出す (右)これは「遠くの山」もしくは「島」? よくもここまで単純図案化したなと唸らされる。タイル職人が最小の労力で、何かないとさみしかろうと考えて入れたのだろうか。 しかし、湯に浸かりながらぼんやり眺めていると、この単純線も本当に山や海に見えてくるから不思議だ。 2つの大きな山の左上に緑の三角が2つ並んでいる。これはおそらく「遠くの山」ではないかと想像する。 では右上にある茶色い四角2つ、これはいったい何なのだろうか。 これが下のほうにあれば「海辺の岩」に見えるに違いない。ところがこいつは空の位置にある。 もしかしたら遠くへ飛び去ってゆく渡り鳥かもしれない。 何と思おうと、それはあなたの心ひとつ。あぁ銭湯深し。 (2012年7月) |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
桜湯《廃業》
いや〜こんなに渋い風呂屋にこれまで行き洩らしていたとは、我ながらウカツであった。 JR立花駅から南へ5分で七松温泉に突き当たり、そこを右に折れて道意線から橘通りを西へ10分。左にうまそうな焼肉屋を2軒過ぎ、右にヒラガナ3文字意味不明な屋号の沖縄料理屋を過ぎた次の信号を左へ入ったら煙突が見える。 外観は白くそっけない戦後凸形スタイルだが、その母屋部分のファザードも同形の看板建築になっている二重写しサブリミナル建築が網膜に焼き付いてくる。 暖簾をくぐるとフツーな玄関。靴を脱いで中へ入ると木の番台におっとりした人のいいオヤジが座って阪神巨人戦を見ている。湯銭380円とは嬉しいではないか。 でその脱衣所が予想外にナミダナミダの懐古空間でビックラ感動だ。 外壁・男女壁に置かれた脱衣箱が全部ケヤキ一枚板、そこに書かれたアラビア数字が浮き彫りになっている。漢数字の浮き彫りは知っているがアラビア数字の浮き彫りは珍しいのではないか。 それ以上に目立つのは脱衣箱の上の壁に掲げられた魚拓、ヒラアジ133cmってよくこんなの釣り上げたな。おやじに聞くと「うちの次男がトカラ列島で2人がかりで上げた」らしいけど、とにかく迫力だ。 他にも男女壁の鏡広告や格天井など、戦後まもなく的なイニシエ色が俺のハートをコチョコチョしやがるぜ。 コチョコチョされて素っ裸の俺は浴室へ侵入、ここでまたじーんとくるぜ風呂馬鹿野郎。 だって男女壁沿いに並んだ深浅湯船もそのまわりの腰かけ段もみな使い込まれた御影石の伝統美、しかも白っぽいやつ。内側の青緑っぽいタイルがまた古い銭湯特有の懐かし色で泣かせるぜ。浅風呂には旧式のユルイ気泡ポコポコたまらん。 奥にはもひとつジェット2連の風呂、ここだけ石造りではないけど底に昭和の丸い紺色タイルが張られていてニクイのお。 床やカランまわりは新しいタイルに張り替えられているものの、壁は白タイル基本ながらもなぜか上部だけ細かい色タイル、そして奥壁には富士山のモザイクタイル画だあるんだよ。 ちなみにカランの湯は激熱、鏡は立った位置。シャワーあり。 ほかに設備はないけど、今日もまた長湯した。他の客も長湯の人が多かった。 上がりは飲み物のほかアイス類いろいろあって嬉しいねえ。宇治あずきもなかアイス食べちゃった。 (2009.5.4) |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
武庫川湯《廃業》
「武庫川の迷路銭湯」と呼ぶほかはない。 阪神電車武庫川駅の北東部500m四方ほどは、狭い路地が無秩序にぐにゃぐにゃと錯綜する、旧大庄村の濃厚な密集地域。あの路地この路地どれもみんな、どこか懐かしさを感じさせるたたずまい。 その最深部にあるこの銭湯への道順を説明するのは困難だ。てきとうに歩き回って「発見」するしかない。 これぞまさしく、都市の中の秘湯。 (左)車の入れない路地を入ってゆく (右)煙突発見! このへんかな、と左を向くと・・・ (左)奥まったところにオチャメな暖簾がかかっている (右)屋号は普通の表札に 暖簾をくぐると下足室だが、入口はその右側にある。たぶん玄関スペースは増設されたのだろう。 戸をあけると番台には60がらみのオヤジさんがいる。 (左)下足室は格天井 (右)脱衣場の男女仕切り壁 狭い外見のわりに、内部はそこそこの空間がある。 脱衣場は昭和中期チックな新建材で安普請に改装され、それもだいぶくたびれた感じ。男女仕切り壁は昔ながらのしっかりしたのが生きている。 浴室の床は石畳でスキマにタイル、という強力レトロなパターン。石畳のカッティングがいくぶんアバウトにも見えるが、使い込まれて欠けてきたのかもしれない。でも磨き込みはちょっと足りないかも・・・。 湯船は黒光りのする御影石だ。中央の深風呂をはさんで、手前に長細い棺桶タイプ(2mはある)の浅浴槽、奥にジェット2連浴槽が並んでいる。 そしてそのすべてにバスクリン色の湯がなみなみと沸かされている。底から湧き上がる勢いで湯が溢れ出す状態だ。 石畳&バスクリン 床と湯船はいにしえ度爆発だが、壁や天井は改装されている。震災被害を受けたせいなのかも。おかげでまだまだがんばってくれそ〜な期待が持てる。 いずれにせよ、今どき街の中にこんな秘湯が隠されていること自体がなんとも愉快で、じわぁ〜っと嬉しさがこみ上げてくる。がんばれ武庫川湯! (2004.3.18) (左)路地が狭いため建物全体像の撮影は不可能 (右)外壁はレンガ造り 風呂上がりの武庫川湯前(右が玄関口) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 (本書が買える銭湯一覧) |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
新町温泉
この松を見よ。京都・善峰寺の「遊龍の松」を彷彿とさせるのぉ。 それにしても、なんか妙にたどりつきにくい銭湯だ。 阪急川西能勢口から東へ徒歩数分だが、さほど路地が入り組んでいるわけでもないのに、北側にそびえる巨大マンションの南側にすっぽり隠れているし、その裏の細い道からさらにちょっと奥まっているし、煙突も低くて、フツーに歩いていて通りかかるなんていうことはまずないだろう。 ここだけがエアポケットのように周囲とは異質な空気が流れている。ちょっと不思議な穴場系だ。 (左)壁に直接の手書きがなんかかわいい (右)パピコ型の短い煙突 そして玄関前のこの松。ご主人に聞くと、これはわざとこのように這わせたのではなく、勝手にこんなふうに伸びたのだそうだ。40年前に植えた時には1mあまりの丈だったという。 この松に白壁を上品に引き立てられて、秘密銭湯の神秘性が3倍増となっている。 内部は下足室・脱衣場・浴室すべて新しく改装されており、立地・外観に似合わずレトロ度は低い。ちょい残念。 浴室は、中央に広々したバスクリン入りの浅い浴槽が配置されているのがやや珍しい。その奥に深い主浴槽があり、他にジェットとスチームサウナ、立ちシャワー。 タイルもピカピカ、隅々まで清潔に管理されている。 ともあれ、「私だけが知っている」的な秘密めいた立地と、このみごとな松が実に印象的な銭湯。友だちを連れて来て、「ほら」と見せたくなるような。 (2004.5.7) かなり探さなければたどりつけない |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ | ||||||||||||
新地湯
三田駅から正面の商店街を歩き、武庫川の橋を渡って土手の次の辻を右へ折れると、とたんに胸がキュンとなるような風情の街並みが始まる。 三田市の旧市街核心部・三田町の中でもこの通りは新地と呼ばれているようで、入口には赤い小橋がかかっている。 新地湯はその橋を渡ってすぐのところ。 道がぐっと細くなって、赤い橋を渡るとすぐ左手にある ノスタルジックな街並みに完璧に溶け込む小さな銭湯。暖簾が風に揺れているさま、いとおかし。 暖簾をくぐると狭い土間スペース。普通は下駄箱がある場所だがここにはなく、渓流のタイル絵とその下の小さなベンチが出迎えてくれる。 よろすい。じつによろすい 戸をあけるとタタキに番台、お金を払って靴を脱ぐ。 小さな部屋のような脱衣場は化粧合板のロッカーをはじめ安普請な造りで、庭にあるトイレは言わずもがなの汲み取り式。床もややユルい。 そのわりに立派な神棚が番台の上にある。 浴室もこじんまり空間で、珍しいダルマ型のタイル張り湯船が1つあるだけ。頭の部分が浅くなっている。 壁の上部から天井はトタンに青ペンキ。奥の壁には、学生が作ったような不思議なオブジェが飾られている。 ジェットも気泡もない、静かな空間である。チャプチャプ、しか聞こえない。 湯あたりがなんとも柔らかい。かすかに湯を沸かすにおいが漂う。 はぁ〜。落ち着くのぉ〜。 兵庫の片田舎によくある感じのチープな小銭湯だが、周囲の風情ある街並みに溶け込む立地がたまらなくイイ。番台のおばさんの「ありがとう」も温かい。 兵庫県浴場組合のホームページによると、三田市でたった1軒だけ残った銭湯のようだ。設備も何もない小銭湯だが、夕方から次々と地元の人たちが入りに来ていた。愛されてるんやなぁ。 三田最後の1軒、がんばれ! |
||||||||||||
このページの頭<激渋銭湯トップ |