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【河内エリア】の激渋銭湯 | ||||||||||||
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天の川温泉 (枚方市)(廃業) 千成温泉 (寝屋川市)(休業) 皆様温泉 ★(四条畷市) 布施温泉 (東大阪市) 長瀬温泉 (東大阪市)(休業) 松の湯 ★ (東大阪市)(廃業) 花園新温泉 (東大阪市) 日の出湯 (八尾市) 常盤温泉 (松原市)(廃業) |
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【大阪府】 大阪市/北摂/河内/堺市/泉州 | ||||||||||||
天の川温泉 《廃業》
Jenniferさんという日本人の方から、こんなメールをいただいた。 さて、お目をわずらわしてこうしてお便り申し上げますのは、京阪枚方市駅徒歩5分に「天の川湯」なるヒジョーに渋い銭湯がございまして、ぜひまっちゃん様にご入浴、ご感想を賜りたいと思ってのことでございます。 駅から5分のところに、突然西国街道「枚方の宿」そのままのタイムスリップ空間が展開しております。 ほう、そりゃ行かんとな。 さっそく2008年の大晦日、ここを今年の銭湯納めと定めてやってきた。 京阪電車の枚方駅から北西へ徒歩5分の便利なところに、すぐ発見。 きましたねぇ、大阪伝統凸型玄関コンパクトサイズ、しかも後ろの切り妻部分も凸型のダブル凸凸だ。こういうのはちょっと珍しい。 そして背後の凸に、まるで毛筆のごとき書体の大文字で「天の川温泉」、逃げも隠れもせずに堂々と書き込まれている。 暖簾をくぐると、こぢんまりした下足スペース。サッシ戸を開けると、古い木の番台に物腰柔らかなじいさんが座っていて、「いらっしゃいませ」と丁寧におっしゃる。 脱衣所も小ぢんまりの田舎サイズ。ロッカーはアルミ、内装もおおかた昭和中期的に改装されて、前栽部分まで脱衣所が広げられたパターンだ。 でも男女境の鏡の下には漢数字の書かれた古い木の脱衣箱が3つ生き残っていて、狭い脱衣所をなつかしオーラが支配する。 さっさとハダカになって浴室へ。今夜は冷えてるからホカホカの湯気が嬉しい。 真ん中にタイル張りの深浅湯舟がポンとあるだけの小空間。 おっと、深風呂にはレトロ銭湯だけに許された前時代的気泡噴出装置、ヘルスパーがおわしますぞ。しかもここのは気泡の勢いがエエで。 とにかく寒いからかかり湯してすぐ浸かろう。 あ〜こりゃたまらん、極楽〜と・・・むおっ! 深と浅に一つずつ大きな袋が浮いていて、中にユズがぎっしり詰まっとるで。なんとこいつは感激や、あーこの香り。 これでもう今年の銭湯〆は満点だ。 湯舟のへりは紺色の豆タイルびっしり、もっこりのふくらみがナイス。内側は一部タイルが剥げているのもいとおかし。 カランまわりには正方形タイルが白色と濃色の市松貼りにされているのがレア。湯カランからはキンキンの熱湯が出てくる。 床には溝がなく、1点の排水口めがけて床全体がくぼんでいるいにしえスタイルだ。 壁には飾り気がまったくなくシンプルの極地だが、ここはこれでオッケーとしか言いようがない。 他客は常時2〜3人でそこそこ回転していた。若い人もいる。 俺は徹底的に長湯した。メタクソ冷たいカランの水を頭からかぶっては、ユズ湯に何度も浸かる。 湯舟が小さいのにユズが多いため、かなりのユズ濃度だ。おかげでお肌がツルピカになった。 上がって番台のじいさまに聞くと、毎年、冬至の柚子湯のときに多めにユズを仕入れておいて、大晦日にもユズ湯をしているそうだ。 特急が停車する駅近くに、こんな田舎風情たっぷりのプチ銭湯が残っているのはいまや奇跡的だ。できる限り長期存続を願う。(2008.12.31) (Jenniferさん情報感謝です) また来ようっと ※2013年2/9、関西てくてく銭湯開催! |
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千成温泉 (休業中)
わが故郷・寝屋川市でいちばんレトロな銭湯だ。 俺の実家からABC公園を通って徒歩10分・・・と言ってもわからんな。お産業界で有名な大谷助産院から徒歩2分・・・ちゅーてもわからんか。 寝屋川市駅からだと北西に歩いて15分くらいかな。池田の下町ぃ〜な道路沿いに現れる、昭和20〜30年代的けっこうキテマス建築だ。 (左)平屋建てに凸型玄関 (右)屋号は剥げて「千」と「泉」のみ 暖簾をくぐるとクラシックな玄関スペースで、正面に額縁入りの大入り招き猫あり。紫と緑が格子状になった天井が珍しい。 でもやたらとポスター類がベタベタ貼られている 中に入ると、美しい木の番台におかみさんが座っている。 広々とした脱衣所は木の柱としっくい壁、前栽もある正調イニシエ系だ。天井やロッカーは新建材だが、天井からは大きな木製の2枚羽プロペラが下がっている。 しかし中央に置かれたソファーはどう見ても減価償却しすぎでございます。敷物もややくたびれ気味。そしてここにもポスター類が多く、テーブルにはマンガ雑誌が山積み。庶民的、ともいうか・・・。 浴室へ進むと、銭湯ファンなら「おおっ」と声を出さずにいられまい。 正面奥壁に大きなタイル絵、富士山と白糸の滝の豪快な風景だ。この規模はそんじょそこらにないぞ。 富士山をしばし眺めてから浴室構成へ目を転ずれば、浴室中央にデーンと深浅の主浴槽。湯船のヘリと周囲の腰かけ段は石造り。浴室中央に湯船があるのは大阪銭湯の特徴と言いつつ微妙に左右どちらかに寄っている場合が多いけど、ここは正真正銘、ど真ん中にデーン。 湯船の底に使われているタイルも昔の寸法で、また外周部の排水溝や集水マスのフタ周辺の造形とタイル使いも渋い。洗練された伝統美を感じさせる湯船だ。 ただし湯の温度は俺にはちょっとぬるめ。41度くらいかな。 そして奥の富士山の下には、気泡・ジェット・デンキ風呂が横一列に並んでいる。富士山と湯船の間にはけっこう本格的に岩風呂風に石が積まれている。 この部分は浴室メイン部分から一段掘り込んだようなかたちになっていて、ひょっとすると庭だったのを改築したのかもしれない。メイン浴室との間にも衝立のように岩が置かれていて、かつての人口爆発期の繁栄ぶりがうかがえるリッチな演出だ。 入口の横にはスチームサウナと水風呂があり、かかり湯の小さな湯鉢もある。でも若干手入れが行き届いてない部分もある。これだけの設備をきれいに管理するのは大変だろう。 堂々たる伝統的浴室に豪華なビジュアル、そして風呂設備も揃っている。センスよく磨き上げれば北河内を代表するイニシエ系激渋銭湯になると思われるが・・・。 (09.9.9) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 |
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皆様温泉 ★
うむーん・・・こんなところにこんな激渋銭湯が隠れていたとは。まったくもってウカツであった。 四条畷はわが故郷・寝屋川の隣。JR四条畷駅から北東へ徒歩5〜6分、東高野街道に面して昭和チックな銭湯がたたずんでいる。 大阪伝統凸型玄関だ。だがここで注目したいのは左右の前栽部分。ここをつぶして脱衣場を広げるのが一般的なパターンだが、この銭湯では外側に向かって庇つきのオープンスペース状になっているのが珍しい。自転車置き場や開店前の雨宿りなどに使われているのだろう。 暖簾をくぐると、堂々の玄関! (左)タイルも石もない、ザ・タタキ! (右)福助のタイル絵! (左)エビス&大黒! (右)木の番台! 玄関から中へ入る引き戸の取っ手の摩耗具合が、港区の寿温泉と同じだ。 脱衣場は、ごっつ広い。脱衣箱は化粧合板もので、天井も格天井ではないが、柱やケヤキの梁などに骨太の和建築の美を感じさせられる。 (左)貫録の梁 (右)広大な脱衣場 なにやら只者でない気配をひしひしと感じつつ裸になり、浴室の戸を開ける。 すると・・・ででででで出たあああああ〜〜〜! (左)完全完璧四方風呂 with 石畳 (右)ウグイスのフン色丸タイルこれでもか張り いやまいった! まぎれもなく俺が追い求めていた究極の大阪風呂だ。 広い。そしてズドーンと奥深い。 ど真ん中に石の風呂。それを完全に四面から取り囲む石の腰かけ段。 石畳の床。そして床石の隙間には、現代の銭湯内装ではまず使われることのないゲロ渋のウグイスのフン色の細かな丸タイルがびっしりと詰め込まれている。 源ヶ橋温泉や寿温泉、大正湯など、大阪には昔ながらの名銭湯がいくつか残っている。 しかし、ここまで完璧ど真ん中に、これほどのキングサイズの石風呂があって、それをガッチリと石畳が取り囲み、副浴槽も付随させず寸分の狂いもなく主湯が独立を保っている銭湯はほかにないだろう。 カラン上の鏡はすべて立たないと見えない位置に取り付けられている。 さらに奥には壁を掘り込んだかたちで、デンキ・薬・水・スチームサウナが並んでいる。 (左)奥スペース手前の玉石タイルもヨイ! (右)中央の主湯、すごい長さ! 設備的にも俺的十分。水風呂は非冷却だがそんなことは問題ではない。 何と言っても圧巻は中央の主湯だ。この重厚さ、壮大さ。もはや王の覇道だ。モンゴル帝国の世界征服だ。深・浅・ジェットの3槽分割は、もはや広大すぎる領土を治めきれない銭湯帝国の証だ。 そこにお湯があふれんばかりに沸いているのである。 これだけの広大な領土を誇る浴室が、いにしえの石の文化を今日まで守り抜いているとは・・・。 奇跡だ。四条畷の奇跡である。 大王の威厳に撃たれた俺はなすすべもなく放心し、我に返るや平伏して石畳に額をこすりつけた。言うまでもなく無条件全面降伏。あなたこそ私の君主だ、帝王だ。 それにしてもこの強固で誇り高いエンパイヤステートの国号が「皆様温泉」とは。なにか特別ないわれがあるに違いない。 もしかしたら王の名は「ミナ」というのかもしれん。古代人らしい名前だ。それで「ミナ様の温泉」=「皆様温泉」となったのだろうか。 帝王の間から出た俺は、番台を守る主にその偉大なる屋号の由来を聞いた。 「あのね、門真にも同じ名前の風呂屋があるらしいんですよ。それをオヤジが気に入ってね、おんなじ名前をつけたんですわ」 お、王よ・・・。 だがかつて繁栄を極めた王都も、諸行無常の理には抗い難く、やや辺鄙な場所柄もあって今や人影もまばらである。広大無辺な浴室だけに、維持管理も大変と思われる。 これを読んだあなた。今すぐ四条畷に急行し、王のもとに馳せ参じるべし。これは命令だ。 王への全面降伏と忠誠を誓うための白いタオルを忘れずに。 (2013.5.24) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 |
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布施温泉
ぐっちさんという方から、この銭湯の推薦メールをいただいた。 所々にある豆タイルや、浅風呂のタイル鯉など、見所は多いと思います。 というわけで近鉄布施駅を下りて、線路沿いに東へ歩くこと約7〜8分。右側の住宅内にパピコ型の煙突が見えてくる。 近づくと、本体はオーソドックスな木造平屋ながら、間口横断パネルが取り付けられた玄関部分は横開きで、暖簾は敷地に対してナナメの角度にかかっている。 これはおそらく、かつては正面入口の凸型玄関だったのを、向かって左側の前栽をつぶして自転車置き場にし、もう片側(女湯側)は脱衣場を広げるという改装を行った、と俺は見た。それならどやねん、という話だが。 玄関先にはこんな看板が取り付けてある。 おっ、人工温泉ね 脱衣場へ入ると、長髪の40代男性が座る木の番台が渋い。 が、その他はアルミロッカーをはじめ昭和中期的にチープな改装がなされている。 トイレは浴室の横から釜場へ伸びる通路の途中にあるが、このスペースがあるぶん、浴室が脱衣所の中心線よりも女湯側に微妙にずれ込んだ配置になっている。敷地が長方形ではないのかな? 浴室へ入ると、女湯との仕切り壁に接して深浅の主湯があり、反対側にカラン列が並び、奥にジェットとデンキの副浴槽があるというシンプルな構造。 だが、微妙にレトロな風合いがあちこちに散見される。 まず目に留まるのは、湯船周囲の座り段が白っぽい御影石でできていること。これに座ってボーッとすることで時間が20〜30年ほど遡るのよね。 湯船を覗くと、浅いほうの底にはタイル鯉が8匹も泳いでいる。大漁だ。 ほかにも不規則に配置された排水口周辺のくぼみ部分に丸い豆タイルが貼り込んであったりと、今どきの銭湯とは一味違う一昔前テイストだ。 主湯の深と浅の間には、底に金属板で覆われた部分がある。ここにラジウム鉱石が沈められているようだ。壁に貼られた説明パネルにあるとおり、お湯はとってもやわらかい。 そこに浸かっているうち、こぢんまりした浴室自体の面積に対して湯船が広いことに気づかされる。どうりでのびのびなのね。 上がって牛乳を飲んだけど、この銭湯は女湯の脱衣場だけにテレビがある。これもレア。 どこがどうということもないが、たしかにぐっちさんのおっしゃるとおり、どことなく捨てがたい味わいがある。 (2011.7.26) |
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長瀬温泉 《休業》
近鉄・長瀬の駅から南へ徒歩5分くらい・・・ストレートに行けば。 でもなんだかミョーに道の具合がややこしくて、通りがかり、ということはまずなさそうな入り組んだ場所にある。 床屋と向き合った狭い路地に大阪伝統の凸形玄関がある。その奥はどこか無理矢理な感じの看板建築。 そして前栽からあふれ出るように茂る樹木、前に停められた数台の自転車、路地をふさぐように置かれた廃材運搬の軽トラなど、全体的にビビッドな無造作感が漂っている。 反対側から 暖簾をくぐると普通の下足スペース、正面にモザイク画あり。 中に入ると渋い木製の半楕円番台に年季の入ったおかみさんが座っている。入浴料金チョイ安い。 脱衣所は昭和中期な脱力空間だ。前栽に外便所がある古典的構造で、ロッカーはアルミだが、男女仕切りや神棚などが味わい深い。 かわいらしい手作りの営業案内ポスターが壁に…ナヌ、「午後4時〜午前12時」だと!? 一瞬オールナイトかと度肝を抜かれたが、「午後12時」までの間違いよね、たぶん。 各窓にかけられたプリティーなカーテンたちがまた昭和なテイストで泣かせる。 裸になって浴室へ入ると、すぐ目の前の腰高壁に富士山の小さなタイル絵あり。その壁の裏側は島カランになっている。 浴室中央にあるタイル張りの湯船は、深風呂よりも広い浅風呂が奥壁まで続いている。最奥部にはジェットの設備らしき背中当て部分があるけど、なぜかジェットではなくユルイ気泡ポコポコが底から出ている。その右側はデンキ風呂。 そして湯は全体にやや少なめ。 この浴室で目を引かれるのは、カラン前の端から端まで、タイル張りの長い腰かけベンチがあることだろう。天五の栄温泉のパターンだ。 カランの水圧はややユルめ。 湯船やカランまわりはなつかしい昭和的な小タイルで覆われているが、部分部分で色や柄がみな異なっているのがおもしろい。水色、草色、薄ピンクなど淡い色彩が主体のため、それが浴室内環境のユルさを増幅させている。 白パテ補修が随所に見られ、タイルが剥がれたところは、似てはいるが微妙に異なるタイルが張られたりしてるのもさらにユルイ。 壁の白タイルは、手の届くところは目地まで真っ白に磨かれているが、何かに乗らないと届かない部分はやや黒ずみ、もっと高いところはタイル全体が黒ずんでいるという3段論法のやむを得なさがまたいっそうのユルさを醸し出す。 そして奥壁にはユルイ海岸風景のモザイク画がある。 上がりは飲み物販売あり。 これといって目立ったイニシエ物品があるわけではないが、全体に漂うユルユル感がいつしかストレスを無力化させてゆく。 脱衣所真ん中の台に新聞を広げて熟読するうち、初夏の風呂屋にゆっくりと夕暮れが訪れるのであった。 (2009.6.2) 風呂屋前の狭い路地、最高 |
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松の湯 ★《廃業》
まつあつさんという方が「松の湯に行け」とまっちゃんに薦めてくださった。松のトリプル攻撃だ。これは行かねばなるまいて。 近鉄東大阪線の吉田駅から北西にぐねぐね歩いて道順説明不能の15分、かつての農村風情を微妙に残す古箕輪のまちなみに、忽然と古風な平屋建て銭湯が現れた。これはシブイ! 破風屋根のあるイニシエ銭湯としては、たぶんこの界隈で最後の1軒だろう。 (左)このまちなみ(左に松の湯) (右)浴室外壁にはレンガ壁が残る 玄関を入ると正面に虎のタイル絵あり 新建材に改装された番台に感じのいいおやじさんが座っている。湯銭380円は嬉しいねえ。 脱衣所も全般的に昭和中期的なベニヤ系で改装され、ロッカーはアルミ。前栽を潰して拡張したパターンだ。 浴室に入ってオッと声が出た。 タイルがあざやかなのである。基本的に小さな四角タイルが張り巡らされた昭和の空間で、けっこう傷みもあるのだが、空色黄緑ピンクなどのパステル色の合間に濃い茶色や青緑がしっかりと配され、メリハリのある色彩になっている。剥げた部分の補修タイルも味わい深い。 壁の上部には、少し突出のある装飾や、ラーメン鉢柄のタイルもある。 湯船は男女壁に接して深浅のみ。湯船や腰かけのフチに黒御影石が使われている。 だがここでも、黒い石と、そのあいだに配された市松張りタイルとのコラボレーションが絶品だ。俺の目が勝手に喜んでいるよ。 湯船の底のタイルも地味ながらちょっと不思議な柄を描いている。 たっぷりのお湯はややぬるめだが、あちこちのタイルを観賞しながら、じっくりと楽しんだ。浅風呂には気泡と電気あり。 さらにこの浴室の最大の目玉は、湯船まわりの腰かけ段のさらに外側に、段とは少し間をあけて、床が2センチほどゆるく盛り上がった部分があることだろう。 こういった古い銭湯の浴室には、カラン下や湯船まわりに排水溝がないパターンが多い。その場合は体を洗う人の泡が足元を流れてくることがあるが、この床の微妙な盛り上がりはまさに、湯船まわりでくみ出し洗いをする人の泡が他人の足にまとわりつきにくくするための配慮と思われる。 カランまわりは、鏡が高い位置にある。入口脇には水鉢。反対側のスミッコは意味不明な凹凸があっておもしろい。 上がりはビールほか飲み物あり。 駅から遠くて不便だし、設備もとくにない古びた風呂ではあるが、渋い外観、カラフルな浴室タイル、とくに湯船まわりの美しさ、そして帰る時に何度も「ありがとう」を言ってくれたおやじさんなど、しみじみと印象に残る風呂だった。 帰りは荒本へ出るつもりが逆方向へ行ってしまい、鴻池新田まで3kmを歩くはめになった。でも間違えさえしなければ荒本から行くのがわかりやすいでせう。 (2009.6.7) また来たい |
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花園新温泉
近鉄奈良線の河内花園駅から南西へ5分ほど歩き、松葉幼稚園の先でビミョーに道がクキッとなったあたり。 見慣れんもんがある。建物の形状として見慣れん。 図鑑でなら見たことがある。イカとか。もしくは忍者の被り物? (左)おや、あんなところにダイオウイカが (右)スミ吐くど〜 ふしぎなのは屋根の形だけではない。 玄関上の青瓦ヒサシ、その上部の四角い肌色部分、そこに点在する謎のマーク、首が痛くなるほど見上げないと見えない屋号など、どこをとっても珍しく、味がある。 (左)王家の紋章 (右)よく見たら木彫り 暖簾をくぐって靴を脱ぐと、小ぶりな脱衣場は昭和のかほりだ。 ベンチ2つにスポーツ新聞。番台には愛想の良いおやじさんが座っている。 (左)一般的レトロ玄関 (右)マス目の大きな格天井に3枚羽 浴室に入ると、なにやらパァ〜っと明るいパステル調の極楽世界。 湯船まわりは水色と白、カラン周りはピンクと白の、2cm角タイルが市松張りになっている。湯船の内側は丸い水色タイルびっしりのさわやかレトロ系。 かわいい色合いながらもクラシカルな風合いを帯びて、なんともエエ感じだ。 湯船は中央に深浅の主湯、その横にデンキとジェット&気泡の副浴槽がくっついている。湯船まわりの腰かけ段が大阪市内の一般的な高さより心もち高めなのが印象的だ。 深と浅の間仕切りがちょっと変わっていて、古代都市遺跡のゲートみたいに、中央部が開いている。その部分から入浴客全員に向かって施政方針演説をブチたくなる。 で、お湯はたっぷたぷのなっみなみ。 湯船へりはかまぼこカーブになっていて、紺色の小さな長方形タイルが隙間なく並んでいる。 したがって、お湯に浸かったらその細かいタイル曲面をザバーと溢れて越えてゆく、贅沢な光景が繰り広げられるわけね。うひょっ、美しいのぉ。 奥壁に堀込んだ形でスチームサウナがあり、出入口側には非冷却だが水風呂もある。 タイルは利用度の低い奥まった場所までよく磨かれ、欠損はきちんと張り直されている。 メジも白セメンがしっかり埋められていて、店主の真面目で几帳面な人柄が感じられる。 じつにええ感じ。河内の真ん中でついつい長風呂やんけ。はよ上がらんけオンドレ。 (2013.5.28) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 |
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日の出湯
近鉄八尾駅から徒歩7〜8分。河内音頭の聖地・常光寺の西側には、昭和の懐かしいまちなみが残っとるで。 そんな界隈の、郷愁を感じる田舎の狭い道に暖簾が揺れている。 (左)泣きそうになる路地 (右)素朴風景に派手看板 破風のついた昔ながらの木造建築に、玄関だけモルタルで付け足した格好。 素朴な小銭湯風情のわりに、賑やかな突き出し看板には「長寿の秘湯 天然美容泉」、さらに電光文字広告が「であいの場・・・」などの赤文字を次々に繰り出してくる。 フツーのミニ銭湯が、また大きく出たな! でもそのヤル気がじつに頼もしい。 そっけない玄関をくぐると、番台に感じのいいおかみさんが座っている。 小ぶりな脱衣場はチープなクロス張り壁、アルミ脱衣箱で、なんということもない。ベンチがひとつあるのみ。 浴室も小ぢんまり。入って正面に水鉢があり、奥にL字型に深・浅・ジェット・電気・気泡と湯船が並ぶ。湯船のフチに石乗せタイプ。 奥壁に、美保の松原から眺める富士山のモザイクタイル画がある。 とりあえず湯船に浸かってみると、おや、なかなかエエ湯やおまへんか。見ると、湯船の隅に白い袋が沈んでおり、かなりの量の備長炭が入っている。なるほどこいつか〜。 「竹炭・竹酢」が売りらしく、気泡では竹酢の香りが強く感じられる。お湯ざわりはたいへんよい。ポイント高し。 よく見たら全体的に細かなタイル使いで、六角形の柄タイルや波線ダイヤ型タイル、小さな丸タイルなどが随所に貼り込まれている。 残念ながら白目地塗りが雑でセメンのふき取り残しが目立つが、清掃はきっちりできている。 ジェット・気泡も勢いよろし。カランの出もよく、浴室隅に立ちシャワーもある。 古くて小さいけど、竹炭でエエお湯やし、快調なジェット・気泡など、気持ちよく入れる味わい深いミニ銭湯だ。 なかなかよろしがな〜。(2013.6.12) もう夏なやぁ |
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常盤温泉《廃業》
春の夕暮れ、近鉄南大阪線に乗って恵我之荘駅で降りてみた。 北へ歩いて幹線道路を越え、次の信号で左に折れる。この道は古くから堺と奈良を結んできた長尾街道で、道の左手は羽曳野市、右側は松原市だ。 駅から10分ほどで、ゆるやかにくねる街道の右手に暖簾が見える。 (左)平屋建ての脱衣場に玄関増設ね (右)遠近法な下足スペース 玄関部分は昭和中期的だが、母屋の脱衣場棟はけっこう歴史がありそうだぞ。 中に入ると番台にほがらかなおかみさんが座っている。 小ぶりな脱衣場は高度成長期に改装されたようすだが、あちこちに絵や写真や花が飾られている。とってもアットホーム。 (左)番台の上にはご主人が描かれた絵 (右)奥にモザイクタイル画が見える 裸になって浴室へ入ると、まず正面で迎えてくれるのは白いアヒル3匹!・・・の置物だ。水鉢の上部がプランターになっていて、そこに仲良く並んでいる。 その向こうに湯船があるが、それより目をひくのは何といっても奥壁から男女壁にかけてアールを描きながら45度角でパノラマのように広がるモザイクタイルの風景画だ。 山に湖、白樺のよくある絵柄だが、まるで大きな絵本を読んでいるような感覚が味わえる。絵柄を構成するミニサイズのタイルもしっかりしていて美しい。 その絵の麓に、深湯とジェットつきの浅湯が配置されている。タイル張りでフチ石ノセ。ライオンの湯吐き口があるが、奥のデンキ風呂には龍の湯吐き口があるのが珍しい。 床もカラン周りも細かいタイルがびっしり張られているが、あまり使われない大きさ色合いのさまざまなタイルが使われていて、なかなかの味わいやおまへんか。 じっくり鑑賞しながらお湯を楽しんで上がった。 話し好きの陽気なおかみさんによると、この建物は大正5年築らしい。 43年前に浴室を改装したときにモザイク画がついた。若い職人3人が徹夜で作ったそうだ。 3匹のアヒルは、以前はプランターにポトスを置いてたけど管理が大変なのでこれに変えたらしい。 脱衣場にはご主人が描いた絵や息子さんが撮った写真などが飾られていて、ここならではの私的な温かみがある。 脱衣場も浴室も見どころいっぱいの楽しい小銭湯だ。(2012.4.12) さて帰ろー♪ |
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