関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
 
【神戸市】の激渋銭湯
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湯の町浴場 (兵庫区)
笠松湯 (兵庫区)
扇港湯 (長田区)
浜添湯 (長田区)★
高浜湯 (須磨区)
(廃業)
天水湯 (垂水区)
(廃業)

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【兵庫県】 神戸市阪神間東播磨西播磨淡路但馬
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湯の町浴場

神戸市兵庫区熊野町3-13-12 →地図
(078)511-7822
【営業時間】15:00〜21:00
【定休日】火曜日


 銭湯といえば下町、というイメージが一般的だが、神戸では必ずしもそうとは限らない。

 新開地から六甲の山並みへ向かって1kmほどぐいぐい坂を登り詰めると、山麓に鎮座する熊野神社。さらにその裏手には、氷室神社へと続く急なナナメ坂がある。
 その坂を登る。夏場ならば汗みどろ、よもやこのような場所に銭湯なんぞ……と腹さえ立ってきそうなその瞬間、目の前に白亜の伝統的な凸型銭湯が忽然と姿を現した。

 湯の町浴場――その珍しくも情緒あふれる屋号、そしてアーチ状のモダンなヒサシが、ここまでの苦労をねぎらってくれるかのようだ。

 
(左)坂の上のフロ    (右)エレジーを感じる屋号

 暖簾をくぐり、玄関靴脱ぎスペースを経て中へ入ると、番台には常に微笑みをたたえたおやじ様が座っておられる。
 脱衣場は阪神大震災の後に改装されてツヤツヤと美しいたたずまいながら、高い格天井は昔ながらの風格を漂わせている。
 よく見ると浴室との間の壁はたいへん分厚く、中にX状の補強鉄骨が入っていて、震災を生き抜いた神戸銭湯の静かな迫力を感じさせられる。

 
阪神大震災を生き延びた格天井

 浴室は山際の立地にしては広さがあり、湯船は奥壁に沿って深・浅(気泡)・ジェットの3槽が並ぶ東京ふうの配置。
 そしてその手前スペースに出ました! 神戸名物、くみ出し洗い専用槽だ。
 楕円形で幅50〜60cmほど、長さは2メートル少々というところだろうか。そしてその周囲を大阪式の腰かけ段が取り巻いている。
 むろん、この汲み出し洗い専用槽に浸かるのはご法度だ。

 
(左)手前に汲み出し専用槽、奥に湯船が並ぶ  (右)入浴禁止

 これは非常に便利な設備で、頭も体もあっという間に洗えてしまえる。大阪のように人が浸かっている湯船から汲み出すのではないから、より清潔だ。
 でも俺の知る限りではどういうわけか神戸・明石と韓国にしか存在しない。
 そして神戸でもこの湯船のある銭湯はどんどん減ってしまい、今では長田区の扇港湯や本庄湯くらいにしか残っていない。非情に貴重なものだ。

 もちろん壁際にはカランもあり、隅に立ちシャワーもある。

 もう一つこの銭湯の特長は、六甲山の湧水を沸かした、湯船たっぷりのお湯がじつに心地よいことだ。
 さらに、かつて赤ン坊がたくさんいた時代の名残から、脱衣場・浴室ともに、女湯のほうが広く造られているのも興味深い。

 坂を登った苦労が報われて余りある、味わい深き銭湯だ。
(2009.4.19)

 
夜の町の湯の町

※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。
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笠松湯

※営業時間が短縮されています
シロヤギさん情報感謝!(2010.9)


神戸市兵庫区笠松通6-3-6 →地図
(078)671-2581
【営業時間】15:00〜20:30
【定休日】水曜日


 三菱重工などの大工場がある臨海工業地帯、和田岬。地下鉄海岸線とJR和田岬線の駅の少し西、笠松通り商店街を入ってすぐのところにある。
 震災の被害が大きかったところだが、笠松湯は昔の造りのまま営業を続けている。

 外壁は震災後に塗り直されたと思われるが、レトロな風情をいい感じで残している。屋号の書体になかなか味がある。

 
商店街の一角で落ち着いた景観を演出

 下足室から脱衣場へ進むと、ローカルムード漂う脱力空間が迎えてくれる。男女仕切りの上には派手な神棚(稲荷)が祀られ、浴室前の垂れ壁は少しモダンな感じ。

 浴室に入ると、よその銭湯とはやや異質な雰囲気が漂う。
 広い浴室の中央に、浅深の大きな浴槽がデーン。それだけ。気泡もジェットもなし。あとは壁際にカランが並ぶのみ。
 浴室は広いし天井も高い、なのに浴槽が一つだけだから、非常にのびのびとした空間が広がっている。浴槽のへりも厚みがあり、どっしりしている。
 なんとなく大陸的な感じだ。

 
主湯1本勝負

 かつてはここで、大勢の港湾・工場労働者たちが汗を流したのだろう。軍需産業から高度成長までを真っ黒になってささえてきた労働者たちが、夕方いっせいに集まって一日の疲れを癒した場所。
 今は閑散とした空間の真ん中で、大きな湯船にどっぷりと浸かって目を閉じる。しみじみ・・・。

 湯船の四隅はカーブしていて小判型に近い。へりには小さな長方形の青タイルがびっしりと貼られている。
 タイル張りの床は、カランの手前に排水溝がない。そのかわり浴室の出入り口から2〜3メートルのところにある溝を最低地点として、床全体が奥から手前に傾斜している。
 ということは奥で体を洗った人の排水が手前の人の足元を流れて行くのだが、そのへんの配慮のなさもまた土地柄を感じさせる。

 奥の壁の手前1.5メートルほどのところに天井から1メートルたらずの鴨居のような垂れ壁があり、そこにアルプスの湖畔をイメージしたモザイクタイル絵がある。
 垂れ壁を支える円柱とともに、この浴室の大きなアクセントになっている。

 設備はなにもない。でも、大きな空間で大きな湯船にゆっくりと浸かることができる。そんな銭湯だ。
(2003.9.17)

※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。
※2016年3月「レトロ銭湯探訪ツアー」が行われました。
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扇港湯

神戸市長田区駒ヶ林町2-20-12 →地図
(078)611-0512
【営業時間】13:00〜翌01:00
【定休日】月曜日


 JR新長田駅から徒歩約10分、地下鉄駒ヶ林駅からなら徒歩3分。大正筋商店街と六軒道商店街が交差する、長田南部のヘソ的な場所にある。

 神戸のクラシック系では大型の銭湯だ。玄関屋根の上に「鍾馗さん」がちょこんと乗っている。
 中に入ると、番台ではいつもニコニコとおかみさんが迎えてくれる。
 内装は常に更新されて美しく保たれているが、浴室の造りは神戸の伝統を色濃く残している。

 なんといっても、浴室中央に陣取る神戸独特の「くみ出し洗い専用槽」の存在感が圧倒的だ。長さ3メートルを超えている。
 ここには入ったらアカンとこ。周囲を取り巻く低い段にへたって、湯をかい出して体や頭を洗いましょう。カランを使うよりもアッという間に流せてしまうスグレモノだ。

 もう一つの名物は、六甲山と神戸港を描いた奥壁一面のモザイクタイル画。ポートタワーができた1963年に設置されたとのこと。でもポートタワーは女湯側にあって、男湯からは最上部が少しだけ見える。

 
(左)女湯のくみ出し槽と神戸港モザイクアート (右)地下水かけ流しの水風呂

 湯船は東京のように奥1列にまとまっていて、湯はかなり熱め。そしてTVつき無料乾式サウナも秀逸だ。
 そうかと思えば、地下水かけ流しの水風呂が最高に気持ちエエ。この熱いのんとチベタイもんのメリハリが入浴客を片っ端からフヌケにしてゆくんよね〜。
 ただし女湯はサウナ30円が必要。痩せるまでサウナで粘る人がおるんかも…。

 浴室の中央に細長い汲み出し槽しかないため、空間が広々と感じられる。
 温冷交互浴の合間合間に浴室中央にヘタり、湯をさわりながらダラダラすることで、なんともいえぬ虚脱感に全身を包まれる。

 2013年には映画「クローズexplode」のロケ地にもなった。
 神戸らしさいっぱいの、ファンの多い名銭湯だ。

 
60年間灯り続けているネオン

2012年8月2014年7月2015年5月、「関西てくてく銭湯」実施。
※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。
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浜添湯

神戸市長田区浜添通1-1-10 →地図
(078)681-1736
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】月曜日と金曜日


 これはちょっと感動したなあ。

 JR新長田駅から東へ約1km、国道43号線の東尻池西口交差点から1筋南の角にある。
 ぱっと見は古くて小さな下町銭湯だが、震災の激甚被災地だからそれほど昔ながらのものは残っていないだろう、とあまり期待せずに暖簾をくぐってみると・・・。

 
(左)浴室側面はレンガ造り。小さな祠がある  (右)あがりがまちとタイル絵

 おぉ、渋い年代色の上がりがまちと、ウグイスのタイル絵だ。おそらく九谷焼だろう。
 俄然、期待に胸がふくらんできたぞ〜。

 震災後に入れられたと思われるサッシの戸を開けると、黒光りする木の番台、格天井、年季の入った仕切り壁など、明らかに昭和初期の諸々が現役で生きている。
 いやーうれしいねえ。ロッカーや壁の一部は新しいが、これはもしかすると・・・。

 
神棚も見事!

 浴室へ。
 でで出たあーーー! 石畳の床に石の湯船。
 しかも石畳のスキマにはレンガ様のタイルが1列はめてあるだけで、かなりびっちりと石が敷き詰められている。
 カラン前に溝がなく床全体が傾斜しているパターンで、最低部分の溝を排水が流れてゆく。
 しかもこの溝! こんなとこまで石造りだぞ、これは珍しい。お湯が流れてゆくさまをしばしボーっと眺めてしもたがな。



 湯船は、手前にメインの深い浴槽、奥に浅いサブ浴槽(座浴ジェットと気泡つき)だが、メイン浴槽のフチには床と同じ石材が使われている。石臼なんかに使われている白っぽい花崗岩ね。
 俺はじつを言うと黒御影よりこっちのザラっとした感触のほうが好き。ここへ後頭部を乗せて体を浮かべるんじゃわいな〜。
 浅いほうの浴槽には、なつかしの豆タイルが使われている。

 さらに、女湯との隔壁をくぐる共用の水鉢もどっしりと石造り。泣ける・・・。

 
中で女湯とつながる、愛の水鉢

 女湯との仕切り壁の上に、古いコンクリート造りの飾り屋根というかひさしのようなものが端から端まで乗っている。こいつもレアやなぁ。

 壁とカラン周り、浴槽周囲などのタイルは新しい。震災で崩れたんやろか。
 シャワーの出はよく、鏡も新しい。

 それにしても、これだけ震災前のイニシエな姿が残っているのは奇跡というほかない。
 上がって番台のおじさんに聞くと、震災のときは浴室の壁が厚さ10cmにわたって内側へ剥げ落ち、煙突は途中で斜めにずれたそうだ。
 いつごろの建物かは、戦後に買い取ったものなのでわからないとのこと。

 浴室に使われている石の密度は神戸最強だ。とにかく末長くがんばってほしい。
 駅から少し遠いが、わざわざ探して行く価値は十分ある。
(2003.11.25)

 
いい!

※「関西のレトロ銭湯」(2009年)に掲載されました。
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高浜湯 ≪廃業≫
2012年に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


神戸市須磨区古川町4-1-4 →地図
(078)731-2000
【営業時間】15:30〜21:30
【定休日】金曜日


 JR鷹取駅から南西へ徒歩10分ちょい。
 震災で焼け野原になった駅前通りをまっすぐ歩き、2号線の1筋南の通りを水族園方面へ歩くと、海岸通に出る手前にふいに現れる。
 小さいが、四角いコンパクトな外観はちょっと味がある。
 暖簾をくぐると、下足室の正面には宝船のモザイクタイル絵のお出迎えだ。

 
やけにあっさりした宝船

 脱衣場に入ってまず目をひかれるのは、番台の正面と、その横の入口通路を挟んだ位置にある円柱。1×2cmの細かいタイルがびっちり貼られている。しかもその色が薄紫色なのよね。
 めずらしい場所にめずらしい色のめずらしいものが立っている。こいつがなかなか美しい。

  
ステキな円柱

 浴室の入口付近もすべて細かい角タイルが隙間なく貼り込まれ、地震で剥げた様子もなく静かに光っている。
 ロッカーはアルミ製だが、天井は格天井で、そこから歴史的色彩を帯びた3枚羽プロペラ扇風機がぶら下がっている。

 浴室に入ると、いくつか新鮮な驚きが。小さな空間だが、不思議と見どころが多い。
 まず、入った正面にかかり湯がある。手前に長い長方形で、この規模の銭湯にしては大きめだ。ここには30度くらいのぬるい湯が張られている。
 その背後につながるかたちで、浅・深・ジェットの主浴槽が中央にあり、両サイドが洗い場。床と壁は震災後に貼り直されたっぽい大き目のタイルだが、浴槽は昔ながらの細かいタイル使い。
 さらに右手奥には2〜3人サイズのスチームサウナ、左手奥には洞窟風の水風呂がある。スチームサウナ上部の壁には男女ぶち抜きでモザイクタイル絵(アルプスと湖水)がある。
 でもいろいろあるわりにゴチャゴチャ感はなく、うまいことコンパクトに配置したなと感心させられる。

 天井は男女それぞれが独立した船底になっていて、円形の湯気抜きが1つずつポソッと開いているのが珍しい。
 そして、男女仕切り壁の中央と、反対側の壁の中央に、それぞれ1本ずつ、またもや円柱がそそり立っている。しかもここのは太いぞ。そして脱衣場の円柱と同じ細かい薄紫タイルがびっちり。なかなかの見応えだ。

 とまあ、古いミニ銭湯にしては妙に味がある。主浴槽を挟んでサウナと水風呂が離れているけど、このスペースでは仕方ないな。
 平日の夜7時ごろという空いている時間帯だったが、そこそこお客がいて、みんなけっこう長湯していた。やはり家風呂にはないスチームサウナと水風呂のおかげだろうか。 
(2004.2.9)

 
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天水湯 ≪廃業≫
2015年9月末に廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


神戸市垂水区天ノ下町12-9 →地図
(078)708-1737
【営業時間】13:00〜23:00
【定休日】火・木・土

 神戸にこんな銭湯があったとは・・・新鮮な驚き。
 垂水は神戸の中心地からちょっと西に離れた漁港のある町。駅前は震災後に再開発の巨大ビルが乱立したが、ちょっと離れると昔ながらの家も残っている。

 垂水駅から北西に2〜3分歩くと、幹線道路に沿ってどっしりとした和風建築が現れる。ちょっと旅館っぽい印象だ。



 道路からちょっと奥に入って玄関があるのがいい感じ。小屋根の下に屋号入り電灯が左右に2つ。暖簾をくぐると下足室は細かい格子の天井で、脱衣室入口の木製の戸も重厚だ。

 
張り紙がイマイチ

 戸を開けるとまた「男湯」の暖簾があり、番台には90近いと思われるような婆さんが座っている。
 脱衣室も濃厚なレトロムード。壁はしっくい、格天井に扇風機が回る。開け放たれた窓の外にはタオル類が干され、その向こうに庭の木が繁る。
 木のロッカーは補修のためか外枠にカラー布テープを貼ってあるが、1段ごとにテープの色を変えてある。これがまた不思議に味がある。ロッカー中央には大きな漢数字、古い文字だ。「拾貳」のロッカーを使わせていただく。

 浴室に入って驚いた。こいつは初めての光景だ。
 浴室の中央に、幅90cm長さ3メートル弱の、楕円形の細長い浴槽がある。何これ?
 大人が浸かるには狭いが、周囲には腰かけの段がある。どうやらこの周囲に腰かけて、ここの湯を桶でかい出して体を洗えということか。

 んで主浴槽は・・・と、奥のサウナ(有料)の横にある。ジェット気泡が吹き出ているが、これほど遠慮がちな位置にある主浴槽は初めてだ。手前の面がゆるく半円形に飛び出ていて、フチには細かいタイル張り。
 主浴槽の奥のタイル壁には、このあたりにはめずらしく大きな絵が豪快に描かれている。山の湖水に白鳥が7羽浮かんでいる風景。だが震災によるものか、左上から右下へとひびが入っている。

 入口の両脇に、水風呂と、ジャグジーつきのぬるい浴槽もあり、古いながらも一通りの設備は揃っている。
 ただし震災の影響かヒビ割れが随所にあり、やや雑な白セメント補強がボロさを増幅させている。それと天井のペンキが朽ちてめくれ上がっているのが見苦しいので、ぜひとも塗りなおしていただきたいところ。このままだとマニア向けになっちゃうよ〜。

 が、それにしても何といっても中央の不思議な細長い楕円槽、銭湯ファンなら一度は見ておくべきだろう。

 
瓦の乗った外塀も立派。夜には植木の電飾がまたたく
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